この法律は、漁業が国民に対して水産物を供給する使命を有し、かつ、漁業者の秩序ある生産活動がその使命の実現に不可欠であることに鑑み、水産資源の保存 及び管理のための措置 並びに漁業の許可 及び免許に関する制度 その他の漁業生産に関する基本的制度を定めることにより、水産資源の持続的な利用を確保するとともに、水面の総合的な利用を図り、もつて漁業生産力を発展させることを目的とする。
漁業法
第一章 総則
この法律において「漁業」とは、水産動植物の採捕 又は養殖の事業をいう。
この法律において「漁業者」とは、漁業を営む者をいい、「漁業従事者」とは、漁業者のために水産動植物の採捕 又は養殖に従事する者をいう。
この法律において「水産資源」とは、一定の水面に生息する水産動植物のうち有用なものをいう。
公共の用に供しない水面には、別段の規定がある場合を除き、この法律の規定を適用しない。
公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面と連接して一体を成すものには、この法律を適用する。
この法律 又はこの法律に基づく命令に規定する事項について共同して申請しようとするときは、そのうち一人を選定して代表者とし、これを行政庁に届け出なければならない。
代表者を変更したときも、同様とする。
前項の届出がないときは、行政庁は、代表者を指定する。
代表者は、行政庁に対し、共同者を代表する。
前三項の規定は、共同して第六十条第一項に規定する漁業権 又はこれを目的とする抵当権 若しくは同条第七項に規定する入漁権を取得した場合に準用する。
国 及び都道府県は、漁業生産力を発展させるため、水産資源の保存 及び管理を適切に行うとともに、漁場の使用に関する紛争の防止 及び解決を図るために必要な措置を講ずる責務を有する。
第二章 水産資源の保存及び管理
第一節 総則
この章において「漁獲可能量」とは、水産資源の保存 及び管理(以下「資源管理」という。)のため、水産資源ごとに一年間に採捕することができる数量の最高限度として定められる数量をいう。
この章において「管理区分」とは、水産資源ごとに漁獲量の管理を行うため、特定の水域 及び漁業の種類 その他の事項によつて構成される区分であつて、農林水産大臣 又は都道府県知事が定めるものをいう。
この章において「漁獲努力量」とは、水産資源を採捕するために行われる漁ろうの作業の量であつて、操業日数 その他の農林水産省令で定める指標によつて示されるものをいう。
この章において「漁獲努力可能量」とは、管理区分において当該管理区分に係る漁獲可能量の数量の水産資源を採捕するために通常必要と認められる漁獲努力量をいう。
資源管理は、この章の規定により、漁獲可能量による管理を行うことを基本としつつ、稚魚の生育 その他の水産資源の再生産が阻害されることを防止するために必要な場合には、次章から第五章までの規定により、漁業時期 又は漁具の制限 その他の漁獲可能量による管理以外の手法による管理を合わせて行うものとする。
漁獲可能量による管理は、管理区分ごとに漁獲可能量を配分し、それぞれの管理区分において、その漁獲可能量を超えないように、漁獲量を管理することにより行うものとする。
漁獲量の管理は、それぞれの管理区分において、水産資源を採捕しようとする者に対し、船舶等(船舶 その他の漁業の生産活動を行う基本的な単位となる設備をいう。以下同じ。)ごとに当該管理区分に係る漁獲可能量の範囲内で水産資源の採捕をすることができる数量を割り当てること(以下この章 及び第四十三条において「漁獲割当て」という。)により行うことを基本とする。
漁獲割当てを行う準備の整つていない管理区分における漁獲量の管理は、当該管理区分において水産資源を採捕する者による漁獲量の総量を管理することにより行うものとする。
前項の場合において、水産資源の特性 及びその採捕の実態を勘案して漁獲量の総量の管理を行うことが適当でないと認められるときは、当該管理に代えて、当該管理区分において当該管理区分に係る漁獲努力可能量を超えないように、当該管理区分において水産資源を採捕するために漁ろうを行う者による漁獲努力量の総量の管理を行うものとする。
第二節 資源管理基本方針等
農林水産大臣は、海洋環境に関する情報、水産資源の生息 又は生育の状況に関する情報、採捕 及び漁ろうの実績に関する情報 その他の資源評価(水産資源の資源量の水準 及びその動向に関する評価をいう。以下この章において同じ。)を行うために必要となる情報を収集するための調査(以下この条 及び次条第三項において「資源調査」という。)を行うものとする。
農林水産大臣は、資源調査を行うに当たつては、人工衛星に搭載される観測用機器、船舶に搭載される魚群探知機 その他の機器を用いて、情報を効率的に収集するよう努めるものとする。
農林水産大臣は、資源調査の結果に基づき、最新の科学的知見を踏まえて資源評価を実施するものとする。
農林水産大臣は、資源評価を行うに当たつては、全ての種類の水産資源について評価を行うよう努めるものとする。
農林水産大臣は、国立研究開発法人水産研究・教育機構に、資源調査 又は資源評価に関する業務を行わせることができる。
都道府県知事は、農林水産大臣に対し、資源評価が行われていない水産資源について資源評価を行うよう要請をすることができる。
都道府県知事は、前項の規定により要請をするときは、当該要請に係る資源評価に必要な情報を農林水産大臣に提供しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定による場合のほか、農林水産大臣の求めに応じて、資源調査に協力するものとする。
農林水産大臣は、資源評価を踏まえて、資源管理に関する基本方針(以下この章 及び第百二十五条第一項第一号において「資源管理基本方針」という。)を定めるものとする。
資源管理基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
特定水産資源(漁獲可能量による管理を行う水産資源をいう。以下同じ。) 及びその管理年度(特定水産資源の保存 及び管理を行う年度をいう。以下この章において同じ。)
特定水産資源ごとの大臣管理区分(農林水産大臣が設定する管理区分をいう。以下この章において同じ。)
特定水産資源ごとの漁獲可能量の都道府県 及び大臣管理区分への配分の基準
大臣管理区分ごとの漁獲量(第十七条第一項に規定する漁獲割当管理区分以外の管理区分にあつては、漁獲量 又は漁獲努力量。第十四条第二項第四号において同じ。)の管理の手法
漁獲可能量による管理以外の手法による資源管理に関する事項
その他資源管理に関する重要事項
農林水産大臣は、資源管理基本方針を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
農林水産大臣は、資源管理基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
農林水産大臣は、直近の資源評価、最新の科学的知見、漁業の動向 その他の事情を勘案して、資源管理基本方針について検討を行い、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
第三項 及び第四項の規定は、前項の規定による資源管理基本方針の変更について準用する。
前条第二項第二号の資源管理の目標は、資源評価が行われた水産資源について、水産資源ごとに次に掲げる資源量の水準(以下この条 及び第十五条第二項において「資源水準」という。)の値を定めるものとする。
最大持続生産量(現在 及び合理的に予測される将来の自然的条件の下で持続的に採捕することが可能な水産資源の数量の最大値をいう。次号において同じ。)を実現するために維持し、又は回復させるべき目標となる値(同号 及び第十五条第二項において「目標管理基準値」という。)
資源水準の低下によつて最大持続生産量の実現が著しく困難になることを未然に防止するため、その値を下回つた場合には資源水準の値を目標管理基準値にまで回復させるための計画を定めることとする値(第十五条第二項第二号において「限界管理基準値」という。)
水産資源を構成する水産動植物の特性 又は資源評価の精度に照らし前項各号に掲げる値を定めることができないときは、当該水産資源の漁獲量 又は漁獲努力量の動向 その他の情報を踏まえて資源水準を推定した上で、その維持し、又は回復させるべき目標となる値を定めるものとする。
前条第二項第三号の管理年度は、特定水産資源の特性 及びその採捕の実態を勘案して定めるものとする。
前条第二項第五号の配分の基準は、水域の特性、漁獲の実績 その他の事項を勘案して定めるものとする。
農林水産大臣は、資源管理基本方針を定めるに当たつては、水産資源の持続的な利用に関する国際機関 その他の国際的な枠組み(我が国が締結した条約 その他の国際約束により設けられたものに限る。以下この条 及び第五十二条第二項において「国際的な枠組み」という。)において行われた資源評価を考慮しなければならない。
農林水産大臣は、資源管理基本方針を定めようとするときは、国際的な枠組みにおいて決定されている資源管理の目標 その他の資源管理に関する事項を考慮しなければならない。
農林水産大臣は、国際的な枠組みにおいて資源管理の目標 その他の資源管理に関する事項が新たに決定され、又は変更されたときは、資源管理基本方針に検討を加え、必要があると認めるときは、第十一条第五項の規定により資源管理基本方針を変更しなければならない。
都道府県知事は、資源管理基本方針に即して、当該都道府県において資源管理を行うための方針(以下この章 及び第百二十五条第一項第一号において「都道府県資源管理方針」という。)を定めるものとする。
ただし、特定水産資源の採捕が行われていない都道府県の知事については、この限りでない。
都道府県資源管理方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
特定水産資源ごとの知事管理区分(都道府県知事が設定する管理区分をいう。以下この章において同じ。)
特定水産資源ごとの漁獲可能量(当該都道府県に配分される部分に限る。)の知事管理区分への配分の基準
知事管理区分ごとの漁獲量の管理の手法
漁獲可能量による管理以外の手法による資源管理に関する事項
その他資源管理に関する重要事項
前項第三号の配分の基準は、水域の特性、漁獲の実績 その他の事項を勘案して定めるものとする。
都道府県知事は、都道府県資源管理方針を定めようとするときは、関係海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、都道府県資源管理方針を定めようとするときは、農林水産大臣の承認を受けなければならない。
都道府県知事は、都道府県資源管理方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
農林水産大臣は、資源管理基本方針の変更により都道府県資源管理方針が資源管理基本方針に適合しなくなつたと認めるときは、当該都道府県資源管理方針を定めた都道府県知事に対し、当該都道府県資源管理方針を変更すべき旨を通知しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定により通知を受けたときは、都道府県資源管理方針を変更しなければならない。
都道府県知事は、前項の場合を除くほか、直近の資源評価、最新の科学的知見、漁業の動向 その他の事情を勘案して、都道府県資源管理方針について検討を行い、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
第四項から第六項までの規定は、前二項の規定による都道府県資源管理方針の変更について準用する。
第三節 漁獲可能量による管理
⤏ 第一款 漁獲可能量等の設定
農林水産大臣は、資源管理基本方針に即して、特定水産資源ごと 及びその管理年度ごとに、次に掲げる数量を定めるものとする。
漁獲可能量のうち各都道府県に配分する数量(以下この章において「都道府県別漁獲可能量」という。)
漁獲可能量のうち大臣管理区分に配分する数量(以下この節 及び第百二十五条第一項第四号において「大臣管理漁獲可能量」という。)
農林水産大臣は、次に掲げる基準に従い漁獲可能量を定めるものとする。
資源水準の値が目標管理基準値を下回つている場合(次号に規定する場合を除く。)は、資源水準の値が目標管理基準値を上回るまで回復させること。
資源水準の値が限界管理基準値を下回つている場合は、農林水産大臣が定める第十二条第一項第二号の計画に従つて、資源水準の値が目標管理基準値を上回るまで回復させること。
資源水準の値が目標管理基準値を上回つている場合は、資源水準の値が目標管理基準値を上回る状態を維持すること。
第十二条第二項の目標となる値を定めたときは、同項の規定により推定した資源水準の値が当該目標となる値を上回るまで回復させ、又は当該目標となる値を上回る状態を維持すること。
農林水産大臣は、第一項各号に掲げる数量を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
農林水産大臣は、都道府県別漁獲可能量を定めようとするときは、関係する都道府県知事の意見を聴くものとし、その数量を定めたときは、遅滞なく、これを当該都道府県知事に通知するものとする。
農林水産大臣は、第一項各号に掲げる数量を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
前三項の規定は、第一項各号に掲げる数量の変更について準用する。
都道府県知事は、都道府県資源管理方針に即して、都道府県別漁獲可能量について、知事管理区分に配分する数量(以下この節 及び第百二十五条第一項第四号において「知事管理漁獲可能量」という。)を定めるものとする。
都道府県知事は、知事管理漁獲可能量を定めようとするときは、関係海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、知事管理漁獲可能量を定めようとするときは、農林水産大臣の承認を受けなければならない。
都道府県知事は、知事管理漁獲可能量を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
前三項の規定は、知事管理漁獲可能量の変更について準用する。
この場合において、
第三項中
「定めようとするとき」とあるのは、
「変更しようとするとき(農林水産省令で定める軽微な変更を除く。)」と
読み替えるものとする。
都道府県知事は、前項において読み替えて準用する第三項の農林水産省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を農林水産大臣に報告しなければならない。
⤏ 第二款 漁獲割当てによる漁獲量の管理
漁獲割当てによる漁獲量の管理を行う管理区分(以下この節 並びに第百二十四条第一項 及び第百三十二条第二項第一号において「漁獲割当管理区分」という。)において当該漁獲割当ての対象となる特定水産資源を採捕しようとする者は、当該管理区分が大臣管理区分である場合には農林水産大臣、知事管理区分である場合には当該知事管理区分に係る都道府県知事に申請して、当該特定水産資源の採捕に使用しようとする船舶等ごとに漁獲割当ての割合(以下この款において「漁獲割当割合」という。)の設定を求めることができる。
前項の漁獲割当割合の有効期間は、一年を下らない農林水産省令で定める期間とする。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁獲割当割合の設定をしようとするときは、あらかじめ、漁獲割当管理区分ごとに、船舶等ごとの漁獲実績 その他農林水産省令で定める事項を勘案して設定の基準を定め、これに従つて設定を行わなければならない。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁獲割当ての対象となる特定水産資源の再生産の阻害を防止するために漁業時期 若しくは漁具の制限 その他の漁獲可能量による管理以外の手法による資源管理を行う必要があると認めるとき、又は漁獲割当割合の設定を受けた者の間の紛争を防止する必要があると認めるときは、漁獲割当割合の設定を、当該漁獲割当ての対象となる特定水産資源の採捕に係る漁業に係る許可等(第三十六条第一項 若しくは第五十七条第一項の許可 又は第三十八条(第五十八条において準用する場合を含む。)の認可をいう。)を受け、又は当該採捕に係る個別漁業権(第六十二条第二項第一号ホに規定する個別漁業権をいう。)を有する者(第二十三条第二項第一号において「有資格者」という。)に限ることができる。
前条第一項の規定により申請した者が次の各号に掲げる者のいずれかに該当するときは、農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁獲割当割合の設定を行つてはならない。
漁業 又は労働に関する法令を遵守せず、かつ、引き続き遵守することが見込まれない者
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員 又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)
法人であつて、その役員 又は政令で定める使用人のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
暴力団員等がその事業活動を支配する者
その申請に係る漁業を営むに足りる経理的基礎を有しない者
農林水産大臣 又は都道府県知事は、前項の規定により漁獲割当割合の設定を行わないときは、あらかじめ、当該申請者にその理由を文書をもつて通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。
前項の意見の聴取に際しては、当該申請者 又はその代理人は、当該事案について弁明し、かつ、証拠を提出することができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、農林水産省令で定めるところにより、管理年度ごとに、漁獲割当割合設定者(第十七条第一項の規定により漁獲割当割合の設定を受けた者をいう。以下この款において同じ。)に対し、年次漁獲割当量(漁獲割当管理区分において管理年度中に特定水産資源を採捕することができる数量をいう。以下この款 及び第百三十二条第二項第一号において同じ。)を設定する。
年次漁獲割当量は、当該管理年度に係る大臣管理漁獲可能量 又は知事管理漁獲可能量に漁獲割当割合設定者が設定を受けた漁獲割当割合を乗じて得た数量とする。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、第一項の規定により年次漁獲割当量を設定したときは、当該年次漁獲割当量の設定を受けた者(以下この款 及び第百三十二条第二項第一号において「年次漁獲割当量設定者」という。)に対し当該年次漁獲割当量を通知するものとする。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、政令で定めるところにより、年次漁獲割当量設定者の同意を得て、電磁的方法(第百六条第五項に規定する電磁的方法をいう。)により通知を発することができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁獲割当管理原簿を作成し、漁獲割当割合 及び年次漁獲割当量の設定、移転 及び取消しの管理を行うものとする。
漁獲割当管理原簿については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。
漁獲割当管理原簿に記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第五章第四節の規定は、適用しない。
漁獲割当管理原簿は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして農林水産省令で定めるものをいう。)で作成することができる。
