国税徴収法

# 昭和三十四年法律第百四十七号 #

第五章 滞納処分

分類 法律
カテゴリ   国税
@ 施行日 : 令和六年六月十四日 ( 2024年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第五十二号による改正
最終編集日 : 2024年 09月16日 09時47分


第一節 財産の差押

第一款 通則

1項

次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。

一 号

滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。

二 号

納税者が国税通則法第三十七条第一項各号督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、当該請求に係る期限)までに完納しないとき。

2項

国税の納期限後 前項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき国税通則法第三十八条第一項各号繰上請求)の一に該当する事実が生じたときは、徴収職員は、直ちにその財産を差し押えることができる。

3項

第二次納税義務者 又は保証人について第一項の規定を適用する場合には、

同項
督促状」とあるのは、
「納付催告書」と

する。

1項

国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない

2項

差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費 及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税 その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない

1項

徴収職員は、滞納者(譲渡担保権者を含む。第七十五条第七十六条 及び第七十八条差押禁止財産)を除き、以下同じ。)の財産を差し押えるに当つては、滞納処分の執行に支障がない限り、その財産につき第三者が有する権利を害さないように努めなければならない。

1項

質権、抵当権、先取特権(第十九条第一項各号不動産保存の先取特権等)又は第二十条第一項各号不動産賃貸の先取特権等)に掲げる先取特権に限るこの項除き、以下同じ。)、留置権、賃借権 その他第三者の権利(これらの先取特権以外の先取特権を除く。以下同じ。)の目的となつている財産が差し押えられた場合には、その第三者は、税務署長に対し、滞納者が他に換価の容易な財産で他の第三者の権利の目的となつていないものを有し、かつ、その財産によりその滞納者の国税の全額を徴収することができることを理由として、その財産の公売公告の日(随意契約による売却をする場合には、その売却の日)までに、その差押換を請求することができる。

2項

税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、その差押換をしなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨をその第三者に通知しなければならない。

3項

前項の通知があつた場合において、その通知を受けた第三者が、その通知を受けた日から起算して七日を経過した日までに、第一項の規定により差し押えるべきことを請求した財産の換価をすべきことを申し立てたときは、その財産が換価の著しく困難なものであり、又は他の第三者の権利の目的となつているものであるときを除き、これを差し押え、かつ、換価に付した後でなければ、同項に規定する第三者の権利の目的となつている財産を換価することができない

4項

税務署長は、前項の場合において、同項の申立があつた日から二月以内にその申立に係る財産を差し押え、かつ、換価に付さないときは、第一項に規定する第三者の権利の目的となつている財産の差押を解除しなければならない。


ただし、国税に関する法律の規定で換価をすることができないこととするものの適用があるときは、この限りでない。

5項

第二項 又は前項の差押は、国税に関する法律の規定で新たに滞納処分の執行をすることができないこととするものにかかわらず、することができる。

1項
徴収職員は、被相続人の国税につきその相続人の財産を差し押える場合には、滞納処分の執行に支障がない限り、まず相続財産を差し押えるように努めなければならない。
2項
被相続人の国税につき相続人の固有財産が差し押えられた場合には、その相続人は、税務署長に対し、他に換価が容易な相続財産で第三者の権利の目的となつていないものを有しており、かつ、その財産により当該国税の全額を徴収することができることを理由として、その差押換を請求することができる。
3項

税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、その差押換をしなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨を当該相続人に通知しなければならない。


この場合においては、前条第五項の規定を準用する。

1項

差押の効力は、差し押えた財産(以下「差押財産」という。)から生ずる天然果実に及ぶ。


ただし、滞納者 又は第三者が差押財産の使用 又は収益をすることができる場合には、その財産から生ずる天然果実(その財産の換価による権利の移転の時までに収取されない天然果実を除く)については、この限りでない。

2項

差押の効力は、差押財産から生ずる法定果実に及ばない。


ただし、債権を差し押えた場合における差押後の利息については、この限りでない。

1項

仮登記担保契約に関する法律第十五条強制競売等の場合の担保仮登記)(同法第二十条土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)の規定は、担保のための仮登記がある財産が差し押さえられた場合について準用する。


この場合において、

同法第十五条
その決定」とあるのは
「その差押え」と、

申立てに基づく」とあるのは
「ものである」と

読み替えるものとする。

1項

差押財産が損害保険に付され、又は中小企業等協同組合法昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の七の二第一項(火災共済事業)の規定による共済 その他法律の規定による共済でこれに類するものの目的となつているときは、その差押えの効力は、保険金 又は共済金の支払を受ける権利に及ぶ。


ただし、財産を差し押さえた旨を保険者 又は共済事業者に通知しなければ、その差押えをもつてこれらの者に対抗することができない

2項

徴収職員が差押に係る前項の保険金 又は共済金の支払を受けた場合において、その財産がその保険 又は共済に係る事故が生じた時に先取特権、質権 又は抵当権の目的となつていたときは、その先取特権者、質権者 又は抵当権者は、民法第三百四条第一項ただし書(先取特権の物上代位)その他これらの権利の行使のためその保険金 又は共済金の支払を受ける権利をその支払前に差し押えることを必要とする規定の適用については、その支払前にその差押をしたものとみなす。

1項

徴収職員は、滞納者の財産を差し押さえたときは、差押調書を作成し、その財産が次に掲げる財産であるときは、その謄本を滞納者に交付しなければならない。

一 号
動産 又は有価証券
二 号

債権(電話加入権、賃借権、第七十三条の二振替社債等の差押え)の規定の適用を受ける財産 その他取り立てることができない債権を除く。以下この章において同じ。

三 号

第七十三条電話加入権等の差押え)又は第七十三条の二振替社債等の差押え)の規定の適用を受ける財産

1項

次の各号に掲げる財産を差し押さえたときは、税務署長は、当該各号に掲げる者のうち知れている者に対し、その旨 その他必要な事項を通知しなければならない。

一 号

質権、抵当権、先取特権、留置権、賃借権 その他の第三者の権利(担保のための仮登記に係る権利を除く)の目的となつている財産

これらの権利を有する者

二 号

仮登記がある財産

仮登記の権利者

三 号

仮差押え 又は仮処分がされている財産

仮差押え 又は仮処分をした保全執行裁判所 又は執行官

第二款 動産又は有価証券の差押

1項
動産 又は有価証券の差押は、徴収職員がその財産を占有して行う。
2項

前項の差押の効力は、徴収職員がその財産を占有した時に生ずる。

3項

徴収職員が金銭を差し押えたときは、その限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす。

1項
有価証券を差し押えたときは、徴収職員は、その有価証券に係る金銭債権の取立をすることができる。
2項

徴収職員が前項の規定により金銭を取り立てたときは、その限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす。

1項

滞納者の動産 又は有価証券でその親族 その他の特殊関係者以外の第三者が占有しているものは、その第三者が引渡を拒むときは、差し押えることができない

2項

前項の動産 又は有価証券がある場合において、同項の第三者がその引渡を拒むときは、滞納者が他に換価が容易であり、かつ、その滞納に係る国税の全額を徴収することができる財産を有しないと認められるときに限り、税務署長は、同項の第三者に対し、期限を指定して、当該動産 又は有価証券を徴収職員に引き渡すべきことを書面により命ずることができる。


この場合において、その命令をした税務署長は、その旨を滞納者に通知しなければならない。

3項

前項の命令に係る動産 若しくは有価証券が徴収職員に引き渡されたとき、又は同項の命令を受けた第三者が指定された期限までに徴収職員にその引渡をしないときは、徴収職員は、第一項の規定にかかわらず、その動産 又は有価証券を差し押えることができる。

1項

前条第二項の規定により動産の引渡を命ぜられた第三者が、滞納者との契約による賃借権、使用貸借権 その他動産の使用 又は収益をする権利に基きその命令に係る動産を占有している場合において、その引渡をすることにより占有の目的を達することができなくなるときは、その第三者は、その占有の基礎となつている契約を解除することができる。


この場合において、その第三者は、当該契約の解除により滞納者に対して取得する損害賠償請求権については、その動産の売却代金の残余のうちから配当を受けることができる。

2項

徴収職員は、前条第二項の規定により動産の引渡を命ぜられた第三者の請求がある場合には、その第三者が前項前段の規定により契約を解除したときを除き、その動産の占有の基礎となつている契約の期間内(その期限がその動産を差し押えた日から三月を経過した日より遅いときは、その日まで)は、その第三者にその使用 又は収益をさせなければならない。

3項

前条第二項の規定により動産の引渡を命ぜられた第三者が賃貸借契約に基きこれを占有している場合において、第一項前段の規定によりその契約を解除し、かつ、前条第二項の命令があつた時前にその後の期間分の借賃を支払つているときは、その第三者は、税務署長に対し、その動産の売却代金のうちから、その借賃に相当する金額で同条第三項の規定による差押の日後の期間に係るもの(その金額が三月分に相当する金額をこえるときは、当該金額)の配当を請求することができる。


この場合において、その請求があつた金額は、第八条国税優先の原則)の規定にかかわらず、その滞納処分に係る滞納処分費に次ぎ、かつ、その動産上の留置権により担保されていた債権に次ぐものとして、配当することができる。

4項

前三項の規定は、前条第一項に規定する動産の引渡を拒まなかつた同項に規定する第三者について準用する。

1項

徴収職員は、必要があると認めるときは、差し押えた動産 又は有価証券を滞納者 又はその財産を占有する第三者に保管させることができる。


ただし、その第三者に保管させる場合には、その運搬が困難であるときを除き、その者の同意を受けなければならない。

2項

前項の規定により滞納者 又は第三者に保管させたときは、第五十六条第二項動産等の差押の効力発生時期)の規定にかかわらず、封印、公示書 その他差押を明白にする方法により差し押えた旨を表示した時に、差押の効力が生ずる。

1項

徴収職員は、前条第一項の規定により滞納者に差し押えた動産を保管させる場合において、国税の徴収上支障がないと認めるときは、その使用 又は収益を許可することができる。

2項

前項の規定は、差し押えた動産につき使用 又は収益をする権利を有する第三者にその動産を保管させる場合について準用する。

第三款 債権の差押

1項

債権(電子記録債権法第二条第一項(定義)に規定する電子記録債権(次条において「電子記録債権」という。)を除く。以下この条において同じ。)の差押えは、第三債務者に対する債権差押通知書の送達により行う。

