株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
会社法
第二編 株式会社
第一章 設立
第一節 総則
次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法
次節、第三節第三十九条 及び第六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法
各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。
第二節 定款の作成
株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。
この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
設立に際して出資される財産の価額 又はその最低額
発起人の氏名 又は名称 及び住所
株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
金銭以外の財産を出資する者の氏名 又は名称、当該財産 及びその価額 並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類 及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)
株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産 及びその価額 並びにその譲渡人の氏名 又は名称
株式会社の成立により発起人が受ける報酬 その他の特別の利益 及びその発起人の氏名 又は名称
株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料 その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)
第二十七条各号 及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項 及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。
第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前は、第三十三条第七項 若しくは第九項 又は第三十七条第一項 若しくは第二項の規定による場合を除き、これを変更することができない。
発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)は、定款を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店 及び支店)に備え置かなければならない。
発起人(株式会社の成立後にあっては、その株主 及び債権者)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めた費用を支払わなければならない。
定款が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
前号の書面の謄本 又は抄本の交付の請求
定款が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めたものにより提供することの請求 又はその事項を記載した書面の交付の請求
株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員(親会社の株主 その他の社員をいう。以下同じ。)がその権利を行使するため必要があるときは、当該親会社社員は、裁判所の許可を得て、当該株式会社の定款について前項各号に掲げる請求をすることができる。
ただし、同項第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
定款が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における第二項第三号 及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっている株式会社についての第一項の規定の適用については、
同項中
「本店 及び支店」とあるのは、
「本店」と
する。
第三節 出資
発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
成立後の株式会社の資本金 及び資本準備金の額に関する事項
設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、前項第一号の設立時発行株式が第百八条第三項前段の規定による定款の定めがあるものであるときは、発起人は、その全員の同意を得て、当該設立時発行株式の内容を定めなければならない。
発起人は、定款に第二十八条各号に掲げる事項についての記載 又は記録があるときは、第三十条第一項の公証人の認証の後 遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、成立後の株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
第二項の検査役は、第四項の報告をしたときは、発起人に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、第二十八条各号に掲げる事項(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。
発起人は、前項の決定により第二十八条各号に掲げる事項の全部 又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。
前項に規定する場合には、発起人は、その全員の同意によって、第七項の決定の確定後一週間以内に限り、当該決定により変更された事項についての定めを廃止する定款の変更をすることができる。
前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。
第二十八条第一号 及び第二号の財産(以下 この章において「現物出資財産等」という。)について定款に記載され、又は記録された価額の総額が五百万円を超えない場合
同条第一号 及び第二号に掲げる事項
現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項に規定する有価証券をいい、同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利を含む。以下同じ。)について定款に記載され、又は記録された価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合
当該有価証券についての第二十八条第一号 又は第二号に掲げる事項
現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士(外国公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士をいう。)を含む。以下同じ。)、監査法人、税理士 又は税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合にあっては、当該証明 及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下 この号において同じ。)を受けた場合
第二十八条第一号 又は第二号に掲げる事項(当該証明を受けた現物出資財産等に係るものに限る。)
次に掲げる者は、前項第三号に規定する証明をすることができない。
第二十八条第二号の財産の譲渡人
設立時取締役(第三十八条第一項に規定する設立時取締役をいう。)又は設立時監査役(同条第三項第二号に規定する設立時監査役をいう。)
業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
弁護士法人、監査法人 又は税理士法人であって、その社員の半数以上が第一号から第三号までに掲げる者のいずれかに該当するもの
発起人は、設立時発行株式の引受け後 遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。
ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録 その他権利の設定 又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。
前項の規定による払込みは、発起人が定めた銀行等(銀行(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行をいう。第七百三条第一号において同じ。)、信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第二条第二項に規定する信託会社をいう。以下同じ。)その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。
前条第一項の規定による払込み 又は給付(以下 この章において「出資の履行」という。)をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。
発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、当該出資の履行をしていない発起人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、同項に規定する期日の二週間前までにしなければならない。
第一項の規定による通知を受けた発起人は、同項に規定する期日までに出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を失う。
発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。
設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。
ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
第四節 設立時役員等の選任及び解任
発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。以下同じ。)を選任しなければならない。
設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、前項の規定による設立時取締役の選任は、設立時監査等委員(株式会社の設立に際して監査等委員(監査等委員会の委員をいう。以下同じ。)となる者をいう。以下同じ。)である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役とを区別してしなければならない。
次の各号に掲げる場合には、発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、当該各号に定める者を選任しなければならない。
設立しようとする株式会社が会計参与設置会社である場合
設立時会計参与(株式会社の設立に際して会計参与となる者をいう。以下同じ。)
設立しようとする株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合
設立時監査役(株式会社の設立に際して監査役となる者をいう。以下同じ。)
設立しようとする株式会社が会計監査人設置会社である場合
設立時会計監査人(株式会社の設立に際して会計監査人となる者をいう。以下同じ。)
定款で設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役 又はそれ以外の設立時取締役。以下 この項において同じ。)、設立時会計参与、設立時監査役 又は設立時会計監査人として定められた者は、出資の履行が完了した時に、それぞれ設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役 又は設立時会計監査人に選任されたものとみなす。
設立しようとする株式会社が取締役会設置会社である場合には、設立時取締役は、三人以上でなければならない。
設立しようとする株式会社が監査役会設置会社である場合には、設立時監査役は、三人以上でなければならない。
設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は、三人以上でなければならない。
第三百三十一条第一項(第三百三十五条第一項において準用する場合を含む。)、第三百三十三条第一項 若しくは第三項 又は第三百三十七条第一項 若しくは第三項の規定により成立後の株式会社の取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役 又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役 又は会計監査人となることができない者は、それぞれ設立時取締役(成立後の株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役 又はそれ以外の設立時取締役)、設立時会計参与、設立時監査役 又は設立時会計監査人(以下 この節において「設立時役員等」という。)となることができない。
第三百三十一条の二の規定は、設立時取締役 及び設立時監査役について準用する。
設立時役員等の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。
前項の場合には、発起人は、出資の履行をした設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。
ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
前項の規定にかかわらず、設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、取締役の全部 又は一部の選任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の選任についての議決権を行使することができない。
設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合における前項の規定の適用については、
同項中
「、取締役」とあるのは
「、監査等委員である取締役 又はそれ以外の取締役」と、
「当該取締役」とあるのは
「これらの取締役」と
する。
第三項の規定は、設立時会計参与、設立時監査役 及び設立時会計監査人の選任について準用する。
前条第一項の規定にかかわらず、株式会社の設立に際して第百八条第一項第九号に掲げる事項(取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役 又はそれ以外の取締役)に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行する場合には、設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役 又はそれ以外の設立時取締役)の選任は、同条第二項第九号に定める事項についての定款の定めの例に従い、当該種類の設立時発行株式を引き受けた発起人の議決権(当該種類の設立時発行株式についての議決権に限る。)の過半数をもって決定する。
前項の場合には、発起人は、出資の履行をした種類の設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。
ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の種類の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
前二項の規定は、株式会社の設立に際して第百八条第一項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行する場合について準用する。
発起人は、株式会社の成立の時までの間、その選任した設立時役員等(第三十八条第四項の規定により設立時役員等に選任されたものとみなされたものを含む。)を解任することができる。
設立時役員等の解任は、発起人の議決権の過半数(設立時監査等委員である設立時取締役 又は設立時監査役を解任する場合にあっては、三分の二以上に当たる多数)をもって決定する。
前項の場合には、発起人は、出資の履行をした設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。
ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
前項の規定にかかわらず、設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、取締役の全部 又は一部の解任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の解任についての議決権を行使することができない。
設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合における前項の規定の適用については、
同項中
「、取締役」とあるのは
「、監査等委員である取締役 又はそれ以外の取締役」と、
「当該取締役」とあるのは
「これらの取締役」と
する。
第三項の規定は、設立時会計参与、設立時監査役 及び設立時会計監査人の解任について準用する。
前条第一項の規定にかかわらず、第四十一条第一項の規定により選任された設立時取締役(設立時監査等委員である設立時取締役を除く。次項 及び第四項において同じ。)の解任は、その選任に係る発起人の議決権の過半数をもって決定する。
前項の規定にかかわらず、第四十一条第一項の規定により又は種類創立総会(第八十四条に規定する種類創立総会をいう。)若しくは種類株主総会において選任された取締役(監査等委員である取締役を除く。第四項において同じ。)を株主総会の決議によって解任することができる旨の定款の定めがある場合には、第四十一条第一項の規定により選任された設立時取締役の解任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。
前二項の場合には、発起人は、出資の履行をした種類の設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。
ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の種類の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
前項の規定にかかわらず、第二項の規定により設立時取締役を解任する場合において、取締役の全部 又は一部の解任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の解任についての議決権を行使することができない。
前各項の規定は、第四十一条第一項の規定により選任された設立時監査等委員である設立時取締役 及び同条第三項において準用する同条第一項の規定により選任された設立時監査役の解任について準用する。
この場合において、
第一項 及び第二項中
「過半数」とあるのは、
「三分の二以上に当たる多数」と
読み替えるものとする。
株式会社の設立に際して第百八条第一項第八号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行する場合において、当該種類の株式の内容として次の各号に掲げる事項について種類株主総会の決議があることを必要とする旨の定款の定めがあるときは、当該各号に定める事項は、定款の定めに従い、第四十条第一項 又は第四十三条第一項の規定による決定のほか、当該種類の設立時発行株式を引き受けた発起人の議決権(当該種類の設立時発行株式についての議決権に限る。)の過半数をもってする決定がなければ、その効力を生じない。
取締役(監査等委員会設置会社の取締役を除く。)の全部 又は一部の選任 又は解任
当該取締役となる設立時取締役の選任 又は解任
監査等委員である取締役 又はそれ以外の取締役の全部 又は一部の選任 又は解任
これらの取締役となる設立時取締役の選任 又は解任
会計参与の全部 又は一部の選任 又は解任
当該会計参与となる設立時会計参与の選任 又は解任
監査役の全部 又は一部の選任 又は解任
当該監査役となる設立時監査役の選任 又は解任
会計監査人の全部 又は一部の選任 又は解任
当該会計監査人となる設立時会計監査人の選任 又は解任
前項の場合には、発起人は、出資の履行をした種類の設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。
ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の種類の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
第五節 設立時取締役等による調査
設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役 及び設立時監査役。以下 この条において同じ。)は、その選任後遅滞なく、次に掲げる事項を調査しなければならない。
第三十三条第十項第一号 又は第二号に掲げる場合における現物出資財産等(同号に掲げる場合にあっては、同号の有価証券に限る。)について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること。
第三十三条第十項第三号に規定する証明が相当であること。
前三号に掲げる事項のほか、株式会社の設立の手続が法令 又は定款に違反していないこと。
設立時取締役は、前項の規定による調査により、同項各号に掲げる事項について法令 若しくは定款に違反し、又は不当な事項があると認めるときは、発起人にその旨を通知しなければならない。
設立しようとする株式会社が指名委員会等設置会社である場合には、設立時取締役は、第一項の規定による調査を終了したときはその旨を、前項の規定による通知をしたときはその旨 及びその内容を、設立時代表執行役(第四十八条第一項第三号に規定する設立時代表執行役をいう。)に通知しなければならない。
第六節 設立時代表取締役等の選定等
設立時取締役は、設立しようとする株式会社が取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)である場合には、設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役を除く。)の中から株式会社の設立に際して代表取締役(株式会社を代表する取締役をいう。以下同じ。)となる者(以下「設立時代表取締役」という。)を選定しなければならない。
設立時取締役は、株式会社の成立の時までの間、設立時代表取締役を解職することができる。
前二項の規定による設立時代表取締役の選定 及び解職は、設立時取締役の過半数をもって決定する。
設立しようとする株式会社が指名委員会等設置会社である場合には、設立時取締役は、次に掲げる措置をとらなければならない。
設立時取締役の中から次に掲げる者(次項において「設立時委員」という。)を選定すること。
株式会社の設立に際して指名委員会の委員となる者
株式会社の設立に際して監査委員会の委員となる者
株式会社の設立に際して報酬委員会の委員となる者
株式会社の設立に際して執行役となる者(以下「設立時執行役」という。)を選任すること。
設立時執行役の中から株式会社の設立に際して代表執行役となる者(以下「設立時代表執行役」という。)を選定すること。
ただし、設立時執行役が一人であるときは、その者が設立時代表執行役に選定されたものとする。
設立時取締役は、株式会社の成立の時までの間、設立時委員 若しくは設立時代表執行役を解職し、又は設立時執行役を解任することができる。
前二項の規定による措置は、設立時取締役の過半数をもって決定する。
第七節 株式会社の成立
株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
発起人は、株式会社の成立の時に、出資の履行をした設立時発行株式の株主となる。
前項の規定により株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。
民法(明治二十九年法律第八十九号)第九十三条第一項ただし書 及び第九十四条第一項の規定は、設立時発行株式の引受けに係る意思表示については、適用しない。
発起人は、株式会社の成立後は、錯誤、詐欺 又は強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。
第八節 発起人等の責任等
株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額(定款の変更があった場合にあっては、変更後の価額)に著しく不足するときは、発起人 及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。
前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、発起人(第二十八条第一号の財産を給付した者 又は同条第二号の財産の譲渡人を除く。第二号において同じ。)及び設立時取締役は、現物出資財産等について同項の義務を負わない。
第二十八条第一号 又は第二号に掲げる事項について第三十三条第二項の検査役の調査を経た場合
当該発起人 又は設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合
第一項に規定する場合には、第三十三条第十項第三号に規定する証明をした者(以下 この項において「証明者」という。)は、第一項の義務を負う者と連帯して、同項の不足額を支払う義務を負う。
ただし、当該証明者が当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
発起人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。
第三十四条第一項の規定による払込みを仮装した場合
払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払
第三十四条第一項の規定による給付を仮装した場合
給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)
前項各号に掲げる場合には、発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人 又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。
ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
発起人が第一項各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
発起人は、第一項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払 若しくは給付 又は第二項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した設立時発行株式について、設立時株主(第六十五条第一項に規定する設立時株主をいう。次項において同じ。)及び株主の権利を行使することができない。