漁獲割当割合は、船舶等とともに当該船舶等ごとに設定された漁獲割当割合を譲り渡す場合 その他農林水産省令で定める場合に該当する場合であつて農林水産大臣 又は都道府県知事の認可を受けたときに限り、移転をすることができる。
この場合において、当該移転を受けた者は漁獲割当割合設定者と、当該移転をされた漁獲割当割合は第十七条第一項の規定により設定を受けた漁獲割当割合と、それぞれみなして、この款の規定を適用する。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁獲割当割合の移転を受けようとする者が第十八条第一項各号に掲げる者のいずれかに該当する場合 その他農林水産省令で定める場合は、前項の認可をしてはならない。
漁獲割当割合設定者が死亡し、解散し、又は分割(漁獲割当割合の設定を受けた船舶等を承継させるものに限る。)をしたときは、その相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により漁獲割当割合の設定を受けた船舶等を承継すべき者を定めたときは、その者)、合併後存続する法人 若しくは合併によつて成立した法人 又は分割によつて漁獲割当割合の設定を受けた船舶等を承継した法人は、当該漁獲割当割合設定者の地位(相続 又は分割により漁獲割当割合の設定を受けた船舶等の一部を承継した者にあつては、当該一部の船舶等に係る部分に限る。)を承継する。
前項の規定により漁獲割当割合設定者の地位を承継した者は、承継の日から二月以内にその旨を農林水産大臣 又は都道府県知事に届け出なければならない。
年次漁獲割当量は、他の漁獲割当割合設定者に譲り渡す場合 その他農林水産省令で定める場合に該当する場合であつて農林水産大臣 又は都道府県知事の認可を受けたときに限り、移転をすることができる。
この場合において、当該移転を受けた者は年次漁獲割当量設定者と、当該移転をされた年次漁獲割当量は第十九条第一項の規定により設定を受けた年次漁獲割当量と、それぞれみなして、この款 及び第百三十二条第二項第一号の規定を適用する。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する場合は、前項の認可をしてはならない。
年次漁獲割当量の移転を受けようとする者が第十八条第一項各号に掲げる者のいずれかに該当する場合
移転をしようとする年次漁獲割当量が、当該移転をしようとする年次漁獲割当量設定者が設定を受けた年次漁獲割当量から当該年次漁獲割当量設定者が当該管理年度において採捕した特定水産資源の数量を減じた数量よりも大きいと認められる場合
前二号に掲げる場合のほか、農林水産省令で定める場合
年次漁獲割当量設定者が死亡し、解散し、又は分割(年次漁獲割当量を承継させるものに限る。)をしたときは、その相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により年次漁獲割当量を承継すべき者を定めたときは、その者)、合併後存続する法人 若しくは合併によつて成立した法人 又は分割によつて年次漁獲割当量を承継した法人は、当該年次漁獲割当量設定者の地位(相続 又は分割により年次漁獲割当量の一部を承継した者にあつては、当該一部の年次漁獲割当量に係る部分に限る。)を承継する。
前項の規定により年次漁獲割当量設定者の地位を承継した者は、承継の日から二月以内にその旨を農林水産大臣 又は都道府県知事に届け出なければならない。
農林水産大臣 及び都道府県知事は、漁獲割当割合設定者 又は年次漁獲割当量設定者が第十八条第一項各号(第五号を除く。)に掲げる者のいずれかに該当することとなつた場合には、これらの者が設定を受けた漁獲割当割合 及び年次漁獲割当量を取り消さなければならない。
農林水産大臣 及び都道府県知事は、漁獲割当割合設定者 又は年次漁獲割当量設定者が次の各号のいずれかに該当することとなつた場合には、これらの者が設定を受けた漁獲割当割合 及び年次漁獲割当量を取り消すことができる。
第十七条第四項の規定により漁獲割当割合の設定を有資格者に限る場合において、有資格者でなくなつた場合
第十八条第一項第五号に掲げる者に該当することとなつた場合
前二項の規定による処分に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
第十七条から前条までに定めるもののほか、漁獲割当管理原簿への記録 その他漁獲割当てに関し必要な事項は、政令で定める。
漁獲割当管理区分においては、当該漁獲割当管理区分に係る年次漁獲割当量設定者でなければ、当該漁獲割当ての対象となる特定水産資源の採捕を目的として当該特定水産資源の採捕をしてはならない。
年次漁獲割当量設定者は、漁獲割当管理区分においては、その設定を受けた年次漁獲割当量を超えて当該漁獲割当ての対象となる特定水産資源の採捕をしてはならない。
年次漁獲割当量設定者は、漁獲割当管理区分において、特定水産資源の採捕をしたときは、農林水産省令で定める期間内に、農林水産省令 又は規則で定めるところにより、漁獲量 その他漁獲の状況に関し農林水産省令で定める事項を、当該漁獲割当管理区分が大臣管理区分である場合には農林水産大臣、知事管理区分である場合には当該知事管理区分に係る都道府県知事に報告しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定により報告を受けたときは、農林水産省令で定めるところにより、速やかに、当該事項を農林水産大臣に報告するものとする。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、年次漁獲割当量設定者が第二十五条第二項の規定に違反してその設定を受けた年次漁獲割当量を超えて特定水産資源の採捕をし、かつ、当該採捕を引き続きするおそれがあるときは、当該採捕をした者が使用する船舶について停泊港 及び停泊期間を指定して停泊を命じ、又は当該採捕に使用した漁具 その他特定水産資源の採捕の用に供される物について期間を指定してその使用の禁止 若しくは陸揚げを命ずることができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁獲割当割合設定者である年次漁獲割当量設定者が第二十五条第二項の規定に違反してその設定を受けた年次漁獲割当量を超えて特定水産資源を採捕したときは、その超えた部分の数量を基準として農林水産省令で定めるところにより算出する数量を、次の管理年度以降において当該漁獲割当割合設定者に設定する年次漁獲割当量から控除することができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁獲割当割合設定者である年次漁獲割当量設定者が第二十五条第二項の規定に違反してその設定を受けた年次漁獲割当量を超えて特定水産資源を採捕し、又は第二十七条の規定による命令に違反したときは、農林水産省令で定めるところにより、その設定を受けた漁獲割当割合を減ずる処分をすることができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、前項の処分をしようとするときは、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
第一項の処分に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
⤏ 第三款 漁獲量等の総量の管理
漁獲割当管理区分以外の管理区分において特定水産資源の採捕(漁獲努力量の総量の管理を行う管理区分(以下この項 及び次条において「漁獲努力量管理区分」という。)にあつては、当該漁獲努力量に係る漁ろう。以下この款において同じ。)をする者は、特定水産資源の採捕をしたときは、農林水産省令で定める期間内に、農林水産省令 又は規則で定めるところにより、当該特定水産資源の漁獲量(漁獲努力量管理区分にあつては、当該特定水産資源に係る漁獲努力量。以下この款において同じ。)その他漁獲の状況に関し農林水産省令で定める事項を、当該管理区分が大臣管理区分(漁獲割当管理区分以外のものに限る。以下この款において同じ。)である場合には農林水産大臣、知事管理区分(漁獲割当管理区分以外のものに限る。以下この款において同じ。)である場合には当該知事管理区分に係る都道府県知事に報告しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定により報告を受けたときは、農林水産省令で定めるところにより、速やかに、当該事項を農林水産大臣に報告するものとする。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、大臣管理区分 又は知事管理区分における特定水産資源の漁獲量の総量が当該管理区分に係る大臣管理漁獲可能量 又は知事管理漁獲可能量(漁獲努力量管理区分にあつては、当該管理区分に係る漁獲努力可能量。次条 及び第三十三条において同じ。)を超えるおそれがあると認めるとき その他農林水産省令で定めるときは、当該漁獲量の総量 その他農林水産省令で定める事項を公表するものとする。
農林水産大臣は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、それぞれ当該各号に定める者に対し、必要な助言、指導 又は勧告をすることができる。
大臣管理区分における特定水産資源の漁獲量の総量が当該大臣管理区分に係る大臣管理漁獲可能量を超えるおそれが大きい場合
当該大臣管理区分において当該特定水産資源の採捕をする者
一の特定水産資源に係る全ての大臣管理区分における当該特定水産資源の漁獲量の総量が当該全ての大臣管理区分に係る大臣管理漁獲可能量の合計を超えるおそれが大きい場合
当該全ての大臣管理区分のいずれかにおいて当該特定水産資源の採捕をする者
特定水産資源の漁獲量の総量が当該特定水産資源の漁獲可能量を超えるおそれが大きい場合
当該特定水産資源の採捕をする者
都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、それぞれ当該各号に定める者に対し、必要な助言、指導 又は勧告をすることができる。
知事管理区分における特定水産資源の漁獲量の総量が当該知事管理区分に係る知事管理漁獲可能量を超えるおそれが大きい場合
当該知事管理区分において当該特定水産資源の採捕をする者
一の特定水産資源に係る全ての知事管理区分における当該特定水産資源の漁獲量の総量が当該都道府県の都道府県別漁獲可能量を超えるおそれが大きい場合
当該全ての知事管理区分のいずれかにおいて当該特定水産資源の採捕をする者
農林水産大臣は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、それぞれ当該各号に定める者に対し、農林水産省令で定めるところにより、期間を定め、採捕の停止 その他特定水産資源の採捕に関し必要な命令をすることができる。
大臣管理区分における特定水産資源の漁獲量の総量が当該大臣管理区分に係る大臣管理漁獲可能量を超えており、又は超えるおそれが著しく大きい場合
当該大臣管理区分において当該特定水産資源の採捕をする者
一の特定水産資源に係る全ての大臣管理区分における当該特定水産資源の漁獲量の総量が当該全ての大臣管理区分に係る大臣管理漁獲可能量の合計を超えており、又は超えるおそれが著しく大きい場合
当該全ての大臣管理区分のいずれかにおいて当該特定水産資源の採捕をする者
特定水産資源の漁獲量の総量が当該特定水産資源の漁獲可能量を超えており、又は超えるおそれが著しく大きい場合
当該特定水産資源の採捕をする者
都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、それぞれ当該各号に定める者に対し、規則で定めるところにより、期間を定め、採捕の停止 その他特定水産資源の採捕に関し必要な命令をすることができる。
知事管理区分における特定水産資源の漁獲量の総量が当該知事管理区分に係る知事管理漁獲可能量を超えており、又は超えるおそれが著しく大きい場合
当該知事管理区分において当該特定水産資源の採捕をする者
一の特定水産資源に係る全ての知事管理区分における当該特定水産資源の漁獲量の総量が当該都道府県の都道府県別漁獲可能量を超えており、又は超えるおそれが著しく大きい場合
当該全ての知事管理区分のいずれかにおいて当該特定水産資源の採捕をする者
農林水産大臣 又は都道府県知事は、前条の命令を受けた者が当該命令に違反する行為をし、かつ、当該行為を引き続きするおそれがあるときは、当該行為をした者が使用する船舶について停泊港 及び停泊期間を指定して停泊を命じ、又は当該行為に使用した漁具 その他特定水産資源の採捕の用に供される物について期間を指定してその使用の禁止 若しくは陸揚げを命ずることができる。
第四節 補則
都道府県知事は、都道府県別漁獲可能量の管理を行うに当たり特に必要があると認めるときは、農林水産大臣に対し、第百二十一条第三項の規定により同条第一項の指示について必要な指示をすることを求めることができる。
第三章 許可漁業
第一節 大臣許可漁業
船舶により行う漁業であつて農林水産省令で定めるものを営もうとする者は、船舶ごとに、農林水産大臣の許可を受けなければならない。
前項の農林水産省令は、漁業調整(特定水産資源の再生産の阻害の防止 若しくは特定水産資源以外の水産資源の保存 及び管理 又は漁場の使用に関する紛争の防止のために必要な調整をいう。以下同じ。)のため漁業者 及びその使用する船舶(船舶において使用する漁ろう設備を含む。)について制限措置を講ずる必要があり、かつ、政府間の取決めが存在すること、漁場の区域が広域にわたること その他の政令で定める事由により当該措置を統一して講ずることが適当であると認められる漁業について定めるものとする。
農林水産大臣は、第一項の農林水産省令を制定し、又は改廃しようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
前条第一項の農林水産省令で定める漁業(以下「大臣許可漁業」という。)について同項の許可(以下この節(第四十七条を除く。)において単に「許可」という。)を受けた者は、資源管理を適切にするために必要な取組を自ら行うとともに、漁業の生産性の向上に努めるものとする。
許可を受けようとする者であつて現に船舶を使用する権利を有しないものは、船舶の建造に着手する前 又は船舶を譲り受け、借り受け、その返還を受け、その他船舶を使用する権利を取得する前に、船舶ごとに、あらかじめ起業につき農林水産大臣の認可を受けることができる。
前条の認可(以下この節において「起業の認可」という。)を受けた者がその起業の認可に基づいて許可を申請した場合において、申請の内容が認可を受けた内容と同一であるときは、農林水産大臣は、次条第一項各号のいずれかに該当する場合を除き、許可をしなければならない。
起業の認可を受けた者が、認可を受けた日から農林水産大臣の指定した期間内に許可を申請しないときは、起業の認可は、その期間の満了の日に、その効力を失う。
次の各号のいずれかに該当する場合は、農林水産大臣は、許可 又は起業の認可をしてはならない。
申請者が次条第一項に規定する適格性を有する者でない場合
その申請に係る漁業と同種の漁業の許可の不当な集中に至るおそれがある場合
農林水産大臣は、前項の規定により許可 又は起業の認可をしないときは、あらかじめ、当該申請者にその理由を文書をもつて通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。
前項の意見の聴取に際しては、当該申請者 又はその代理人は、当該事案について弁明し、かつ、証拠を提出することができる。
許可 又は起業の認可について適格性を有する者は、次の各号のいずれにも該当しない者とする。
漁業 又は労働に関する法令を遵守せず、かつ、引き続き遵守することが見込まれない者であること。
法人であつて、その役員 又は政令で定める使用人のうちに前二号のいずれかに該当する者があるものであること。
暴力団員等がその事業活動を支配する者であること。
許可を受けようとする船舶が農林水産大臣の定める基準を満たさないこと。
その申請に係る漁業を適確に営むに足りる生産性を有さず、又は有することが見込まれない者であること。
農林水産大臣は、前項第五号の基準を定め、又は変更しようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
農林水産大臣は、許可(第三十九条第一項 及び第四十五条の規定によるものを除く。以下この条において同じ。)又は起業の認可(第四十五条の規定によるものを除く。以下この条において同じ。)をしようとするときは、当該大臣許可漁業を営む者の数、当該大臣許可漁業に係る船舶の数 及びその操業の実態 その他の事情を勘案して、許可 又は起業の認可をすべき船舶の数 及び船舶の総トン数、操業区域、漁業時期、漁具の種類 その他の農林水産省令で定める事項に関する制限措置を定め、当該制限措置の内容 及び許可 又は起業の認可を申請すべき期間を公示しなければならない。
前項の申請すべき期間は、三月を下ることができない。
ただし、農林水産省令で定める緊急を要する特別の事情があるときは、この限りでない。
農林水産大臣は、第一項の規定により公示する制限措置の内容 及び申請すべき期間を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
ただし、前項ただし書の農林水産省令で定める緊急を要する特別の事情があるときは、この限りでない。
第一項の申請すべき期間内に許可 又は起業の認可を申請した者(次項において「申請者」という。)に対しては、農林水産大臣は、第四十条第一項各号のいずれかに該当する場合を除き、許可 又は起業の認可をしなければならない。
前項の規定により許可 又は起業の認可をすべき船舶の数が第一項の規定により公示した船舶の数を超える場合においては、前項の規定にかかわらず、申請者の生産性を勘案して許可 又は起業の認可をする者を定めるものとする。
前項の規定により許可 又は起業の認可をする者を定めることができないときは、公正な方法でくじを行い、許可 又は起業の認可をする者を定めるものとする。
農林水産大臣は、漁獲割当ての対象となる特定水産資源の採捕を通常伴うと認められる大臣許可漁業について、前条第一項の規定による公示をするに当たつては、当該大臣許可漁業において採捕すると見込まれる水産資源の総量のうちに漁獲割当ての対象となる特定水産資源の数量の占める割合が農林水産大臣が定める割合を下回ると認められる場合を除き、船舶の数 及び船舶の総トン数 その他の船舶の規模に関する制限措置を定めないものとする。
農林水産大臣は、漁業調整 その他公益上必要があると認めるときは、許可 又は起業の認可をするに当たり、許可 又は起業の認可に条件を付けることができる。
農林水産大臣は、漁業調整 その他公益上必要があると認めるときは、許可 又は起業の認可後、当該許可 又は起業の認可に条件を付けることができる。
農林水産大臣は、前項の規定により条件を付けようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
第二項の規定による条件の付加に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
次の各号のいずれかに該当する場合は、その申請の内容が従前の許可 又は起業の認可を受けた内容と同一であるときは、第四十条第一項各号のいずれかに該当する場合を除き、許可 又は起業の認可をしなければならない。
許可を受けた者が、その許可の有効期間の満了日の到来のため、その許可を受けた船舶と同一の船舶について許可を申請したとき。
許可を受けた者が、その許可の有効期間中に、その許可を受けた船舶を当該大臣許可漁業に使用することを廃止し、他の船舶について許可 又は起業の認可を申請したとき。