2項
徴収職員は、債権を差し押えるときは、債務者に対しその履行を、滞納者に対し債権の取立 その他の処分を禁じなければならない。
3項

第一項の差押の効力は、債権差押通知書が第三債務者に送達された時に生ずる。

4項

税務署長は、債権でその移転につき登録を要するものを差し押えたときは、差押の登録を関係機関に嘱託しなければならない。

1項

電子記録債権の差押えは、第三債務者 及び当該電子記録債権の電子記録をしている電子債権記録機関(電子記録債権法第二条第二項(定義)に規定する電子債権記録機関をいう。以下この条において同じ。)に対する債権差押通知書の送達により行う。

2項
徴収職員は、電子記録債権を差し押さえるときは、第三債務者に対しその履行を、電子債権記録機関に対し電子記録債権に係る電子記録を、滞納者に対し電子記録債権の取立てその他の処分 又は電子記録の請求を禁じなければならない。
3項

第一項の差押えの効力は、債権差押通知書が電子債権記録機関に送達された時に生ずる。


ただし、第三債務者に対する同項の差押えの効力は、債権差押通知書が第三債務者に送達された時に生ずる。

1項

徴収職員は、債権を差し押えるときは、その全額を差し押えなければならない。


ただし、その全額を差し押える必要がないと認めるときは、その一部を差し押えることができる。

1項

抵当権 又は登記することができる質権 若しくは先取特権によつて担保される債権を差し押えたときは、税務署長は、その債権の差押の登記を関係機関に嘱託することができる。


この場合において、その嘱託をした税務署長は、その抵当権 若しくは質権が設定されている財産 又は先取特権がある財産の権利者(第三債務者を除く)に差し押えた旨を通知しなければならない。

1項

徴収職員は、債権の差押のため必要があるときは、その債権に関する証書を取り上げることができる。


この場合においては、第五十六条第一項動産等の差押手続)及び第五十八条第三者が占有する動産等の差押手続)の規定を準用する。

1項
給料 若しくは年金 又はこれらに類する継続収入の債権の差押の効力は、徴収すべき国税の額を限度として、差押後に収入すべき金額に及ぶ。
1項
徴収職員は、差し押えた債権の取立をすることができる。
2項

徴収職員は、前項の規定により取り立てたものが金銭以外のものであるときは、これを差し押えなければならない。

3項

徴収職員が第一項の規定により金銭を取り立てたときは、その限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす。

4項

国税通則法第五十五条第一項から第三項まで納付委託)の規定は、第一項の取立をする場合において、第三債務者が徴収職員に対し、その債権の弁済の委託をしようとするときに準用する。


ただし、その証券の取り立てるべき期限が差し押えた債権の弁済期後となるときは、第三債務者は、滞納者の承認を受けなければならない。

第四款 不動産等の差押

1項

不動産(地上権 その他不動産を目的とする物権(所有権を除く)、工場財団、鉱業権 その他不動産とみなされ、又は不動産に関する規定の準用がある財産 並びに鉄道財団、軌道財団 及び運河財団を含む。以下同じ。)の差押は、滞納者に対する差押書の送達により行う。

2項

前項の差押の効力は、その差押書が滞納者に送達された時に生ずる。

3項

税務署長は、不動産を差し押えたときは、差押の登記を関係機関に嘱託しなければならない。

4項

前項の差押の登記が差押書の送達前にされた場合には、第二項の規定にかかわらず、その差押の登記がされた時に差押の効力が生ずる。

5項

鉱業権の差押の効力は、第二項 及び前項の規定にかかわらず、差押の登録がされた時に生ずる。

1項

滞納者は、差し押えられた不動産につき、通常の用法に従い、使用 又は収益をすることができる。


ただし、税務署長は、不動産の価値が著しく減耗する行為がされると認められるときに限り、その使用 又は収益を制限することができる。

2項

前項の規定は、差し押えられた不動産につき使用 又は収益をする権利を有する第三者について準用する。

1項

登記される船舶(以下「船舶」という。)又は航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)の規定により登録を受けた飛行機 若しくは回転翼航空機(以下「航空機」という。)の差押えについては、第六十八条第一項から第四項まで不動産の差押えの手続 及び効力発生時期)の規定を準用する。

2項

税務署長は、滞納処分のため必要があるときは、船舶 又は航空機を一時停泊させることができる。


ただし、航行中の船舶 又は航空機については、この限りでない。

3項
徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、船舶 又は航空機の監守 及び保存のため必要な処分をすることができる。
4項

前項の処分が差押書の送達前にされた場合には、第一項において準用する第六十八条第二項の規定にかかわらず、その処分をした時に差押えの効力が生ずる。

5項

税務署長は、停泊中の船舶 若しくは航空機を差し押さえた場合 又は第二項の規定により船舶 若しくは航空機を停泊させた場合において、営業上の必要 その他相当の理由があるときは、滞納者 並びにこれらにつき交付要求をした者 及び抵当権 その他の権利を有する者の申立てにより、航行を許可することができる。

1項

道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)の規定により登録を受けた自動車(以下「自動車」という。)、建設機械抵当法(昭和二十九年法律第九十七号)の規定により登記を受けた建設機械(以下「建設機械」という。)又は小型船舶の登録等に関する法律(平成十三年法律第百二号)の規定により登録を受けた小型船舶(以下「小型船舶」という。)の差押えについては、第六十八条第一項から第四項まで不動産の差押えの手続 及び効力発生時期)の規定を準用する。

2項

前条第三項 及び第四項の規定は、自動車、建設機械 又は小型船舶の差押えについて準用する。

3項
税務署長は、自動車、建設機械 又は小型船舶を差し押さえた場合には、滞納者に対し、これらの引渡しを命じ、徴収職員にこれらの占有をさせることができる。
4項

第五十六条第一項動産等の差押手続)、第五十八条第三者が占有する動産等の差押手続)及び第五十九条引渡命令を受けた第三者等の権利の保護)の規定は、前項の規定により徴収職員に自動車、建設機械 又は小型船舶を占有させる場合について準用する。

5項

徴収職員は、第三項の規定により占有する自動車、建設機械 又は小型船舶を滞納者 又はこれらを占有する第三者に保管させることができる。


この場合においては、封印 その他の公示方法によりその自動車、建設機械 又は小型船舶が徴収職員の占有に係る旨を明らかにしなければならないものとし、また、次項の規定により自動車の運行、建設機械の使用 又は小型船舶の航行を許可する場合を除き、これらの運行、使用 又は航行をさせないための適当な措置を講じなければならない。

6項

徴収職員は、第三項 又は前項の規定により占有し、又は保管させた自動車、建設機械 又は小型船舶につき営業上の必要 その他相当の理由があるときは、滞納者 並びにこれらにつき交付要求をした者 及び抵当権 その他の権利を有する者の申立てにより、その運行、使用 又は航行を許可することができる。

第五款 無体財産権等の差押

1項

前三款の規定の適用を受けない財産(以下「無体財産権等」という。)のうち特許権、著作権 その他第三債務者等がない財産の差押えは、滞納者に対する差押書の送達により行う。

2項

前項の差押えの効力は、その差押書が滞納者に送達された時に生ずる。

3項

税務署長は、無体財産権等でその権利の移転につき登記を要するものを差し押さえたときは、差押えの登記を関係機関に嘱託しなければならない。

4項

前項の差押えの登記が差押書の送達前にされた場合には、第二項の規定にかかわらず、その差押えの登記がされた時に差押えの効力が生ずる。

5項

特許権、実用新案権 その他の権利でその処分の制限につき登記をしなければ効力が生じないものとされているものの差押えの効力は、第二項 及び前項の規定にかかわらず、差押えの登記がされた時に生ずる。

1項

無体財産権等のうち電話加入権、合名会社の社員の持分 その他第三債務者等がある財産(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二条第一項(定義)に規定する社債等のうちその権利の帰属が振替口座簿の記載 又は記録により定まるものとされるもの(次条において「振替社債等」という。)を除く)の差押えは、第三債務者等に対する差押通知書の送達により行う。

2項
前項の差押の効力は、その差押通知書が第三債務者等に送達された時に生ずる。
3項

前条第三項 及び第四項の規定は、第一項に規定する財産でその権利の移転につき登記を要するもの(次項に規定するものを除く)の差押について準用する。


この場合において、

同条第四項
差押書」とあるのは、
「差押通知書」と

読み替えるものとする。

4項

前条第五項の規定は、特許権についての専用実施権 その他の権利でその処分の制限につき登記をしなければ効力が生じないものとされているものの差押えについて準用する。

5項

第六十五条債権証書の取上げ)及び第六十七条差し押えた債権の取立)の規定は、第一項に規定する財産について準用する。

1項

振替社債等の差押えは、振替社債等の発行者(以下この項 及び次項において「発行者」という。)及び滞納者がその口座の開設を受けている社債、株式等の振替に関する法律第二条第五項(定義)に規定する振替機関等(滞納者が次の各号に掲げる請求をし、当該各号に定める買取口座に当該請求に係る振替社債等についての記載 又は記録がされている場合であつて、当該請求に係る振替社債等を差し押さえるときは、発行者が当該買取口座の開設を受けている当該振替機関等。以下この条において「振替機関等」という。)に対する差押通知書の送達により行う。

一 号

社債、株式等の振替に関する法律第百五十五条第一項(株式買取請求に関する会社法の特例)(社債、株式等の振替に関する法律第二百二十八条第一項(投資口に関する株式に係る規定の準用)及び第二百三十九条第一項(優先出資に関する株式に係る規定の準用)において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)に規定する株式買取請求、投資口買取請求 又は優先出資買取請求

同法第百五十五条第一項に規定する買取口座

二 号

社債、株式等の振替に関する法律第百八十三条第一項(新株予約権買取請求に関する会社法の特例)(社債、株式等の振替に関する法律第二百四十七条の三第一項(新投資口予約権に関する新株予約権に係る規定の準用)において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)に規定する新株予約権買取請求 又は新投資口予約権買取請求