前項の設立時発行株式 又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主 及び株主の権利を行使することができる。
ただし、その者に悪意 又は重大な過失があるときは、この限りでない。
発起人、設立時取締役 又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
発起人、設立時取締役 又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意 又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役 又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
発起人、設立時取締役 又は設立時監査役が株式会社 又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の発起人、設立時取締役 又は設立時監査役も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
第五十二条第一項の規定により発起人 又は設立時取締役の負う義務、第五十二条の二第一項の規定により発起人の負う義務、同条第二項の規定により発起人 又は設立時取締役の負う義務 及び第五十三条第一項の規定により発起人、設立時取締役 又は設立時監査役の負う責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。
第九節 募集による設立
⤏ 第一款 設立時発行株式を引き受ける者の募集
発起人は、この款の定めるところにより、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めることができる。
発起人は、前項の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
発起人は、前条第一項の募集をしようとするときは、その都度、設立時募集株式(同項の募集に応じて設立時発行株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる設立時発行株式をいう。以下 この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
設立時募集株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、その種類 及び種類ごとの数。以下 この款において同じ。)
設立時募集株式の払込金額(設立時募集株式一株と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下 この款において同じ。)
設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日 又はその期間
一定の日までに設立の登記がされない場合において、設立時募集株式の引受けの取消しをすることができることとするときは、その旨 及び その一定の日
発起人は、前項各号に掲げる事項を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
設立時募集株式の払込金額 その他の前条第一項の募集の条件は、当該募集(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、種類 及び当該募集)ごとに、均等に定めなければならない。
発起人は、第五十七条第一項の募集に応じて設立時募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
定款の認証の年月日 及びその認証をした公証人の氏名
第二十七条各号、第二十八条各号、第三十二条第一項各号 及び前条第一項各号に掲げる事項
第六十三条第一項の規定による払込みの取扱いの場所
前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、第三十六条第一項に規定する期日後でなければ、前項の規定による通知をすることができない。
第五十七条第一項の募集に応じて設立時募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を発起人に交付しなければならない。
前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
発起人は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨 及び当該変更があった事項を第三項の申込みをした者(以下 この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。
発起人が申込者に対してする通知 又は催告は、第三項第一号の住所(当該申込者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を発起人に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
発起人は、申込者の中から設立時募集株式の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる設立時募集株式の数を定めなければならない。
この場合において、発起人は、当該申込者に割り当てる設立時募集株式の数を、前条第三項第二号の数よりも減少することができる。
発起人は、第五十八条第一項第三号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる設立時募集株式の数を通知しなければならない。
前二条の規定は、設立時募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。
次の各号に掲げる者は、当該各号に定める設立時募集株式の数について設立時募集株式の引受人となる。
申込者 発起人の割り当てた設立時募集株式の数
前条の契約により設立時募集株式の総数を引き受けた者 その者が引き受けた設立時募集株式の数
設立時募集株式の引受人は、第五十八条第一項第三号の期日 又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。
前項の規定による払込みをすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。
設立時募集株式の引受人は、第一項の規定による払込みをしないときは、当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失う。
第五十七条第一項の募集をした場合には、発起人は、第三十四条第一項 及び前条第一項の規定による払込みの取扱いをした銀行等に対し、これらの規定により払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。
前項の証明書を交付した銀行等は、当該証明書の記載が事実と異なること 又は第三十四条第一項 若しくは前条第一項の規定により払い込まれた金銭の返還に関する制限があることをもって成立後の株式会社に対抗することができない。
⤏ 第二款 創立総会等
第五十七条第一項の募集をする場合には、発起人は、第五十八条第一項第三号の期日 又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、設立時株主(第五十条第一項 又は第百二条第二項の規定により株式会社の株主となる者をいう。以下同じ。)の総会(以下「創立総会」という。)を招集しなければならない。
発起人は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、いつでも、創立総会を招集することができる。
創立総会は、この節に規定する事項 及び株式会社の設立の廃止、創立総会の終結 その他株式会社の設立に関する事項に限り、決議をすることができる。
発起人は、創立総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
創立総会に出席しない設立時株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
創立総会に出席しない設立時株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
発起人は、設立時株主(創立総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない設立時株主を除く。次条から第七十一条までにおいて同じ。)の数が千人以上である場合には、前項第三号に掲げる事項を定めなければならない。
創立総会を招集するには、発起人は、創立総会の日の二週間(前条第一項第三号 又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合にあっては、一週間(当該設立しようとする株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、設立時株主に対してその通知を発しなければならない。
次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。
前条第一項第三号 又は第四号に掲げる事項を定めた場合
設立しようとする株式会社が取締役会設置会社である場合
発起人は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、設立時株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。
この場合において、当該発起人は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
発起人が設立時株主に対してする通知 又は催告は、第二十七条第五号 又は第五十九条第三項第一号の住所(当該設立時株主が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を発起人に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
前二項の規定は、第一項の通知に際して設立時株主に書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合について準用する。
この場合において、
前項中
「到達したもの」とあるのは、
「当該書面の交付 又は当該事項の電磁的方法による提供があったもの」と
読み替えるものとする。
前条の規定にかかわらず、創立総会は、設立時株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
ただし、第六十七条第一項第三号 又は第四号に掲げる事項を定めた場合は、この限りでない。
発起人は、第六十七条第一項第三号に掲げる事項を定めた場合には、第六十八条第一項の通知に際して、法務省令で定めるところにより、設立時株主に対し、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(以下 この款において「創立総会参考書類」という。)及び設立時株主が議決権を行使するための書面(以下 この款において「議決権行使書面」という。)を交付しなければならない。
発起人は、第六十八条第三項の承諾をした設立時株主に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による創立総会参考書類 及び議決権行使書面の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
ただし、設立時株主の請求があったときは、これらの書類を当該設立時株主に交付しなければならない。
発起人は、第六十七条第一項第四号に掲げる事項を定めた場合には、第六十八条第一項の通知に際して、法務省令で定めるところにより、設立時株主に対し、創立総会参考書類を交付しなければならない。
発起人は、第六十八条第三項の承諾をした設立時株主に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による創立総会参考書類の交付に代えて、当該創立総会参考書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
ただし、設立時株主の請求があったときは、創立総会参考書類を当該設立時株主に交付しなければならない。
発起人は、第一項に規定する場合には、第六十八条第三項の承諾をした設立時株主に対する同項の電磁的方法による通知に際して、法務省令で定めるところにより、設立時株主に対し、議決権行使書面に記載すべき事項を当該電磁的方法により提供しなければならない。
発起人は、第一項に規定する場合において、第六十八条第三項の承諾をしていない設立時株主から創立総会の日の一週間前までに議決権行使書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の請求があったときは、法務省令で定めるところにより、直ちに、当該設立時株主に対し、当該事項を電磁的方法により提供しなければならない。
設立時株主(成立後の株式会社がその総株主の議決権の四分の一以上を有すること その他の事由を通じて成立後の株式会社がその経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして法務省令で定める設立時株主を除く。)は、創立総会において、その引き受けた設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。
ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、株主総会において議決権を行使することができる事項について制限がある種類の設立時発行株式を発行するときは、創立総会において、設立時株主は、株主総会において議決権を行使することができる事項に相当する事項に限り、当該設立時発行株式について議決権を行使することができる。
前項の規定にかかわらず、株式会社の設立の廃止については、設立時株主は、その引き受けた設立時発行株式について議決権を行使することができる。
創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行う。
前項の規定にかかわらず、その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う場合(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、当該定款の変更についての創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の半数以上であって、当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
定款を変更してその発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第三号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとする場合(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、設立時株主全員の同意を得なければならない。
創立総会は、第六十七条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。
ただし、定款の変更 又は株式会社の設立の廃止については、この限りでない。
設立時株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。
この場合においては、当該設立時株主 又は代理人は、代理権を証明する書面を発起人に提出しなければならない。
前項の代理権の授与は、創立総会ごとにしなければならない。
第一項の設立時株主 又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
この場合において、当該設立時株主 又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。
設立時株主が第六十八条第三項の承諾をした者である場合には、発起人は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
発起人は、創立総会に出席することができる代理人の数を制限することができる。
発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社。次条第三項 及び第七十六条第四項において同じ。)は、創立総会の日から三箇月間、代理権を証明する書面 及び第三項の電磁的方法により提供された事項が記録された電磁的記録を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店。次条第三項 及び第七十六条第四項において同じ。)に備え置かなければならない。
設立時株主(株式会社の成立後にあっては、その株主。次条第四項 及び第七十六条第五項において同じ。)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間。次条第四項 及び第七十六条第五項において同じ。)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該議決権行使書面を発起人に提出して行う。
前項の規定により書面によって行使した議決権の数は、出席した設立時株主の議決権の数に算入する。
発起人は、創立総会の日から三箇月間、第一項の規定により提出された議決権行使書面を発起人が定めた場所に備え置かなければならない。
設立時株主は、発起人が定めた時間内は、いつでも、第一項の規定により提出された議決権行使書面の閲覧 又は謄写の請求をすることができる。
電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該発起人に提供して行う。
設立時株主が第六十八条第三項の承諾をした者である場合には、発起人は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
第一項の規定により電磁的方法によって行使した議決権の数は、出席した設立時株主の議決権の数に算入する。
発起人は、創立総会の日から三箇月間、第一項の規定により提供された事項を記録した電磁的記録を発起人が定めた場所に備え置かなければならない。
設立時株主は、発起人が定めた時間内は、いつでも、前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求をすることができる。
設立時株主は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。
この場合においては、創立総会の日の三日前までに、発起人に対してその旨 及びその理由を通知しなければならない。
発起人は、前項の設立時株主が他人のために設立時発行株式を引き受けた者でないときは、当該設立時株主が同項の規定によりその有する議決権を統一しないで行使することを拒むことができる。
発起人は、創立総会において、設立時株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。
ただし、当該事項が創立総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより設立時株主の共同の利益を著しく害する場合 その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでない。
創立総会の議長は、当該創立総会の秩序を維持し、議事を整理する。
創立総会の議長は、その命令に従わない者 その他当該創立総会の秩序を乱す者を退場させることができる。
創立総会においてその延期 又は続行について決議があった場合には、第六十七条 及び第六十八条の規定は、適用しない。
創立総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社。次条第二項において同じ。)は、創立総会の日から十年間、前項の議事録を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店。同条第二項において同じ。)に備え置かなければならない。
設立時株主(株式会社の成立後にあっては、その株主 及び債権者。次条第三項において同じ。)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間。同項において同じ。)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧 又は謄写の請求
第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
発起人が創立総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき設立時株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面 又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の創立総会の決議があったものとみなす。
発起人は、前項の規定により創立総会の決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面 又は電磁的記録を発起人が定めた場所に備え置かなければならない。
設立時株主は、発起人が定めた時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
前項の書面の閲覧 又は謄写の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第二項の書面 又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
発起人が設立時株主の全員に対して創立総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を創立総会に報告することを要しないことにつき設立時株主の全員が書面 又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の創立総会への報告があったものとみなす。
設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、その設立に際して発行するある種類の株式の内容として、株主総会において決議すべき事項について、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とする旨の定めがあるときは、当該事項は、その定款の定めの例に従い、創立総会の決議のほか、当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主(ある種類の設立時発行株式の設立時株主をいう。以下 この節において同じ。)を構成員とする種類創立総会(ある種類の設立時発行株式の設立時種類株主の総会をいう。以下同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。
ただし、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主が存しない場合は、この限りでない。
前条、第九十条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第九十二条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第百条第一項 又は第百一条第一項の規定により種類創立総会の決議をする場合には、発起人は、種類創立総会を招集しなければならない。
種類創立総会の決議は、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時種類株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行う。
前項の規定にかかわらず、第百条第一項の決議は、同項に規定する種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主の半数以上であって、当該設立時種類株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
第六十七条から第七十一条まで、第七十二条第一項 及び第七十四条から第八十二条までの規定は、種類創立総会について準用する。
この場合において、
第六十七条第一項第三号 及び第四号 並びに第二項、第六十八条第一項 及び第三項、第六十九条から第七十一条まで、第七十二条第一項、第七十四条第一項、第三項 及び第四項、第七十五条第二項、第七十六条第二項 及び第三項、第七十七条、第七十八条本文 並びに第八十二条第一項中
「設立時株主」とあるのは、
「設立時種類株主(ある種類の設立時発行株式の設立時株主をいう。)」と
読み替えるものとする。
⤏ 第三款 設立に関する事項の報告
発起人は、株式会社の設立に関する事項を創立総会に報告しなければならない。
発起人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録を創立総会に提出し、又は提供しなければならない。
定款に第二十八条各号に掲げる事項(第三十三条第十項各号に掲げる場合における当該各号に定める事項を除く。)の定めがある場合
第三十三条第二項の検査役の同条第四項の報告の内容
第三十三条第十項第三号に掲げる場合
同号に規定する証明の内容
⤏ 第四款 設立時取締役等の選任及び解任
第五十七条第一項の募集をする場合には、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役 又は設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。
設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、前項の規定による設立時取締役の選任は、設立時監査等委員である設立時取締役と それ以外の設立時取締役とを区別してしなければならない。
創立総会の目的である事項が二人以上の設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役 又はそれ以外の設立時取締役。以下 この条において同じ。)の選任である場合には、設立時株主(設立時取締役の選任について議決権を行使することができる設立時株主に限る。以下 この条において同じ。)は、定款に別段の定めがあるときを除き、発起人に対し、第三項から第五項までに規定するところにより設立時取締役を選任すべきことを請求することができる。
前項の規定による請求は、同項の創立総会の日の五日前までにしなければならない。
第七十二条第一項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求があった場合には、設立時取締役の選任の決議については、設立時株主は、その引き受けた設立時発行株式一株(単元株式数を定款で定めている場合にあっては、一単元の設立時発行株式)につき、当該創立総会において選任する設立時取締役の数と同数の議決権を有する。
この場合においては、設立時株主は、一人のみに投票し、又は二人以上に投票して、その議決権を行使することができる。