許可を受けた者が、その許可を受けた船舶が滅失し、又は沈没したため、滅失 又は沈没の日から六月以内(その許可の有効期間中に限る。)に他の船舶について許可 又は起業の認可を申請したとき。
許可を受けた者から、その許可の有効期間中に、許可を受けた船舶を譲り受け、借り受け、その返還を受け、その他相続 又は法人の合併 若しくは分割以外の事由により当該船舶を使用する権利を取得して当該大臣許可漁業を営もうとする者が、当該船舶について許可 又は起業の認可を申請したとき。
許可の有効期間は、漁業の種類ごとに五年を超えない範囲内において農林水産省令で定める期間とする。
ただし、前条(第一号を除く。)の規定によつて許可をした場合は、従前の許可の残存期間とする。
農林水産大臣は、漁業調整のため必要な限度において、水産政策審議会の意見を聴いて、前項の期間より短い期間を定めることができる。
大臣許可漁業の許可を受けた者が、第四十二条第一項の農林水産省令で定める事項について、同項の規定により定められた制限措置と異なる内容により、大臣許可漁業を営もうとするときは、農林水産大臣の許可を受けなければならない。
許可 又は起業の認可を受けた者が死亡し、解散し、又は分割(当該許可 又は起業の認可を受けた船舶を承継させるものに限る。)をしたときは、その相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により大臣許可漁業を営むべき者を定めたときは、その者)、合併後存続する法人 若しくは合併によつて成立した法人 又は分割によつて当該船舶を承継した法人は、当該許可 又は起業の認可を受けた者の地位を承継する。
前項の規定により許可 又は起業の認可を受けた者の地位を承継した者は、承継の日から二月以内にその旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
次の各号のいずれかに該当する場合は、許可 又は起業の認可は、その効力を失う。
許可を受けた船舶を当該大臣許可漁業に使用することを廃止したとき。
許可 又は起業の認可を受けた船舶が滅失し、又は沈没したとき。
許可を受けた船舶を譲渡し、貸し付け、返還し、その他その船舶を使用する権利を失つたとき。
許可 又は起業の認可を受けた者は、前項各号のいずれかに該当することとなつたときは、その日から二月以内にその旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
許可を受けた者は、一漁業時期以上にわたつて休業しようとするときは、休業期間を定め、あらかじめ農林水産大臣に届け出なければならない。
農林水産大臣は、許可を受けた者が農林水産省令で定める期間を超えて休業したときは、その許可を取り消すことができる。
許可を受けた者の責めに帰すべき事由による場合を除き、第五十五条第一項の規定により許可の効力を停止された期間 及び第百十九条第一項 若しくは第二項の規定に基づく命令、第百二十条第一項の規定による指示、同条第十一項の規定による命令、第百二十一条第一項の規定による指示 又は同条第四項において読み替えて準用する第百二十条第十一項の規定による命令により大臣許可漁業を禁止された期間は、前項の期間に算入しない。
第一項の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
許可を受けた者は、農林水産省令で定めるところにより、当該許可に係る大臣許可漁業における資源管理の状況、漁業生産の実績 その他の農林水産省令で定める事項を農林水産大臣に報告しなければならない。
ただし、第二十六条第一項 又は第三十条第一項の規定により農林水産大臣に報告した事項については、この限りでない。
農林水産大臣は、国際的な枠組みにおいて決定された措置の履行 その他漁業調整のため特に必要があると認めるときは、許可を受けた者に対し、衛星船位測定送信機 その他の農林水産省令で定める電子機器を当該許可を受けた船舶に備え付け、かつ、操業し、又は航行する期間中は当該電子機器を常時作動させることを命ずることができる。
前項の規定による命令を受けた者は、通信の妨害 その他の当該命令に係る電子機器の機能を損なう行為をしてはならない。
農林水産大臣は、許可 又は起業の認可を受けた者が第四十一条第一項第六号に該当することとなつたときは、当該許可 又は起業の認可を受けた者に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告するものとする。
農林水産大臣は、許可 又は起業の認可を受けた者が第四十条第一項第二号 又は第四十一条第一項各号(第六号を除く。)のいずれかに該当することとなつたときは、当該許可 又は起業の認可を取り消さなければならない。
農林水産大臣は、許可 又は起業の認可を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、当該許可 又は起業の認可を変更し、取り消し、又はその効力の停止を命ずることができる。
漁業に関する法令の規定に違反したとき。
前条の規定による勧告に従わないとき。
農林水産大臣は、前項の規定による処分をしようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
第一項 又は第二項の規定による処分に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
農林水産大臣は、漁業調整 その他公益上必要があると認めるときは、許可 又は起業の認可を変更し、取り消し、又はその効力の停止を命ずることができる。
前条第三項 及び第四項の規定は、前項の規定による処分について準用する。
水産資源保護法(昭和二十六年法律第三百十三号)第十二条の規定は、第一項の場合について準用する。
この場合において、
同条中
「第十条第五項」とあるのは
「漁業法第五十五条第一項」と、
「同条第四項の告示の日」とあるのは
「その許可の取消しの日」と
読み替えるものとする。
農林水産大臣は、許可をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、その者に対し許可証を交付する。
許可証の書換え交付、再交付 及び返納に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
第二節 知事許可漁業
大臣許可漁業以外の漁業であつて農林水産省令 又は規則で定めるものを営もうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
前項の農林水産省令は、都道府県の区域を超えた広域的な見地から、農林水産大臣が漁業調整のため漁業者 又はその使用する船舶等について制限措置を講ずる必要があると認める漁業について定めるものとする。
農林水産大臣は、第一項の農林水産省令を制定し、又は改廃しようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
第一項の規則は、都道府県知事が漁業調整のため漁業者 又はその使用する船舶等について制限措置を講ずる必要があると認める漁業について定めるものとする。
都道府県知事は、第一項の規則を制定し、又は改廃しようとするときは、関係海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、第一項の規則を制定し、又は改廃しようとするときは、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
農林水産大臣は、第一項の農林水産省令で定める漁業について、都道府県の区域を超えた広域的な見地から、次に掲げる事項を定めることができる。
当該漁業について都道府県知事が許可をすることができる船舶等の数
農林水産大臣があらかじめ指定した水域において都道府県知事が許可をすることができる船舶等の数
その他農林水産省令で定める事項
農林水産大臣は、前項の事項を定めようとするときは、関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、第七項の規定により定められた事項に違反して第一項の許可をしてはならない。
第三十七条から第四十条まで、第四十一条第一項(第六号を除く。)及び第二項、第四十二条(第二項ただし書 及び第三項ただし書を除く。)、第四十三条、第四十四条、第四十五条(第二号 及び第三号に係る部分に限る。)、第四十六条、第四十七条、第四十九条から第五十二条まで、第五十四条 並びに第五十六条の規定は、前条第一項の農林水産省令 又は規則で定める漁業(以下「知事許可漁業」という。)の許可について準用する。
この場合において、
これらの規定中
「農林水産大臣」とあるのは
「都道府県知事」と、
第三十七条中
「同項」とあるのは
「第五十七条第一項」と、
第三十八条中
「船舶」とあるのは
「船舶等」と、
「建造」とあるのは
「建造 又は製造」と、
第四十一条第一項第五号中
「船舶」とあるのは
「船舶等」と、
同条第二項中
「水産政策審議会」とあるのは
「関係海区漁業調整委員会」と、
第四十二条第一項中
「船舶の数」とあるのは
「船舶等の数」と、
「農林水産省令」とあるのは
「規則」と、
同条第二項本文中
「三月を下ることができない」とあるのは
「漁業の種類ごとに規則で定める期間とする」と、
同条第三項本文中
「水産政策審議会」とあるのは
「関係海区漁業調整委員会」と、
同条第五項中
「船舶」とあるのは
「船舶等」と、
「申請者の生産性を勘案して」とあるのは
「当該知事許可漁業の状況を勘案して、関係海区漁業調整委員会の意見を聴いた上で、許可の基準を定め、これに従つて」と、
第四十三条中
「船舶の数」とあるのは
「船舶等の数」と、
「船舶の規模」とあるのは
「船舶等の規模」と、
第四十六条第一項中
「農林水産省令」とあるのは
「規則」と、
同条第二項中
「水産政策審議会」とあるのは
「関係海区漁業調整委員会」と、
第四十七条 及び第五十一条第一項中
「農林水産省令」とあるのは
「規則」と、
第五十二条第一項中
「、農林水産省令」とあるのは
「、規則」と、
「その他の農林水産省令」とあるのは
「その他の農林水産省令 又は規則」と、
同条第二項中
「農林水産省令」とあるのは
「農林水産省令 又は規則」と、
第五十四条第二項中
「次の各号のいずれかに該当することとなつた」とあるのは
「漁業に関する法令の規定に違反した」と、
第五十六条中
「農林水産省令」とあるのは
「規則」と
読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第三節 補則
この章に定めるもののほか、大臣許可漁業 及び知事許可漁業の許可の手続 その他この章の規定の実施に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
第四章 漁業権及び沿岸漁場管理
第一節 総則
この章において「漁業権」とは、定置漁業権、区画漁業権 及び共同漁業権をいう。
この章において「定置漁業権」とは、定置漁業を営む権利をいい、「区画漁業権」とは、区画漁業を営む権利をいい、「共同漁業権」とは、共同漁業を営む権利をいう。
この章において「定置漁業」とは、漁具を定置して営む漁業であつて次に掲げるものをいう。
身網の設置される場所の最深部が最高潮時において水深二十七メートル(沖縄県にあつては、十五メートル)以上であるもの(瀬戸内海(第百五十二条第二項に規定する瀬戸内海をいう。)におけるます網漁業 並びに陸奥湾(陸奥湾の海面として農林水産大臣の指定するものをいう。)における落とし網漁業 及びます網漁業を除く。)
北海道においてさけを主たる漁獲物とするもの
この章において「区画漁業」とは、次に掲げる漁業をいう。
第一種区画漁業
一定の区域内において石、瓦、竹、木 その他の物を敷設して営む養殖業
第二種区画漁業
土、石、竹、木 その他の物によつて囲まれた一定の区域内において営む養殖業
第三種区画漁業
一定の区域内において営む養殖業であつて前二号に掲げるもの以外のもの
この章において「共同漁業」とは、次に掲げる漁業であつて一定の水面を共同に利用して営むものをいう。
第一種共同漁業
藻類、貝類 又は農林水産大臣の指定する定着性の水産動物を目的とする漁業
第二種共同漁業
海面(海面に準ずる湖沼として農林水産大臣が定めて告示する水面を含む。以下同じ。)のうち農林水産大臣が定めて告示する湖沼に準ずる海面以外の水面(次号 及び第四号において「特定海面」という。)において網漁具(えりやな類を含む。)を移動しないように敷設して営む漁業であつて定置漁業以外のもの
第三種共同漁業
特定海面において営む 地びき網漁業、地こぎ網漁業、船びき網漁業(動力漁船を使用するものを除く。)、飼付漁業 又はつきいそ漁業(第一号に掲げるものを除く。)
第四種共同漁業
特定海面において営む寄魚漁業 又は鳥付こぎ釣漁業
第五種共同漁業
内水面(海面以外の水面をいう。以下同じ。)又は第二号の湖沼に準ずる海面において営む漁業であつて第一号に掲げるもの以外のもの
この章において「動力漁船」とは、推進機関を備える船舶であつて次の各号のいずれかに該当するものをいう。
漁業に従事する船舶であつて漁獲物の保蔵 又は製造の設備を有するもの
専ら漁場から漁獲物 又はその製品を運搬する船舶
専ら漁業に関する試験、調査、指導 若しくは練習に従事する船舶 又は漁業の取締りに従事する船舶であつて漁ろう設備を有するもの
この章において「入漁権」とは、設定行為に基づき、他人の区画漁業権(その内容たる漁業を自ら営まない漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が免許を受けるものに限る。)又は共同漁業権(以下この章において「団体漁業権」と総称する。)に属する漁場において当該団体漁業権の内容たる漁業の全部 又は一部を営む権利をいう。
この章において「保全活動」とは、水産動植物の生育環境の保全 又は改善 その他沿岸漁場の保全のための活動であつて農林水産省令で定めるものをいう。
この章において「保全沿岸漁場」とは、漁業生産力の発展を図るため保全活動の円滑かつ計画的な実施を確保する必要がある沿岸漁場として都道府県知事が定めるものをいう。
都道府県は、その管轄に属する水面における漁業生産力を発展させるため、水面の総合的な利用を推進するとともに、水産動植物の生育環境の保全 及び改善に努めなければならない。
第二節 海区漁場計画及び内水面漁場計画
⤏ 第一款 海区漁場計画
都道府県知事は、その管轄に属する海面について、五年ごとに、海区漁場計画を定めるものとする。
ただし、管轄に属する海面を有しない都道府県知事にあつては、この限りでない。
海区漁場計画においては、海区(第百三十六条第一項に規定する海区をいう。以下この款において同じ。)ごとに、次に掲げる事項を定めるものとする。
当該海区に設定する漁業権について、次に掲げる事項
存続期間(第七十五条第一項の期間より短い期間を定める場合に限る。)
区画漁業権については、個別漁業権(団体漁業権以外の漁業権をいう。次節において同じ。)又は団体漁業権の別
団体漁業権については、その関係地区(自然的 及び社会経済的条件により漁業権に係る漁場が属すると認められる地区をいう。第七十二条 及び第百六条第四項において同じ。)
イからヘまでに掲げるもののほか、漁業権の設定に関し必要な事項
当該海区に設定する保全沿岸漁場について、次に掲げる事項
イ 及びロに掲げるもののほか、保全沿岸漁場の設定に関し必要な事項
海区漁場計画は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。
それぞれの漁業権が、海区に係る海面の総合的な利用を推進するとともに、漁業調整 その他公益に支障を及ぼさないように設定されていること。
海区漁場計画の作成の時において適切かつ有効に活用されている漁業権(次号において「活用漁業権」という。)があるときは、前条第二項第一号イからハまでに掲げる事項が当該漁業権とおおむね等しいと認められる漁業権(次号において「類似漁業権」という。)が設定されていること。
前号の場合において活用漁業権が団体漁業権であるときは、類似漁業権が団体漁業権として設定されていること。
前号の場合のほか、漁場の活用の現況 及び次条第二項の検討の結果に照らし、団体漁業権として区画漁業権を設定することが、当該区画漁業権に係る漁場における漁業生産力の発展に最も資すると認められる場合には、団体漁業権として区画漁業権が設定されていること。
前条第二項第一号ニについて、第七十五条第一項の期間より短い期間を定めるに当たつては、漁業調整のため必要な範囲内であること。
それぞれの保全沿岸漁場が、海区に設定される漁業権の内容たる漁業に係る漁場の使用と調和しつつ、水産動植物の生育環境の保全 及び改善が適切に実施されるように設定されていること。
都道府県知事は、海区漁場計画の作成に当たつては、海区に係る海面全体を最大限に活用するため、漁業権が存しない海面をその漁場の区域とする新たな漁業権を設定するよう努めるものとする。
都道府県知事は、海区漁場計画の案を作成しようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、当該海区において漁業を営む者、漁業を営もうとする者 その他の利害関係人の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、前項の規定により聴いた意見について検討を加え、その結果を公表しなければならない。
都道府県知事は、前項の検討の結果を踏まえて海区漁場計画の案を作成しなければならない。
都道府県知事は、海区漁場計画の案を作成したときは、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
海区漁業調整委員会は、前項の意見を述べようとするときは、あらかじめ、期日 及び場所を公示して公聴会を開き、農林水産省令で定めるところにより、当該海区において漁業を営む者、漁業を営もうとする者 その他の利害関係人の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、海区漁場計画を作成したときは、当該海区漁場計画の内容 その他農林水産省令で定める事項を公表するとともに、漁業の免許予定日 及び第百九条の沿岸漁場管理団体の指定予定日 並びにこれらの申請期間を公示しなければならない。
前項の免許予定日 及び指定予定日は、同項の規定による公示の日から起算して三月を経過した日以後の日としなければならない。
前各項の規定は、海区漁場計画の変更について準用する。
農林水産大臣は、前条第二項の検討の結果を踏まえて、都道府県の区域を超えた広域的な見地から、我が国の漁業生産力の発展を図るために必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、海区漁場計画の案を修正すべき旨の助言 その他海区漁場計画に関して必要な助言をすることができる。
農林水産大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、都道府県知事に対し、海区漁場計画を変更すべき旨の指示その他海区漁場計画に関して必要な指示をすることができる。
前条の規定により助言をした事項について、我が国の漁業生産力の発展を図るため特に必要があると認めるとき。
都道府県の区域を超えた広域的な見地から、漁業調整のため特に必要があると認めるとき。
⤏ 第二款 内水面漁場計画
都道府県知事は、その管轄する内水面について、五年ごとに、内水面漁場計画を定めるものとする。
第六十二条第二項(第一号に係る部分に限る。)、第六十三条第一項(第六号を除く。)及び第二項並びに第六十四条から前条までの規定は、内水面漁場計画について準用する。
この場合において、
第六十二条第二項中
「海区(第百三十六条第一項に規定する海区をいう。以下この款において同じ。)ごとに、次に」とあるのは
「次に」と、
第六十四条第六項中