同法第百八十三条第一項に規定する買取口座

三 号

社債、株式等の振替に関する法律第二百十五条第一項(新株予約権付社債買取請求に関する会社法の特例)に規定する新株予約権付社債買取請求

同項に規定する買取口座

四 号

社債、株式等の振替に関する法律第二百五十九条第一項(金融機関の合併における株式買取請求に関する合併転換法の特例等)に規定する株式買取請求

同項に規定する買取口座

五 号

社債、株式等の振替に関する法律第二百六十条第一項(金融機関の合併における新株予約権買取請求に関する合併転換法の特例等)に規定する新株予約権買取請求

同項に規定する買取口座

六 号

社債、株式等の振替に関する法律第二百六十六条第一項(保険会社の合併における株式買取請求に関する保険業法の特例等)に規定する株式買取請求

同項に規定する買取口座

七 号

社債、株式等の振替に関する法律第二百六十七条第一項(保険会社の合併における新株予約権買取請求に関する保険業法の特例等)に規定する新株予約権買取請求

同項に規定する買取口座

八 号

社債、株式等の振替に関する法律第二百七十三条第一項(金融商品取引所の合併における株式買取請求に関する金融商品取引法の特例等)に規定する株式買取請求

同項に規定する買取口座

九 号

社債、株式等の振替に関する法律第二百七十四条第一項(金融商品取引所の合併における新株予約権買取請求に関する金融商品取引法の特例等)に規定する新株予約権買取請求

同項に規定する買取口座

2項

徴収職員は、振替社債等を差し押さえるときは、発行者に対しその履行を、振替機関等に対し振替社債等の振替 又は抹消を、滞納者に対し振替社債等の取立てその他の処分 又は振替 若しくは抹消の申請を禁じなければならない。

3項

第一項の差押えの効力は、その差押通知書が振替機関等に送達された時に生ずる。

4項

第六十七条差し押さえた債権の取立て)の規定は、振替社債等について準用する。

1項

税務署長は、中小企業等協同組合法に基づく企業組合、信用金庫 その他の法人で組合員、会員 その他の持分を有する構成員が任意に(脱退につき予告 その他一定の手続を要する場合には、これをした後任意に)脱退することができるもの(合名会社、合資会社 及び合同会社を除く。以下この条において「組合等」という。)の組合員、会員 その他の構成員である滞納者の持分を差し押さえた場合において、当該持分につき次に掲げる理由があり、かつ、その持分以外の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときは、その組合等に対し、その持分の一部の払戻し(組合等による譲受けが認められている持分については、譲受け)を請求することができる。

一 号
その持分を再度換価に付してもなお買受人がないこと。
二 号
その持分の譲渡につき法律 又は定款に制限があるため、譲渡することができないこと。
2項

前項に規定する請求は、三十日組合等からの脱退につき、法律 又は定款の定めにより、これと異なる一定期間前に組合等に予告することを必要とするものにあつては、その期間)前に組合等にその予告をした後でなければ、行うことができない

第六款 差押禁止財産

1項

次に掲げる財産は、差し押えることができない

一 号

滞納者 及びその者と生計を一にする配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係にある者を含む。)その他の親族(以下「生計を一にする親族」という。)の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳 及び建具

二 号

滞納者 及びその者と生計を一にする親族の生活に必要な三月間の食料 及び燃料

三 号

主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜 及びその飼料 並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子 その他これに類する農産物

四 号
主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕 又は養殖に欠くことができない漁網 その他の漁具、えさ 及び稚魚 その他これに類する水産物
五 号

技術者、職人、労務者 その他の主として自己の知的 又は肉体的な労働により職業 又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く)のその業務に欠くことができない器具 その他の物(商品を除く

六 号
実印 その他の印で職業 又は生活に欠くことができないもの
七 号
仏像、位牌 その他礼拝 又は祭祀 に直接供するため欠くことができない物
八 号
滞納者に必要な系譜、日記 及びこれに類する書類
九 号
滞納者 又はその親族が受けた勲章 その他名誉の章票
十 号
滞納者 又はその者と生計を一にする親族の学習に必要な書籍 及び器具
十一 号
発明 又は著作に係るもので、まだ公表していないもの
十二 号
滞納者 又はその者と生計を一にする親族に必要な義手、義足 その他の身体の補足に供する物
十三 号
建物 その他の工作物について、災害の防止 又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械 又は器具、避難器具 その他の備品
2項

前項第一号畳 及び建具に係る部分に限る)及び第十三号の規定は、これらの規定に規定する財産をその建物 その他の工作物とともに差し押えるときは、適用しない

1項

給料、賃金、俸給、歳費、退職年金 及びこれらの性質を有する給与に係る債権(以下「給料等」という。)については、次に掲げる金額の合計額に達するまでの部分の金額は、差し押えることができない


この場合において、滞納者が同一の期間につき二以上の給料等の支払を受けるときは、その合計額につき、第四号 又は第五号に掲げる金額に係る限度を計算するものとする。

一 号

所得税法第百八十三条給与所得に係る源泉徴収義務)、第百九十条年末調整)、第百九十二条年末調整に係る不足額の徴収)又は第二百十二条非居住者等の所得に係る源泉徴収義務)の規定によりその給料等につき徴収される所得税に相当する金額

二 号

地方税法第三百二十一条の三(個人の市町村民税の特別徴収)その他の法令の規定によりその給料等につき特別徴収の方法によつて徴収される道府県民税 及び市町村民税 並びに森林環境税に相当する金額

三 号

健康保険法大正十一年法律第七十号)第百六十七条第一項(報酬からの保険料の控除)その他の法令の規定によりその給料等から控除される社会保険料(所得税法第七十四条第二項社会保険料控除)に規定する社会保険料をいう。)に相当する金額

四 号

滞納者(その者と生計を一にする親族を含む。)に対し、これらの者が所得を有しないものとして、生活保護法昭和二十五年法律第百四十四号第十二条生活扶助)に規定する生活扶助の給付を行うこととした場合におけるその扶助の基準となる金額で給料等の支給の基礎となつた期間に応ずるものを勘案して政令で定める金額

五 号

その給料等の金額から前各号に掲げる金額の合計額を控除した金額の百分の二十に相当する金額(その金額が前号に掲げる金額の二倍に相当する金額をこえるときは、当該金額

2項

給料等に基き支払を受けた金銭は、前項第四号 及び第五号に掲げる金額の合計額に、その給料等の支給の基礎となつた期間の日数のうちに差押の日から次の支払日までの日数の占める割合を乗じて計算した金額を限度として、差し押えることができない

3項

賞与 及びその性質を有する給与に係る債権については、その支払を受けるべき時における給料等とみなして、第一項の規定を適用する。


この場合において、同項第四号 又は第五号に掲げる金額に係る限度の計算については、その支給の基礎となつた期間が一月であるものとみなす。

4項

退職手当 及びその性質を有する給与に係る債権(以下「退職手当等」という。)については、次に掲げる金額の合計額に達するまでの部分の金額は、差し押えることができない

一 号

所得税法第百九十九条退職所得に係る源泉徴収義務)又は第二百十二条の規定によりその退職手当等につき徴収される所得税に相当する金額

二 号

第一項第二号 及び第三号中「給料等」とあるのを「退職手当等」として、これらの規定を適用して算定した金額

三 号

第一項第四号に掲げる金額で同号に規定する期間を一月として算定したものの三倍に相当する金額

四 号

退職手当等の支給の基礎となつた期間が五年をこえる場合には、そのこえる年数一年につき前号に掲げる金額の百分の二十に相当する金額

5項

第一項第二項 及び前項の規定は、滞納者の承諾があるときは適用しない

1項

社会保険制度に基づき支給される退職年金、老齢年金、普通恩給、休業手当金 及びこれらの性質を有する給付(確定給付企業年金法平成十三年法律第五十号)第三十八条第一項(老齢給付金の支給方法)の規定に基づいて支給される年金、確定拠出年金法平成十三年法律第八十八号)第三十五条第一項(老齢給付金の支給方法)(同法第七十三条(企業型年金に係る規定の準用)において準用する場合を含む。)の規定に基づいて支給される年金 その他政令で定める退職年金を含む。)に係る債権は給料等と、退職一時金、一時恩給 及びこれらの性質を有する給付(確定給付企業年金法第三十八条第二項の規定に基づいて支給される一時金 及び同法第四十二条(脱退一時金の支給方法)の規定に基づいて支給される脱退一時金、確定拠出年金法第三十五条第二項(同法第七十三条において準用する場合を含む。)の規定に基づいて支給される一時金 その他政令で定める退職一時金を含む。)に係る債権は退職手当等とそれぞれみなして、前条の規定を適用する。

2項

前項に規定する社会保険制度とは、次に掲げる法律に基づく保険、共済 又は恩給に関する制度 その他政令で定めるこれらに類する制度をいう。

一 号

厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号

二 号

船員保険法(昭和十四年法律第七十三号

三 号

国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号

四 号

恩給法大正十二年法律第四十八号)(他の法律において準用する場合を含む。

五 号

国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号

六 号

地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号

七 号

私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号

1項

次に掲げる財産(第七十五条第一項第三号から第五号まで農業等に欠くことができない財産)に掲げる財産を除く)は、滞納者がその国税の全額を徴収することができる財産で、換価が困難でなく、かつ、第三者の権利の目的となつていないものを提供したときは、その選択により、差押をしないものとする。

一 号
農業に必要な機械、器具、家畜類、飼料、種子 その他の農産物、肥料、農地 及び採草放牧地
二 号
漁業に必要な漁網 その他の漁具、えさ、稚魚 その他の水産物 及び漁船
三 号

職業 又は事業(前二号に規定する事業を除く)の継続に必要な機械、器具 その他の備品 及び原材料 その他たな卸をすべき資産

第七款 差押の解除

1項

徴収職員は、次の各号いずれかに該当するときは、差押えを解除しなければならない。

一 号
納付、充当、更正の取消 その他の理由により差押えに係る国税の全額が消滅したとき。
二 号
差押財産の価額がその差押えに係る滞納処分費 及び差押えに係る国税に先立つ 他の国税、地方税 その他の債権の合計額を超える見込みがなくなつたとき。
2項

徴収職員は、次の各号いずれかに該当するときは、差押財産の全部 又は一部について、その差押えを解除することができる。

一 号
差押えに係る国税の一部の納付、充当、更正の一部の取消、差押財産の値上りその他の理由により、その価額が差押えに係る国税 及びこれに先立つ 他の国税、地方税 その他の債権の合計額を著しく超過すると認められるに至つたとき。
二 号
滞納者が他に差し押さえることができる適当な財産を提供した場合において、その財産を差し押さえたとき。
三 号

差押財産について、三回公売に付しても入札 又は競り売りに係る買受けの申込み(以下「入札等」という。)がなかつた場合において、その差押財産の形状、用途、法令による利用の規制 その他の事情を考慮して、更に公売に付しても買受人がないと認められ、かつ、随意契約による売却の見込みがないと認められるとき。