前項の場合には、投票の最多数を得た者から順次設立時取締役に選任されたものとする。
前二項に定めるもののほか、第一項の規定による請求があった場合における設立時取締役の選任に関し必要な事項は、法務省令で定める。
第八十八条の規定にかかわらず、株式会社の設立に際して第百八条第一項第九号に掲げる事項(取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、監査等委員である取締役 又はそれ以外の取締役)に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行する場合には、設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役 又はそれ以外の設立時取締役)は、同条第二項第九号に定める事項についての定款の定めの例に従い、当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会の決議によって選任しなければならない。
前項の規定は、株式会社の設立に際して第百八条第一項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行する場合について準用する。
第八十八条の規定により選任された設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役 又は設立時会計監査人は、株式会社の成立の時までの間、創立総会の決議によって解任することができる。
第九十条第一項の規定により選任された設立時取締役は、株式会社の成立の時までの間、その選任に係る種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会の決議によって解任することができる。
前項の規定にかかわらず、第四十一条第一項の規定により又は種類創立総会 若しくは種類株主総会において選任された取締役を株主総会の決議によって解任することができる旨の定款の定めがある場合には、第九十条第一項の規定により選任された設立時取締役は、株式会社の成立の時までの間、創立総会の決議によって解任することができる。
設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合における前項の規定の適用については、
同項中
「取締役を」とあるのは
「監査等委員である取締役 又はそれ以外の取締役を」と、
「設立時取締役」とあるのは
「設立時監査等委員である設立時取締役 又はそれ以外の設立時取締役」と
する。
第一項 及び第二項の規定は、第九十条第二項において準用する同条第一項の規定により選任された設立時監査役について準用する。
⤏ 第五款 設立時取締役等による調査
設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役 及び設立時監査役。以下 この条において同じ。)は、その選任後遅滞なく、次に掲げる事項を調査しなければならない。
第三十三条第十項第一号 又は第二号に掲げる場合における現物出資財産等(同号に掲げる場合にあっては、同号の有価証券に限る。)について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること。
第三十三条第十項第三号に規定する証明が相当であること。
発起人による出資の履行 及び第六十三条第一項の規定による払込みが完了していること。
前三号に掲げる事項のほか、株式会社の設立の手続が法令 又は定款に違反していないこと。
設立時取締役は、前項の規定による調査の結果を創立総会に報告しなければならない。
設立時取締役は、創立総会において、設立時株主から第一項の規定による調査に関する事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。
設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役 及び設立時監査役)の全部 又は一部が発起人である場合には、創立総会においては、その決議によって、前条第一項各号に掲げる事項を調査する者を選任することができる。
前項の規定により選任された者は、必要な調査を行い、当該調査の結果を創立総会に報告しなければならない。
⤏ 第六款 定款の変更
第五十七条第一項の募集をする場合には、発起人は、第五十八条第一項第三号の期日 又は同号の期間の初日のうち最も早い日以後は、第三十三条第九項 並びに第三十七条第一項 及び第二項の規定にかかわらず、定款の変更をすることができない。
第三十条第二項の規定にかかわらず、創立総会においては、その決議によって、定款の変更をすることができる。
創立総会において、第二十八条各号に掲げる事項を変更する定款の変更の決議をした場合には、当該創立総会においてその変更に反対した設立時株主は、当該決議後二週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。
第五十七条第一項の募集をする場合において、発行可能株式総数を定款で定めていないときは、株式会社の成立の時までに、創立総会の決議によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
設立しようとする会社が種類株式発行会社である場合において、次の各号に掲げるときは、当該各号の種類の設立時発行株式の設立時種類株主 全員の同意を得なければならない。
ある種類の株式の内容として第百八条第一項第六号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするとき。
ある種類の株式について第三百二十二条第二項の規定による定款の定めを設けようとするとき。
設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、定款を変更してある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号 又は第七号に掲げる事項についての定款の定めを設けるときは、当該定款の変更は、次に掲げる設立時種類株主を構成員とする種類創立総会(当該設立時種類株主に係る設立時発行株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の設立時発行株式の種類別に区分された設立時種類株主を構成員とする各種類創立総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。
ただし、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主が存しない場合は、この限りでない。
当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主
第百八条第二項第五号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得請求権付株式の設立時種類株主
第百八条第二項第六号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得条項付株式の設立時種類株主
前項に規定する種類創立総会において当該定款の変更に反対した設立時種類株主は、当該種類創立総会の決議後 二週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。
設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、次に掲げる事項についての定款の変更をすることにより、ある種類の設立時発行株式の設立時種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該定款の変更は、当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会(当該設立時種類株主に係る設立時発行株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の設立時発行株式の種類別に区分された設立時種類株主を構成員とする各種類創立総会)の決議がなければ、その効力を生じない。
ただし、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主が存しない場合は、この限りでない。
発行可能株式総数 又は発行可能種類株式総数(株式会社が発行することができる一の種類の株式の総数をいう。以下同じ。)の増加
前項の規定は、単元株式数についての定款の変更であって、当該定款の変更について第三百二十二条第二項の規定による定款の定めがある場合における当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会については、適用しない。
⤏ 第七款 設立手続等の特則等
設立時募集株式の引受人は、発起人が定めた時間内は、いつでも、第三十一条第二項各号に掲げる請求をすることができる。
ただし、同項第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、発起人の定めた費用を支払わなければならない。
設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立の時に、第六十三条第一項の規定による払込みを行った設立時発行株式の株主となる。
設立時募集株式の引受人は、第六十三条第一項の規定による払込みを仮装した場合には、次条第一項 又は第百三条第二項の規定による支払がされた後でなければ、払込みを仮装した設立時発行株式について、設立時株主 及び株主の権利を行使することができない。
前項の設立時発行株式 又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主 及び株主の権利を行使することができる。
ただし、その者に悪意 又は重大な過失があるときは、この限りでない。
民法第九十三条第一項ただし書 及び第九十四条第一項の規定は、設立時募集株式の引受けの申込み 及び割当て並びに第六十一条の契約に係る意思表示については、適用しない。
設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立後 又は創立総会 若しくは種類創立総会においてその議決権を行使した後は、錯誤、詐欺 又は強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。
設立時募集株式の引受人は、前条第三項に規定する場合には、株式会社に対し、払込みを仮装した払込金額の全額の支払をする義務を負う。
前項の規定により設立時募集株式の引受人の負う義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
第五十七条第一項の募集をした場合における第五十二条第二項の規定の適用については、
同項中
「次に」とあるのは、
「第一号に」と
する。
第百二条第三項に規定する場合には、払込みを仮装することに関与した発起人 又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、前条第一項の引受人と連帯して、同項に規定する支払をする義務を負う。
ただし、その者(当該払込みを仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
前項の規定により発起人 又は設立時取締役の負う義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
第五十七条第一項の募集をした場合において、当該募集の広告 その他当該募集に関する書面 又は電磁的記録に自己の氏名 又は名称 及び株式会社の設立を賛助する旨を記載し、又は記録することを承諾した者(発起人を除く。)は、発起人とみなして、前節 及び前三項の規定を適用する。
第二章 株式
第一節 総則
株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。
株主は、その有する株式につき次に掲げる権利 その他この法律の規定により認められた権利を有する。
株主に前項第一号 及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。
株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名 又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。
ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる。
譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。
株式会社は、全部の株式の内容として次の各号に掲げる事項を定めるときは、当該各号に定める事項を定款で定めなければならない。
譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること
次に掲げる事項
当該株式を譲渡により取得することについて当該株式会社の承認を要する旨
一定の場合においては株式会社が第百三十六条 又は第百三十七条第一項の承認をしたものとみなすときは、その旨 及び当該一定の場合
当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること
次に掲げる事項
株主が当該株式会社に対して当該株主の有する株式を取得することを請求することができる旨
イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類(第六百八十一条第一号に規定する種類をいう。以下 この編において同じ。)及び種類ごとの各社債の金額の合計額 又はその算定方法
イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該新株予約権の内容 及び数 又はその算定方法
イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項 及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等(株式、社債 及び新株予約権をいう。以下同じ。)以外の財産を交付するときは、当該財産の内容 及び数 若しくは額 又はこれらの算定方法
株主が当該株式会社に対して当該株式を取得することを請求することができる期間
当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること
次に掲げる事項
一定の事由が生じた日に当該株式会社がその株式を取得する旨 及び その事由
当該株式会社が別に定める日が到来することをもってイの事由とするときは、その旨
イの事由が生じた日にイの株式の一部を取得することとするときは、その旨 及び取得する株式の一部の決定の方法
イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類 及び種類ごとの各社債の金額の合計額 又はその算定方法
イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該新株予約権の内容 及び数 又はその算定方法
イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのニに規定する事項 及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのホに規定する事項
イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等以外の財産を交付するときは、当該財産の内容 及び数 若しくは額 又はこれらの算定方法
株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。
ただし、指名委員会等設置会社 及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
株主総会において議決権を行使することができる事項
譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。
当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。
株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会 又は取締役会、清算人会設置会社(第四百七十八条第八項に規定する清算人会設置会社をいう。以下 この条において同じ。 )にあっては株主総会 又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの
当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役 又はそれ以外の取締役。次項第九号 及び第百十二条第一項において同じ。)又は監査役を選任すること。
株式会社は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合には、当該各号に定める事項 及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
剰余金の配当 当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件
その他剰余金の配当に関する取扱いの内容
残余財産の分配 当該種類の株主に交付する残余財産の価額の決定の方法、当該残余財産の種類
その他残余財産の分配に関する取扱いの内容
株主総会において議決権を行使することができる事項
次に掲げる事項
株主総会において議決権を行使することができる事項
当該種類の株式につき議決権の行使の条件を定めるときは、その条件
譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること
当該種類の株式についての前条第二項第一号に定める事項
当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること
次に掲げる事項
当該種類の株式についての前条第二項第二号に定める事項
当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該 他の株式の種類 及び種類ごとの数 又はその算定方法
当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること
次に掲げる事項
当該種類の株式についての前条第二項第三号に定める事項
当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該 他の株式の種類 及び種類ごとの数 又はその算定方法
当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること
次に掲げる事項
第百七十一条第一項第一号に規定する取得対価の価額の決定の方法
当該株主総会の決議をすることができるか否かについての条件を定めるときは、その条件
株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会 又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会 又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの
次に掲げる事項
当該種類株主総会の決議があることを必要とする事項
当該種類株主総会の決議を必要とする条件を定めるときは、その条件
当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役 又は監査役を選任すること
次に掲げる事項
当該種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役 又は監査役を選任すること及び選任する取締役 又は監査役の数
イの定めにより選任することができる取締役 又は監査役の全部 又は一部を他の種類株主と共同して選任することとするときは、当該 他の種類株主の有する株式の種類 及び共同して選任する取締役 又は監査役の数
イ 又はロに掲げる事項を変更する条件があるときは、その条件 及び その条件が成就した場合における変更後のイ 又はロに掲げる事項
イからハまでに掲げるもののほか、法務省令で定める事項
前項の規定にかかわらず、同項各号に定める事項(剰余金の配当について内容の異なる種類の種類株主が配当を受けることができる額 その他法務省令で定める事項に限る。)の全部 又は一部については、当該種類の株式を初めて発行する時までに、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会 又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会 又は清算人会)の決議によって定める旨を定款で定めることができる。
この場合においては、その内容の要綱を定款で定めなければならない。
株式会社は、株主を、その有する株式の内容 及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。
前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。
前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の株主が有する株式を同項の権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして、この編 及び第五編の規定を適用する。
定款を変更してその発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第三号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとする場合(株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、株主全員の同意を得なければならない。
種類株式発行会社がある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式の内容として第百八条第一項第六号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければならない。
種類株式発行会社がある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号 又は第七号に掲げる事項についての定款の定めを設ける場合には、当該定款の変更は、次に掲げる種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。
ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
第百八条第二項第五号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得請求権付株式の種類株主
第百八条第二項第六号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得条項付株式の種類株主
第百八条第二項第九号に掲げる事項(取締役に関するものに限る。)についての定款の定めは、この法律 又は定款で定めた取締役の員数を欠いた場合において、そのために当該員数に足りる数の取締役を選任することができないときは、廃止されたものとみなす。
前項の規定は、第百八条第二項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定款の定めについて準用する。
株式会社は、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することができない。
定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数を下ることができない。
次に掲げる場合には、当該定款の変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。
公開会社が定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合
公開会社でない株式会社が定款を変更して公開会社となる場合
新株予約権(第二百三十六条第一項第四号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第二百八十二条第一項の規定により取得することとなる株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式(自己株式(株式会社が有する自己の株式をいう。以下同じ。)を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。
定款を変更してある種類の株式の発行可能種類株式総数を減少するときは、変更後の当該種類の株式の発行可能種類株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における当該種類の発行済株式の総数を下ることができない。
ある種類の株式についての次に掲げる数の合計数は、当該種類の株式の発行可能種類株式総数から当該種類の発行済株式(自己株式を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。
取得請求権付株式(第百七条第二項第二号ヘの期間の初日が到来していないものを除く。)の株主(当該株式会社を除く。)が第百六十七条第二項の規定により取得することとなる同項第四号に規定する他の株式の数
取得条項付株式の株主(当該株式会社を除く。)が第百七十条第二項の規定により取得することとなる同項第四号に規定する他の株式の数
新株予約権(第二百三十六条第一項第四号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第二百八十二条第一項の規定により取得することとなる株式の数
種類株式発行会社が公開会社である場合において、株主総会において議決権を行使することができる事項について制限のある種類の株式(以下 この条において「議決権制限株式」という。)の数が発行済株式の総数の二分の一を超えるに至ったときは、株式会社は、直ちに、議決権制限株式の数を発行済株式の総数の二分の一以下にするための必要な措置をとらなければならない。
次の各号に掲げる場合には、反対株主は、株式会社に対し、自己の有する当該各号に定める株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
その発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更をする場合
全部の株式
ある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号 又は第七号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更をする場合
第百十一条第二項各号に規定する株式
次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式(第三百二十二条第二項の規定による定款の定めがあるものに限る。)を有する種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき
当該種類の株式
第百八十五条に規定する株式無償割当て
単元株式数についての定款の変更
当該株式会社の株式を引き受ける者の募集(第二百二条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
当該株式会社の新株予約権を引き受ける者の募集(第二百四十一条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て
前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主をいう。
前項各号の行為をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合
次に掲げる株主
当該株主総会に先立って当該行為に反対する旨を当該株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該行為に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
当該株主総会において議決権を行使することができない株主
前号に規定する場合以外の場合
すべての株主
第一項各号の行為をしようとする株式会社は、当該行為が効力を生ずる日(以下 この条 及び次条において「効力発生日」という。)の二十日前までに、同項各号に定める株式の株主に対し、当該行為をする旨を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
第一項の規定による請求(以下 この節において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の二十日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、株式会社に対し、当該株式に係る株券を提出しなければならない。
ただし、当該株券について第二百二十三条の規定による請求をした者については、この限りでない。
株式買取請求をした株主は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。
株式会社が第一項各号の行為を中止したときは、株式買取請求は、その効力を失う。
第百三十三条の規定は、株式買取請求に係る株式については、適用しない。
株式買取請求があった場合において、株式の価格の決定について、株主と株式会社との間に協議が調ったときは、株式会社は、効力発生日から六十日以内に その支払をしなければならない。
株式の価格の決定について、効力発生日から三十日以内に協議が調わないときは、株主 又は株式会社は、その期間の満了の日後三十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
前条第七項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、効力発生日から六十日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、株主は、いつでも、株式買取請求を撤回することができる。
株式会社は、裁判所の決定した価格に対する第一項の期間の満了の日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。
株式会社は、株式の価格の決定があるまでは、株主に対し、当該株式会社が公正な価格と認める額を支払うことができる。
株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。
株券発行会社(その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めがある株式会社をいう。以下同じ。)は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに、その株式買取請求に係る株式の代金を支払わなければならない。
次の各号に掲げる定款の変更をする場合には、当該各号に定める新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
その発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更
全部の新株予約権
ある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号 又は第七号に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更
当該種類の株式を目的とする新株予約権
新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者は、前項の規定による請求(以下 この節において「新株予約権買取請求」という。)をするときは、併せて、新株予約権付社債についての社債を買い取ることを請求しなければならない。
ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権について別段の定めがある場合は、この限りでない。
第一項各号に掲げる定款の変更をしようとする株式会社は、当該定款の変更が効力を生ずる日(以下 この条 及び次条において「定款変更日」という。)の二十日前までに、同項各号に定める新株予約権の新株予約権者に対し、当該定款の変更を行う旨を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
新株予約権買取請求は、定款変更日の二十日前の日から定款変更日の前日までの間に、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の内容 及び数を明らかにしてしなければならない。
新株予約権証券が発行されている新株予約権について新株予約権買取請求をしようとするときは、当該新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、その新株予約権証券を提出しなければならない。
ただし、当該新株予約権証券について非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第百十四条に規定する公示催告の申立てをした者については、この限りでない。
新株予約権付社債券(第二百四十九条第二号に規定する新株予約権付社債券をいう。以下 この項 及び次条第八項において同じ。)が発行されている新株予約権付社債に付された新株予約権について新株予約権買取請求をしようとするときは、当該新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、その新株予約権付社債券を提出しなければならない。
ただし、当該新株予約権付社債券について非訟事件手続法第百十四条に規定する公示催告の申立てをした者については、この限りでない。
新株予約権買取請求をした新株予約権者は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その新株予約権買取請求を撤回することができる。
株式会社が第一項各号に掲げる定款の変更を中止したときは、新株予約権買取請求は、その効力を失う。
第二百六十条の規定は、新株予約権買取請求に係る新株予約権については、適用しない。
新株予約権買取請求があった場合において、新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合において、当該新株予約権付社債についての社債の買取りの請求があったときは、当該社債を含む。以下この条において同じ。)の価格の決定について、新株予約権者と株式会社との間に協議が調ったときは、株式会社は、定款変更日から六十日以内に その支払をしなければならない。
新株予約権の価格の決定について、定款変更日から三十日以内に協議が調わないときは、新株予約権者 又は株式会社は、その期間の満了の日後三十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
前条第八項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、定款変更日から六十日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、新株予約権者は、いつでも、新株予約権買取請求を撤回することができる。
株式会社は、裁判所の決定した価格に対する第一項の期間の満了の日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。
株式会社は、新株予約権の価格の決定があるまでは、新株予約権者に対し、当該株式会社が公正な価格と認める額を支払うことができる。
新株予約権買取請求に係る新株予約権の買取りは、定款変更日に、その効力を生ずる。
株式会社は、新株予約権証券が発行されている新株予約権について新株予約権買取請求があったときは、新株予約権証券と引換えに、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の代金を支払わなければならない。
株式会社は、新株予約権付社債券が発行されている新株予約権付社債に付された新株予約権について新株予約権買取請求があったときは、その新株予約権付社債券と引換えに、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の代金を支払わなければならない。
株式会社は、何人に対しても、株主の権利、当該株式会社に係る適格旧株主(第八百四十七条の二第九項に規定する適格旧株主をいう。)の権利 又は当該株式会社の最終完全親会社等(第八百四十七条の三第一項に規定する最終完全親会社等をいう。)の株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与(当該株式会社 又はその子会社の計算においてするものに限る。以下 この条において同じ。)をしてはならない。
株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与をしたときは、当該株式会社は、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしたものと推定する。
株式会社が特定の株主に対して有償で財産上の利益の供与をした場合において、当該株式会社 又はその子会社の受けた利益が当該財産上の利益に比して著しく少ないときも、同様とする。
株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与を受けた者は、これを当該株式会社 又はその子会社に返還しなければならない。
この場合において、当該利益の供与を受けた者は、当該株式会社 又はその子会社に対して当該利益と引換えに給付をしたものがあるときは、その返還を受けることができる。
株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与をすることに関与した取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役を含む。以下 この項において同じ。)として法務省令で定める者は、当該株式会社に対して、連帯して、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。
ただし、その者(当該利益の供与をした取締役を除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
前項の義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
第二節 株主名簿
株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数)
第一号の株主が株式を取得した日
株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号
前条第一号の株主は、株式会社に対し、当該株主についての株主名簿に記載され、若しくは記録された株主名簿記載事項を記載した書面の交付 又は当該株主名簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
前項の書面には、株式会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。
株式会社は、株主名簿管理人(株式会社に代わって株主名簿の作成 及び備置きその他の株主名簿に関する事務を行う者をいう。以下同じ。)を置く旨を定款で定め、当該事務を行うことを委託することができる。
株式会社は、一定の日(以下 この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下 この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日 及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。
ただし、定款に当該基準日 及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。
基準日株主が行使することができる権利が株主総会 又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部 又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。
ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。
第一項から第三項までの規定は、第百四十九条第一項に規定する登録株式質権者について準用する。
株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
株主 及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧 又は謄写の請求
株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
当該請求を行う株主 又は債権者(以下 この項において「請求者」という。)がその権利の確保 又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
請求者が株主名簿の閲覧 又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧 又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の株主名簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
前項の親会社社員について第三項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。
株式会社が株主に対してする通知 又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該株主の住所(当該株主が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、株式会社が株主に対してする通知 又は催告を受領する者一人を定め、当該株式会社に対し、その者の氏名 又は名称を通知しなければならない。
この場合においては、その者を株主とみなして、前二項の規定を適用する。
前項の規定による共有者の通知がない場合には、株式会社が株式の共有者に対してする通知 又は催告は、そのうちの一人に対してすれば足りる。
前各項の規定は、第二百九十九条第一項(第三百二十五条において準用する場合を含む。)の通知に際して株主に書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合について準用する。
この場合において、
第二項中
「到達したもの」とあるのは、
「当該書面の交付 又は当該事項の電磁的方法による提供があったもの」と
読み替えるものとする。
第三節 株式の譲渡等
⤏ 第一款 株式の譲渡
株主は、その有する株式を譲渡することができる。
株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。
ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。
株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。
株券発行会社は、自己株式を処分した日以後 遅滞なく、当該自己株式を取得した者に対し、株券を交付しなければならない。
前項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、同項の者から請求がある時までは、同項の株券を交付しないことができる。
株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名 又は名称 及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社 その他の第三者に対抗することができない。
株券発行会社における前項の規定の適用については、
同項中
「株式会社 その他の第三者」とあるのは、
「株式会社」と
する。
株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を適法に有するものと推定する。
株券の交付を受けた者は、当該株券に係る株式についての権利を取得する。
ただし、その者に悪意 又は重大な過失があるときは、この限りでない。
株式会社は、次の各号に掲げる場合には、当該各号の株式の株主に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
当該株式会社の株式を取得した場合
株式会社は、株式の併合をした場合には、併合した株式について、その株式の株主に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
株式会社は、株式の分割をした場合には、分割した株式について、その株式の株主に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
株式を当該株式を発行した株式会社以外の者から取得した者(当該株式会社を除く。以下 この節において「株式取得者」という。)は、当該株式会社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者 又はその相続人 その他の一般承継人と共同してしなければならない。
前条の規定は、株式取得者が取得した株式が譲渡制限株式である場合には、適用しない。
ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
当該株式取得者が当該譲渡制限株式を取得することについて第百三十六条の承認を受けていること。
当該株式取得者が当該譲渡制限株式を取得したことについて第百三十七条第一項の承認を受けていること。
当該株式取得者が第百四十条第四項に規定する指定買取人であること。
当該株式取得者が相続 その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者であること。
子会社は、その親会社である株式会社の株式(以下 この条において「親会社株式」という。)を取得してはならない。
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
他の会社(外国会社を含む。)の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社の有する親会社株式を譲り受ける場合
合併後消滅する会社から親会社株式を承継する場合
吸収分割により他の会社から親会社株式を承継する場合
新設分割により他の会社から親会社株式を承継する場合
前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める場合
子会社は、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。
⤏ 第二款 株式の譲渡に係る承認手続
譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者 又はその相続人 その他の一般承継人と共同してしなければならない。
次の各号に掲げる請求(以下 この款において「譲渡等承認請求」という。)は、当該各号に定める事項を明らかにしてしなければならない。
第百三十六条の規定による請求
次に掲げる事項
当該請求をする株主が譲り渡そうとする譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類 及び種類ごとの数)
イの譲渡制限株式を譲り受ける者の氏名 又は名称
株式会社が第百三十六条の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社 又は第百四十条第四項に規定する指定買取人がイの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨
前条第一項の規定による請求
次に掲げる事項
当該請求をする株式取得者の取得した譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類 及び種類ごとの数)
イの株式取得者の氏名 又は名称
株式会社が前条第一項の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社 又は第百四十条第四項に規定する指定買取人がイの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨
株式会社が第百三十六条 又は第百三十七条第一項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
株式会社は、前項の決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者(以下 この款において「譲渡等承認請求者」という。)に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。
株式会社は、第百三十八条第一号ハ 又は第二号ハの請求を受けた場合において、第百三十六条 又は第百三十七条第一項の承認をしない旨の決定をしたときは、当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式(以下 この款において「対象株式」という。)を買い取らなければならない。
この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
株式会社が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類 及び種類ごとの数)
前項各号に掲げる事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
譲渡等承認請求者は、前項の株主総会において議決権を行使することができない。
ただし、当該譲渡等承認請求者以外の株主の全部が同項の株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。
第一項の規定にかかわらず、同項に規定する場合には、株式会社は、対象株式の全部 又は一部を買い取る者(以下 この款において「指定買取人」という。)を指定することができる。
前項の規定による指定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を決定したときは、譲渡等承認請求者に対し、これらの事項を通知しなければならない。
株式会社は、前項の規定による通知をしようとするときは、一株当たり純資産額(一株当たりの純資産額として法務省令で定める方法により算定される額をいう。以下同じ。)に前条第一項第二号の対象株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない。
対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から一週間以内に、前条第一項第二号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。
この場合においては、当該譲渡等承認請求者は、当該株券発行会社に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。
前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、株券発行会社は、前条第一項第二号の対象株式の売買契約を解除することができる。
指定買取人は、第百四十条第四項の規定による指定を受けたときは、譲渡等承認請求者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
指定買取人が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類 及び種類ごとの数)
指定買取人は、前項の規定による通知をしようとするときは、一株当たり純資産額に同項第二号の対象株式の数を乗じて得た額を株式会社の本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない。
対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から一週間以内に、第一項第二号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。
この場合においては、当該譲渡等承認請求者は、指定買取人に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。
前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、指定買取人は、第一項第二号の対象株式の売買契約を解除することができる。
第百三十八条第一号ハ 又は第二号ハの請求をした譲渡等承認請求者は、第百四十一条第一項の規定による通知を受けた後は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。
第百三十八条第一号ハ 又は第二号ハの請求をした譲渡等承認請求者は、前条第一項の規定による通知を受けた後は、指定買取人の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。
第百四十一条第一項の規定による通知があった場合には、第百四十条第一項第二号の対象株式の売買価格は、株式会社と譲渡等承認請求者との協議によって定める。
株式会社 又は譲渡等承認請求者は、第百四十一条第一項の規定による通知があった日から二十日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができる。
裁判所は、前項の決定をするには、譲渡等承認請求の時における株式会社の資産状態 その他一切の事情を考慮しなければならない。
第一項の規定にかかわらず、第二項の期間内に同項の申立てがあったときは、当該申立てにより裁判所が定めた額をもって第百四十条第一項第二号の対象株式の売買価格とする。