「免許予定日 及び第百九条の沿岸漁場管理団体の指定予定日 並びにこれらの」とあるのは
「免許予定日 及び」と、
同条第七項中
「免許予定日 及び指定予定日」とあるのは
「免許予定日」と
読み替えるものとする。
第三節 漁業権
⤏ 第一款 漁業の免許
定置漁業 及び区画漁業は、漁業権 又は入漁権に基づくものでなければ、営んではならない。
漁業権の内容たる漁業の免許を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、都道府県知事に申請しなければならない。
前項の免許を受けた者は、当該漁業権を取得する。
前条第一項の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
次の各号のいずれかに該当する場合は、都道府県知事は、漁業の免許をしてはならない。
申請者が次条に規定する適格性を有する者でないとき。
海区漁場計画 又は内水面漁場計画の内容と 異なる申請があつたとき。
その申請に係る漁業と同種の漁業を内容とする漁業権の不当な集中に至るおそれがあるとき。
免許を受けようとする漁場の敷地が他人の所有に属する場合又は水面が他人の占有に係る場合において、その所有者 又は占有者の同意がないとき。
前項第四号の場合において同号の所有者 又は占有者の住所 又は居所が明らかでないため同意が得られないときは、最高裁判所の定める手続により、裁判所の許可をもつてその者の同意に代えることができる。
前項の許可に対する裁判に関しては、最高裁判所の定める手続により、上訴することができる。
第一項第四号の所有者 又は占有者は、正当な事由がなければ、同意を拒むことができない。
海区漁業調整委員会は、都道府県知事に対し、当該申請が第一項各号のいずれかに該当する旨の意見を述べようとするときは、あらかじめ、当該申請者に同項各号のいずれかに該当する理由を文書をもつて通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。
前項の意見の聴取に際しては、当該申請者 又はその代理人は、当該事案について弁明し、かつ、証拠を提出することができる。
個別漁業権の内容たる漁業の免許について適格性を有する者は、次の各号のいずれにも該当しない者とする。
漁業 又は労働に関する法令を遵守せず、かつ、引き続き遵守することが見込まれない者であること。
法人であつて、その役員 又は政令で定める使用人のうちに前二号のいずれかに該当する者があるものであること。
暴力団員等がその事業活動を支配する者であること。
団体漁業権の内容たる漁業の免許について適格性を有する者は、当該団体漁業権の関係地区の全部 又は一部をその地区内に含む漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会であつて、次の各号に掲げる団体漁業権の種類に応じ、当該各号に定めるものとする。
現に存する区画漁業権の存続期間の満了に際し、漁場の位置 及び区域 並びに漁業の種類が当該現に存する区画漁業権とおおむね等しいと認められるものとして設定される団体漁業権 その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員)のうち関係地区内に住所を有し当該漁業を営む者の属する世帯の数が、関係地区内に住所を有し当該漁業を営む者の属する世帯の数の三分の二以上であるもの
団体漁業権(前号に掲げるものを除く。) その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員)のうち関係地区内に住所を有し一年に九十日以上沿岸漁業(海面における漁業のうち総トン数二十トン以上の動力漁船を使用して行う漁業以外の漁業をいう。以下この条 及び第百六条第四項において同じ。)を営む者(河川以外の内水面における漁業を内容とする漁業権にあつては当該内水面において一年に三十日以上漁業を営む者、河川における漁業を内容とする漁業権にあつては当該河川において一年に三十日以上水産動植物の採捕 又は養殖をする者。以下この号 及び第五項において同じ。)の属する世帯の数が、関係地区内に住所を有し一年に九十日以上沿岸漁業を営む者の属する世帯の数の三分の二以上であるもの
前項の規定により世帯の数を計算する場合において、当該漁業を営む者が法人であるときは、当該法人(株式会社にあつては、公開会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第五号に規定する公開会社をいう。)でないものに限る。以下この項において同じ。)の組合員、社員 若しくは株主 又は当該法人の組合員、社員 若しくは株主である法人の組合員、社員 若しくは株主のうち当該漁業の漁業従事者である者の属する世帯の数により計算するものとする。
第二項の規定は、二以上の漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が共同してした申請について準用する。
この場合において、
同項中
「その組合員」とあるのは
「それらの組合員」と、
「その会員」とあるのは
「それらの会員」と
読み替えるものとする。
第二項第一号に掲げる団体漁業権の関係地区内に住所を有し当該団体漁業権の内容たる漁業を営む者を組合員とする漁業協同組合 若しくはその漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会が同号に定める漁業協同組合 若しくは漁業協同組合連合会に対して当該漁業の免許を共同して申請することを申し出た場合 又は同項第二号に掲げる団体漁業権の関係地区内に住所を有し一年に九十日以上沿岸漁業を営む者を組合員とする漁業協同組合 若しくはその漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会が同号に定める漁業協同組合 若しくは漁業協同組合連合会に対して当該漁業の免許を共同して申請することを申し出た場合には、申出を受けた漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、正当な事由がなければ、これを拒むことができない。
第二項(第四項において準用する場合を含む。)の規定により適格性を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が団体漁業権の内容たる漁業の免許を受けた場合には、その免許の際に当該団体漁業権の関係地区内に住所を有し当該漁業を営む者であつた者を組合員とする漁業協同組合 又はその漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会は、都道府県知事の認可を受けて、当該免許を受けた漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会に対し当該団体漁業権を共有すべきことを請求することができる。
この場合には、第七十九条第一項の規定は、適用しない。
前項の認可の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が第一種共同漁業 又は第五種共同漁業を内容とする共同漁業権を取得した場合においては、海区漁業調整委員会は、当該漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会と関係地区内に住所を有する漁業者(個人に限る。)又は漁業従事者であつてその組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員)でないものとの関係において当該共同漁業権の行使を適切にするため、第百二十条第一項の規定に従い、必要な指示をするものとする。
都道府県知事は、第六十四条第六項の申請期間内に漁業の免許を申請した者に対しては、第七十一条第一項各号のいずれかに該当する場合を除き、免許をしなければならない。
前項の場合において、同一の漁業権について免許の申請が複数あるときは、都道府県知事は、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める者に対して免許をするものとする。
漁業権の存続期間の満了に際し、漁場の位置 及び区域 並びに漁業の種類が当該満了する漁業権(以下この号において「満了漁業権」という。)とおおむね等しいと認められるものとして設定される漁業権について当該満了漁業権を有する者による申請がある場合であつて、その者が当該満了漁業権に係る漁場を適切かつ有効に活用していると認められる場合
当該者
前号に掲げる場合以外の場合
免許の内容たる漁業による漁業生産の増大 並びにこれを通じた漁業所得の向上及び就業機会の確保 その他の地域の水産業の発展に最も寄与すると認められる者
⤏ 第二款 漁業権の性質等
漁業権を有する者(以下この節 及び第百七十条第七項において「漁業権者」という。)は、当該漁業権に係る漁場を適切かつ有効に活用するよう努めるものとする。
団体漁業権を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、当該団体漁業権に係る漁場における漁業生産力を発展させるため、農林水産省令で定めるところにより、組合員(漁業協同組合連合会にあつては、その会員たる漁業協同組合の組合員。以下この項において同じ。)が相互に協力して行う生産の合理化、組合員による生産活動のための法人の設立 その他の方法による経営の高度化の促進に関する計画を作成し、定期的に点検を行うとともに、その実現に努めるものとする。
漁業権の存続期間は、免許の日から起算して、区画漁業権(真珠養殖業を内容とするものその他の農林水産省令で定めるものに限る。) 及び共同漁業権にあつては十年、その他の漁業権にあつては五年とする。
都道府県知事が海区漁場計画 又は内水面漁場計画において前項の期間より短い期間を定めた漁業権の存続期間は、同項の規定にかかわらず、当該都道府県知事が定めた期間とする。
漁業権を分割し、又は変更しようとする者は、都道府県知事に申請して、その免許を受けなければならない。
都道府県知事は、海区漁場計画 又は内水面漁場計画に適合するものでなければ、前項の免許をしてはならない。
第一項の場合においては、第七十条 及び第七十一条の規定を準用する。
漁業権は、物権とみなし、土地に関する規定を準用する。
民法(明治二十九年法律第八十九号)第二編第九章の規定は個別漁業権に、同編第八章から第十章までの規定は団体漁業権に、いずれも適用しない。
個別漁業権について抵当権を設定した場合において、その漁場に定着した工作物は、民法第三百七十条の規定の準用に関しては、漁業権に付加してこれと一体を成す物とみなす。
個別漁業権が先取特権の目的である場合も、同様とする。
個別漁業権を目的とする抵当権の設定は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
前項の規定により認可をしようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
漁業権は、相続 又は法人の合併 若しくは分割による場合を除き、移転の目的とすることができない。
ただし、個別漁業権については、滞納処分による場合、先取特権者 若しくは抵当権者がその権利を実行する場合 又は次条第二項の通知を受けた者が譲渡する場合において、都道府県知事の認可を受けたときは、この限りでない。
都道府県知事は、第七十二条第一項 又は第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)に規定する適格性を有する者に移転する場合でなければ、前項の認可をしてはならない。
第一項の規定により認可をしようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
相続 又は法人の合併 若しくは分割によつて個別漁業権を取得した者は、取得の日から二月以内にその旨を都道府県知事に届け出なければならない。
都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴き、前項の者が第七十二条第一項に規定する適格性を有する者でないと認めるときは、一定期間内に譲渡しなければその漁業権を取り消すべき旨をその者に通知しなければならない。
漁業権者が有する水面使用に関する権利義務(当該漁業権者が当該漁業に関し行政庁の許可、認可 その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)は、漁業権の処分に従う。
漁業権は、貸付けの目的とすることができない。
漁業権は、第百十七条第一項の規定により登録した先取特権 若しくは抵当権を有する者(以下「登録先取特権者等」という。)又は同項の規定により登録した入漁権を有する者の同意を得なければ、分割し、変更し、又は放棄することができない。
第七十一条第二項から第四項までの規定は、前項の同意について準用する。
漁業権の各共有者は、他の共有者の三分の二以上の同意を得なければ、その持分を処分することができない。
第七十一条第二項から第四項までの規定は、前項の同意について準用する。
漁業権の各共有者がその共有に属する漁業権を変更するために他の共有者の同意を得ようとする場合においては、第七十一条第二項から第四項までの規定を準用する。
都道府県知事は、漁業調整 その他公益上必要があると認めるときは、漁業権に条件を付けることができる。
前項の条件を付けようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
農林水産大臣は、都道府県の区域を超えた広域的な見地から、漁業調整のため特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により漁業権に条件を付けるべきことを指示することができる。
免許後に第一項の条件を付けようとする場合における第二項の海区漁業調整委員会の意見については、第八十九条第四項から第七項までの規定を準用する。
この場合において、
同条第四項中
「前項の場合において、漁業権を取り消すべき旨」とあるのは、
「第八十六条第一項の規定により漁業権に条件を付けるべき旨」と
読み替えるものとする。
個別漁業権を有する者が当該個別漁業権の内容たる漁業を一漁業時期以上にわたつて休業しようとするときは、休業期間を定め、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならない。
前条の休業中においては、第七十二条第一項に規定する適格性を有する者は、第六十八条の規定にかかわらず、都道府県知事の許可を受けて当該休業中の個別漁業権の内容たる漁業を営むことができる。
前項の許可の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、漁業調整 その他公益に支障を及ぼすと認める場合は、第一項の許可をしてはならない。
第一項の許可については、第七十一条第五項 及び第六項、第八十六条、前条 並びに次条から第九十四条までの規定を準用する。
この場合において、
第七十一条第五項中
「第一項各号のいずれか」とあり、
及び
「同項各号のいずれか」とあるのは
「第八十八条第三項に規定する場合」と、
第九十二条第一項中
「第七十二条第一項 又は第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)」とあるのは
「第七十二条第一項」と
読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
前各項の規定は、第九十二条第二項の規定に基づく処分により個別漁業権の行使を停止された期間中他の者が当該個別漁業権の内容たる漁業を営もうとする場合について準用する。
都道府県知事は、漁業権者がその有する漁業権の内容たる漁業の免許の日 又は移転に係る認可の日から一年間 又は引き続き二年間休業したときは、当該漁業権を取り消すことができる。
漁業権者の責めに帰すべき事由による場合を除き、第九十三条第一項の規定により漁業権の行使を停止された期間 及び第百十九条第一項 若しくは第二項の規定に基づく命令、第百二十条第一項の規定による指示、同条第十一項の規定による命令、第百二十一条第一項の規定による指示 又は同条第四項において読み替えて準用する第百二十条第十一項の規定による命令により漁業権の内容たる漁業を禁止された期間は、前項の期間に算入しない。
第一項の規定により漁業権を取り消そうとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
海区漁業調整委員会は、前項の場合において、漁業権を取り消すべき旨の意見を述べようとするときは、あらかじめ、当該漁業権者にその理由を文書をもつて通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。
前項の意見の聴取に際しては、当該漁業権者 又はその代理人は、当該事案について弁明し、かつ、証拠を提出することができる。
当該漁業権者 又はその代理人は、第四項の規定による通知があつた時から意見の聴取が終結する時までの間、都道府県知事に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書 その他の当該申請の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。
この場合において、都道府県知事は、第三者の利益を害するおそれがあるとき その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
前三項に定めるもののほか、海区漁業調整委員会が行う第四項の意見の聴取に関し必要な事項は、政令で定める。
漁業権者は、農林水産省令で定めるところにより、その有する漁業権の内容たる漁業における資源管理の状況、漁場の活用の状況 その他の農林水産省令で定める事項を都道府県知事に報告しなければならない。
ただし、第二十六条第一項 又は第三十条第一項の規定により都道府県知事に報告した事項については、この限りでない。
都道府県知事は、農林水産省令で定めるところにより、海区漁業調整委員会に対し、前項の規定により報告を受けた事項について必要な報告をするものとする。
都道府県知事は、漁業権者が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該漁業権者に対して、漁場の適切かつ有効な活用を図るために必要な措置を講ずべきことを指導するものとする。
漁場を適切に利用しないことにより、他の漁業者が営む 漁業の生産活動に支障を及ぼし、又は海洋環境の悪化を引き起こしているとき。
合理的な理由がないにもかかわらず 漁場の一部を利用していないとき。
都道府県知事は、前項の規定により指導した者が、その指導に従つていないと認めるときは、その者に対して、当該指導に係る措置を講ずべきことを勧告するものとする。
前二項の規定により指導し、又は勧告しようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
漁業の免許を受けた後に漁業権者が第七十二条第一項 又は第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)に規定する適格性を有する者でなくなつたときは、都道府県知事は、その漁業権を取り消さなければならない。
都道府県知事は、漁業権者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その漁業権を取り消し、又はその行使の停止を命ずることができる。
漁業に関する法令の規定に違反したとき。
前条第二項の規定による勧告に従わないとき。
前二項の場合には、第八十九条第三項から第七項までの規定を準用する。
漁業調整、船舶の航行、停泊 又は係留、水底電線の敷設 その他公益上必要があると認めるときは、都道府県知事は、漁業権を変更し、取り消し、又はその行使の停止を命ずることができる。