1項

差押の解除は、その旨を滞納者に通知することによつて行う。


ただし、債権 及び第三債務者等のある無体財産権等の差押の解除は、その旨を第三債務者等に通知することによつて行う。

2項

徴収職員は、次の各号に掲げる財産の差押を解除したときは、当該各号に掲げる手続をしなければならない。


ただし第一号に規定する除去は、滞納者 又はその財産を占有する第三者に行わせることができる。

一 号
動産 又は有価証券 その引渡 及び封印、公示書 その他差押を明白にするために用いた物の除去
二 号
債権 又は第三債務者等がある無体財産権等 滞納者への通知
3項

税務署長は、不動産 その他差押の登記をした財産の差押を解除したときは、その登記のまつ消を関係機関に嘱託しなければならない。

4項

第二項第一号の動産 又は有価証券の引渡は、滞納者に対し、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる場所において行わなければならない。


ただし、差押の時に滞納者以外の第三者が占有していたものについては、滞納者に対し引渡をすべき旨の第三者の申出がない限り、その第三者に引き渡さなければならない。

一 号

前条第一項各号 又は同条第二項第一号の規定に該当する場合のうち、更正の取消 その他国の責に帰すべき理由による場合 差押の時に存在した場所

二 号
その他の場合 差押を解除した時に存在する場所
5項

第二項第一号 及び前項の規定は、債権 又は自動車、建設機械 若しくは小型船舶の差押えを解除した場合において、第六十五条債権証書の取上げ)(第七十三条第五項権利証書の取上げ)の規定により準用する場合を含む。)の規定により取り上げた証書 又は第七十一条第三項差し押さえた自動車等の占有)の規定により徴収職員が占有した自動車、建設機械 若しくは小型船舶があるときについて準用する。

1項

税務署長は、差押を解除した場合において、第五十五条各号質権者等に対する差押の通知)に掲げる者のうち知れている者 及び交付要求をしている者があるときは、これらの者にその旨 その他必要な事項を通知しなければならない。

第二節 交付要求

1項

滞納者の財産につき強制換価手続が行われた場合には、税務署長は、執行機関(破産法平成十六年法律第七十五号第百十四条第一号租税等の請求権の届出)に掲げる請求権に係る国税の交付要求を行う場合には、その交付要求に係る破産事件を取り扱う裁判所。第八十四条第二項交付要求の解除)において同じ。)に対し、滞納に係る国税につき、交付要求書により交付要求をしなければならない。

2項

税務署長は、交付要求をしたときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。

3項

第五十五条質権者等に対する差押の通知)の規定は、交付要求をした場合について準用する。

1項
税務署長は、滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となつていないものを有しており、かつ、その財産によりその国税の全額を徴収することができると認められるときは、交付要求をしないものとする。
1項

税務署長は、納付、充当、更正の取消 その他の理由により交付要求に係る国税が消滅したときは、その交付要求を解除しなければならない。

2項
交付要求の解除は、その旨をその交付要求に係る執行機関に通知することによつて行う。
3項

第五十五条質権者等に対する差押の通知)及び第八十二条第二項交付要求の通知)の規定は、交付要求を解除した場合について準用する。

1項

強制換価手続により配当を受けることができる債権者は、交付要求があつたときは、税務署長に対し、次の各号いずれにも該当することを理由として、その交付要求を解除すべきことを請求することができる。

一 号
その交付要求により自己の債権の全部 又は一部の弁済を受けることができないこと。
二 号
滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となつていないものを有しており、かつ、その財産によりその交付要求に係る国税の全額を徴収することができること。
2項

税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、交付要求を解除しなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨をその請求をした者に通知しなければならない。

1項

税務署長は、第四十七条差押えの要件)の規定により差押えをすることができる場合において、滞納者の財産で次に掲げるものにつき既に滞納処分による差押えがされているときは、当該財産についての交付要求は、第八十二条第一項交付要求の手続)の交付要求書に代えて参加差押書を滞納処分をした行政機関等に交付してすることができる。

一 号
動産 及び有価証券
二 号
不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械 及び小型船舶
三 号
電話加入権
2項

税務署長は、前項の交付要求(以下「参加差押え」という。)をしたときは、参加差押通知書により滞納者に通知しなければならない。


この場合において、参加差押えをした財産が電話加入権であるときは、あわせて第三債務者にその旨を通知しなければならない。

3項

税務署長は、第一項第二号に掲げる財産につき参加差押えをしたときは、参加差押えの登記を関係機関に嘱託しなければならない。

4項

第五十五条質権者等に対する差押えの通知)の規定は、参加差押えをした場合について準用する。

1項

参加差押えをした場合において、その参加差押えに係る財産につきされていた滞納処分による差押えが解除されたときは、その参加差押え(前条第一項第二号に掲げる財産について二以上の参加差押えがあるときは、そのうち最も先に登記されたものとし、その他の財産について二以上の参加差押えがあるときは、そのうち最も先にされたものとする。)は、次の各号に掲げる財産の区分に応じ、当該各号に定める時に遡つて差押えの効力を生ずる。

一 号
動産 及び有価証券 参加差押書が滞納処分による差押えをした行政機関等に交付された時
二 号

不動産(次号に掲げる財産を除く)、船舶、航空機、自動車、建設機械 及び小型船舶 参加差押通知書が滞納者に送達された時(参加差押えの登記がその送達前にされた場合には、その登記がされた時

三 号
鉱業権 参加差押えの登録がされた時
四 号
電話加入権 参加差押通知書が第三債務者に送達された時
2項

税務署長は、差し押さえた動産 又は有価証券につき参加差押書の交付を受けた場合において、その動産 又は有価証券の差押えを解除すべきときは、その動産 又は有価証券を前項の規定により差押えの効力を生ずべき参加差押えをした行政機関等に引き渡さなければならない。


差し押さえた自動車、建設機械 又は小型船舶で第七十一条第三項自動車、建設機械 又は小型船舶の差押え)の規定により徴収職員が占有しているものについても、同様とする。

3項
参加差押えをした税務署長は、その参加差押えに係る滞納処分による差押財産が相当期間内に換価に付されないときは、速やかにその換価をすべきことをその滞納処分をした行政機関等に催告することができる。
1項

第八十三条から第八十五条まで交付要求の制限、解除等)の規定は、参加差押えについて準用する。

2項

税務署長は、参加差押えの登記をした財産の参加差押えを解除したときは、その登記の抹消を関係機関に嘱託しなければならない。

3項

税務署長は、電話加入権の参加差押えを解除したときは、その旨を第三債務者に通知しなければならない。

4項

前二条 及び前三項に定めるもののほか、参加差押えに関する手続について必要な事項は、政令で定める。

第三節 財産の換価

第一款 通則

1項

差押財産(金銭、債権 及び第五十七条有価証券に係る債権の取立て)の規定により債権の取立てをする有価証券を除く)又は次条第四項に規定する特定参加差押不動産(以下この節において「差押財産等」という。)は、この節の定めるところにより換価しなければならない。

2項

差し押さえた債権のうち、その全部 又は一部の弁済期限が取立てをしようとする時から六月以内に到来しないもの及び取立てをすることが著しく困難であると認められるものは、この節の定めるところにより換価することができる。

3項

税務署長は、相互の利用上差押財産等を他の差押財産等(滞納者を異にするものを含む。)と一括して同一の買受人に買い受けさせることが相当であると認めるときは、これらの差押財産等を一括して公売に付し、又は随意契約により売却することができる。

1項

参加差押えをした税務署長は、その参加差押えに係る不動産(以下「参加差押不動産」という。)が第八十七条第三項参加差押えの効力)の規定による催告をしてもなお換価に付されないときは、同項の滞納処分をした行政機関等の同意を得て、参加差押不動産につき換価の執行をする旨の決定(以下「換価執行決定」という。)をすることができる。


ただし、参加差押不動産につき強制執行 若しくは担保権の実行としての競売が開始されているとき、又は国税に関する法律の規定で換価をすることができないこととするものの適用があるときは、この限りでない。

2項

前項の滞納処分をした行政機関等は、同項の参加差押えをした税務署長による換価の執行に係る同意の求めがあつた場合において、その換価の執行を相当と認めるときは、これに同意するものとする。


ただし同項の滞納処分による差押えに係る不動産につき既に他の参加差押えをした行政機関等による換価の執行に係る同意をしているときは、この限りでない。

3項

換価執行決定は、第一項の参加差押えをした税務署長による換価の執行に係る同意をした行政機関等(以下「換価同意行政機関等」という。)に告知することによつてその効力を生ずる。

4項

換価執行決定をした税務署長(次条において「換価執行税務署長」という。)は、速やかに、その旨を滞納者 及び参加差押不動産(換価執行決定をしたものに限る。以下「特定参加差押不動産」という。)につき交付要求をした者に通知しなければならない。

1項

換価執行税務署長は、次の各号いずれかに該当するときは、換価執行決定を取り消さなければならない。

一 号

換価執行決定に係る参加差押え(以下「特定参加差押え」という。)を解除したとき。

二 号

換価同意行政機関等の滞納処分による差押え(政令で定めるものを除く。次条において「特定差押え」という。)が解除されたとき。

三 号

特定参加差押不動産の価額が特定参加差押えに係る滞納処分費 及び特定参加差押えに係る国税に先立つ 他の国税、地方税 その他の債権の合計額を超える見込みがなくなつたとき。

四 号

前三号に準ずるものとして政令で定めるとき。

2項

換価執行税務署長は、次の各号いずれかに該当するときは、換価執行決定を取り消すことができる。

一 号
特定参加差押えに係る国税の一部の納付、充当、更正の一部の取消し、特定参加差押不動産の価額の増加 その他の理由により、その価額が特定参加差押えに係る国税 及びこれに先立つ 他の国税、地方税 その他の債権の合計額を著しく超過すると認められるに至つたとき。
二 号
滞納者が他に差し押さえることができる適当な財産を提供した場合において、その財産を差し押さえたとき。
三 号

特定参加差押不動産について、三回公売に付しても入札等がなかつた場合において、その特定参加差押不動産の形状、用途、法令による利用の規制 その他の事情を考慮して、更に公売に付しても買受人がないと認められ、かつ、随意契約による売却の見込みがないと認められるとき。

四 号

前三号に準ずるものとして政令で定めるとき。

3項

前二項の規定により換価執行決定を取り消した税務署長は、速やかに、その旨を滞納者、換価同意行政機関等 及び特定参加差押不動産につき交付要求をした者(第一項第二号に係る部分に限る)の規定による換価執行決定の取消しにあつては、滞納者 及び特定参加差押不動産につき交付要求をした者)に通知しなければならない。