第一項の規定にかかわらず、第二項の期間内に同項の申立てがないとき(当該期間内に第一項の協議が調った場合を除く。)は、一株当たり純資産額に第百四十条第一項第二号の対象株式の数を乗じて得た額をもって当該対象株式の売買価格とする。
第百四十一条第二項の規定による供託をした場合において、第百四十条第一項第二号の対象株式の売買価格が確定したときは、株式会社は、供託した金銭に相当する額を限度として、売買代金の全部 又は一部を支払ったものとみなす。
前各項の規定は、
第百四十二条第一項の規定による通知があった場合について準用する。
この場合において、
第一項中
「第百四十条第一項第二号」とあるのは
「第百四十二条第一項第二号」と、
「株式会社」とあるのは
「指定買取人」と、
第二項中
「株式会社」とあるのは
「指定買取人」と、
第四項 及び第五項中
「第百四十条第一項第二号」とあるのは
「第百四十二条第一項第二号」と、
前項中
「第百四十一条第二項」とあるのは
「第百四十二条第二項」と、
「第百四十条第一項第二号」とあるのは
「同条第一項第二号」と、
「株式会社」とあるのは
「指定買取人」と
読み替えるものとする。
次に掲げる場合には、株式会社は、第百三十六条 又は第百三十七条第一項の承認をする旨の決定をしたものとみなす。
ただし、株式会社と譲渡等承認請求者との合意により別段の定めをしたときは、この限りでない。
株式会社が第百三十六条 又は第百三十七条第一項の規定による請求の日から二週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百三十九条第二項の規定による通知をしなかった場合
株式会社が第百三十九条第二項の規定による通知の日から四十日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百四十一条第一項の規定による通知をしなかった場合(指定買取人が第百三十九条第二項の規定による通知の日から十日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百四十二条第一項の規定による通知をした場合を除く。)
前二号に掲げる場合のほか、法務省令で定める場合
⤏ 第三款 株式の質入れ
株主は、その有する株式に質権を設定することができる。
株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。
株式の質入れは、その質権者の氏名 又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社 その他の第三者に対抗することができない。
前項の規定にかかわらず、株券発行会社の株式の質権者は、継続して当該株式に係る株券を占有しなければ、その質権をもって株券発行会社 その他の第三者に対抗することができない。
民法第三百六十四条の規定は、株式については、適用しない。
株式に質権を設定した者は、株式会社に対し、次に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
前条各号に掲げる事項が株主名簿に記載され、又は記録された質権者(以下「登録株式質権者」という。)は、株式会社に対し、当該登録株式質権者についての株主名簿に記載され、若しくは記録された同条各号に掲げる事項を記載した書面の交付 又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
前項の書面には、株式会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。
株式会社が登録株式質権者に対してする通知 又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該登録株式質権者の住所(当該登録株式質権者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
株式会社が次に掲げる行為をした場合には、株式を目的とする質権は、当該行為によって当該株式の株主が受けることのできる金銭等(金銭 その他の財産をいう。以下同じ。)について存在する。
第百六十七条第一項の規定による取得請求権付株式の取得
第百七十条第一項の規定による取得条項付株式の取得
第百七十三条第一項の規定による第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式の取得
第百八十五条に規定する株式無償割当て
第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て
合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
株式の取得(第一号から第三号までに掲げる行為を除く。)
特別支配株主(第百七十九条第一項に規定する特別支配株主をいう。第百五十四条第三項において同じ。)が株式売渡請求(第百七十九条第二項に規定する株式売渡請求をいう。)により売渡株式(第百七十九条の二第一項第二号に規定する売渡株式をいう。以下 この項において同じ。)の取得をした場合には、売渡株式を目的とする質権は、当該取得によって当該売渡株式の株主が受けることのできる金銭について存在する。
株式会社(株券発行会社を除く。以下 この条において同じ。)は、前条第一項第一号から第三号までに掲げる行為をした場合(これらの行為に際して当該株式会社が株式を交付する場合に限る。)又は同項第六号に掲げる行為をした場合において、同項の質権の質権者が登録株式質権者(第二百十八条第五項の規定による請求により第百四十八条各号に掲げる事項が株主名簿に記載され、又は記録されたものを除く。以下 この款において同じ。)であるときは、前条第一項の株主が受けることができる株式について、その質権者の氏名 又は名称 及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
株式会社は、株式の併合をした場合において、前条第一項の質権の質権者が登録株式質権者であるときは、併合した株式について、その質権者の氏名 又は名称 及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
株式会社は、株式の分割をした場合において、前条第一項の質権の質権者が登録株式質権者であるときは、分割した株式について、その質権者の氏名 又は名称 及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
株券発行会社は、前条第一項に規定する場合には、第百五十一条第一項の株主が受ける株式に係る株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。
株券発行会社は、前条第二項に規定する場合には、併合した株式に係る株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。
株券発行会社は、前条第三項に規定する場合には、分割した株式について新たに発行する株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。
登録株式質権者は、第百五十一条第一項の金銭等(金銭に限る。)又は同条第二項の金銭を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる。
株式会社が次の各号に掲げる行為をした場合において、前項の債権の弁済期が到来していないときは、登録株式質権者は、当該各号に定める者に同項に規定する金銭等に相当する金額を供託させることができる。
この場合において、質権は、その供託金について存在する。
第百五十一条第一項第一号から第六号まで、第八号、第九号 又は第十四号に掲げる行為
当該株式会社
組織変更
第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社
合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社 又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社
株式交換
第七百六十七条に規定する株式交換完全親会社
株式移転
第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社
第百五十一条第二項に規定する場合において、第一項の債権の弁済期が到来していないときは、登録株式質権者は、当該特別支配株主に同条第二項の金銭に相当する金額を供託させることができる。
この場合において、質権は、その供託金について存在する。
⤏ 第四款 信託財産に属する株式についての対抗要件等
株式については、当該株式が信託財産に属する旨を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、当該株式が信託財産に属することを株式会社 その他の第三者に対抗することができない。
第百二十一条第一号の株主は、その有する株式が信託財産に属するときは、株式会社に対し、その旨を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
株主名簿に前項の規定による記載 又は記録がされた場合における第百二十二条第一項 及び第百三十二条の規定の適用については、
第百二十二条第一項中
「記録された株主名簿記載事項」とあるのは
「記録された株主名簿記載事項(当該株主の有する株式が信託財産に属する旨を含む。)」と、
第百三十二条中
「株主名簿記載事項」とあるのは
「株主名簿記載事項(当該株主の有する株式が信託財産に属する旨を含む。)」と
する。
前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。
第四節 株式会社による自己の株式の取得
⤏ 第一款 総則
株式会社は、次に掲げる場合に限り、当該株式会社の株式を取得することができる。
第百七条第二項第三号イの事由が生じた場合
第百三十八条第一号ハ 又は第二号ハの請求があった場合
次条第一項の決議があった場合
第百六十六条第一項の規定による請求があった場合
第百七十一条第一項の決議があった場合
第百七十六条第一項の規定による請求をした場合
第百九十二条第一項の規定による請求があった場合
第百九十七条第三項各号に掲げる事項を定めた場合
第二百三十四条第四項各号(第二百三十五条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる事項を定めた場合
他の会社(外国会社を含む。)の事業の全部を譲り受ける場合において当該 他の会社が有する当該株式会社の株式を取得する場合
合併後消滅する会社から当該株式会社の株式を承継する場合
吸収分割をする会社から当該株式会社の株式を承継する場合
前各号に掲げる場合のほか、法務省令で定める場合
⤏ 第二款 株主との合意による取得
⤏ 第一目 総則
株式会社が株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
ただし、第三号の期間は、一年を超えることができない。
取得する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数)
株式を取得するのと引換えに交付する金銭等(当該株式会社の株式等を除く。以下 この款において同じ。)の内容 及び その総額
前項の規定は、前条第一号 及び第二号 並びに第四号から第十三号までに掲げる場合には、適用しない。
株式会社は、前条第一項の規定による決定に従い株式を取得しようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。
取得する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び数)
株式一株を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容 及び数 若しくは額 又はこれらの算定方法
株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の総額
取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
第一項の株式の取得の条件は、同項の規定による決定ごとに、均等に定めなければならない。
株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)に対し、前条第一項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
公開会社においては、前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
前条第一項の規定による通知を受けた株主は、その有する株式の譲渡しの申込みをしようとするときは、株式会社に対し、その申込みに係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び数)を明らかにしなければならない。
株式会社は、第百五十七条第一項第四号の期日において、前項の株主が申込みをした株式の譲受けを承諾したものとみなす。
ただし、同項の株主が申込みをした株式の総数(以下 この項において「申込総数」という。)が同条第一項第一号の数(以下 この項において「取得総数」という。)を超えるときは、取得総数を申込総数で除して得た数に前項の株主が申込みをした株式の数を乗じて得た数(その数に一に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)の株式の譲受けを承諾したものとみなす。
⤏ 第二目 特定の株主からの取得
株式会社は、第百五十六条第一項各号に掲げる事項の決定に併せて、同項の株主総会の決議によって、第百五十八条第一項の規定による通知を特定の株主に対して行う旨を定めることができる。
株式会社は、前項の規定による決定をしようとするときは、法務省令で定める時までに、株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)に対し、次項の規定による請求をすることができる旨を通知しなければならない。
前項の株主は、第一項の特定の株主に自己をも加えたものを同項の株主総会の議案とすることを、法務省令で定める時までに、請求することができる。
第一項の特定の株主は、第百五十六条第一項の株主総会において議決権を行使することができない。
ただし、第一項の特定の株主以外の株主の全部が当該株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。
第一項の特定の株主を定めた場合における第百五十八条第一項の規定の適用については、
同項中
「株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)」とあるのは、
「第百六十条第一項の特定の株主」と
する。
前条第二項 及び第三項の規定は、取得する株式が市場価格のある株式である場合において、当該株式一株を取得するのと引換えに交付する金銭等の額が当該株式一株の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えないときは、適用しない。
第百六十条第二項 及び第三項の規定は、株式会社が株主の相続人 その他の一般承継人からその相続 その他の一般承継により取得した当該株式会社の株式を取得する場合には、適用しない。
ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
当該相続人 その他の一般承継人が株主総会 又は種類株主総会において当該株式について議決権を行使した場合
株式会社がその子会社の有する当該株式会社の株式を取得する場合における第百五十六条第一項の規定の適用については、
同項中
「株主総会」とあるのは、
「株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)」と
する。
この場合においては、第百五十七条から第百六十条までの規定は、適用しない。
株式会社は、株式(種類株式発行会社にあっては、ある種類の株式。次項において同じ。)の取得について第百六十条第一項の規定による決定をするときは同条第二項 及び第三項の規定を適用しない旨を定款で定めることができる。
株式の発行後に定款を変更して当該株式について前項の規定による定款の定めを設け、又は当該定めについての定款の変更(同項の定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該株式を有する株主全員の同意を得なければならない。
⤏ 第三目 市場取引等による株式の取得
第百五十七条から第百六十条までの規定は、株式会社が市場において行う取引 又は金融商品取引法第二十七条の二第六項に規定する公開買付けの方法(以下 この条において「市場取引等」という。)により当該株式会社の株式を取得する場合には、適用しない。
取締役会設置会社は、市場取引等により当該株式会社の株式を取得することを取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができる。
前項の規定による定款の定めを設けた場合における第百五十六条第一項の規定の適用については、
同項中
「株主総会」とあるのは、
「株主総会(第百六十五条第一項に規定する場合にあっては、株主総会 又は取締役会)」と
する。
⤏ 第三款 取得請求権付株式及び取得条項付株式の取得
⤏ 第一目 取得請求権付株式の取得の請求
取得請求権付株式の株主は、株式会社に対して、当該株主の有する取得請求権付株式を取得することを請求することができる。
ただし、当該取得請求権付株式を取得するのと引換えに第百七条第二項第二号ロからホまでに規定する財産を交付する場合において、これらの財産の帳簿価額が当該請求の日における第四百六十一条第二項の分配可能額を超えているときは、この限りでない。
前項の規定による請求は、その請求に係る取得請求権付株式の数(種類株式発行会社にあっては、取得請求権付株式の種類 及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
株券発行会社の株主がその有する取得請求権付株式について第一項の規定による請求をしようとするときは、当該取得請求権付株式に係る株券を株券発行会社に提出しなければならない。
ただし、当該取得請求権付株式に係る株券が発行されていない場合は、この限りでない。
株式会社は、前条第一項の規定による請求の日に、その請求に係る取得請求権付株式を取得する。
次の各号に掲げる場合には、前条第一項の規定による請求をした株主は、その請求の日に、第百七条第二項第二号(種類株式発行会社にあっては、第百八条第二項第五号)に定める事項についての定めに従い、当該各号に定める者となる。
第百七条第二項第二号ロに掲げる事項についての定めがある場合
同号ロの社債の社債権者
第百七条第二項第二号ハに掲げる事項についての定めがある場合
同号ハの新株予約権の新株予約権者
第百七条第二項第二号ニに掲げる事項についての定めがある場合
同号ニの新株予約権付社債についての社債の社債権者 及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
第百八条第二項第五号ロに掲げる事項についての定めがある場合
同号ロの他の株式の株主
前項第四号に掲げる場合において、同号に規定する他の株式の数に一株に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。
この場合においては、株式会社は、定款に別段の定めがある場合を除き、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額にその端数を乗じて得た額に相当する金銭を前条第一項の規定による請求をした株主に対して交付しなければならない。
当該株式が市場価格のある株式である場合
当該株式一株の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額
前号に掲げる場合以外の場合
一株当たり純資産額
前項の規定は、当該株式会社の社債 及び新株予約権について端数がある場合について準用する。
この場合において、
同項第二号中
「一株当たり純資産額」とあるのは、
「法務省令で定める額」と
読み替えるものとする。
⤏ 第二目 取得条項付株式の取得
第百七条第二項第三号ロに掲げる事項についての定めがある場合には、株式会社は、同号ロの日を株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって定めなければならない。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
第百七条第二項第三号ロの日を定めたときは、株式会社は、取得条項付株式の株主(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、次条第一項の規定により決定した取得条項付株式の株主)及び その登録株式質権者に対し、当該日の二週間前までに、当該日を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
株式会社は、第百七条第二項第三号ハに掲げる事項についての定めがある場合において、取得条項付株式を取得しようとするときは、その取得する取得条項付株式を決定しなければならない。
前項の取得条項付株式は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって定めなければならない。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
第一項の規定による決定をしたときは、株式会社は、同項の規定により決定した取得条項付株式の株主 及び その登録株式質権者に対し、直ちに、当該取得条項付株式を取得する旨を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
株式会社は、第百七条第二項第三号イの事由が生じた日(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、第一号に掲げる日 又は第二号に掲げる日のいずれか遅い日。次項 及び第五項において同じ。)に、取得条項付株式(同条第二項第三号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、前条第一項の規定により決定したもの。次項において同じ。)を取得する。
第百七条第二項第三号イの事由が生じた日
前条第三項の規定による通知の日 又は同条第四項の公告の日から二週間を経過した日
次の各号に掲げる場合には、取得条項付株式の株主(当該株式会社を除く。)は、第百七条第二項第三号イの事由が生じた日に、同号(種類株式発行会社にあっては、第百八条第二項第六号)に定める事項についての定めに従い、当該各号に定める者となる。
第百七条第二項第三号ニに掲げる事項についての定めがある場合
同号ニの社債の社債権者
第百七条第二項第三号ホに掲げる事項についての定めがある場合
同号ホの新株予約権の新株予約権者
第百七条第二項第三号ヘに掲げる事項についての定めがある場合
同号ヘの新株予約権付社債についての社債の社債権者 及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
第百八条第二項第六号ロに掲げる事項についての定めがある場合
同号ロの他の株式の株主
株式会社は、第百七条第二項第三号イの事由が生じた後、遅滞なく、取得条項付株式の株主 及び その登録株式質権者(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、前条第一項の規定により決定した取得条項付株式の株主 及び その登録株式質権者)に対し、当該事由が生じた旨を通知しなければならない。
ただし、第百六十八条第二項の規定による通知 又は同条第三項の公告をしたときは、この限りでない。
前項本文の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
前各項の規定は、取得条項付株式を取得するのと引換えに第百七条第二項第三号ニからトまでに規定する財産を交付する場合において、これらの財産の帳簿価額が同号イの事由が生じた日における第四百六十一条第二項の分配可能額を超えているときは、適用しない。
⤏ 第四款 全部取得条項付種類株式の取得
全部取得条項付種類株式(第百八条第一項第七号に掲げる事項についての定めがある種類の株式をいう。以下 この款において同じ。)を発行した種類株式発行会社は、株主総会の決議によって、全部取得条項付種類株式の全部を取得することができる。
この場合においては、当該株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
全部取得条項付種類株式を取得するのと引換えに金銭等を交付するときは、当該金銭等(以下 この条において「取得対価」という。)についての次に掲げる事項
当該取得対価が当該株式会社の株式であるときは、当該株式の種類 及び種類ごとの数 又はその数の算定方法
当該取得対価が当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類 及び種類ごとの各社債の金額の合計額 又はその算定方法
当該取得対価が当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容 及び数 又はその算定方法
当該取得対価が当該株式会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項 及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
当該取得対価が当該株式会社の株式等以外の財産であるときは、当該財産の内容 及び数 若しくは額 又はこれらの算定方法
前号に規定する場合には、全部取得条項付種類株式の株主に対する取得対価の割当てに関する事項
株式会社が全部取得条項付種類株式を取得する日(以下 この款において「取得日」という。)
前項第二号に掲げる事項についての定めは、株主(当該株式会社を除く。)の有する全部取得条項付種類株式の数に応じて取得対価を割り当てることを内容とするものでなければならない。
取締役は、第一項の株主総会において、全部取得条項付種類株式の全部を取得することを必要とする理由を説明しなければならない。
全部取得条項付種類株式を取得する株式会社は、次に掲げる日のいずれか早い日から取得日後六箇月を経過する日までの間、前条第一項各号に掲げる事項 その他法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
前条第一項の株主総会の日の二週間前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)
第百七十二条第二項の規定による通知の日 又は同条第三項の公告の日のいずれか早い日
全部取得条項付種類株式を取得する株式会社の株主は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
前項の書面の閲覧の請求
前項の書面の謄本 又は抄本の交付の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
第百七十一条第一項の規定による全部取得条項付種類株式の取得が法令 又は定款に違反する場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、当該全部取得条項付種類株式の取得をやめることを請求することができる。