都道府県知事は、前項の規定により漁業権を変更するときは、併せて、海区漁場計画 又は内水面漁場計画を変更しなければならない。
第一項の場合には、第八十九条第三項から第七項までの規定を準用する。
農林水産大臣は、都道府県の区域を超えた広域的な見地から、漁業調整、船舶の航行、停泊 又は係留、水底電線の敷設 その他公益上特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により漁業権を変更し、取り消し、又はその行使の停止を命ずべきことを指示することができる。
錯誤により免許をした場合においてこれを取り消そうとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
漁業権を取り消したときは、都道府県知事は、直ちに、登録先取特権者等にその旨を通知しなければならない。
登録先取特権者等は、前項の通知を受けた日から三十日以内に漁業権の競売を請求することができる。
ただし、第九十三条第一項の規定による取消し 又は錯誤によつてした免許の取消しの場合は、この限りでない。
漁業権は、前項の期間内 又は競売の手続完結の日まで、競売の目的の範囲内においては、なお存続するものとみなす。
競売による売却代金は、競売の費用 及び登録先取特権者等に対する債務の弁済に充て、その残金は国庫に帰属する。
買受人が代金を納付したときは、漁業権の取消しは、その効力を生じなかつたものとみなす。
漁場に定着する工作物を設置して漁業権の価値を増大させた漁業権者は、その漁業権が消滅したときは、その消滅後に当該工作物の利用によつて利益を受ける漁業の免許を受けた者に対し、時価で当該工作物を買い取るべきことを請求することができる。
⤏ 第三款 入漁権
漁業協同組合 及び漁業協同組合連合会以外の者は、入漁権を取得することができない。
入漁権は、譲渡 又は法人の合併 若しくは分割による取得の目的となるほか、権利の目的となることができない。
入漁権は、漁業権者の同意を得なければ、譲渡することができない。
入漁権については、書面により次に掲げる事項を明らかにしなければならない。
入漁すべき漁業の種類 及び漁獲物の種類 並びに漁業時期
存続期間の定めがあるときはその期間
入漁料の定めがあるときはその事項
漁業の方法について定めがあるときはその事項
漁船、漁具 又は漁業者の数について定めがあるときはその事項
入漁者の資格について定めがあるときはその事項
その他入漁の内容
入漁権の設定を求めた場合において漁業権者が不当にその設定を拒み、又は入漁権の内容が適正でないと認めてその変更 若しくは消滅を求めた場合において相手方が不当にその変更 若しくは消滅を拒んだときは、入漁権の設定、変更 又は消滅を拒まれた者は、海区漁業調整委員会に対して、入漁権の設定、変更 又は消滅に関する裁定を申請することができる。
前項の規定による裁定の申請があつたときは、海区漁業調整委員会は、相手方にその旨を通知し、かつ、農林水産省令の定めるところにより、これを公示しなければならない。
第一項の規定による裁定の申請の相手方は、前項の公示の日から二週間以内に海区漁業調整委員会に意見書を提出することができる。
海区漁業調整委員会は、前項の期間を経過した後に審議を開始しなければならない。
裁定は、その申請の範囲を超えることができない。
裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
入漁権の設定に関する裁定の申請の場合にあつては、設定するかどうか、設定する場合はその内容 及び設定の時期
入漁権の変更に関する裁定の申請の場合にあつては、変更するかどうか、変更する場合はその内容 及び変更の時期
入漁権の消滅に関する裁定の申請の場合にあつては、消滅させるかどうか、消滅させる場合は消滅の時期
海区漁業調整委員会は、裁定をしたときは、遅滞なく、その旨を裁定の申請の相手方に通知し、かつ、農林水産省令の定めるところにより、これを公示しなければならない。
前項の公示があつたときは、その時に、裁定の定めるところにより当事者間に協議が調つたものとみなす。
存続期間について別段の定めがない入漁権は、その目的たる漁業権の存続期間中存続するものとみなす。
ただし、入漁権を有する者(第百三条において「入漁権者」という。)は、いつでもその権利を放棄することができる。
第八十四条 及び第八十五条の規定は、入漁権を共有する場合について準用する。
入漁権者が入漁料の支払を怠つたときは、漁業権者は、その入漁を拒むことができる。
入漁権者が引き続き二年以上入漁料の支払を怠り、又は破産手続開始の決定を受けたときは、漁業権者は、入漁権の消滅を請求することができる。
入漁料は、入漁しないときは、支払わなくてもよい。
⤏ 第四款 漁業権行使規則等
団体漁業権 若しくは入漁権を有する漁業協同組合の組合員 又は団体漁業権 若しくは入漁権を有する漁業協同組合連合会の会員たる漁業協同組合の組合員(いずれも漁業者 又は漁業従事者であるものに限る。)であつて、当該団体漁業権 又は入漁権に係る漁業権行使規則 又は入漁権行使規則で規定する資格に該当するものは、当該漁業権行使規則 又は入漁権行使規則に基づいて当該団体漁業権 又は入漁権の範囲内において漁業を営む権利(以下「組合員行使権」という。)を有する。
漁業権行使規則は、団体漁業権を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会において、団体漁業権ごとに制定するものとする。
入漁権行使規則は、入漁権を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会において、入漁権ごとに制定するものとする。
漁業権行使規則 及び入漁権行使規則(以下この条において「行使規則」という。)には、次に掲げる事項を規定するものとする。
組合員行使権を有する者(以下この項において「組合員行使権者」という。)の資格
漁業権 又は入漁権の内容たる漁業につき、漁業を営むべき区域 又は期間、当該漁業の方法 その他組合員行使権者が当該漁業を営む場合において遵守すべき事項
組合員行使権者がその有する組合員行使権に基づいて漁業を営む場合において、当該漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が当該組合員行使権者に金銭を賦課するときは、その額
区画漁業 又は第一種共同漁業を内容とする団体漁業権を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、その有する団体漁業権について漁業権行使規則を定めようとするときは、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)の規定による総会(総会の部会 及び総代会を含む。)の決議前に、その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員)のうち、当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者(第七十二条第二項第二号の要件に該当することにより同項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定により適格性を有するとされた者に係る団体漁業権にあつては、当該沿岸漁業を営む者(河川以外の内水面における漁業を内容とする団体漁業権にあつては当該内水面において漁業を営む者、河川における漁業を内容とする団体漁業権にあつては当該河川において水産動植物の採捕 又は養殖をする者))であつて当該漁業権の関係地区の区域内に住所を有するものの三分の二以上の書面による同意を得なければならない。
前項の場合において、水産業協同組合法第二十一条第三項(同法第八十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定により電磁的方法(同法第十一条の三第四項に規定する電磁的方法をいう。)により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面による同意に代えて、当該漁業権行使規則についての同意を当該電磁的方法により得ることができる。
この場合において、当該漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、当該書面による同意を得たものとみなす。
前項前段の電磁的方法(水産業協同組合法第十一条の三第五項の農林水産省令で定める方法を除く。)により得られた当該漁業権行使規則についての同意は、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会に到達したものとみなす。
行使規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
都道府県知事は、申請に係る行使規則が不当に差別的であると認めるときは、これを認可してはならない。
第四項から第六項までの規定は漁業権行使規則の変更 又は廃止について、第七項の規定は行使規則の変更 又は廃止について、前項の規定は行使規則の変更について準用する。
この場合において、
第四項中
「当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者」とあるのは、
「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」と
読み替えるものとする。
行使規則は、当該行使規則を制定した漁業協同組合の組合員又は漁業協同組合連合会の会員たる漁業協同組合の組合員以外の者に対しては、効力を有しない。
団体漁業権を有する漁業協同組合が当該団体漁業権に係る総会の部会(水産業協同組合法第五十一条の二第一項に規定する総会の部会をいう。)を設けている場合においては、当該総会の部会は、当該団体漁業権の存続期間の満了に際し、漁場の位置 及び区域 並びに漁業の種類が当該満了する団体漁業権とおおむね等しいと認められるものとして設定される団体漁業権の取得について、総会の権限を行うことができる。
第百六条第四項から第六項までの規定は、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会がその有する団体漁業権を分割し、変更し、又は放棄しようとする場合について準用する。
この場合において、
同条第四項中
「当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者」とあるのは、
「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」と
読み替えるものとする。
第四節 沿岸漁場管理
都道府県知事は、海区漁場計画に基づき、当該海区漁場計画で設定した保全沿岸漁場ごとに、漁業協同組合 若しくは漁業協同組合連合会 又は一般社団法人 若しくは一般財団法人であつて、次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、沿岸漁場管理団体として指定することができる。
次条に規定する適格性を有する者であること。
役員 又は職員の構成が、保全活動の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
保全活動以外の業務を行つている場合には、その業務を行うことによつて保全活動の適正かつ確実な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。
都道府県知事は、保全活動の適切な実施を確保するために必要があると認めるときは、前項の規定による指定をするに当たり、条件を付けることができる。
都道府県知事は、第一項の規定により沿岸漁場管理団体を指定しようとするときは、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
沿岸漁場管理団体の適格性を有する者は、次の各号のいずれにも該当しない者とする。
その役員 又は政令で定める職員のうちに暴力団員等がある者であること。
暴力団員等がその事業活動を支配する者であること。
適確な経理 その他保全活動を適切に実施するために必要な能力を有すると認められないこと。
沿岸漁場管理団体は、沿岸漁場管理規程を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。
沿岸漁場管理規程には、次に掲げる事項を規定するものとする。
水産動植物の生育環境の保全 又は改善の目標
保全活動の実施に関し 遵守すべき事項
保全活動に従事する者(第八号において「活動従事者」という。)のうち保全沿岸漁場において漁業を営む者 及びその他の者の役割分担 その他保全活動の円滑な実施の確保に関する事項
保全活動により保全沿岸漁場において漁業を営む者その他の者が受けると見込まれる利益の内容 及び程度
前号の利益を受けることが見込まれる者の範囲
保全活動に要する費用の見込みに関する事項(当該費用の一部の負担について前号の者(活動従事者を除く。以下この節において「受益者」という。)に協力を求めようとするときは、その額 及び算定の根拠 並びに使途を含む。)
前各号に掲げるもののほか、保全活動に関する事項であつて農林水産省令で定めるもの
沿岸漁場管理団体は、沿岸漁場管理規程を変更しようとするときは、都道府県知事の認可を受けなければならない。
第一項 又は前項の認可の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、沿岸漁場管理規程の内容が次の各号のいずれにも該当するときは、認可をしなければならない。
保全活動を効果的かつ効率的に行う上で的確であると認められるものであること。
受益者に第二項第八号の協力(第百十三条 及び第百十四条において単に「協力」という。)を求めようとするときは、その額が利益の内容 及び程度に照らして妥当なものであること。
都道府県知事は、第一項 又は第三項の認可をしたときは、沿岸漁場管理団体の名称 その他の農林水産省令で定める事項を公示しなければならない。
沿岸漁場管理団体は、沿岸漁場管理規程に基づいて保全活動を行うものとする。
沿岸漁場管理団体は、農林水産省令で定めるところにより、保全活動の実施状況、収支状況 その他の農林水産省令で定める事項を都道府県知事に報告しなければならない。
都道府県知事は、保全活動の実施状況、収支状況 その他の農林水産省令で定める事項を海区漁業調整委員会に報告するとともに、公表するものとする。
沿岸漁場管理団体は、保全活動の実施に当たり、受益者の協力が得られないときは、都道府県知事に対し、当該協力を得るために必要なあつせんをすべきことを求めることができる。
都道府県知事は、前項の規定によりあつせんを求められた場合において、当該受益者の協力が特に必要であると認めるときは、あつせんをするものとする。
前条第二項のあつせんを受けたにもかかわらず、なお受益者の協力が得られないことにより沿岸漁場管理団体が保全活動を実施する上で支障が生じている場合において、第六十四条第一項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定により沿岸漁場管理団体がその支障の除去に関する意見を述べたときは、都道府県知事は、海区漁場計画を定め、又は変更するに当たり、当該意見を尊重するものとする。
都道府県知事は、前条第二項のあつせんをしたにもかかわらず、なお受益者(保全沿岸漁場において漁業を営む者に限る。)の協力が得られないことにより沿岸漁場管理団体が保全活動を実施する上で支障が生じていると認めるときは、第五十八条において準用する第四十四条第一項 若しくは第二項の規定 又は第八十六条第一項、第九十三条第一項 若しくは第百十九条第一項 若しくは第二項の規定により必要な措置を講ずるものとする。
沿岸漁場管理団体は、都道府県知事の認可を受けなければ、沿岸漁場管理規程に基づく保全活動の全部 又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
都道府県知事が前項の規定により保全活動の全部の廃止を認可したときは、当該沿岸漁場管理団体の指定は、その効力を失う。
都道府県知事は、第一項の認可をしたときは、その旨を公示しなければならない。
都道府県知事は、沿岸漁場管理団体が保全活動を適切に行つておらず、又は第百九条第二項の規定により付けた条件を遵守していないと認めるときは、当該沿岸漁場管理団体に対して、保全活動を適切に行うべき旨 又は当該条件を遵守すべき旨を勧告するものとする。
都道府県知事は、沿岸漁場管理団体が第百十条に規定する適格性を有する者でなくなつたときは、その指定を取り消さなければならない。
都道府県知事は、第一項の規定による勧告を受けた沿岸漁場管理団体がその勧告に従わないときは、その指定を取り消すことができる。
前二項の場合には、第八十九条第三項から第七項までの規定を準用する。
第五節 補則
漁業権 並びにこれを目的とする先取特権、抵当権 及び入漁権の設定、取得、保存、移転、変更、消滅 及び処分の制限 並びに第九十二条第二項 又は第九十三条第一項の規定による漁業権の行使の停止 及びその解除は、免許漁業原簿に登録する。
前項の規定による登録は、登記に代わるものとする。
第二十条第二項から第四項までの規定は、免許漁業原簿について準用する。
前三項に規定するもののほか、第一項の規定による登録に関して必要な事項は、政令で定める。
裁判所の土地の管轄が不動産所在地によつて定まる場合には、漁場に最も近い沿岸の属する市町村を不動産所在地とみなす。
第五章 漁業調整に関するその他の措置
農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁業調整のため、特定の種類の水産動植物であつて農林水産省令 若しくは規則で定めるものの採捕を目的として営む漁業 若しくは特定の漁業の方法であつて農林水産省令 若しくは規則で定めるものにより営む漁業(水産動植物の採捕に係るものに限る。)を禁止し、又はこれらの漁業について、農林水産省令 若しくは規則で定めるところにより、農林水産大臣 若しくは都道府県知事の許可を受けなければならないこととすることができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁業調整のため、次に掲げる事項に関して必要な農林水産省令 又は規則を定めることができる。
水産動植物の採捕 又は処理に関する制限 又は禁止(前項の規定により漁業を営むことを禁止すること 及び農林水産大臣 又は都道府県知事の許可を受けなければならないこととすることを除く。)
水産動植物 若しくはその製品の販売 又は所持に関する制限 又は禁止
前項の規定による農林水産省令 又は規則には、必要な罰則を設けることができる。
前項の罰則に規定することができる罰は、農林水産省令にあつては二年以下の懲役、五十万円以下の罰金、拘留 若しくは科料 又はこれらの併科、規則にあつては六月以下の懲役、十万円以下の罰金、拘留 若しくは科料 又はこれらの併科とする。
第二項の規定による農林水産省令 又は規則には、犯人が所有し、又は所持する漁獲物、その製品、漁船 及び漁具 その他水産動植物の採捕 又は養殖の用に供される物の没収 並びに犯人が所有していたこれらの物件の全部 又は一部を没収することができない場合におけるその価額の追徴に関する規定を設けることができる。
農林水産大臣は、第一項 及び第二項の農林水産省令を制定し、又は改廃しようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、第一項 及び第二項の規則を制定し、又は改廃しようとするときは、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