4項

特定参加差押不動産については、換価同意行政機関等が行う公売 その他滞納処分による売却のための手続は、第一項 又は第二項の規定により換価執行決定が取り消された後でなければ、することができない。

1項

特定差押えが解除された場合において、前条第一項第二号に係る部分に限る)の規定による換価執行決定の取消しに係る参加差押えにつき第八十七条第一項参加差押えの効力)の規定により差押えの効力が生ずるとき(次に掲げる場合を除く)は、当該換価執行決定の取消しをした税務署長は、当該換価執行決定に基づき行つた換価手続を当該差押えによる換価手続とみなして、当該差押えに係る不動産(以下この条において「差押不動産」という。)につき換価を続行することができる。

一 号
差押不動産につき強制執行 又は担保権の実行としての競売が開始されている場合
二 号
当該税務署長が行つた当該換価執行決定の取消しに係る参加差押えよりも先にされた交付要求がある場合
三 号
特定差押えが解除される前に特定参加差押不動産を換価したとすれば消滅する権利で、差押不動産の換価に伴い消滅しないものがある場合
1項

果実成熟した後繭となつた後でなければ、換価をすることができない

2項

前項の規定は、生産工程中における仕掛品(栽培品 その他これらに類するものを含む。)で、完成品となり、又は一定の生産過程に達するのでなければ、その価額が著しく低くて通常の取引に適しないものについて準用する。

3項

第二次納税義務者が第三十二条第一項第二次納税義務の通則)の告知、同条第二項の督促 又はこれらに係る国税に関する滞納処分につき訴えを提起したときは、その訴訟の係属する間は、当該国税につき滞納処分による財産の換価をすることができない


保証人が国税通則法第五十二条第二項担保の処分)の告知、同条第三項の督促 若しくはこれらに係る国税に関する滞納処分につき訴えを提起したとき、又は第五十五条第二号仮登記の権利者に対する差押えの通知)の通知(担保のための仮登記に係るものに限る)に係る差押えにつき訴えの提起があつたときにおいても、また同様とする。

1項

自動車、建設機械 又は小型船舶の換価は、徴収職員が第七十一条第三項差し押さえた自動車等の占有)の規定によりこれらを占有した後に行うものとする。


ただし、換価に支障がないと認められるときは、この限りでない。

1項

滞納者は、換価の目的となつた自己の財産(第二十四条第三項譲渡担保財産に対する執行)の規定の適用を受ける譲渡担保財産を除く)を、直接であると間接であるとを問わず、買い受けることができない


国税庁、国税局、税務署 又は税関に所属する職員で国税に関する事務に従事する職員は、換価の目的となつた財産について、また同様とする。

1項
税務署長は、差押財産等を換価する場合において、必要があると認めるときは、滞納者の同意を得て、その財産につき修理 その他その価額を増加する処分をすることができる。

第二款 公売

1項
税務署長は、差押財産等を換価するときは、これを公売に付さなければならない。
2項
公売は、入札 又は競り売りの方法により行わなければならない。
1項

税務署長は、差押財産等を公売に付するときは、公売の日の少なくとも十日前までに、次に掲げる事項を公告しなければならない。


ただし、公売に付する財産(以下「公売財産」という。)が不相応の保存費を要し、又はその価額を著しく減少するおそれがあると認めるときは、この期間を短縮することができる。

一 号
公売財産の名称、数量、性質 及び所在
二 号
公売の方法
三 号
公売の日時 及び場所
四 号
売却決定の日時 及び場所
五 号
公売保証金を提供させるときは、その金額
六 号
買受代金の納付の期限
七 号
公売財産の買受人について一定の資格 その他の要件を必要とするときは、その旨
八 号

公売財産上に質権、抵当権、先取特権、留置権 その他その財産の売却代金から配当を受けることができる権利を有する者は、売却決定の日の前日までにその内容を申し出るべき旨

九 号

前各号に掲げる事項のほか、公売に関し重要と認められる事項

2項

前項の公告は、税務署の掲示場 その他税務署内の公衆の見やすい場所に掲示して行う。


ただし、他の適当な場所に掲示する方法、官報 又は時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲げる方法 その他の方法を併せて用いることを妨げない。

1項

税務署長は、前条の公告をしたときは、同条第一項各号第八号除く)に掲げる事項 及び公売に係る国税の額を滞納者 及び次に掲げる者のうち知れている者に通知しなければならない。

一 号
公売財産につき交付要求をした者
二 号
公売財産上に質権、抵当権、先取特権、留置権、地上権、賃借権 その他の権利を有する者
三 号
換価同意行政機関等
2項

税務署長は、前項の通知をするときは、公売財産の売却代金から配当を受けることができる者のうち知れている者に対し、その配当を受けることができる国税、地方税 その他の債権につき第百三十条第一項債権額の確認方法)に規定する債権現在額申立書をその財産の売却決定をする日の前日までに提出すべき旨の催告をあわせてしなければならない。

1項

公売は、公売財産の所在する市町村(特別区を含む。)において行うものとする。


ただし、税務署長が必要と認めるときは、他の場所で行うことができる。

1項

税務署長は、近傍類似 又は同種の財産の取引価格、公売財産から生ずべき収益、公売財産の原価 その他の公売財産の価格形成上の事情を適切に勘案して、公売財産の見積価額を決定しなければならない。


この場合において、税務署長は、差押財産等を公売するための見積価額の決定であることを考慮しなければならない。

2項

税務署長は、前項の規定により見積価額を決定する場合において、必要と認めるときは、鑑定人にその評価を委託し、その評価額を参考とすることができる。

1項

税務署長は、公売財産のうち次の各号に掲げる財産を公売に付するときは、当該各号に掲げる日までに見積価額を公告しなければならない。

一 号

不動産、船舶 及び航空機

公売の日から三日前の日

二 号

せり売の方法 又は第百五条第一項複数落札入札制)に規定する方法により公売する財産(前号に掲げる財産を除く

公売の日の前日(当該財産につき第九十五条第一項ただし書(公売公告)に該当する事実があると認めるときは、公売の日

三 号

その他の財産で税務署長が公告を必要と認めるもの

公売の日の前日

2項
税務署長は、見積価額を公告しない財産を公売するときは、その見積価額を記載した書面を封筒に入れ、封をして、公売をする場所に置かなければならない。
3項

第九十五条第二項の規定は、第一項の公告について準用する。


ただし、税務署長は、公売財産が動産であるときに限り、その財産に見積価額を記載した用紙をはりつけて、この公告に代えることができる。

4項

税務署長は、第一項の場合において、公売財産上に賃借権(不動産 又は船舶に係るものに限る)又は地上権があるときは、あわせてその存続期限、借賃 又は地代 その他これらの権利の内容を公告しなければならない。

1項

公売財産(不動産に限る。以下この条第百六条の二調査の嘱託)及び第百八条第五項公売実施の適正化のための措置)において「公売不動産」という。)の入札等をしようとする者(その者が法人である場合には、その代表者)は、税務署長に対し、次のいずれにも該当しない旨を財務省令で定めるところにより陳述しなければ入札等をすることができない

一 号

公売不動産の入札等をしようとする者(その者が法人である場合には、その役員)が暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律平成三年法律第七十七号第二条第六号定義)に規定する暴力団員をいう。以下この号において同じ。)又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(次号第百六条の二 及び第百八条第五項において「暴力団員等」という。)であること。

二 号

自己の計算において当該公売不動産の入札等をさせようとする者(その者が法人である場合には、その役員)が暴力団員等であること。

1項

公売財産の入札等をしようとする者(以下「入札者等」という。)は、税務署長が公売財産の見積価額の百分の十以上の額により定める公売保証金を次の各号に掲げるいずれかの方法により提供しなければならない。


ただし、税務署長は、公売財産の見積価額が政令で定める金額以下である場合 又は買受代金を売却決定の日に納付させるときは、公売保証金の提供を要しないものとすることができる。

一 号

現金(国税の納付に使用することができる小切手のうち銀行の振出しに係るもの 及びその支払保証のあるものを含む。次号第四項 及び第百十五条第三項買受代金の納付の期限等)において同じ。)で納付する方法

二 号

入札者等と保証銀行等(銀行 その他税務署長が相当と認める者をいう。以下この号 及び第四項において同じ。)との間において、当該入札者等に係る公売保証金に相当する現金を税務署長の催告により当該保証銀行等が納付する旨の契約(財務省令で定める要件を満たすものに限る)が締結されたことを証する書面を税務署長に提出する方法

2項

入札者等は、前項ただし書の規定の適用を受ける場合を除き、公売保証金を提供した後でなければ、入札等をすることができない

3項

公売財産の買受人は、第一項第一号に掲げる方法により提供した公売保証金がある場合には、当該公売保証金を買受代金に充てることができる。


ただし第百十五条第四項の規定により売却決定が取り消されたときは、当該公売保証金をその公売に係る国税に充て、なお残余があるときは、これを滞納者に交付しなければならない。

4項

税務署長は、第一項第二号に掲げる方法により公売保証金を提供した入札者等に対して第百十五条第四項の規定による処分をした場合には、当該入札者等に係る保証銀行等に当該公売保証金に相当する現金を納付させるものとする。


この場合において、当該保証銀行等が納付した現金は、当該処分を受けた者が第一項第一号に掲げる方法により提供した公売保証金とみなして、前項ただし書の規定を適用する。

5項

前項の規定は、税務署長が、第百八条第二項公売実施の適正化のための措置)の規定による処分をした場合について準用する。


この場合において、

前項
第百十五条第四項」とあるのは
第百八条第二項公売実施の適正化のための措置)」と、

前項ただし書」とあるのは
同条第三項」と

読み替えるものとする。

6項

税務署長は、次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、当該各号に規定する公売保証金をその提供した者に返還しなければならない。

一 号

第百四条から第百五条まで最高価申込者等の決定)の規定により最高価申込者 及び次順位買受申込者(以下「最高価申込者等」という。)を定めた場合において、他の入札者等の提供した公売保証金があるとき。

二 号

入札等の価額の全部が見積価額に達しないこと その他の理由により最高価申込者を定めることができなかつた場合において、入札者等の提供した公売保証金があるとき。

三 号

第百十四条の規定により最高価申込者等 又は買受人がその入札等 又は買受けを取り消した場合において、その者の提供した公売保証金があるとき。

四 号

第百十五条第三項の規定により最高価申込者が買受代金を納付した場合において、最高価申込者が提供した公売保証金で第三項本文の規定により買受代金に充てたもの以外のもの又は次順位買受申込者が提供した公売保証金があるとき。