第百七十一条第一項各号に掲げる事項を定めた場合には、次に掲げる株主は、取得日の二十日前の日から取得日の前日までの間に、裁判所に対し、株式会社による全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定の申立てをすることができる。
当該株主総会に先立って当該株式会社による全部取得条項付種類株式の取得に反対する旨を当該株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該取得に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
当該株主総会において議決権を行使することができない株主
株式会社は、取得日の二十日前までに、全部取得条項付種類株式の株主に対し、当該全部取得条項付種類株式の全部を取得する旨を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
株式会社は、裁判所の決定した価格に対する取得日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。
株式会社は、全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定があるまでは、株主に対し、当該株式会社がその公正な価格と認める額を支払うことができる。
株式会社は、取得日に、全部取得条項付種類株式の全部を取得する。
次の各号に掲げる場合には、当該株式会社以外の全部取得条項付種類株式の株主(前条第一項の申立てをした株主を除く。)は、取得日に、第百七十一条第一項の株主総会の決議による定めに従い、当該各号に定める者となる。
第百七十一条第一項第一号イに掲げる事項についての定めがある場合
同号イの株式の株主
第百七十一条第一項第一号ロに掲げる事項についての定めがある場合
同号ロの社債の社債権者
第百七十一条第一項第一号ハに掲げる事項についての定めがある場合
同号ハの新株予約権の新株予約権者
第百七十一条第一項第一号ニに掲げる事項についての定めがある場合
同号ニの新株予約権付社債についての社債の社債権者 及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
株式会社は、取得日後遅滞なく、株式会社が取得した全部取得条項付種類株式の数 その他の全部取得条項付種類株式の取得に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録を作成しなければならない。
株式会社は、取得日から六箇月間、前項の書面 又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
全部取得条項付種類株式を取得した株式会社の株主 又は取得日に全部取得条項付種類株式の株主であった者は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
前項の書面の閲覧の請求
前項の書面の謄本 又は抄本の交付の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
⤏ 第五款 相続人等に対する売渡しの請求
株式会社は、相続 その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。
株式会社は、前条の規定による定款の定めがある場合において、次条第一項の規定による請求をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
次条第一項の規定による請求をする株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数)
前号の株式を有する者の氏名 又は名称
前項第二号の者は、同項の株主総会において議決権を行使することができない。
ただし、同号の者以外の株主の全部が当該株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。
株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を定めたときは、同項第二号の者に対し、同項第一号の株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。
ただし、当該株式会社が相続 その他の一般承継があったことを知った日から一年を経過したときは、この限りでない。
前項の規定による請求は、その請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
株式会社は、いつでも、第一項の規定による請求を撤回することができる。
前条第一項の規定による請求があった場合には、第百七十五条第一項第一号の株式の売買価格は、株式会社と同項第二号の者との協議によって定める。
株式会社 又は第百七十五条第一項第二号の者は、前条第一項の規定による請求があった日から二十日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができる。
裁判所は、前項の決定をするには、前条第一項の規定による請求の時における株式会社の資産状態 その他一切の事情を考慮しなければならない。
第一項の規定にかかわらず、第二項の期間内に同項の申立てがあったときは、当該申立てにより裁判所が定めた額をもって第百七十五条第一項第一号の株式の売買価格とする。
第二項の期間内に同項の申立てがないとき(当該期間内に第一項の協議が調った場合を除く。)は、前条第一項の規定による請求は、その効力を失う。
⤏ 第六款 株式の消却
株式会社は、自己株式を消却することができる。
この場合においては、消却する自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、自己株式の種類 及び種類ごとの数)を定めなければならない。
取締役会設置会社においては、前項後段の規定による決定は、取締役会の決議によらなければならない。
第四節の二 特別支配株主の株式等売渡請求
株式会社の特別支配株主(株式会社の総株主の議決権の十分の九(これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)以上を当該株式会社以外の者 及び当該者が発行済株式の全部を有する株式会社 その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人(以下 この条 及び次条第一項において「特別支配株主完全子法人」という。)が有している場合における当該者をいう。以下同じ。)は、当該株式会社の株主(当該株式会社 及び当該特別支配株主を除く。)の全員に対し、その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができる。
ただし、特別支配株主完全子法人に対しては、その請求をしないことができる。
特別支配株主は、前項の規定による請求(以下 この章 及び第八百四十六条の二第二項第一号において「株式売渡請求」という。)をするときは、併せて、その株式売渡請求に係る株式を発行している株式会社(以下「対象会社」という。)の新株予約権の新株予約権者(対象会社 及び当該特別支配株主を除く。)の全員に対し、その有する対象会社の新株予約権の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができる。
ただし、特別支配株主完全子法人に対しては、その請求をしないことができる。
特別支配株主は、新株予約権付社債に付された新株予約権について前項の規定による請求(以下「新株予約権売渡請求」という。)をするときは、併せて、新株予約権付社債についての社債の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求しなければならない。
ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権について別段の定めがある場合は、この限りでない。
株式売渡請求は、次に掲げる事項を定めてしなければならない。
特別支配株主完全子法人に対して株式売渡請求をしないこととするときは、その旨 及び当該特別支配株主完全子法人の名称
株式売渡請求によりその有する対象会社の株式を売り渡す株主(以下「売渡株主」という。)に対して当該株式(以下この章において「売渡株式」という。)の対価として交付する金銭の額 又はその算定方法
売渡株主に対する前号の金銭の割当てに関する事項
株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求(その新株予約権売渡請求に係る新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合における前条第三項の規定による請求を含む。以下同じ。)をするときは、その旨 及び次に掲げる事項
特別支配株主完全子法人に対して新株予約権売渡請求をしないこととするときは、その旨 及び当該特別支配株主完全子法人の名称
新株予約権売渡請求によりその有する対象会社の新株予約権を売り渡す新株予約権者(以下「売渡新株予約権者」という。)に対して当該新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合において、前条第三項の規定による請求をするときは、当該新株予約権付社債についての社債を含む。以下 この編において「売渡新株予約権」という。)の対価として交付する金銭の額 又はその算定方法
売渡新株予約権者に対するロの金銭の割当てに関する事項
特別支配株主が売渡株式(株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、売渡株式 及び売渡新株予約権。以下「売渡株式等」という。)を取得する日(以下 この節において「取得日」という。)
前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
対象会社が種類株式発行会社である場合には、特別支配株主は、対象会社の発行する種類の株式の内容に応じ、前項第三号に掲げる事項として、同項第二号の金銭の割当てについて売渡株式の種類ごとに異なる取扱いを行う旨 及び当該異なる取扱いの内容を定めることができる。
第一項第三号に掲げる事項についての定めは、売渡株主の有する売渡株式の数(前項に規定する定めがある場合にあっては、各種類の売渡株式の数)に応じて金銭を交付することを内容とするものでなければならない。
特別支配株主は、株式売渡請求(株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、株式売渡請求 及び新株予約権売渡請求。以下「株式等売渡請求」という。)をしようとするときは、対象会社に対し、その旨 及び前条第一項各号に掲げる事項を通知し、その承認を受けなければならない。
対象会社は、特別支配株主が株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をしようとするときは、新株予約権売渡請求のみを承認することはできない。
取締役会設置会社が第一項の承認をするか否かの決定をするには、取締役会の決議によらなければならない。
対象会社は、第一項の承認をするか否かの決定をしたときは、特別支配株主に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。
対象会社は、前条第一項の承認をしたときは、取得日の二十日前までに、次の各号に掲げる者に対し、当該各号に定める事項を通知しなければならない。
売渡株主(特別支配株主が株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、売渡株主 及び売渡新株予約権者。以下 この節において「売渡株主等」という。)当該承認をした旨、特別支配株主の氏名 又は名称 及び住所、第百七十九条の二第一項第一号から第五号までに掲げる事項 その他法務省令で定める事項
売渡株式の登録株式質権者(特別支配株主が株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、売渡株式の登録株式質権者 及び売渡新株予約権の登録新株予約権質権者(第二百七十条第一項に規定する登録新株予約権質権者をいう。 ))当該承認をした旨
前項の規定による通知(売渡株主に対してするものを除く。)は、公告をもってこれに代えることができる。
対象会社が第一項の規定による通知 又は前項の公告をしたときは、特別支配株主から売渡株主等に対し、株式等売渡請求がされたものとみなす。
第一項の規定による通知 又は第二項の公告の費用は、特別支配株主の負担とする。
対象会社は、前条第一項第一号の規定による通知の日 又は同条第二項の公告の日のいずれか早い日から取得日後六箇月(対象会社が公開会社でない場合にあっては、取得日後一年)を経過する日までの間、次に掲げる事項を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
特別支配株主の氏名 又は名称 及び住所
第百七十九条の二第一項各号に掲げる事項
第百七十九条の三第一項の承認をした旨
前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
売渡株主等は、対象会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該対象会社の定めた費用を支払わなければならない。
前項の書面の閲覧の請求
前項の書面の謄本 又は抄本の交付の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって対象会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
特別支配株主は、第百七十九条の三第一項の承認を受けた後は、取得日の前日までに対象会社の承諾を得た場合に限り、売渡株式等の全部について株式等売渡請求を撤回することができる。
取締役会設置会社が前項の承諾をするか否かの決定をするには、取締役会の決議によらなければならない。
対象会社は、第一項の承諾をするか否かの決定をしたときは、特別支配株主に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。
対象会社は、第一項の承諾をしたときは、遅滞なく、売渡株主等に対し、当該承諾をした旨を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
対象会社が第四項の規定による通知 又は前項の公告をしたときは、株式等売渡請求は、売渡株式等の全部について撤回されたものとみなす。
第四項の規定による通知 又は第五項の公告の費用は、特別支配株主の負担とする。
前各項の規定は、新株予約権売渡請求のみを撤回する場合について準用する。
この場合において、
第四項中
「売渡株主等」とあるのは、
「売渡新株予約権者」と
読み替えるものとする。
次に掲げる場合において、売渡株主が不利益を受けるおそれがあるときは、売渡株主は、特別支配株主に対し、株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得をやめることを請求することができる。
対象会社が第百七十九条の四第一項第一号(売渡株主に対する通知に係る部分に限る。) 又は第百七十九条の五の規定に違反した場合
第百七十九条の二第一項第二号 又は第三号に掲げる事項が対象会社の財産の状況 その他の事情に照らして著しく不当である場合
次に掲げる場合において、売渡新株予約権者が不利益を受けるおそれがあるときは、売渡新株予約権者は、特別支配株主に対し、株式等売渡請求に係る渡株式等の全部の取得をやめることを請求することができる。
新株予約権売渡請求が法令に違反する場合
対象会社が第百七十九条の四第一項第一号(売渡新株予約権者に対する通知に係る部分に限る。) 又は第百七十九条の五の規定に違反した場合
第百七十九条の二第一項第四号ロ 又はハに掲げる事項が対象会社の財産の状況 その他の事情に照らして著しく不当である場合
株式等売渡請求があった場合には、売渡株主等は、取得日の二十日前の日から取得日の前日までの間に、裁判所に対し、その有する売渡株式等の売買価格の決定の申立てをすることができる。
特別支配株主は、裁判所の決定した売買価格に対する取得日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。
特別支配株主は、売渡株式等の売買価格の決定があるまでは、売渡株主等に対し、当該特別支配株主が公正な売買価格と認める額を支払うことができる。
株式等売渡請求をした特別支配株主は、取得日に、売渡株式等の全部を取得する。
前項の規定により特別支配株主が取得した売渡株式等が譲渡制限株式 又は譲渡制限新株予約権(第二百四十三条第二項第二号に規定する譲渡制限新株予約権をいう。)であるときは、対象会社は、当該特別支配株主が当該売渡株式等を取得したことについて、第百三十七条第一項 又は第二百六十三条第一項の承認をする旨の決定をしたものとみなす。
対象会社は、取得日後 遅滞なく、株式等売渡請求により特別支配株主が取得した売渡株式等の数 その他の株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録を作成しなければならない。
対象会社は、取得日から六箇月間(対象会社が公開会社でない場合にあっては、取得日から一年間)、前項の書面 又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
取得日に売渡株主等であった者は、対象会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該対象会社の定めた費用を支払わなければならない。
前項の書面の閲覧の請求
前項の書面の謄本 又は抄本の交付の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって対象会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
第五節 株式の併合等
⤏ 第一款 株式の併合
株式会社は、株式の併合をすることができる。
株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
株式の併合がその効力を生ずる日(以下 この款において「効力発生日」という。)
株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類
前項第四号の発行可能株式総数は、効力発生日における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。
ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
取締役は、第二項の株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
株式会社は、効力発生日の二週間前までに、株主(種類株式発行会社にあっては、前条第二項第三号の種類の種類株主。以下 この款において同じ。)及び その登録株式質権者に対し、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
株主は、効力発生日に、その日の前日に有する株式(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式。以下 この項において同じ。)の数に同条第二項第一号の割合を乗じて得た数の株式の株主となる。
株式の併合をした株式会社は、効力発生日に、第百八十条第二項第四号に掲げる事項についての定めに従い、当該事項に係る定款の変更をしたものとみなす。
株式の併合(単元株式数(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式の単元株式数。以下 この項において同じ。)を定款で定めている場合にあっては、当該単元株式数に同条第二項第一号の割合を乗じて得た数に一に満たない端数が生ずるものに限る。以下 この款において同じ。)をする株式会社は、次に掲げる日のいずれか早い日から効力発生日後六箇月を経過する日までの間、同項各号に掲げる事項 その他法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
第百八十条第二項の株主総会(株式の併合をするために種類株主総会の決議を要する場合にあっては、当該種類株主総会を含む。第百八十二条の四第二項において同じ。)の日の二週間前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)
第百八十二条の四第三項の規定により読み替えて適用する第百八十一条第一項の規定による株主に対する通知の日又は第百八十一条第二項の公告の日のいずれか早い日
株式の併合をする株式会社の株主は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
前項の書面の閲覧の請求
前項の書面の謄本 又は抄本の交付の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
株式の併合が法令 又は定款に違反する場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、当該株式の併合をやめることを請求することができる。
株式会社が株式の併合をすることにより株式の数に一株に満たない端数が生ずる場合には、反対株主は、当該株式会社に対し、自己の有する株式のうち一株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
前項に規定する「反対株主」とは、次に掲げる株主をいう。
第百八十条第二項の株主総会に先立って当該株式の併合に反対する旨を当該株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該株式の併合に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
当該株主総会において議決権を行使することができない株主
株式会社が株式の併合をする場合における株主に対する通知についての第百八十一条第一項の規定の適用については、
同項中
「二週間」とあるのは、
「二十日」と
する。
第一項の規定による請求(以下 この款において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の二十日前の日から 効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、株式会社に対し、当該株式に係る株券を提出しなければならない。
ただし、当該株券について第二百二十三条の規定による請求をした者については、この限りでない。
株式買取請求をした株主は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。
第百三十三条の規定は、株式買取請求に係る株式については、適用しない。
株式買取請求があった場合において、株式の価格の決定について、株主と株式会社との間に協議が調ったときは、株式会社は、効力発生日から六十日以内に その支払をしなければならない。
株式の価格の決定について、効力発生日から三十日以内に協議が調わないときは、株主 又は株式会社は、その期間の満了の日後三十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
前条第六項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、効力発生日から六十日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、株主は、いつでも、株式買取請求を撤回することができる。
株式会社は、裁判所の決定した価格に対する第一項の期間の満了の日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。
株式会社は、株式の価格の決定があるまでは、株主に対し、当該株式会社が公正な価格と認める額を支払うことができる。
株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。
株券発行会社は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに、その株式買取請求に係る株式の代金を支払わなければならない。
株式の併合をした株式会社は、効力発生日後遅滞なく、株式の併合が効力を生じた時における発行済株式(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の発行済株式)の総数 その他の株式の併合に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録を作成しなければならない。
株式会社は、効力発生日から六箇月間、前項の書面 又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
株式の併合をした株式会社の株主 又は効力発生日に当該株式会社の株主であった者は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
前項の書面の閲覧の請求
前項の書面の謄本 又は抄本の交付の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
⤏ 第二款 株式の分割
株式会社は、株式の分割をすることができる。
株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、第三号の種類の発行済株式)の総数に対する割合 及び当該株式の分割に係る基準日
株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類
基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(種類株式発行会社にあっては、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている前条第二項第三号の種類の種類株主)は、同項第二号の日に、基準日に有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の株式。以下 この項において同じ。)の数に同条第二項第一号の割合を乗じて得た数の株式を取得する。
株式会社(現に二以上の種類の株式を発行しているものを除く。)は、第四百六十六条の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、前条第二項第二号の日における発行可能株式総数をその日の前日の発行可能株式総数に同項第一号の割合を乗じて得た数の範囲内で増加する定款の変更をすることができる。
⤏ 第三款 株式無償割当て
株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、ある種類の種類株主)に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の株式の割当て(以下 この款において「株式無償割当て」という。)をすることができる。
株式会社は、株式無償割当てをしようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。
株主に割り当てる株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数) 又はその数の算定方法