都道府県知事は、第一項 及び第二項の規則を制定し、又は改廃しようとするときは、関係海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会は、水産動植物の繁殖保護を図り、漁業権(第六十条第一項に規定する漁業権をいう。以下同じ。)又は入漁権(同条第七項に規定する入漁権をいう。次条第一項において同じ。)の行使を適切にし、漁場の使用に関する紛争の防止 又は解決を図り、その他漁業調整のために必要があると認めるときは、関係者に対し、水産動植物の採捕に関する制限 又は禁止、漁業者の数に関する制限、漁場の使用に関する制限 その他必要な指示をすることができる。
前項の規定による海区漁業調整委員会の指示が同項の規定による連合海区漁業調整委員会の指示に抵触するときは、当該海区漁業調整委員会の指示は、抵触する範囲においてその効力を有しない。
都道府県知事は、海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会に対し、第一項の指示について必要な指示をすることができる。
この場合には、都道府県知事は、あらかじめ、農林水産大臣に当該指示の内容を通知するものとする。
第一項の場合において、都道府県知事は、その指示が妥当でないと認めるときは、その全部 又は一部を取り消すことができる。
第一項の規定による指示については、第八十六条第三項の規定を準用する。
この場合において、
同項中
「都道府県知事」とあるのは、
「海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会」と
読み替えるものとする。
前項において準用する第八十六条第三項の規定による指示に従つてされた第一項の指示については、第四項の規定は適用しない。
農林水産大臣は、第五項において準用する第八十六条第三項の規定により指示をしようとするときは、あらかじめ、関係都道府県知事に当該指示の内容を通知しなければならない。
ただし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十条の六第一項の規定による通知をした場合は、この限りでない。
第一項の指示を受けた者がこれに従わないときは、海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会は、都道府県知事に対して、その者に当該指示に従うべきことを命ずべき旨を申請することができる。
都道府県知事は、前項の申請を受けたときは、その申請に係る者に対して、異議があれば一定の期間内に申し出るべき旨を催告しなければならない。
前項の期間は、十五日を下ることができない。
第九項の場合において、同項の期間内に異議の申出がないとき 又は異議の申出に理由がないときは、都道府県知事は、第八項の申請に係る者に対し、第一項の指示に従うべきことを命ずることができる。
都道府県知事が前項の規定による命令をしない場合には、第八十六条第三項の規定を準用する。
広域漁業調整委員会は、都道府県の区域を超えた広域的な見地から、水産動植物の繁殖保護を図り、漁業権 又は入漁権(第百八十三条の規定により農林水産大臣が自ら都道府県知事の権限を行う漁場に係る漁業権 又は入漁権に限る。)の行使を適切にし、漁場(同条の規定により農林水産大臣が自ら都道府県知事の権限を行うものに限る。)の使用に関する紛争の防止 又は解決を図り、その他漁業調整のために必要があると認めるときは、関係者に対し、水産動植物の採捕に関する制限 又は禁止、漁業者の数に関する制限、漁場の使用に関する制限 その他必要な指示をすることができる。
前条第一項の規定による海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会の指示が前項の規定による広域漁業調整委員会の指示に抵触するときは、当該海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会の指示は、抵触する範囲においてその効力を有しない。
農林水産大臣は、広域漁業調整委員会に対し、第一項の指示について必要な指示をすることができる。
第一項の規定による指示については、前条第四項 及び第八項から第十一項までの規定を準用する。
この場合において、
同条第四項、第八項、第九項 及び第十一項中
「都道府県知事」とあるのは
「農林水産大臣」と、
同条第八項中
「海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会」とあるのは
「広域漁業調整委員会」と
読み替えるものとする。
都道府県知事は、漁業者、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会に対して、漁場の標識の建設 又は漁具 その他水産動植物の採捕 若しくは養殖の用に供される物の標識の設置を命ずることができる。
公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面 又は第四条の水面に通ずるものには、命令をもつて第百十九条の規定 及びこれに係る罰則を適用することができる。
漁業者は、漁獲割当管理区分以外の管理区分(第七条第二項に規定する管理区分をいう。)における特定水産資源 又は特定水産資源以外の水産資源の保存 及び管理に関して、協定を締結し、農林水産省令の定めるところにより、農林水産大臣 又は都道府県知事に提出して、当該協定が適当である旨の認定を受けることができる。
前項の協定(以下この章において単に「協定」という。)においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
協定の対象となる水域 並びに水産資源の種類 及び漁業の種類
協定の対象となる種類の水産資源の保存 及び管理の方法
その他農林水産省令で定める事項
農林水産大臣 又は都道府県知事は、前条第一項の認定の申請に係る協定の内容が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、同項の認定をするものとする。
資源管理基本方針 又は都道府県資源管理方針に照らして適当なものであること。
この法律 及びこの法律に基づく命令 その他関係法令に違反するものでないこと。
特定水産資源を対象とする協定にあつては、当該特定水産資源に係る大臣管理漁獲可能量 又は知事管理漁獲可能量を超えないように漁獲量の管理を行うために効果的なものであると認められるものであること。
特定水産資源以外の水産資源を対象とする協定にあつては、この法律 及びこの法律に基づく命令 その他関係法令により漁業者が遵守しなければならない措置以外に当該水産資源の保存 及び管理に効果的と認められる措置が定められていること。
その他農林水産省令で定める基準を満たしていること。
前項に規定するもののほか、協定の認定(協定の変更の認定を含む。)及びその取消し 並びに協定の廃止に関し必要な事項は、政令で定める。
第百二十四条第一項の認定を受けた協定(以下この条 及び次条において「認定協定」という。)に参加している者は、認定協定の対象となる水域において認定協定の対象となる種類の水産資源について認定協定の対象となる種類の漁業を営む者であつて認定協定に参加していないものに対し認定協定を示して参加を求めた場合においてその参加を承諾しない者があるときは、農林水産省令で定めるところにより、同項の認定をした農林水産大臣 又は都道府県知事に対し、その者の承諾を得るために必要なあつせんをすべきことを求めることができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、前項の規定による申請があつた場合において、認定協定に参加していない者の認定協定への参加が前条第一項の規定に照らして相当であり、かつ、認定協定の内容からみてその者に対し参加を求めることが特に必要であると認めるときは、あつせんをするものとする。
認定協定に参加している者は、その数が認定協定の対象となる水域において認定協定の対象となる水産資源について認定協定の対象となる種類の漁業を営む者の全ての数の三分の二以上であつて農林水産省令で定める割合を超えていること その他の農林水産省令で定める基準に該当するときは、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣 又は都道府県知事に対し、認定協定の目的を達成するために必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、前項の規定による申出があつた場合において、資源管理のために必要があると認めるときは、その申出の内容を勘案して、第四十四条第一項 若しくは第二項(これらの規定を第五十八条において準用する場合を含む。)、第五十五条第一項、第八十六条第一項 若しくは第三項、第九十三条第一項 若しくは第四項 又は第百十九条第一項 若しくは第二項の規定により必要な措置を講ずるものとする。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、認定協定に参加している者に対し、認定協定の実施状況について報告を求めることができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、所部の職員の中から漁業監督官 又は漁業監督吏員を命じ、漁業に関する法令の励行に関する事務をつかさどらせる。
漁業監督官の資格について必要な事項は、政令で定める。
漁業監督官 又は漁業監督吏員は、必要があると認めるときは、漁場、船舶、事業場、事務所、倉庫 その他の場所に臨んでその状況 若しくは帳簿書類 その他の物件を検査し、又は関係者に対し質問をすることができる。
漁業監督官 又は漁業監督吏員がその職務を行う場合には、その身分を証明する証票を携帯し、要求があるときはこれを提示しなければならない。
漁業監督官 及び漁業監督吏員であつてその所属する官公署の長がその者の主たる勤務地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正と協議をして指名したものは、漁業に関する罪に関し、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員として職務を行う。
農林水産大臣は、捜査上特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、特定の事件につき、当該都道府県の漁業監督吏員を漁業監督官に協力させるべきことを求めることができる。
この場合においては、当該漁業監督吏員は、捜査に必要な範囲において、農林水産大臣の指揮監督を受けるものとする。
都道府県知事は、捜査上特に必要があると認めるときは、農林水産大臣に対し、特定の事件につき、漁業監督官の協力を申請することができる。
この場合においては、農林水産大臣は、適当と認めるときは、当該漁業監督官を協力させるものとする。
漁業監督吏員は、前条に規定する場合のほか、捜査のため必要がある場合において、農林水産大臣の許可を受けたときは、当該都道府県の区域外においても、その職務を行うことができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁業者 その他水産動植物を採捕し、又は養殖する者が漁業に関する法令の規定 又はこれらの規定に基づく処分に違反する行為をしたと認めるとき(第二十七条 及び第三十四条に規定する場合を除く。)は、当該行為をした者が使用する船舶について停泊港 及び停泊期間を指定して停泊を命じ、又は当該行為に使用した漁具 その他水産動植物の採捕 若しくは養殖の用に供される物について期間を指定してその使用の禁止 若しくは陸揚げを命ずることができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、前項の規定による処分(第二十五条第一項の規定に違反する行為に係るものを除く。)をしようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
第一項の規定による処分に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
何人も、特定水産動植物(財産上の不正な利益を得る目的で採捕されるおそれが大きい水産動植物であつて当該目的による採捕が当該水産動植物の生育 又は漁業の生産活動に深刻な影響をもたらすおそれが大きいものとして農林水産省令で定めるものをいう。次項第四号 及び第百八十九条において同じ。)を採捕してはならない。
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
漁獲割当管理区分において年次漁獲割当量設定者がその設定を受けた年次漁獲割当量の範囲内において採捕する場合
第三十六条第一項、第五十七条第一項、第八十八条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)又は第百十九条第一項の規定による許可を受けた者が当該許可に基づいて漁業を営む場合
漁業権 又は組合員行使権を有する者がこれらの権利に基づいて漁業を営む場合
前三号に掲げる場合のほか、当該特定水産動植物の生育 及び漁業の生産活動への影響が軽微な場合として農林水産省令で定める場合
国は、漁業調整の円滑な実施を確保するため、水産資源の状況 及び当該水産資源の採捕の状況に照らし、当該水産資源の採捕に使用される船舶の数 又は操業日数の削減 その他の漁業者による漁獲努力量(第七条第三項に規定する漁獲努力量をいう。)の調整を図るために必要な措置を講ずるものとする。
第六章 漁業調整委員会等
第一節 総則
漁業調整委員会は、海区漁業調整委員会、連合海区漁業調整委員会 及び広域漁業調整委員会とする。
海区漁業調整委員会は都道府県知事の監督に、連合海区漁業調整委員会はその設置された海区を管轄する都道府県知事の監督に、広域漁業調整委員会は農林水産大臣の監督に属する。
漁業調整委員会は、その設置された海区 又は海域の区域内における漁業に関する事項を処理する。
第二節 海区漁業調整委員会
海区漁業調整委員会は、海面につき農林水産大臣が定める海区に置く。
農林水産大臣は、前項の規定により海区を定めたときは、これを公示する。
海区漁業調整委員会は、委員をもつて組織する。
海区漁業調整委員会に会長を置く。
会長は、委員が互選する。
ただし、委員が会長を互選することができないときは、都道府県知事が委員の中からこれを選任する。
海区漁業調整委員会は、その所掌事務を行うにつき会長を不適当と認めるときは、その決議によりこれを解任することができる。
都道府県知事は、専門の事項を調査審議させるために必要があると認めるときは、委員会に専門委員を置くことができる。
専門委員は、学識経験がある者の中から、都道府県知事が選任する。
委員会には、書記 又は補助員を置くことができる。
委員は、漁業に関する識見を有し、海区漁業調整委員会の所掌に属する事項に関し その職務を適切に行うことができる者のうちから、都道府県知事が、議会の同意を得て、任命する。
委員の定数は、十五人(農林水産大臣が指定する海区に設置される海区漁業調整委員会にあつては、十人)とする。
ただし、十人から二十人までの範囲内において、条例でその定数を増加し、又は減少することができる。
前項の定数の変更は、委員の任期満了の場合でなければ、行うことができない。
次の各号のいずれかに該当する者は、委員となることができない。
年齢満十八年未満の者
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで 又はその執行を受けることがなくなるまでの者
都道府県知事は、第一項の規定による委員の任命に当たつては、海区漁業調整委員会が設置される海区に沿う市町村(海に沿わない市町村であつて、当該海区において漁業を営み、又はこれに従事する者が相当数 その区域内に住所 又は事業場を有していること その他の特別の事由によつて農林水産大臣が指定したものを含む。)の区域内に住所 又は事業場を有する漁業者 又は漁業従事者(一年に九十日以上、漁船を使用する漁業を営み、又は漁業者のために漁船を使用して行う水産動植物の採捕 若しくは養殖に従事する者に限る。)が委員の過半数を占めるようにしなければならない。
この場合において、都道府県知事は、漁業者 又は漁業従事者が営み、又は従事する漁業の種類、操業区域 その他の農林水産省令で定める事項に著しい偏りが生じないように配慮しなければならない。
都道府県知事は、当該海区の特殊な事情により、当該海区漁業調整委員会の意見を聴いて、前項の漁業者 又は漁業従事者の範囲を拡張し、又は限定することができる。
都道府県知事は、第五項に定めるもののほか、第一項の規定による委員の任命に当たつては、資源管理 及び漁業経営に関する学識経験を有する者 並びに海区漁業調整委員会の所掌に属する事項に関し利害関係を有しない者が含まれるようにしなければならない。
都道府県知事は、第一項の規定による委員の任命に当たつては、委員の年齢 及び性別に著しい偏りが生じないように配慮しなければならない。
都道府県知事は、第百七十一条第一項ただし書の規定により内水面漁場管理委員会を置かない場合における第一項の規定による委員の任命に当たつては、第五項 及び第七項に定めるもののほか、内水面における漁業に関する識見を有する者が含まれるようにしなければならない。
都道府県知事は、前条第一項の規定により委員を任命しようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、漁業者、漁業者が組織する団体 その他の関係者に対し候補者の推薦を求めるとともに、委員になろうとする者の募集をしなければならない。
都道府県知事は、農林水産省令で定めるところにより、前項の規定による推薦を受けた者 及び同項の規定による募集に応募した者に関する情報を整理し、これを公表しなければならない。
都道府県知事は、前条第一項の規定による委員の任命に当たつては、第一項の規定による推薦 及び募集の結果を尊重しなければならない。
委員は、都道府県の議会の議員と兼ねることができない。
委員は、正当な事由があるときは、都道府県知事 及び海区漁業調整委員会の同意を得て辞任することができる。
委員は、第百三十八条第四項各号のいずれかに該当するに至つた場合には、その職を失う。
委員の任期は、四年とする。
補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
委員は、その任期が満了しても、後任の委員が就任するまでの間は、なおその職務を行う。
都道府県知事は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合 又は職務上の義務に違反した場合 その他委員たるに適しない非行があると認める場合には、議会の同意を得て、これを罷免することができる。
委員は、前項の場合を除き、その意に反して罷免されることがない。
海区漁業調整委員会は、定員の過半数に当たる委員が出席しなければ、会議を開くことができない。
議事は、出席委員の過半数で決する。
可否同数のときは、会長の決するところによる。
海区漁業調整委員会の会議は、公開する。
会長は、農林水産省令で定めるところにより、議事録を作成し、これをインターネットの利用 その他の適切な方法により公表しなければならない。
委員は、自己 又は同居の親族 若しくはその配偶者に関する事件については、議事に参与することができない。
ただし、海区漁業調整委員会の承認があつたときは、会議に出席し、発言することができる。
第三節 連合海区漁業調整委員会
都道府県知事は、必要があると認めるときは、特定の目的のために、二以上の海区の区域を合した海区に連合海区漁業調整委員会を置くことができる。
農林水産大臣は、必要があると認めるときは、都道府県知事に対して、連合海区漁業調整委員会を設置すべきことを勧告することができる。
この場合には、都道府県知事は、当該勧告を尊重しなければならない。