五 号

第百十七条国税等の完納による売却決定の取消し)の規定により売却決定が取り消された場合において、買受人の提供した公売保証金があるとき。

1項

入札をしようとする者は、その住所 又は居所、氏名(法人にあつては、名称。以下同じ。)、公売財産の名称、入札価額 その他必要な事項を記載した入札書に封をして、これを徴収職員に差し出さなければならない。


この場合において、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律平成十四年法律第百五十一号第六条第一項電子情報処理組織による申請等)の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して入札がされる場合には、入札書に封をすることに相当する措置であつて財務省令で定めるものをもつて当該封をすることに代えるものとする。

2項

入札者は、その提出した入札書の引換、変更 又は取消をすることができない。

3項

開札をするときは、徴収職員は、入札者を開札に立ち会わせなければならない。


ただし、入札者が立ち会わないときは、税務署所属の他の職員を開札に立ち会わせなければならない。

1項

税務署長は、入札の方法により差押財産等を公売する場合において、入札者がないとき、又は入札価額が見積価額に達しないときは、直ちに再度入札をすることができる。


この場合においては、見積価額を変更することができない

1項

競り売りの方法により差押財産等を公売するときは、徴収職員は、その財産を指定して、買受けの申込みを催告しなければならない。

2項
徴収職員は、競り売り人を選び、差押財産等の競り売りを取り扱わせることができる。
3項

前条の規定は、差押財産等の競り売りについて準用する。

1項
徴収職員は、見積価額以上の入札者等のうち最高の価額による入札者等を最高価申込者として定めなければならない。
2項

前項の場合において、最高の価額の入札者等が二人以上あるときは、更に入札等をさせて定め、なおその入札等の価額が同じときは、くじで定める。

1項

徴収職員は、入札の方法により不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械、小型船舶、債権 又は電話加入権以外の無体財産権等(以下「不動産等」という。)の公売をした場合において、最高価申込者の入札価額(以下この条において「最高入札価額」という。)に次ぐ高い価額(見積価額以上で、かつ、最高入札価額から公売保証金の額を控除した金額以上であるものに限る第三項において同じ。)による入札者(前条第二項の規定によりくじで最高価申込者を定めた場合には、当該最高価申込者以外の最高の価額の入札者とする。第三項において同じ。)から次順位による買受けの申込みがあるときは、その者を次順位買受申込者として定めなければならない。

2項

前項の次順位による買受けの申込みは、最高価申込者の決定後直ちにしなければならない。

3項

第一項の場合において、最高入札価額に次ぐ高い価額による入札者が二人以上あるときは、くじで定める。

1項

税務署長は、種類 及び価額が同じ財産を一時に多量に入札の方法により公売する場合において、必要があると認めるときは、その財産の数量の範囲内において入札をしようとする者の希望する数量 及び単価を入札させ、見積価額以上の単価の入札者のうち、入札価額の高い入札者から順次その財産の数量に達するまでの入札者を最高価申込者とする方法(以下「複数落札入札制」という。)によることができる。


この場合において、最高価申込者となるべき最後の順位の入札者が二人以上あるときは、入札数量の多いものを先順位の入札者とし、入札数量が同じときは、くじで先順位の入札者を定める。

2項
複数落札入札制による場合において、最高価申込者のうち最後の順位の入札者の入札数量が他の最高価申込者の入札数量とあわせて公売財産の数量をこえるときは、そのこえる入札数量については、入札がなかつたものとする。
3項

税務署長は、複数落札入札制による最高価申込者に対して売却決定をした場合において、買受人のうちに買受代金をその納付の期限までに納付しない者があるときは、開札に引き続き売却決定を行い、かつ、直ちに代金を納付させるときに限り、その者に売却決定をした数量の範囲内において、まず、前項の規定により入札がなかつたものとされた入札数量(買受代金を納付しない買受人の同項の規定により入札がなかつたものとされた入札数量を除く)につき入札があつたものとし、次に、第一項後段の規定により最高価申込者とならなかつた者を最高価申込者とすることができる。


この場合においては、同項後段 及び前項の規定を準用する。

1項

徴収職員は、最高価申込者等を定めたときは、直ちにその氏名 及び価額(複数落札入札制による場合には、数量 及び単価。次項において同じ。)を告げた後、入札 又は競り売りの終了を告知しなければならない。

2項

前項の場合において、公売した財産が不動産等であるときは、税務署長は、最高価申込者等の氏名、その価額 並びに売却決定をする日時 及び場所を滞納者 及び第九十六条第一項各号公売の通知)に掲げる者(以下「利害関係人」という。)のうち知れている者に通知するとともに、これらの事項を公告しなければならない。

3項

第九十五条第二項公売公告の方法)の規定は、前項の公告について準用する。

1項

税務署長は、公売不動産の最高価申込者等(その者が法人である場合には、その役員。以下この項において同じ。)が暴力団員等に該当するか否かについて、必要な調査をその税務署の所在地を管轄する都道府県警察に嘱託しなければならない。


ただし、公売不動産の最高価申込者等が暴力団員等に該当しないと認めるべき事情があるものとして財務省令で定める場合は、この限りでない。

2項

税務署長は、自己の計算において最高価申込者等に公売不動産の入札等をさせた者があると認める場合には、当該公売不動産の入札等をさせた者(その者が法人である場合には、その役員。以下この項において同じ。)が暴力団員等に該当するか否かについて、必要な調査をその税務署の所在地を管轄する都道府県警察に嘱託しなければならない。


ただし、公売不動産の入札等をさせた者が暴力団員等に該当しないと認めるべき事情があるものとして財務省令で定める場合は、この限りでない。

1項

税務署長は、公売に付しても入札者等がないとき、入札等の価額が見積価額に達しないとき、又は次順位買受申込者が定められていない場合において次条第二項 若しくは第五項 若しくは第百十五条第四項買受代金の納付の期限等)の規定により売却決定を取り消したときは、更に公売に付するものとする。

2項

税務署長は、前項の規定により公売に付する場合において、必要があると認めるときは、公売財産の見積価額の変更、第九十五条第一項本文(公売公告)の期間の短縮 その他公売の条件の変更をすることができる。

3項

第九十六条公売の通知)の規定は、第一項の規定による公売が直前の公売期日から十日以内に行われるときは、適用しない

4項

第一項の規定により公売に付する場合における第九十九条第一項第一号見積価額の公告等)の規定の適用については、

同号
公売の日から三日前の日」とあるのは、
「公売の日の前日」と

する。

1項

税務署長は、次に掲げる者に該当すると認められる事実がある者については、その事実があつた後二年間、公売の場所に入ることを制限し、若しくはその場所から退場させ、又は入札等をさせないことができる。


その事実があつた後二年を経過しない者を使用人 その他の従業者として使用する者 及びこれらの者を入札等の代理人とする者についても、また同様とする。

一 号

入札等をしようとする者の公売への参加 若しくは入札等、最高価申込者等の決定 又は買受人の買受代金の納付を妨げた者

二 号

公売に際して不当に価額を引き下げる目的をもつて連合した者

三 号

偽りの名義で買受申込みをした者

四 号

正当な理由がなく、買受代金の納付の期限までにその代金を納付しない買受人

五 号

故意に公売財産を損傷し、その価額を減少させた者

六 号

前各号に掲げる者のほか、公売 又は随意契約による売却の実施を妨げる行為をした者

2項

前項の規定に該当する者の入札等 又はその者を最高価申込者等とする決定については、税務署長は、その入札等がなかつたものとし、又はその決定を取り消すことができるものとする。

3項

前項の場合において、同項の処分を受けた者の納付した公売保証金があるときは、その公売保証金は、国庫に帰属する。


この場合において、第百条第六項公売保証金)の規定は、適用しない

4項

税務署長は、第一項の規定の適用に関し必要があると認めるときは、入札者等の身分に関する証明を求めることができる。

5項

税務署長は、公売不動産の最高価申込者等 又は自己の計算において最高価申込者等に公売不動産の入札等をさせた者が次のいずれかに該当すると認める場合には、これらの最高価申込者等を最高価申込者等とする決定を取り消すことができるものとする。

一 号

暴力団員等(公売不動産の入札等がされた時に暴力団員等であつた者を含む。

二 号

法人でその役員のうちに暴力団員等に該当する者があるもの(公売不動産の入札等がされた時にその役員のうちに暴力団員等に該当する者があつたものを含む。

第三款 随意契約による売却

1項

次の各号いずれかに該当するときは、税務署長は、差押財産等を、公売に代えて、随意契約により売却することができる。

一 号

法令の規定により、公売財産を買い受けることができる者が一人であるとき、その財産の最高価額が定められている場合において、その価額により売却するとき、その他公売に付することが公益上適当でないと認められるとき。

二 号
取引所の相場がある財産をその日の相場で売却するとき。
三 号

公売に付しても入札等がないとき、入札等の価額が見積価額に達しないとき、又は第百十五条第四項買受代金の納付の期限等)の規定により売却決定を取り消したとき。

2項

第九十八条見積価額の決定)の規定は、前項第一号 又は第三号の規定により売却する場合について準用する。


この場合において、同号の規定により売却するときは、その見積価額は、その直前の公売における見積価額を下つてはならない。

3項

税務署長は、第一項第三号の規定により売却する差押財産等が動産であるときは、あらかじめ公告した価額により売却することができる。

4項

第九十六条公売の通知)、第九十九条の二暴力団員等に該当しないこと等の陳述)、第百六条の二調査の嘱託)及び第百七条第三項再公売)の規定は差押財産等を随意契約により売却する場合について、第百六条第二項 及び第三項入札 又は競り売りの終了の告知等)の規定は随意契約により買受人となるべき者を決定した場合について、それぞれ準用する。