株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類
前項第一号に掲げる事項についての定めは、当該株式会社以外の株主(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の種類株主)の有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の株式)の数に応じて同項第一号の株式を割り当てることを内容とするものでなければならない。
第一項各号に掲げる事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
前条第一項第一号の株式の割当てを受けた株主は、同項第二号の日に、同項第一号の株式の株主となる。
株式会社は、前条第一項第二号の日後遅滞なく、株主(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の種類株主)及び その登録株式質権者に対し、当該株主が割当てを受けた株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数)を通知しなければならない。
第六節 単元株式数
⤏ 第一款 総則
株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会 又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。
前項の一定の数は、法務省令で定める数を超えることはできない。
種類株式発行会社においては、単元株式数は、株式の種類ごとに定めなければならない。
単元株式数に満たない数の株式(以下「単元未満株式」という。)を有する株主(以下「単元未満株主」という。)は、その有する単元未満株式について、株主総会 及び種類株主総会において議決権を行使することができない。
株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について次に掲げる権利以外の権利の全部 又は一部を行使することができない旨を定款で定めることができる。
第百七十一条第一項第一号に規定する取得対価の交付を受ける権利
株式会社による取得条項付株式の取得と引換えに金銭等の交付を受ける権利
第百八十五条に規定する株式無償割当てを受ける権利
第百九十二条第一項の規定により単元未満株式を買い取ることを請求する権利
前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める権利
株券発行会社は、単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。
単元株式数を定める場合には、取締役は、当該単元株式数を定める定款の変更を目的とする株主総会において、当該単元株式数を定めることを必要とする理由を説明しなければならない。
株式会社は、次のいずれにも該当する場合には、第四百六十六条の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、単元株式数(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式の単元株式数。以下この条において同じ。)を増加し、又は単元株式数についての定款の定めを設ける定款の変更をすることができる。
株式の分割と同時に単元株式数を増加し、又は単元株式数についての定款の定めを設けるものであること。
イに掲げる数がロに掲げる数を下回るものでないこと。
当該定款の変更後において各株主がそれぞれ有する株式の数を単元株式数で除して得た数
当該定款の変更前において各株主がそれぞれ有する株式の数(単元株式数を定めている場合にあっては、当該株式の数を単元株式数で除して得た数)
⤏ 第二款 単元未満株主の買取請求
単元未満株主は、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる。
前項の規定による請求は、その請求に係る単元未満株式の数(種類株式発行会社にあっては、単元未満株式の種類 及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
第一項の規定による請求をした単元未満株主は、株式会社の承諾を得た場合に限り、当該請求を撤回することができる。
前条第一項の規定による請求があった場合には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額をもって当該請求に係る単元未満株式の価格とする。
当該単元未満株式が市場価格のある株式である場合
当該単元未満株式の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額
前号に掲げる場合以外の場合
株式会社と前条第一項の規定による請求をした単元未満株主との協議によって定める額
前項第二号に掲げる場合には、前条第一項の規定による請求をした単元未満株主 又は株式会社は、当該請求をした日から二十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
裁判所は、前項の決定をするには、前条第一項の規定による請求の時における株式会社の資産状態 その他一切の事情を考慮しなければならない。
第一項の規定にかかわらず、第二項の期間内に同項の申立てがあったときは、当該申立てにより裁判所が定めた額をもって当該単元未満株式の価格とする。
第一項の規定にかかわらず、同項第二号に掲げる場合において、第二項の期間内に同項の申立てがないとき(当該期間内に第一項第二号の協議が調った場合を除く。)は、一株当たり純資産額に前条第一項の規定による請求に係る単元未満株式の数を乗じて得た額をもって当該単元未満株式の価格とする。
前条第一項の規定による請求に係る株式の買取りは、当該株式の代金の支払の時に、その効力を生ずる。
株券発行会社は、株券が発行されている株式につき前条第一項の規定による請求があったときは、株券と引換えに、その請求に係る株式の代金を支払わなければならない。
⤏ 第三款 単元未満株主の売渡請求
株式会社は、単元未満株主が当該株式会社に対して単元未満株式売渡請求(単元未満株主が有する単元未満株式の数と併せて単元株式数となる数の株式を当該単元未満株主に売り渡すことを請求することをいう。以下 この条において同じ。)をすることができる旨を定款で定めることができる。
単元未満株式売渡請求は、当該単元未満株主に売り渡す単元未満株式の数(種類株式発行会社にあっては、単元未満株式の種類 及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
単元未満株式売渡請求を受けた株式会社は、当該単元未満株式売渡請求を受けた時に前項の単元未満株式の数に相当する数の株式を有しない場合を除き、自己株式を当該単元未満株主に売り渡さなければならない。
第百九十二条第三項 及び前条第一項から第六項までの規定は、単元未満株式売渡請求について準用する。
⤏ 第四款 単元株式数の変更等
株式会社は、第四百六十六条の規定にかかわらず、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、定款を変更して単元株式数を減少し、又は単元株式数についての定款の定めを廃止することができる。
前項の規定により定款の変更をした場合には、株式会社は、当該定款の変更の効力が生じた日以後遅滞なく、その株主(種類株式発行会社にあっては、同項の規定により単元株式数を変更した種類の種類株主)に対し、当該定款の変更をした旨を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
第七節 株主に対する通知の省略等
株式会社が株主に対してする通知 又は催告が五年以上継続して到達しない場合には、株式会社は、当該株主に対する通知 又は催告をすることを要しない。
前項の場合には、同項の株主に対する株式会社の義務の履行を行う場所は、株式会社の住所地とする。
前二項の規定は、登録株式質権者について準用する。
株式会社は、次のいずれにも該当する株式を競売し、かつ、その代金をその株式の株主に交付することができる。
その株式の株主に対して前条第一項 又は第二百九十四条第二項の規定により通知 及び催告をすることを要しないもの
その株式の株主が継続して五年間剰余金の配当を受領しなかったもの
株式会社は、前項の規定による競売に代えて、市場価格のある同項の株式については市場価格として法務省令で定める方法により算定される額をもって、市場価格のない同項の株式については裁判所の許可を得て競売以外の方法により、これを売却することができる。
この場合において、当該許可の申立ては、取締役が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。
株式会社は、前項の規定により売却する株式の全部 又は一部を買い取ることができる。
この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
買い取る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数)
前号の株式の買取りをするのと引換えに交付する金銭の総額
取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
第一項 及び第二項の規定にかかわらず、登録株式質権者がある場合には、当該登録株式質権者が次のいずれにも該当する者であるときに限り、株式会社は、第一項の規定による競売 又は第二項の規定による売却をすることができる。
前条第三項において準用する同条第一項の規定により通知 又は催告をすることを要しない者
継続して五年間第百五十四条第一項の規定により受領することができる剰余金の配当を受領しなかった者
前条第一項の規定による競売 又は同条第二項の規定による売却をする場合には、株式会社は、同条第一項の株式の株主 その他の利害関係人が一定の期間内に異議を述べることができる旨 その他法務省令で定める事項を公告し、かつ、当該株式の株主 及び その登録株式質権者には、各別にこれを催告しなければならない。
ただし、当該期間は、三箇月を下ることができない。
第百二十六条第一項 及び第百五十条第一項の規定にかかわらず、前項の規定による催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該株主 及び登録株式質権者の住所(当該株主 又は登録株式質権者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先を含む。)にあてて発しなければならない。
第百二十六条第三項 及び第四項の規定にかかわらず、株式が二以上の者の共有に属するときは、第一項の規定による催告は、共有者に対し、株主名簿に記載し、又は記録した住所(当該共有者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先を含む。)にあてて発しなければならない。
第百九十六条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定は、第一項の規定による催告については、適用しない。
第一項の規定による公告をした場合(前条第一項の株式に係る株券が発行されている場合に限る。)において、第一項の期間内に利害関係人が異議を述べなかったときは、当該株式に係る株券は、当該期間の末日に無効となる。
第八節 募集株式の発行等
⤏ 第一款 募集事項の決定等
株式会社は、その発行する株式 又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下 この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類 及び数。以下 この節において同じ。)
募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭 又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下 この節において同じ。)又はその算定方法
金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨 並びに当該財産の内容 及び価額
募集株式と引換えにする金銭の払込み 又は前号の財産の給付の期日 又はその期間
株式を発行するときは、増加する資本金 及び資本準備金に関する事項
前項各号に掲げる事項(以下 この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
種類株式発行会社において、第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。
ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。
前条第二項 及び第四項の規定にかかわらず、株主総会においては、その決議によって、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することができる。
この場合においては、その委任に基づいて募集事項の決定をすることができる募集株式の数の上限 及び払込金額の下限を定めなければならない。
前項の払込金額の下限が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、同項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
第一項の決議は、前条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の末日)が当該決議の日から一年以内の日である同項の募集についてのみ その効力を有する。
種類株式発行会社において、第一項の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定の委任は、当該種類の株式について前条第四項の定款の定めがある場合を除き、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。
ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
第百九十九条第三項に規定する場合を除き、公開会社における同条第二項の規定の適用については、
同項中
「株主総会」とあるのは、
「取締役会」と
する。
この場合においては、前条の規定は、適用しない。
前項の規定により読み替えて適用する第百九十九条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定める場合において、市場価格のある株式を引き受ける者の募集をするときは、同条第一項第二号に掲げる事項に代えて、公正な価額による払込みを実現するために適当な払込金額の決定の方法を定めることができる。
公開会社は、第一項の規定により読み替えて適用する第百九十九条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定めたときは、同条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の二週間前までに、株主に対し、当該募集事項(前項の規定により払込金額の決定の方法を定めた場合にあっては、その方法を含む。以下 この節において同じ。)を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
第三項の規定は、株式会社が募集事項について同項に規定する期日の二週間前までに金融商品取引法第四条第一項から第三項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。
株式会社は、第百九十九条第一項の募集において、株主に株式の割当てを受ける権利を与えることができる。
この場合においては、募集事項のほか、次に掲げる事項を定めなければならない。
株主に対し、次条第二項の申込みをすることにより当該株式会社の募集株式(種類株式発行会社にあっては、当該株主の有する種類の株式と同一の種類のもの)の割当てを受ける権利を与える旨
前号の募集株式の引受けの申込みの期日
前項の場合には、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)は、その有する株式の数に応じて募集株式の割当てを受ける権利を有する。
ただし、当該株主が割当てを受ける募集株式の数に一株に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。
第一項各号に掲げる事項を定める場合には、募集事項 及び同項各号に掲げる事項は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法によって定めなければならない。
当該募集事項 及び第一項各号に掲げる事項を取締役の決定によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(株式会社が取締役会設置会社である場合を除く。)
取締役の決定
当該募集事項 及び第一項各号に掲げる事項を取締役会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(次号に掲げる場合を除く。)
取締役会の決議
株式会社が公開会社である場合
取締役会の決議
前三号に掲げる場合以外の場合
株主総会の決議
株式会社は、第一項各号に掲げる事項を定めた場合には、同項第二号の期日の二週間前までに、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
当該株主が割当てを受ける募集株式の数
第一項第二号の期日
第百九十九条第二項から第四項まで 及び前二条の規定は、第一項から第三項までの規定により株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合には、適用しない。
金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社は、定款 又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号に掲げる事項についての定めに従いその発行する株式 又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をするときは、第百九十九条第一項第二号 及び第四号に掲げる事項を定めることを要しない。
この場合において、当該株式会社は、募集株式について次に掲げる事項を定めなければならない。
取締役の報酬等(第三百六十一条第一項に規定する報酬等をいう。第二百三十六条第三項第一号において同じ。)として当該募集に係る株式の発行 又は自己株式の処分をするものであり、募集株式と引換えにする金銭の払込み又は第百九十九条第一項第三号の財産の給付を要しない旨
募集株式を割り当てる日(以下 この節において「割当日」という。)
前項各号に掲げる事項を定めた場合における第百九十九条第二項の規定の適用については、
同項中
「前項各号」とあるのは、
「前項各号(第二号 及び第四号を除く。)及び第二百二条の二第一項各号」と
する。
この場合においては、第二百条 及び前条の規定は、適用しない。
指名委員会等設置会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「定款 又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号に掲げる事項についての定め」とあるのは
「報酬委員会による第四百九条第三項第三号に定める事項についての決定」と、
「取締役」とあるのは
「執行役 又は取締役」と
する。
⤏ 第二款 募集株式の割当て
株式会社は、第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所
前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を株式会社に交付しなければならない。
申込みをする者の氏名 又は名称 及び住所
前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
第一項の規定は、株式会社が同項各号に掲げる事項を記載した金融商品取引法第二条第十項に規定する目論見書を第一項の申込みをしようとする者に対して交付している場合 その他募集株式の引受けの申込みをしようとする者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。
株式会社は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨 及び当該変更があった事項を第二項の申込みをした者(以下 この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。
株式会社が申込者に対してする通知 又は催告は、第二項第一号の住所(当該申込者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
株式会社は、申込者の中から募集株式の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集株式の数を定めなければならない。
この場合において、株式会社は、当該申込者に割り当てる募集株式の数を、前条第二項第二号の数よりも減少することができる。
募集株式が譲渡制限株式である場合には、前項の規定による決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
株式会社は、第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集株式の数を通知しなければならない。
第二百二条の規定により株主に株式の割当てを受ける権利を与えた場合において、株主が同条第一項第二号の期日までに前条第二項の申込みをしないときは、当該株主は、募集株式の割当てを受ける権利を失う。
前二条の規定は、募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。
前項に規定する場合において、募集株式が譲渡制限株式であるときは、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、同項の契約の承認を受けなければならない。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
第二百二条の二第一項後段の規定による同項各号に掲げる事項についての定めがある場合には、定款 又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号に掲げる事項についての定めに係る取締役(取締役であった者を含む。)以外の者は、第二百三条第二項の申込みをし、又は第一項の契約を締結することができない。
前項に規定する場合における前条第三項 並びに第二百六条の二第一項、第三項 及び第四項の規定の適用については、
前条第三項 及び第二百六条の二第一項中
「第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)」とあり、
同条第三項中
「同項に規定する期日」とあり、
並びに同条第四項中
「第一項に規定する期日」とあるのは、
「割当日」と
する。
指名委員会等設置会社における第三項の規定の適用については、
同項中「定款 又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号に掲げる事項についての定め」とあるのは
「報酬委員会による第四百九条第三項第三号に定める事項についての決定」と、
「取締役」とあるのは
「執行役 又は取締役」と
する。
次の各号に掲げる者は、当該各号に定める募集株式の数について募集株式の引受人となる。
申込者
株式会社の割り当てた募集株式の数
前条第一項の契約により募集株式の総数を引き受けた者
その者が引き受けた募集株式の数
公開会社は、募集株式の引受人について、第一号に掲げる数の第二号に掲げる数に対する割合が二分の一を超える場合には、第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の二週間前までに、株主に対し、当該引受人(以下 この項 及び第四項において「特定引受人」という。)の氏名 又は名称 及び住所、当該特定引受人についての第一号に掲げる数 その他の法務省令で定める事項を通知しなければならない。
ただし、当該特定引受人が当該公開会社の親会社等である場合 又は第二百二条の規定により株主に株式の割当てを受ける権利を与えた場合は、この限りでない。
当該引受人(その子会社等を含む。)がその引き受けた募集株式の株主となった場合に有することとなる議決権の数
当該募集株式の引受人の全員がその引き受けた募集株式の株主となった場合における総株主の議決権の数
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
第一項の規定にかかわらず、株式会社が同項の事項について同項に規定する期日の二週間前までに金融商品取引法 第四条第一項から第三項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、第一項の規定による通知は、することを要しない。
総株主(この項の株主総会において議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主が第一項の規定による通知 又は第二項の公告の日(前項の場合にあっては、法務省令で定める日)から二週間以内に特定引受人(その子会社等を含む。以下 この項において同じ。)による募集株式の引受けに反対する旨を公開会社に対し通知したときは、当該公開会社は、第一項に規定する期日の前日までに、株主総会の決議によって、当該特定引受人に対する募集株式の割当て又は当該特定引受人との間の第二百五条第一項の契約の承認を受けなければならない。
ただし、当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときは、この限りでない。
第三百九条第一項の規定にかかわらず、前項の株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。
⤏ 第三款 金銭以外の財産の出資
株式会社は、第百九十九条第一項第三号に掲げる事項を定めたときは、募集事項の決定の後遅滞なく、同号の財産(以下 この節において「現物出資財産」という。)の価額を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
第二項の検査役は、第四項の報告をしたときは、株式会社に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、現物出資財産について定められた第百九十九条第一項第三号の価額(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。
募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者に限る。以下 この条において同じ。)は、前項の決定により現物出資財産の価額の全部 又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その募集株式の引受けの申込み又は第二百五条第一項の契約に係る意思表示を取り消すことができる。