都道府県知事が第一項の規定により連合海区漁業調整委員会を置こうとする場合において、その海区の一部が他の都道府県知事の管轄に属するときは、当該都道府県知事と協議しなければならない。
海区漁業調整委員会は、必要があると認めるときは、特定の目的のために、他の海区漁業調整委員会と協議して、その区域と当該他海区漁業調整委員会の区域とを合した海区に連合海区漁業調整委員会を置くことができる。
前項の協議が調わないときは、海区漁業調整委員会は、これを監督する都道府県知事に対して、これに代わるべき定めをすべきことを申請することができる。
この場合において、各海区漁業調整委員会を監督する都道府県知事が異なるときは、その協議によつて定める。
第三項 又は前項の協議が調わないときは、都道府県知事は、農林水産大臣に対して、これに代わるべき定めをすべきことを申請することができる。
前二項の規定により都道府県知事 又は農林水産大臣が定めをしたときは、その定めるところにより協議が調つたものとみなす。
連合海区漁業調整委員会は、委員をもつて組織する。
委員は、その海区の区域内に設置された各海区漁業調整委員会の委員の中からその定めるところにより選出された各同数の委員をもつて充てる。
ただし、海区漁業調整委員会の数が次項の規定による委員の定数を超える場合にあつては、各海区漁業調整委員会の委員の中から一人を選出し、その者が互選した者をもつて充てる。
委員の定数は、前条第一項に規定する場合にあつては、同条第三項に規定する場合を除き、都道府県知事が、同項に規定する場合にあつては各都道府県知事が協議して、同条第四項に規定する場合にあつては各海区漁業調整委員会が協議して定める。
前条第一項の規定により連合海区漁業調整委員会を設置した都道府県知事 又は同条第四項の規定により連合海区漁業調整委員会を設置した海区漁業調整委員会を監督する都道府県知事は、必要があると認めるときは、第二項の規定により選出される委員のほか、学識経験がある者の中から、その三分の二以下の人数を限り、委員を選任することができる。
前項の委員の選任については、前条第三項に規定する場合 及び同条第五項後段に規定する場合にあつては、当該都道府県知事と協議しなければならない。
第三項の海区漁業調整委員会の協議が調わないときは、前条第五項の規定を準用する。
第三項、第五項 又は前項において準用する前条第五項の都道府県知事の協議が調わないときは、同条第六項の規定を準用する。
前三項の場合には、前条第七項の規定を準用する。
前条第二項の規定により選出された委員の任期 及び解任に関して必要な事項は、各委員の属する海区漁業調整委員会の定めるところによる。
第百四十八条第二項の規定により選出された委員は、海区漁業調整委員会の委員でなくなつたときは、その職を失う。
第百三十七条第二項から第六項まで、第百四十一条、第百四十三条第三項 及び第百四十四条から第百四十六条までの規定は、連合海区漁業調整委員会に準用する。
この場合において、
第百三十七条第二項ただし書 及び第五項中
「都道府県知事が」とあるのは
「第百四十八条第四項の委員の選任方法に準じて」と、
第百四十一条 及び第百四十四条第一項中
「都道府県知事」とあるのは
「第百四十八条第四項に規定する都道府県知事」と、
同項中
「議会の同意を得て」とあるのは
「その選任方法に準じて」と
読み替えるものとする。
第四節 広域漁業調整委員会
太平洋に太平洋広域漁業調整委員会を、日本海・九州西海域に日本海・九州西広域漁業調整委員会を、瀬戸内海に瀬戸内海広域漁業調整委員会を置く。
前項の規定において「太平洋」、「日本海・九州西海域」又は「瀬戸内海」とは、我が国の排他的経済水域、領海 及び内水(内水面を除く。)のうち、それぞれ、太平洋の海域、日本海 及び九州の西側の海域 又は瀬戸内海の海域(これらに隣接する海域を含む。)で政令で定めるものをいう。
広域漁業調整委員会は、委員をもつて組織する。
太平洋広域漁業調整委員会の委員は、次に掲げる者をもつて充てる。
太平洋の区域内に設置された海区漁業調整委員会の委員が都道県ごとに互選した者
各一人
太平洋の区域内において漁業を営む者の中から農林水産大臣が選任した者
七人
学識経験がある者の中から農林水産大臣が選任した者
三人
日本海・九州西広域漁業調整委員会の委員は、次に掲げる者をもつて充てる。
日本海・九州西海域の区域内に設置された海区漁業調整委員会の委員が道府県ごとに互選した者
各一人
日本海・九州西海域の区域内において漁業を営む者の中から農林水産大臣が選任した者
七人
学識経験がある者の中から農林水産大臣が選任した者
三人
瀬戸内海広域漁業調整委員会の委員は、次に掲げる者をもつて充てる。
瀬戸内海の区域内に設置された海区漁業調整委員会の委員が府県ごとに互選した者
各一人
学識経験がある者の中から農林水産大臣が選任した者
三人
農林水産大臣は、広域漁業調整委員会の議決が法令に違反し、又は著しく不当であると認めるときは、理由を示してこれを再議に付することができる。
ただし、議決があつた日から一月を経過したときは、この限りでない。
農林水産大臣は、広域漁業調整委員会が議決を怠り、又はその議決が法令に違反し、若しくは著しく不当であると認めて水産政策審議会が請求したときは、その解散を命ずることができる。
前項の規定による農林水産大臣の解散命令を違法であるとしてその取消しを求める訴えは、当事者がその処分のあつたことを知つた日から一月以内に提起しなければならない。
この期間は、不変期間とする。
第百三十七条第二項から第六項まで、第百四十一条、第百四十三条から第百四十六条まで 及び第百五十条の規定は、広域漁業調整委員会に準用する。
この場合において、
第百三十七条第二項ただし書、第四項 及び第五項、第百四十一条 並びに第百四十四条第一項中
「都道府県知事」とあるのは
「農林水産大臣」と、
第百三十七条第二項中
「委員の」とあるのは
「太平洋広域漁業調整委員会にあつては第百五十三条第二項第三号の委員、日本海・九州西広域漁業調整委員会にあつては同条第三項第三号の委員、瀬戸内海広域漁業調整委員会にあつては同条第四項第二号の委員の」と、
第百四十四条第一項中
「委員が」とあるのは
「第百五十三条第二項第二号 及び第三号、同条第三項第二号 及び第三号 並びに同条第四項第二号の委員が」と、
「議会の同意を得て、これを」とあるのは
「これを」と、
第百五十条中
「第百四十八条第二項の規定により選出された」とあるのは
「第百五十三条第二項第一号、同条第三項第一号 又は同条第四項第一号の規定により互選した者をもつて充てられた」と
読み替えるものとする。
第五節 雑則
漁業調整委員会 又は水産政策審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するために必要があると認めるときは、漁業者、漁業従事者 その他関係者に対し その出頭を求め、若しくは必要な報告を徴し、又は委員 若しくは委員会 若しくは審議会の事務に従事する者をして漁場、船舶、事業場 若しくは事務所について所要の調査をさせることができる。
漁業調整委員会 又は水産政策審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するために必要があると認めるときは、その委員 又は委員会 若しくは審議会の事務に従事する者をして他人の土地に立ち入つて、測量し、検査し、又は測量 若しくは検査の障害になる物を移転し、若しくは除去させることができる。
農林水産大臣は、広域漁業調整委員会 及び水産政策審議会に対し、監督上必要な命令 又は処分をすることができる。
国は、漁業調整委員会(広域漁業調整委員会を除く。次項において同じ。)に関する費用の財源に充てるため、都道府県に対し、交付金を交付する。
農林水産大臣は、前項の規定による都道府県への交付金の交付については、各都道府県の海区の数、海面において漁業を営む者の数 及び海岸線の長さを基礎とし、海面の利用の状況 その他の各都道府県における漁業調整委員会の運営に関する特別の事情を考慮して政令で定める基準に従つて決定しなければならない。
この章に規定するもののほか、漁業調整委員会に関して必要な事項は、政令で定める。
第七章 土地及び土地の定着物の使用
漁業者、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、次に掲げる目的のために必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、他人の土地を使用し、又は立木竹 若しくは土石の除去を制限することができる。
この場合において、都道府県知事は、当該土地、立木竹 又は土石につき所有権 その他の権利を有する者にその旨を通知し、かつ、公告するものとする。
魚見 若しくは漁業に関する信号 又はこれに必要な設備の建設
漁業者は、必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、特別の用途のない他人の土地に立ち入つて漁業を営むことができる。
漁業に関する測量、実地調査 又は前二条の目的のために必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、他人の土地に立ち入り、又は支障となる木竹を伐採し、その他障害物を除去することができる。
前三条の行為をする者は、あらかじめその旨を土地の所有者 又は占有者に通知し、かつ、これによつて生じた損失を補償しなければならない。
前項の場合には、第百七十七条第二項、第十一項 及び第十二項の規定を準用する。
この場合において、
同条第二項中
「前項」とあるのは
「第百六十四条第一項」と、
「同項各号に規定する処分 又は」とあるのは
「第百六十一条から第百六十三条までの」と、
同条第十一項中
「第一項第二号 又は第三号」とあるのは
「第百六十一条から第百六十三条まで」と、
「国」とあるのは
「第百六十一条から第百六十三条までの行為をする者」と
読み替えるものとする。
漁業者、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、土地 又は土地の定着物が海草乾場、船揚場、漁舎 その他漁業上の施設として利用することが必要かつ適当であつて他のものをもつて代えることが著しく困難であるときは、都道府県知事の認可を受けて、当該土地 又は当該定着物の所有者 その他これに関して権利を有する者に対し、これを使用する権利(次条において「使用権」という。)の設定に関する協議を求めることができる。
前項の認可の申請があつたときは、都道府県知事は、同項の土地 又は土地の定着物の所有者 その他これに関して権利を有する者、同項の認可を受けようとする者 及び海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、第一項の認可をしたときは、その旨を土地 又は土地の定着物の所有者 その他これに関して権利を有する者に通知しなければならない。
前項の通知を受けた後は、土地 又は土地の定着物の所有者 その他これに関して権利を有する者は、第一項の協議が調うまでは、使用の目的たる漁業に支障を及ぼすおそれがない場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければ、当該土地の形質を変更し、又は当該定着物を損壊し、若しくは収去することができない。
ただし、その協議が調わない場合において、次条第一項ただし書の期間内に同項の裁定の申請がないときは、この限りでない。
前項の許可の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
前条第一項の場合において、協議が調わず、又は協議をすることができないときは、同項の認可を受けた者は、使用権の設定に関する海区漁業調整委員会の裁定を申請することができる。
ただし、同項の認可を受けた日から二月を経過したときは、この限りでない。
前項の規定による裁定の申請があつたときは、海区漁業調整委員会は、当該申請に係る土地 又は土地の定着物の所有者 その他これに関して権利を有する者にその旨を通知し、かつ、これを公示しなければならない。
第一項の規定による裁定の申請に係る土地 又は土地の定着物の所有者その他これに関して権利を有する者は、前項の公示の日から二週間以内に海区漁業調整委員会に意見書を差し出すことができる。
裁定の申請に係る土地 又は土地の定着物の所有者は、前項の意見書において、海区漁業調整委員会に対し、当該土地 若しくは当該定着物の使用が三年以上にわたり、又は当該土地 若しくは当該定着物の形質の変更を来すような使用権の設定をすべき旨の裁定をしようとする場合には、これに代えて、当該土地 又は当該定着物を買い取るべき旨の裁定をすべきことを申請することができる。
裁定の申請に係る土地の上に定着物を有する者は、第三項の意見書において、海区漁業調整委員会に対し、使用権を設定すべき旨の裁定をしようとする場合には当該工作物の移転料に関する裁定をすべきことを申請することができる。
ただし、当該工作物が前条第三項の通知があつた後に設置されたものであるときは、この限りでない。
海区漁業調整委員会は、第三項の期間を経過した後に審議を開始しなければならない。
裁定は、その申請の範囲を超えることができない。
海区漁業調整委員会は、土地 若しくは土地の定着物の使用が三年以上にわたり、又は土地 若しくは土地の定着物の形質の変更を来すような使用権の設定をすべき旨の裁定をしようとする場合において第四項の申請があつたときは、これに代えて、当該土地 又は当該定着物を買い取るべき旨の裁定をしなければならない。
海区漁業調整委員会は、使用権を設定すべき旨の裁定をしようとする場合において第五項の申請があつたときは、当該工作物の移転料に関する裁定をしなければならない。
使用権を設定すべき旨の裁定 又は買い取るべき旨の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
使用権を設定すべき土地 若しくは土地の定着物並びに設定すべき使用権の内容 及び存続期間又は買い取るべき土地 若しくは土地の定着物
対価 並びにその支払の方法 及び時期
第五項の申請があつた場合においては移転料 並びにその支払方法 及び時期
海区漁業調整委員会は、裁定をしたときは、遅滞なく、その旨を当該土地 又は当該定着物の所有者 その他これに関して権利を有する者に通知し、かつ、これを公示しなければならない。
前項の公示があつたときは、裁定の定めるところにより当事者間に協議が調つたものとみなす。
民法第六百十二条の規定は、前項の場合には適用しない。
第一項 若しくは第四項の裁定において定める使用権の設定 若しくは買取りの対価 又は第五項の裁定において定める移転料の額に不服がある者は、第十一項の公示の日から六月以内に訴えをもつてその増減を請求することができる。
前項の訴えにおいては、申請者 又は当該土地 若しくは当該定着物の所有者 その他これに関して権利を有する者を被告とする。
漁業者、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が第百六十五条第一項の土地 又は土地の定着物を漁業に使用するため貸付けを受けている場合において経済事情の変動 その他事情の変更によりその契約の内容が適正でなくなつたと認めるときは、当事者は、海区漁業調整委員会に対して、当該貸付契約の内容の変更 又は解除に関する裁定を申請することができる。
前項の申請があつた場合には、前条第二項、第三項、第六項 及び第七項の規定を準用する。
第一項の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
変更に関する裁定の申請の場合にあつては、変更するかどうか、変更する場合はその内容 及び変更の時期
解除に関する裁定の申請の場合にあつては、解除するかどうか、解除する場合は解除の時期
前項の裁定があつた場合には、前条第十一項、第十二項、第十四項 及び第十五項の規定を準用する。
第八章 内水面漁業
内水面における第五種共同漁業(第六十条第五項第五号に掲げる第五種共同漁業をいう。次条第一項 及び第百七十条第一項において同じ。)は、当該内水面が水産動植物の増殖に適しており、かつ、当該漁業の免許を受けた者が当該内水面において水産動植物の増殖をする場合でなければ、免許してはならない。
都道府県知事は、内水面における第五種共同漁業の免許を受けた者が当該内水面における水産動植物の増殖を怠つていると認めるときは、内水面漁場管理委員会(第百七十一条第一項ただし書の規定により内水面漁場管理委員会を置かない都道府県にあつては、同条第四項ただし書の規定により当該都道府県の知事が指定する海区漁業調整委員会。次条第四項 及び第六項において同じ。)の意見を聴いて増殖計画を定め、その者に対し 当該計画に従つて水産動植物を増殖すべきことを命ずることができる。
前項の規定による命令を受けた者がその命令に従わないときは、都道府県知事は、当該漁業権を取り消さなければならない。
前項の場合には、第八十九条第三項から第七項までの規定を準用する。
農林水産大臣は、内水面における水産動植物の増殖のため特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定による命令をすべきことを指示し、又は当該命令に係る殖計画を変更すべきことを指示することができる。
内水面における第五種共同漁業の免許を受けた者は、当該漁場の区域においてその組合員(漁業協同組合連合会にあつては、その会員たる漁業協同組合の組合員)以外の者のする水産動植物の採捕(次項 及び第五項において「遊漁」という。)について制限をしようとするときは、遊漁規則を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。
前項の遊漁規則(以下この条において単に「遊漁規則」という。)には、次に掲げる事項を規定するものとする。
遊漁料の額 及びその納付の方法
その他農林水産省令で定める事項
遊漁規則を変更しようとするときは、都道府県知事の認可を受けなければならない。
第一項 又は前項の認可の申請があつたときは、都道府県知事は、内水面漁場管理委員会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、遊漁規則の内容が次の各号のいずれにも該当するときは、認可をしなければならない。
遊漁を不当に制限するものでないこと。
遊漁料の額が当該漁業権に係る水産動植物の増殖 及び漁場の管理に要する費用の額に比して妥当なものであること。
都道府県知事は、遊漁規則が前項各号のいずれかに該当しなくなつたと認めるときは、内水面漁場管理委員会の意見を聴いて、その変更を命ずることができる。
都道府県知事は、第一項 又は第三項の認可をしたときは、漁業権者の名称 その他の農林水産省令で定める事項を公示しなければならない。
遊漁規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
その変更についても、同様とする。
都道府県に内水面漁場管理委員会を置く。
ただし、その区域内に存する内水面における水産動植物の採捕、養殖 及び増殖の規模が著しく小さい都道府県(海区漁業調整委員会を置くものに限る。)で政令で定めるものにあつては、都道府県知事は、当該都道府県に内水面漁場管理委員会を置かないことができる。
内水面漁場管理委員会は、都道府県知事の監督に属する。
内水面漁場管理委員会は、当該都道府県の区域内に存する内水面における水産動植物の採捕、養殖 及び増殖に関する事項を処理する。
この法律の規定による海区漁業調整委員会の権限は、内水面における漁業に関しては、内水面漁場管理委員会が行う。
ただし、第一項ただし書の規定により内水面漁場管理委員会を置かない都道府県にあつては、当該都道府県の知事が指定する海区漁業調整委員会が行う。
内水面漁場管理委員会は、委員をもつて組織する。
委員は、当該都道府県の区域内に存する内水面において漁業を営む者を代表すると認められる者、当該内水面において水産動植物の採捕、養殖 又は増殖をする者(漁業を営む者を除く。)を代表すると認められる者及び学識経験がある者の中から都道府県知事が選任した者をもつて充てる。