この場合において、

第九十六条第一項
前条の公告をしたときは」とあるのは
「随意契約により売却をする日の七日前までに」と、

通知し」とあるのは
「通知書を発し」と、

第九十九条の二
)の入札等をしようとする者」とあるのは
「)を随意契約により買い受けようとする者」と、

入札等をすることができない」とあるのは
「買い受けることができない」と、

同条第一号
の入札等をしようとする者」とあるのは
「を随意契約により買い受けようとする者」と、

同条第二号
の入札等をさせようとする者」とあるのは
「を随意契約により買い受けさせようとする者」と、

第百六条の二第二項
の入札等をさせた者」とあるのは
「を随意契約により買い受けさせようとした者」と

読み替えるものとする。

1項

国は、前条第一項第三号の規定に該当する場合において、必要があるときは、同条第二項の規定による見積価額でその財産を買い入れることができる。

第四款 売却決定

1項

税務署長は、動産、有価証券 又は電話加入権を換価に付するときは、公売をする日(随意契約により売却する場合には、その売却する日。以下「公売期日等」という。)において、最高価申込者(随意契約により売却する場合における買受人となるべき者を含む。以下同じ。)に対して売却決定を行う。

1項

換価をした動産 又は有価証券に係る売却決定の取消は、これをもつて買受代金を納付した善意の買受人に対抗することができない

2項

前項の規定により買受人に対抗することができないことにより損害が生じた者がある場合には、その生じたことについてその者に故意 又は過失があるときを除き、国は、その通常生ずべき損失の額を賠償する責に任ずる。


この場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、その者に対する求償権の行使を妨げない。

1項

税務署長は、不動産等を換価に付するときは、公売期日等から起算して七日を経過した日(不動産を換価に付するときは、第百六条の二調査の嘱託)(第百九条第四項随意契約による売却)において準用する場合を含む。)の規定による調査に通常要する日数を勘案して財務省令で定める日。以下「売却決定期日」という。)において最高価申込者に対して売却決定を行う。

2項

次順位買受申込者を定めている場合において、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、税務署長は、当該各号に定める日において次順位買受申込者に対して売却決定を行う。

一 号

税務署長が第百八条第二項 又は第五項公売実施の適正化のための措置)の規定により最高価申込者に係る決定の取消しをした場合

当該最高価申込者に係る売却決定期日

二 号

最高価申込者が次条の規定により入札の取消しをした場合

当該入札に係る売却決定期日

三 号

最高価申込者である買受人が次条の規定により買受けの取消しをした場合

当該取消しをした日

四 号

税務署長が第百十五条第四項買受代金の納付の期限等)の規定により最高価申込者である買受人に係る売却決定の取消しをした場合

当該取消しをした日

1項

換価に付した財産(以下「換価財産」という。)について最高価申込者等の決定 又は売却決定をした場合において、国税通則法第百五条第一項ただし書(不服申立てがあつた場合の処分の制限)その他の法律の規定に基づき滞納処分の続行の停止があつたときは、その停止している間は、その最高価申込者等 又は買受人は、その入札等 又は買受けを取り消すことができる。

第五款 代金納付及び権利移転

1項

換価財産の買受代金の納付の期限は、売却決定の日(買受人が次順位買受申込者である場合にあつては、同日から起算して七日を経過した日)とする。

2項

税務署長は、必要があると認めるときは、前項の期限を延長することができる。


ただし、その期間は、三十日超えることができない

3項

買受人は、買受代金を第一項の期限までに現金で納付しなければならない。

4項

税務署長は、買受人が買受代金を第一項の期限までに納付しないときは、その売却決定を取り消すことができる。

1項
買受人は、買受代金を納付した時に換価財産を取得する。
2項

徴収職員が買受代金を受領したときは、その限度において、滞納者から換価に係る国税を徴収したものとみなす。

1項

税務署長は、換価財産に係る国税(特定参加差押不動産を換価する場合にあつては、特定参加差押えに係る国税 又は換価同意行政機関等の滞納処分による差押えに係る国税、地方税 若しくは公課)の完納の事実が買受人の買受代金の納付前に証明されたときは、その売却決定を取り消さなければならない。

1項

税務署長は、換価財産(有価証券を除く)の買受人がその買受代金を納付したときは、売却決定通知書を買受人に交付しなければならない。


ただし、動産については、その交付をしないことができる。

1項

税務署長は、換価した動産、有価証券 又は自動車、建設機械 若しくは小型船舶(徴収職員が占有したものに限る)の買受人が買受代金を納付したときは、その財産を買受人に引き渡さなければならない。

2項

税務署長は、前項の場合において、その財産を滞納者 又は第三者に保管させているときは、売却決定通知書を買受人に交付する方法によりその財産の引渡をすることができる。


この場合において、その引渡をした税務署長は、その旨を滞納者 又は第三者に通知しなければならない。

1項

税務署長は、換価した有価証券を買受人に引き渡す場合において、その証券に係る権利の移転につき滞納者に裏書、名義変更 又は流通回復の手続をさせる必要があるときは、期限を指定して、これらの手続をさせなければならない。

2項

税務署長は、前項の場合において、滞納者がその期限までに同項の手続をしないときは、滞納者に代つてその手続をすることができる。

1項

税務署長は、換価財産で権利の移転につき登記を要するものについては、不動産登記法平成十六年法律第百二十三号)その他の法令に別段の定めがある場合を除き、その買受代金を納付した買受人の請求により、その権利の移転の登記を関係機関に嘱託しなければならない。

1項

税務署長は、換価した債権 又は第七十三条第一項電話加入権等の差押手続)若しくは第七十三条の二第一項振替社債等の差押手続)に規定する財産の買受人がその買受代金を納付したときは、売却決定通知書を第三債務者等に交付しなければならない。

2項

前項の場合において、第六十五条債権証書の取上げ)(第七十三条第五項権利証書の取上げ)において準用する場合を含む。)の規定により取り上げた証書があるときは、これを買受人に引き渡さなければならない。

1項

第百二十条第二項有価証券の裏書等の代位)の規定による手続に関する費用 及び第百二十一条権利移転の登記の嘱託)の規定による嘱託に係る登記の登録免許税 その他の費用は、買受人の負担とする。

1項

換価財産上の質権、抵当権、先取特権、留置権、担保のための仮登記に係る権利 及び担保のための仮登記に基づく本登記(本登録を含む。)でその財産の差押え後にされたものに係る権利は、その買受人が買受代金を納付した時に消滅する。


第二十四条譲渡担保権者の物的納税責任)の規定により譲渡担保財産に対し滞納処分を執行した場合において、滞納者がした再売買の予約の仮登記があるときは、その仮登記により保全される請求権についても、同様とする。

2項

税務署長は、不動産、船舶、航空機、自動車 又は建設機械を換価する場合において、次の各号いずれにも該当するときは、その財産上の質権、抵当権 又は先取特権(登記がされているものに限る。以下この条において同じ。)に関する負担を買受人に引き受けさせることができる。


この場合において、その引受けがあつた質権、抵当権 又は先取特権については、前項の規定は、適用しない

一 号

差押えに係る国税(特定参加差押不動産を換価する場合にあつては、換価同意行政機関等の滞納処分による差押えに係る地方税 又は公課を含む。)がその質権、抵当権 又は先取特権により担保される債権に次いで徴収するものであるとき。

二 号

その質権、抵当権 又は先取特権により担保される債権の弁済期限がその財産の売却決定期日から六月以内に到来しないとき。

三 号
その質権、抵当権 又は先取特権を有する者から申出があつたとき。
1項

税務署長は、第百二十一条権利移転の登記の嘱託)の規定により権利の移転の登記を嘱託する場合において、換価に伴い消滅する権利に係る登記があるときは、あわせてそのまつ消を関係機関に嘱託しなければならない。

1項

民法第五百六十八条競売における担保責任等)の規定は、差押財産等の換価の場合について準用する。

1項

土地 及びその上にある建物 又は立木(以下この条において「建物等」という。)が滞納者の所有に属する場合において、その土地 又は建物等の差押があり、その換価によりこれらの所有者を異にするに至つたときは、その建物等につき、地上権が設定されたものとみなす。

2項

前項の規定は、地上権 及びその目的となる土地の上にある建物等が滞納者に属する場合について準用する。


この場合において、

同項
地上権が設定された」とあるのは、
「地上権の存続期間内において土地の賃貸借をした」と

読み替えるものとする。

3項

前二項の場合において、その権利の存続期間 及び地代は、当事者の請求により裁判所が定める。

第四節 換価代金等の配当

1項

税務署長は、次に掲げる金銭をこの節の定めるところにより配当しなければならない。

一 号

差押財産 又は特定参加差押不動産(次条第一項第三号 及び第百三十六条滞納処分費の範囲)において「差押財産等」という。)の売却代金

二 号

有価証券、債権 又は無体財産権等の差押えにより第三債務者等から給付を受けた金銭

三 号
差し押さえた金銭
四 号
交付要求により交付を受けた金銭
2項

第八十九条第三項換価する財産の範囲等)の規定により差押財産等(同条第一項に規定する差押財産等をいう。以下この項において同じ。)が一括して公売に付され、又は随意契約により売却された場合において、各差押財産等ごとに前項第一号に掲げる売却代金の額を定める必要があるときは、その額は、売却代金の総額を各差押財産等の見積価額に応じて按分して得た額とする。


各差押財産等ごとの滞納処分費の負担についても、同様とする。

1項

前条第一項第一号 又は第二号に掲げる金銭(以下「換価代金等」という。)は、次に掲げる国税 その他の債権に配当する。

一 号

差押えに係る国税(特定参加差押不動産の売却代金を配当する場合にあつては、特定参加差押えに係る国税

二 号

交付要求を受けた国税、地方税 及び公課(特定参加差押不動産の売却代金を配当する場合にあつては、差押えに係る国税、地方税 及び公課を含む。

三 号
差押財産等に係る質権、抵当権、先取特権、留置権 又は担保のための仮登記により担保される債権
四 号

第五十九条第一項後段、第三項 又は第四項引渡命令を受けた第三者等の権利の保護)(これらの規定を第七十一条第四項自動車、建設機械 又は小型船舶の差押え)において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける損害賠償請求権 又は借賃に係る債権

2項

前条第一項第三号 又は第四号に掲げる金銭は、それぞれ差押え 又は交付要求に係る国税に充てる。

3項

前二項の規定により配当した金銭に残余があるときは、その残余の金銭は、滞納者に交付する。

4項

換価財産上に担保のための仮登記がある場合における当該仮登記により担保される債権に対する配当については、仮登記担保契約に関する法律第十三条優先弁済請求権)(同法第二十条土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)の規定を準用する。

5項

換価代金等が第一項各号に掲げる国税 その他の債権の総額に不足するときは、税務署長は、第二章国税と 他の債権との調整)、第五十九条第一項後段、第三項 及び第四項これらの規定を第七十一条第四項において準用する場合を含む。)、前項 並びに民法 その他の法律の規定により配当すべき順位 及び金額を定めて配当しなければならない。