前項の規定により選任される委員の定数は、十人とする。
ただし、農林水産大臣は、必要があると認めるときは、特定の内水面漁場管理委員会について別段の定数を定めることができる。
第百三十七条第二項から第六項まで、第百三十八条第四項、第百四十条から第百四十六条まで、第百五十七条、第百五十九条 及び第百六十条の規定は、内水面漁場管理委員会に準用する。
この場合において、
第百四十四条第一項中
「議会の同意を得て、これを」とあるのは
「これを」と、
第百五十九条第二項中
「各都道府県の海区の数、海面において漁業を営む者の数 及び海岸線の長さを基礎とし、海面」とあるのは
「政令で定めるところにより算出される額を均等に交付するほか、各都道府県の内水面組合(水産業協同組合法第十八条第二項の内水面組合をいう。)の組合員の数 及び河川の延長を基礎とし、内水面」と
読み替えるものとする。
第九章 雑則
国 及び都道府県は、この法律の運用に当たつては、漁業 及び漁村が、海面 及び内水面における環境の保全、海上における不審な行動の抑止 その他の多面にわたる機能を有していることに鑑み、当該機能が将来にわたつて適切かつ十分に発揮されるよう、漁業者 及び漁業協同組合 その他漁業者団体の漁業に関する活動が健全に行われ、並びに漁村が活性化するように十分配慮するものとする。
この法律 又はこの法律に基づく命令の規定により、農林水産大臣に対して漁業に関して申請をする者は、農林水産省令の定めるところにより、手数料を納めなければならない。
前項の手数料の額は、実費を勘案して農林水産省令で定める。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、この法律 又はこの法律に基づく命令に規定する事項を処理するために必要があると認めるときは、漁業に関して必要な報告を徴し、又は当該職員をして漁場、船舶、事業場 若しくは事務所に臨んでその状況 若しくは帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、この法律 又はこの法律に基づく命令に規定する事項を処理するために必要があると認めるときは、当該職員をして他人の土地に立ち入つて、測量し、検査し、又は測量 若しくは検査の障害となる物を移転し、若しくは除去させることができる。
前二項の規定により当該職員がその職務を行う場合には、その身分を証明する証票を携帯し、要求があるときはこれを提示しなければならない。
国は、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に規定する処分 又は行為によつて生じた損失をそれぞれ当該各号に定める者に補償しなければならない。
農林水産大臣が第五十五条第一項の規定により第三十六条第一項の許可 又は第三十八条の起業の認可を変更し、取り消し、又はその効力の停止を命じた場合
これらの処分を受けた者
広域漁業調整委員会 又は水産政策審議会が第百五十七条第二項の規定によりその委員 又は委員会 若しくは審議会の事務に従事する者をして他人の土地に立ち入つて、測量し、検査し、又は測量 若しくは検査の障害になる物を移転し、若しくは除去させた場合
当該土地の所有者 又は占有者
農林水産大臣が前条第二項の規定により当該職員をして他人の土地に立ち入つて、測量し、検査し、又は測量 若しくは検査の障害になる物を移転し、若しくは除去させた場合
当該土地の所有者 又は占有者
前項の規定により補償すべき損失は、同項各号に規定する処分 又は行為によつて通常生ずべき損失とする。
第一項の規定により補償すべき金額は、農林水産大臣が決定する。
この場合において、農林水産大臣は、同項第二号に規定する行為に係る補償にあつては、当該行為をさせた広域漁業調整委員会 又は水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
前項の金額に不服がある者は、その決定の通知を受けた日から六月以内に、訴えをもつてその増額を請求することができる。
前項の訴えにおいては、国を被告とする。
第一項第一号に規定する処分によつて利益を受ける者があるときは、国は、その者に対し、同項の規定により補償すべき金額の全部 又は一部を負担させることができる。
前項の場合には、第三項前段、第四項 及び第五項の規定を準用する。
この場合において、
第四項中
「増額」とあるのは、
「減額」と
読み替えるものとする。
第六項の規定により負担させる金額は、国税滞納処分の例によつて徴収することができる。
ただし、先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。
農林水産大臣は、第六項の規定による処分をしようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
第六項の規定による処分に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
第一項第二号 又は第三号の土地について先取特権 又は抵当権があるときは、国は、当該先取特権 又は抵当権を有する者から供託をしなくてもよい旨の申出がある場合を除き、その補償金を供託しなければならない。
前項の先取特権 又は抵当権を有する者は、同項の規定により供託した補償金に対してその権利を行うことができる。
都道府県は、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に規定する処分 又は行為によつて生じた損失をそれぞれ当該各号に定める者に補償しなければならない。
都道府県知事が第八十八条第四項(同条第五項において準用する場合を含む。)において準用する第九十三条第一項の規定により第八十八条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の許可を変更し、取り消し、又はその効力の停止を命じた場合
これらの処分を受けた者
都道府県知事が第九十三条第一項の規定により漁業権を変更し、取り消し、又はその行使の停止を命じた場合
これらの処分を受けた者
海区漁業調整委員会 若しくは連合海区漁業調整委員会 又は内水面漁場管理委員会が第百五十七条第二項(第百七十三条において準用する場合を含む。)の規定によりその委員 又は委員会の事務に従事する者をして他人の土地に立ち入つて、測量し、検査し、又は測量 若しくは検査の障害になる物を移転し、若しくは除去させた場合 当該土地の所有者 又は占有者
都道府県知事が前条第二項の規定により当該職員をして他人の土地に立ち入つて、測量し、検査し、又は測量 若しくは検査の障害になる物を移転し、若しくは除去させた場合
当該土地の所有者 又は占有者
第二項から第八項まで、第十一項 及び第十二項の規定は、前項の規定により都道府県が損失を補償しなければならない場合について準用する。
この場合において、
第二項中
「前項」とあり、
及び第三項中
「第一項」とあるのは
「第十三項」と、
同項中
「農林水産大臣」とあるのは
「都道府県知事」と、
「同項第二号」とあるのは
「同項第一号 及び第二号に規定する処分に係る補償にあつては海区漁業調整委員会の意見を、同項第三号」と、
「広域漁業調整委員会 又は水産政策審議会の意見を」とあるのは
「海区漁業調整委員会 若しくは連合海区漁業調整委員会 又は内水面漁場管理委員会の意見を、それぞれ」と、
第五項中
「国」とあるのは
「都道府県」と、
第六項中
「第一項第一号」とあるのは
「第十三項第一号 又は第二号」と、
「国」とあるのは
「都道府県」と、
第七項中
「第五項」とあるのは
「第五項 並びに第八十九条第三項から第七項まで」と、
第八項中
「国税滞納処分」とあるのは
「地方税の滞納処分」と、
第十一項中
「第一項第二号 又は第三号」とあるのは
「第十三項第二号の漁業権(第九十三条第一項の規定により取り消されたものに限る。)又は第十三項第三号 若しくは第四号」と、
「国」とあるのは
「都道府県」と、
同項 及び第十二項中
「有する者」とあるのは
「有する者(漁業権にあつては、登録先取特権者等に限る。)」と
読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第二十七条 及び第三十四条の規定、第八十六条第一項(免許後に条件を付ける場合に限る。)、第八十九条第一項、第九十二条第一項 及び第二項 並びに第九十三条第一項の規定(これらの規定を第八十八条第四項(同条第五項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)並びに第百十六条第二項 及び第三項、第百三十一条第一項(第二十五条第一項の規定に違反する行為に係るものに限る。)、第百六十九条第二項 並びに前条第十四項において準用する同条第六項の規定による処分については、行政手続法第三章(第十二条 及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
第二十条第一項に規定する管理 及び第百十七条第一項に規定する登録に関する処分については、行政手続法第二章 及び第三章の規定は、適用しない。
第百二十条第十一項(第百二十一条第四項において準用する場合を含む。)の規定による命令についての審査請求に関する行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第四十三条第一項の規定の適用については、当該条件の付加 又は命令は、同項第一号に規定する議を経て行われたものとみなす。
漁業調整委員会 又は内水面漁場管理委員会の処分 又はその不作為については、審査請求をすることができない。
漁業調整委員会(広域漁業調整委員会を除く。)又は内水面漁場管理委員会は、その処分(行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第三条第二項に規定する処分をいう。)又は裁決(同条第三項に規定する裁決をいう。)に係る同法第十一条第一項(同法第三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による都道府県を被告とする訴訟について、当該都道府県を代表する。
第五章 並びに第百七十六条第一項 及び第二項に規定する農林水産大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
漁場が二以上の都道府県知事の管轄に属し、又は漁場の管轄が明確でないときは、政令で定めるところにより、農林水産大臣は、これを管轄する都道府県知事を指定し、又は自ら都道府県知事の権限を行うことができる。
都道府県知事の管轄に属する漁場(政令で定める要件に該当するものに限る。)において新たに漁業権を設定するため特に必要があると認める場合であつて、農林水産大臣が都道府県知事の権限を行うことにつき当該都道府県知事が同意したときは、政令で定めるところにより、農林水産大臣は、自ら当該都道府県知事の権限を行うことができる。
この法律中市町村に関する規定は、特別区のある地にあつては特別区に、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては区 及び総合区に適用する。
この法律の規定による公示は、インターネットの利用 その他の適切な方法により行うものとする。
前項の公示に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
この法律 又はこの法律に基づく命令の規定により農林水産大臣に提出する申請書 その他の書類は、農林水産省令で定めるところにより、都道府県知事を経由して提出しなければならない。
ただし、農林水産省令で定める書類については、都道府県知事を経由せずに農林水産大臣に提出することができる。
この法律の規定により都道府県が処理することとされている事務のうち、次に掲げるものは、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
第二章(第十条、第十五条第四項(同条第六項において準用する場合を含む。)及び第三十五条を除く。)並びに第五十七条第一項 及び第四項から第六項までの規定、第五十八条において準用する第三十八条、第三十九条、第四十条第二項、第四十一条第一項第五号 及び第二項、第四十二条(第二項ただし書 及び第三項ただし書を除く。)、第四十三条、第四十四条第一項から第三項まで、第四十五条(第二号 及び第三号に係る部分に限る。)、第四十六条、第四十七条、第四十九条第二項、第五十条、第五十一条第一項、第五十二条、第五十四条第一項から第三項まで 並びに第五十六条の規定 並びに第百十九条第一項、第二項、第七項 及び第八項、第百二十四条第一項、第百二十五条第一項、第百二十六条第一項から第三項まで 並びに第百二十七条の規定により都道府県が処理することとされている事務
第百二十条第三項、第四項、第八項、第九項 及び第十一項の規定、同条第十二項において準用する第八十六条第三項の規定、第百二十二条、第百三十一条第一項 及び第二項、第百七十六条第一項 及び第二項 並びに第百七十七条第十三項(第四号に係る部分に限る。)の規定、同条第十四項において準用する同条第三項 及び第十一項(これらの規定のうち同条第十三項(同号に係る部分に限る。)に係る部分に限る。)の規定 並びに前条の規定により都道府県が処理することとされている事務(大臣許可漁業、知事許可漁業、第百十九条第一項の規定 若しくは同条第二項の農林水産省令の規定により農林水産大臣の許可 その他の処分を要する漁業 又は同条第一項の規定 若しくは同条第二項の規則の規定により都道府県知事の許可 その他の処分を要する漁業に関するものに限る。)
この法律の規定に基づき政令、農林水産省令、条例 又は規則を制定し、又は改廃する場合においては、その政令、農林水産省令、条例 又は規則で、その制定 又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第十章 罰則
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三年以下の懲役 又は三千万円以下の罰金に処する。
第百三十二条第一項の規定に違反して特定水産動植物を採捕したとき。
前号の犯罪に係る特定水産動植物 又はその製品を、情を知つて運搬し、保管し、有償 若しくは無償で取得し、又は処分の媒介 若しくはあつせんをしたとき。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三年以下の懲役 又は三百万円以下の罰金に処する。
第二十五条の規定に違反して特定水産資源を採捕したとき。
第二十七条、第三十三条、第三十四条 又は第百三十一条第一項の規定による命令に違反したとき。
第三十六条第一項 又は第五十七条第一項の規定に違反して大臣許可漁業 又は知事許可漁業を営んだとき。
第四十七条(第五十八条において準用する場合を含む。)の許可を受けずに、第四十二条第一項(第五十八条において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の農林水産省令 又は規則で定める事項について、同項の規定により定められた制限措置と異なる内容により、大臣許可漁業 又は知事許可漁業を営んだとき。
大臣許可漁業の許可、漁業権 又は第八十八条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による漁業の許可に付けた条件に違反して漁業を営んだとき。
大臣許可漁業、知事許可漁業 若しくは第八十八条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定により許可を受けた漁業の停止中 その漁業を営み、第六十条第二項に規定する定置漁業権 若しくは区画漁業権の行使の停止中その漁業を営み、又は同項に規定する共同漁業権の行使の停止中その漁場において行使を停止した漁業を営んだとき。
第六十八条の規定に違反して定置漁業 又は区画漁業を営んだとき。
第百十九条第一項の規定による禁止に違反して漁業を営み、又は同項の規定による許可を受けないで漁業を営んだとき。
第百二十条第十一項(第百二十一条第四項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反したときは、当該違反行為をした者は、一年以下の懲役 若しくは五十万円以下の罰金 又は拘留 若しくは科料に処する。
前三条の場合においては、犯人が所有し、又は所持する漁獲物、その製品、漁船 又は漁具 その他水産動植物の採捕 若しくは養殖の用に供される物は、没収することができる。
ただし、犯人が所有していたこれらの物件の全部 又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴することができる。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の懲役 又は三十万円以下の罰金に処する。
第二十六条第一項 又は第三十条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
第五十二条第二項(第五十八条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反したとき。
第五十二条第三項(第五十八条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
第八十二条の規定に違反して漁業権を貸付けの目的としたとき。
第百二十八条第三項の規定による漁業監督官 又は漁業監督吏員の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はその質問に対し答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
第百六十五条第四項の規定に違反したとき。
第百七十六条第一項の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は当該職員の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第百七十六条第二項の規定による当該職員の測量、検査、移転 又は除去を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
第百八十九条から第百九十一条まで 又は前条第五号の罪を犯した者には、情状により、懲役 及び罰金を併科することができる。
漁業権 又は組合員行使権を侵害したときは、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。
前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、十万円以下の罰金に処する。
第五十条(第五十八条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
第百二十二条の規定による命令に違反したとき。
漁場 又は漁具 その他水産動植物の採捕 若しくは養殖の用に供される物の標識を移転し、汚損し、又は損壊した者は、十万円以下の罰金に処する。
法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務 又は財産に関して、第百八十九条から第百九十一条まで、第百九十三条、第百九十五条第一項 又は前条第一号 若しくは第二号の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。
第二十一条第四項、第二十二条第四項、第四十八条第二項、第四十九条第二項(第五十八条において準用する場合を含む。)又は第八十条第一項の規定による届出を怠つた者は、十万円以下の過料に処する。