6項

第一項 又は第二項の規定により国税に配当された金銭を国税(附帯税を除く。以下この項において同じ。)及びその延滞税 又は利子税に充てるべきときは、その金銭は、まず その国税に充てなければならない。

1項

前条第一項第二号に掲げる国税、地方税 又は公課を徴収する者 及び同項第三号 又は第四号に掲げる債権を有する者は、売却決定の日の前日までに債権現在額申立書を税務署長に提出しなければならない。

2項

税務署長は、前項の債権現在額申立書を調査して前条第一項各号に掲げる国税 その他の債権を確認するものとする。


この場合において、次に掲げる債権を有する者が債権現在額申立書を提出しないときは、税務署長の調査によりその額を確認するものとする。

一 号
登記がされた質権、抵当権 若しくは先取特権により担保される債権 又は担保のための仮登記により担保される債権
二 号
登記することができない質権 若しくは先取特権 又は留置権により担保される債権で知れているもの
三 号

前条第一項第四号に掲げる債権で知れているもの

3項

前条第一項第三号に掲げる債権のうち前項第一号 及び第二号に掲げる債権以外の債権を有する者が売却決定の時までに債権現在額申立書を提出しないときは、その者は、配当を受けることができない

1項

税務署長は、第百二十九条配当の原則)の規定により配当しようとするときは、政令で定めるところにより、配当を受ける債権、前条第二項の規定により税務署長が確認した金額 その他必要な事項を記載した配当計算書を作成し、換価財産の買受代金の納付の日から三日以内に、次に掲げる者に対する交付のため、その謄本を発送しなければならない。

一 号
債権現在額申立書を提出した者
二 号

前条第二項後段の規定により金額を確認した債権を有する者

三 号
滞納者
1項

税務署長は、前条の規定により配当計算書の謄本を交付するときは、その謄本に換価代金等の交付期日を附記して告知しなければならない。

2項

前項の換価代金等の交付期日は、配当計算書の謄本を交付のため発送した日から起算して七日を経過した日としなければならない。


ただし第百二十九条第一項第三号 又は第四号配当を受ける債権)に掲げる債権を有する者で前条第一号 又は第二号に掲げる者に該当するものがない場合には、その期間は、短縮することができる。

1項
税務署長は、換価代金等の交付期日に配当計算書に従つて換価代金等を交付するものとする。
2項

換価代金等の交付期日までに配当計算書に関する異議の申出があつた場合における前項の換価代金等の交付は、次に定めるところによる。

一 号

その異議が配当計算書に記載された国税、地方税 又は公課の配当金額に対するものであるときは、その行政機関等からの通知に従い、配当計算書を更正し、又は直ちに交付するものとする。

二 号
その異議が配当計算書に記載された国税、地方税 又は公課の配当金額を変更させないものである場合において、その異議に関係を有する者 及び滞納者がその異議を正当と認めたとき、又はその他の方法で合意したときは、配当計算書を更正して交付するものとする。
三 号
その異議が配当計算書に記載された国税、地方税 又は公課の配当金額を変更させるその他の債権の配当金額に関するものである場合において、その異議に関係を有する者 及び滞納者がその異議を正当と認めたとき、又はその他の方法で合意したときは、配当計算書を更正して交付するものとし、その合意がなかつたときは、その異議を参酌して配当計算書を更正して交付し、又は異議につき相当の理由がないと認めるときは、直ちに国税、地方税 又は公課の金額を交付するものとする。
3項

前項の規定により換価代金等を交付することができない場合、換価代金等を配当すべき債権が停止条件付である場合 又は換価代金等を配当すべき債権が仮登記(民事保全法平成元年法律第九十一号第五十三条第二項不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)(同法第五十四条(==不動産に関する権利以外の権利についての登記 又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)において準用する場合を含む。)の規定による仮処分による仮登記を含む。==)がされた質権、抵当権 若しくは先取特権により担保される債権である場合における換価代金等の交付については、政令で定めるところによる。

1項

換価代金等を配当すべき債権の弁済期が到来していないときは、その債権者に交付すべき金額は、供託しなければならない。

2項

税務署長は、前項の規定により供託したときは、その旨を同項の債権者に通知しなければならない。

1項

税務署長は、売却決定を取り消したときは、次に掲げる手続をしなければならない。


ただし第百十二条第一項動産等の売却決定の取消)の規定により、その取消をもつて買受人に対抗することができないときは、この限りでない。

一 号
徴収職員が受領した換価代金等の買受人への返還
二 号

第百二十一条権利移転の登記の嘱託)その他の法令の規定により嘱託した換価に係る権利の移転の登記のまつ消の嘱託

三 号

第百二十五条換価に伴い消滅する権利の登記のまつ消の嘱託)その他の法令の規定による嘱託で換価に係るものによりまつ消された質権、抵当権 その他の権利の登記の回復の登記の嘱託

2項

前項第三号の規定により嘱託した回復の登記に係る質権者、抵当権者 又は先取特権者に対し換価代金等から配当した金額がある場合において、これらの者がその金額を返還しないときは、税務署長は、その金額を限度として、これらの者に代位することができる。


この場合において、配当した金額がその質権、抵当権 又は先取特権により担保される債権の一部であるときは、税務署長は、その代位した債権者の承諾を要しないで、その代位に係る権利を行使し、かつ、その債権者に優先して弁済を受けることができる。

第五節 滞納処分費

1項

滞納処分費は、国税の滞納処分による財産の差押え、交付要求、差押財産等の保管、運搬、換価 及び第九十三条修理等の処分)の規定による処分、差し押さえた有価証券、債権 及び無体財産権等の取立て並びに配当に関する費用(通知書 その他の書類の送達に要する費用を除く)とする。

1項
滞納処分費については、その徴収の基因となつた国税に先だつて配当し、又は充当する。
1項

国税が完納された場合において、滞納処分費につき滞納者の財産を差し押えようとするときは、税務署長は、政令で定めるところにより、滞納者に対し、納入の告知をしなければならない。

第六節 雑則

第一款 滞納処分の効力

1項
滞納者の財産について滞納処分を執行した後、滞納者が死亡し、又は滞納者である法人が合併により消滅したときは、その財産につき滞納処分を続行することができる。
2項

滞納者の死亡後 その国税につき滞納者の名義の財産に対してした差押えは、当該国税につきその財産を有する相続人に対してされたものとみなす。


ただし、徴収職員がその死亡を知つていたときは、この限りでない。

3項

信託の受託者の任務が終了した場合において、新たな受託者が就任するに至るまでの間に信託財産に属する財産について滞納処分を執行した後、新たな受託者が就任したときは、その財産につき滞納処分を続行することができる。

4項
信託の受託者である法人の信託財産に属する財産について滞納処分を執行した後、当該受託者である法人としての権利義務を承継する分割が行われたときは、その財産につき滞納処分を続行することができる。
1項
滞納処分は、仮差押 又は仮処分によりその執行を妨げられない。

第二款 財産の調査

1項

徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、次に掲げる者に質問し、その者の財産に関する帳簿書類(その作成 又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成 又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。第百四十六条の二(事業者等への協力要請)及び第百八十八条第三号(罰則)において同じ。)その他の物件を検査し、又は当該物件(その写しを含む。)の提示 若しくは提出を求めることができる。

一 号
滞納者
二 号

滞納者の財産を占有する第三者 及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者

三 号

滞納者に対し債権 若しくは債務があつた、若しくはあると認めるに足りる相当の理由がある者 又は滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者

四 号
滞納者が株主 又は出資者である法人
1項

徴収職員は、滞納処分に関する調査について必要があるときは、当該調査において提出された物件を留め置くことができる。

1項
徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物 又は住居 その他の場所につき捜索することができる。
2項

徴収職員は、滞納処分のため必要がある場合には、次の各号の一に該当するときに限り、第三者の物 又は住居 その他の場所につき捜索することができる。

一 号
滞納者の財産を所持する第三者がその引渡をしないとき。
二 号
滞納者の親族 その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある場合において、その引渡をしないとき。
3項

徴収職員は、前二項の捜索に際し必要があるときは、滞納者 若しくは第三者に戸 若しくは金庫 その他の容器の類を開かせ、又は自らこれらを開くため必要な処分をすることができる。

1項

捜索は、日没後から日出前まではすることができない。


ただし、日没前に着手した捜索は、日没後まで継続することができる。

2項

旅館、飲食店 その他夜間でも公衆が出入することができる場所については、滞納処分の執行のためやむを得ない必要があると認めるに足りる相当の理由があるときは、前項本文の規定にかかわらず、日没後でも、公開した時間内は、捜索することができる。

1項

徴収職員は、捜索をするときは、その捜索を受ける滞納者 若しくは第三者 又はその同居の親族 若しくは使用人 その他の従業者で相当のわきまえのあるものを立ち会わせなければならない。


この場合において、これらの者が不在であるとき、又は立会いに応じないときは、成年に達した者二人以上 又は地方公共団体の職員 若しくは警察官を立ち会わせなければならない。

1項

徴収職員は、捜索、差押 又は差押財産の搬出をする場合において、これらの処分の執行のため支障があると認められるときは、これらの処分をする間は、次に掲げる者を除き、その場所に出入することを禁止することができる。

一 号
滞納者
二 号

差押に係る財産を保管する第三者 及び第百四十二条第二項第三者に対する捜索)の規定により捜索を受けた第三者

三 号

前二号に掲げる者の同居の親族

四 号
滞納者の国税に関する申告、申請 その他の事項につき滞納者を代理する権限を有する者
1項

徴収職員は、捜索したときは、捜索調書を作成しなければならない。

2項

徴収職員は、捜索調書を作成した場合には、その謄本を捜索を受けた滞納者 又は第三者 及びこれらの者以外の立会人があるときはその立会人に交付しなければならない。

3項

前二項の規定は、第五十四条差押調書)の規定により差押調書を作成する場合には、適用しない


この場合においては、差押調書の謄本を前項の第三者 及び立会人に交付しなければならない。

1項

徴収職員は、滞納処分に関する調査について必要があるときは、事業者(特別の法律により設立された法人を含む。)又は官公署に、当該調査に関し参考となるべき帳簿書類 その他の物件の閲覧 又は提供 その他の協力を求めることができる。

1項

徴収職員は、この款の規定により質問、検査、提示 若しくは提出の要求 若しくは捜索をする場合 又は前条の職務を執行する場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

2項

この款の規定による質問、検査、提示 若しくは提出の要求、物件の留置き 又は捜索の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。