前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。
募集株式の引受人に割り当てる株式の総数が発行済株式の総数の十分の一を超えない場合
当該募集株式の引受人が給付する現物出資財産の価額
現物出資財産について定められた第百九十九条第一項第三号の価額の総額が五百万円を超えない場合
当該現物出資財産の価額
現物出資財産のうち、市場価格のある有価証券について定められた第百九十九条第一項第三号の価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合
当該有価証券についての現物出資財産の価額
現物出資財産について定められた第百九十九条第一項第三号の価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士、監査法人、税理士 又は税理士法人の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明 及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下 この号において同じ。)を受けた場合
当該証明を受けた現物出資財産の価額
現物出資財産が株式会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限る。)であって、当該金銭債権について定められた第百九十九条第一項第三号の価額が当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合
当該金銭債権についての現物出資財産の価額
次に掲げる者は、前項第四号に規定する証明をすることができない。
取締役、会計参与、監査役 若しくは執行役 又は支配人 その他の使用人
業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、監査法人 又は税理士法人であって、その社員の半数以上が第一号 又は第二号に掲げる者のいずれかに該当するもの
⤏ 第四款 出資の履行等
募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者を除く。)は、第百九十九条第一項第四号の期日 又は同号の期間内に、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの募集株式の払込金額の全額を払い込まなければならない。
募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者に限る。)は、第百九十九条第一項第四号の期日 又は同号の期間内に、それぞれの募集株式の払込金額の全額に相当する現物出資財産を給付しなければならない。
募集株式の引受人は、第一項の規定による払込み 又は前項の規定による給付(以下 この款において「出資の履行」という。)をする債務と株式会社に対する債権とを相殺することができない。
出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利の譲渡は、株式会社に対抗することができない。
募集株式の引受人は、出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利を失う。
募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める日に、出資の履行をした募集株式の株主となる。
第百九十九条第一項第四号の期日を定めた場合
当該期日
第百九十九条第一項第四号の期間を定めた場合
出資の履行をした日
募集株式の引受人は、第二百十三条の二第一項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払 若しくは給付 又は第二百十三条の三第一項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した募集株式について、株主の権利を行使することができない。
前項の募集株式を譲り受けた者は、当該募集株式についての株主の権利を行使することができる。
ただし、その者に悪意 又は重大な過失があるときは、この限りでない。
第一項の規定にかかわらず、第二百二条の二第一項後段の規定による同項各号に掲げる事項についての定めがある場合には、募集株式の引受人は、割当日に、その引き受けた募集株式の株主となる。
⤏ 第五款 募集株式の発行等をやめることの請求
次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第百九十九条第一項の募集に係る株式の発行又は自己株式の処分をやめることを請求することができる。
当該株式の発行 又は自己株式の処分が法令 又は定款に違反する場合
当該株式の発行 又は自己株式の処分が著しく不公正な方法により行われる場合
⤏ 第六款 募集に係る責任等
民法第九十三条第一項ただし書 及び第九十四条第一項の規定は、募集株式の引受けの申込み 及び割当て並びに第二百五条第一項の契約に係る意思表示については、適用しない。
募集株式の引受人は、第二百九条第一項の規定により株主となった日から一年を経過した後又はその株式について権利を行使した後は、錯誤、詐欺 又は強迫を理由として募集株式の引受けの取消しをすることができない。
募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める額を支払う義務を負う。
取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役 又は執行役)と 通じて著しく不公正な払込金額で募集株式を引き受けた場合
当該払込金額と当該募集株式の公正な価額との差額に相当する金額
第二百九条第一項の規定により募集株式の株主となった時におけるその給付した現物出資財産の価額がこれについて定められた第百九十九条第一項第三号の価額に著しく不足する場合
当該不足額
前項第二号に掲げる場合において、現物出資財産を給付した募集株式の引受人が当該現物出資財産の価額がこれについて定められた第百九十九条第一項第三号の価額に著しく不足することにつき善意でかつ重大な過失がないときは、募集株式の引受けの申込み 又は第二百五条第一項の契約に係る意思表示を取り消すことができる。
前条第一項第二号に掲げる場合には、次に掲げる者(以下 この条において「取締役等」という。)は、株式会社に対し、同号に定める額を支払う義務を負う。
当該募集株式の引受人の募集に関する職務を行った業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役。以下 この号において同じ。)その他当該業務執行取締役の行う 業務の執行に職務上関与した者として法務省令で定めるもの
現物出資財産の価額の決定に関する株主総会の決議があったときは、当該株主総会に議案を提案した取締役として法務省令で定めるもの
現物出資財産の価額の決定に関する取締役会の決議があったときは、当該取締役会に議案を提案した取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役 又は執行役)として法務省令で定めるもの
前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、取締役等は、現物出資財産について同項の義務を負わない。
現物出資財産の価額について第二百七条第二項の検査役の調査を経た場合
当該取締役等がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合
第一項に規定する場合には、第二百七条第九項第四号に規定する証明をした者(以下 この条において「証明者」という。)は、株式会社に対し前条第一項第二号に定める額を支払う義務を負う。
ただし、当該証明者が当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
募集株式の引受人がその給付した現物出資財産についての前条第一項第二号に定める額を支払う義務を負う場合において、次の各号に掲げる者が当該現物出資財産について当該各号に定める義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
取締役等
第一項の義務
証明者
前項本文の義務
募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。
第二百八条第一項の規定による払込みを仮装した場合
払込みを仮装した払込金額の全額の支払
第二百八条第二項の規定による給付を仮装した場合
給付を仮装した現物出資財産の給付(株式会社が当該給付に代えて当該現物出資財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)
前項の規定により募集株式の引受人の負う義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
前条第一項各号に掲げる場合には、募集株式の引受人が出資の履行を仮装することに関与した取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役を含む。)として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。
ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
募集株式の引受人が前条第一項各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
第九節 株券
⤏ 第一款 総則
株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。
株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない。
株券発行会社は、株式の併合をしたときは、第百八十条第二項第二号の日以後 遅滞なく、併合した株式に係る株券を発行しなければならない。
株券発行会社は、株式の分割をしたときは、第百八十三条第二項第二号の日以後 遅滞なく、分割した株式に係る株券(既に発行されているものを除く。)を発行しなければならない。
前三項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる。
株券には、次に掲げる事項 及びその番号を記載し、株券発行会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役)がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
譲渡による当該株券に係る株式の取得について株式会社の承認を要することを定めたときは、その旨
種類株式発行会社にあっては、当該株券に係る株式の種類 及びその内容
株券発行会社の株主は、当該株券発行会社に対し、当該株主の有する株式に係る株券の所持を希望しない旨を申し出ることができる。
前項の規定による申出は、その申出に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
この場合において、当該株式に係る株券が発行されているときは、当該株主は、当該株券を株券発行会社に提出しなければならない。
第一項の規定による申出を受けた株券発行会社は、遅滞なく、前項前段の株式に係る株券を発行しない旨を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
株券発行会社は、前項の規定による記載 又は記録をしたときは、第二項前段の株式に係る株券を発行することができない。
第二項後段の規定により提出された株券は、第三項の規定による記載 又は記録をした時において、無効となる。
第一項の規定による申出をした株主は、いつでも、株券発行会社に対し、第二項前段の株式に係る株券を発行することを請求することができる。
この場合において、第二項後段の規定により提出された株券があるときは、株券の発行に要する費用は、当該株主の負担とする。
株券発行会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとするときは、当該定款の変更の効力が生ずる日の二週間前までに、次に掲げる事項を公告し、かつ、株主 及び登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。
その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する旨
前号の日において当該株式会社の株券は無効となる旨
株券発行会社の株式に係る株券は、前項第二号の日に無効となる。
第一項の規定にかかわらず、株式の全部について株券を発行していない株券発行会社がその株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとする場合には、同項第二号の日の二週間前までに、株主 及び登録株式質権者に対し、同項第一号 及び第二号に掲げる事項を通知すれば足りる。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
第一項に規定する場合には、株式の質権者(登録株式質権者を除く。)は、同項第二号の日の前日までに、株券発行会社に対し、第百四十八条各号に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
⤏ 第二款 株券の提出等
株券発行会社は、次の各号に掲げる行為をする場合には、当該行為の効力が生ずる日(第四号の二に掲げる行為をする場合にあっては、第百七十九条の二第一項第五号に規定する取得日。以下 この条において「株券提出日」という。)までに当該株券発行会社に対し当該各号に定める株式に係る株券を提出しなければならない旨を株券提出日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主 及び その登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。
ただし、当該株式の全部について株券を発行していない場合は、この限りでない。
第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更
全部の株式(種類株式発行会社にあっては、当該事項についての定めを設ける種類の株式)
株式の併合
全部の株式(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式)
第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式の取得
当該全部取得条項付種類株式
取得条項付株式の取得
当該取得条項付株式
第百七十九条の三第一項の承認
売渡株式
組織変更
全部の株式
合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
全部の株式
株式交換
全部の株式
株式移転
全部の株式
株券発行会社が次の各号に掲げる行為をする場合において、株券提出日までに当該株券発行会社に対して株券を提出しない者があるときは、当該各号に定める者は、当該株券の提出があるまでの間、当該行為(第二号に掲げる行為をする場合にあっては、株式売渡請求に係る売渡株式の取得)によって当該株券に係る株式の株主が受けることのできる金銭等の交付を拒むことができる。
前項第一号から第四号までに掲げる行為
当該株券発行会社
第百七十九条の三第一項の承認
特別支配株主
組織変更
第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社
合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社 又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社
株式交換
第七百六十七条に規定する株式交換完全親会社
株式移転
第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社
第一項各号に定める株式に係る株券は、株券提出日に無効となる。
第一項第四号の二の規定による公告 及び通知の費用は、特別支配株主の負担とする。
前条第一項各号に掲げる行為をした場合において、株券を提出することができない者があるときは、株券発行会社は、その者の請求により、利害関係人に対し異議があれば一定の期間内にこれを述べることができる旨を公告することができる。
ただし、当該期間は、三箇月を下ることができない。
株券発行会社が前項の規定による公告をした場合において、同項の期間内に利害関係人が異議を述べなかったときは、前条第二項各号に定める者は、前項の請求をした者に対し、同条第二項の金銭等を交付することができる。
第一項の規定による公告の費用は、同項の請求をした者の負担とする。
⤏ 第三款 株券喪失登録
株券発行会社(株式会社がその株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした日の翌日から起算して一年を経過していない場合における当該株式会社を含む。以下 この款(第二百二十三条、第二百二十七条 及び第二百二十八条第二項を除く。)において同じ。)は、株券喪失登録簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下 この款において「株券喪失登録簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
第二百二十三条の規定による請求に係る株券(第二百十八条第二項 又は第二百十九条第三項の規定により無効となった株券 及び株式の発行 又は自己株式の処分の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合における当該株式に係る株券を含む。以下 この款(第二百二十八条を除く。 )において同じ。)の番号
前号の株券を喪失した者の氏名 又は名称 及び住所
第一号の株券に係る株式の株主 又は登録株式質権者として株主名簿に記載され、又は記録されている者(以下 この款において「名義人」という。)の氏名 又は名称 及び住所
第一号の株券につき前三号に掲げる事項を記載し、又は記録した日(以下 この款において「株券喪失登録日」という。)
株券発行会社における第百二十三条の規定の適用については、
同条中
「株主名簿の」とあるのは
「株主名簿 及び株券喪失登録簿の」と、
「株主名簿に」とあるのは
「株主名簿 及び株券喪失登録簿に」と
する。
株券を喪失した者は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、当該株券についての株券喪失登録簿記載事項を株券喪失登録簿に記載し、又は記録すること(以下「株券喪失登録」という。)を請求することができる。
株券発行会社が前条の規定による請求に応じて株券喪失登録をした場合において、当該請求に係る株券を喪失した者として株券喪失登録簿に記載され、又は記録された者(以下 この款において「株券喪失登録者」という。)が当該株券に係る株式の名義人でないときは、株券発行会社は、遅滞なく、当該名義人に対し、当該株券について株券喪失登録をした旨 並びに第二百二十一条第一号、第二号 及び第四号に掲げる事項を通知しなければならない。
株式についての権利を行使するために株券が株券発行会社に提出された場合において、当該株券について株券喪失登録がされているときは、株券発行会社は、遅滞なく、当該株券を提出した者に対し、当該株券について株券喪失登録がされている旨を通知しなければならない。
株券喪失登録がされた株券を所持する者(その株券についての株券喪失登録者を除く。)は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、当該株券喪失登録の抹消を申請することができる。
ただし、株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過したときは、この限りでない。
前項の規定による申請をしようとする者は、株券発行会社に対し、同項の株券を提出しなければならない。
第一項の規定による申請を受けた株券発行会社は、遅滞なく、同項の株券喪失登録者に対し、同項の規定による申請をした者の氏名 又は名称 及び住所並びに同項の株券の番号を通知しなければならない。
株券発行会社は、前項の規定による通知の日から二週間を経過した日に、第二項の規定により提出された株券に係る株券喪失登録を抹消しなければならない。
この場合においては、株券発行会社は、当該株券を第一項の規定による申請をした者に返還しなければならない。
株券喪失登録者は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、株券喪失登録(その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合にあっては、前条第二項の規定により提出された株券についての株券喪失登録を除く。)の抹消を申請することができる。
前項の規定による申請を受けた株券発行会社は、当該申請を受けた日に、当該申請に係る株券喪失登録を抹消しなければならない。
その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をする場合には、株券発行会社は、当該定款の変更の効力が生ずる日に、株券喪失登録(当該株券喪失登録がされた株券に係る株式の名義人が株券喪失登録者であるものに限り、第二百二十五条第二項の規定により提出された株券についてのものを除く。)を抹消しなければならない。
株券喪失登録(抹消されたものを除く。)がされた株券は、株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過した日に無効となる。
前項の規定により株券が無効となった場合には、株券発行会社は、当該株券についての株券喪失登録者に対し、株券を再発行しなければならない。
株券喪失登録者が第二百二十条第一項の請求をした場合には、株券発行会社は、同項の期間の末日が株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過する日前に到来するときに限り、同項の規定による公告をすることができる。
株券発行会社が第二百二十条第一項の規定による公告をするときは、当該株券発行会社は、当該公告をした日に、当該公告に係る株券についての株券喪失登録を抹消しなければならない。
株券発行会社は、次に掲げる日のいずれか早い日(以下 この条において「登録抹消日」という。)までの間は、株券喪失登録がされた株券に係る株式を取得した者の氏名 又は名称 及び住所を株主名簿に記載し、又は記録することができない。
当該株券喪失登録が抹消された日
株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過した日
株券発行会社は、登録抹消日後でなければ、株券喪失登録がされた株券を再発行することができない。
株券喪失登録者が株券喪失登録をした株券に係る株式の名義人でないときは、当該株式の株主は、登録抹消日までの間は、株主総会 又は種類株主総会において議決権を行使することができない。
株券喪失登録がされた株券に係る株式については、第百九十七条第一項の規定による競売又は同条第二項の規定による売却をすることができない。
株券発行会社は、株券喪失登録簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
何人も、株券発行会社の営業時間内は、いつでも、株券喪失登録簿(利害関係がある部分に限る。)について、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
株券喪失登録簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧 又は謄写の請求
株券喪失登録簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
株券発行会社が株券喪失登録者に対してする通知 又は催告は、株券喪失登録簿に記載し、又は記録した当該株券喪失登録者の住所(当該株券喪失登録者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を株券発行会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
非訟事件手続法第四編の規定は、株券については、適用しない。
第十節 雑則
次の各号に掲げる行為に際して当該各号に定める者に当該株式会社の株式を交付する場合において、その者に対し交付しなければならない当該株式会社の株式の数に一株に満たない端数があるときは、その端数の合計数(その合計数に一に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じてその競売により得られた代金を当該者に交付しなければならない。
第百七十条第一項の規定による株式の取得
当該株式会社の株主
第百七十三条第一項の規定による株式の取得
当該株式会社の株主
第百八十五条に規定する株式無償割当て
当該株式会社の株主
第二百七十五条第一項の規定による新株予約権の取得
第二百三十六条第一項第七号イの新株予約権の新株予約権者
合併(合併により当該株式会社が存続する場合に限る。)
合併後消滅する会社の株主 又は社員
合併契約に基づく設立時発行株式の発行
合併後消滅する会社の株主 又は社員
株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得
株式交換をする株式会社の株主
株式移転計画に基づく 設立時発行株式の発行
株式移転をする株式会社の株主
株式交付株式交付親会社(第七百七十四条の三第一項第一号に規定する株式交付親会社をいう。)に株式交付に際して株式交付子会社(同号に規定する株式交付子会社をいう。)の株式 又は新株予約権等(同項第七号に規定する新株予約権等をいう。)を譲り渡した者
株式会社は、前項の規定による競売に代えて、市場価格のある同項の株式については市場価格として法務省令で定める方法により算定される額をもって、市場価格のない同項の株式については裁判所の許可を得て競売以外の方法により、これを売却することができる。
この場合において、当該許可の申立ては、取締役が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。
前項の規定により第一項の株式を売却した場合における同項の規定の適用については、
同項中
「競売により」とあるのは、
「売却により」と
する。
株式会社は、第二項の規定により売却する株式の全部 又は一部を買い取ることができる。
この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
買い取る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数)
前号の株式の買取りをするのと引換えに交付する金銭の総額
取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
第一項から第四項までの規定は、第一項各号に掲げる行為に際して当該各号に定める者に当該株式会社の社債 又は新株予約権を交付するときについて準用する。
株式会社が株式の分割 又は株式の併合をすることにより株式の数に一株に満たない端数が生ずるときは、その端数の合計数(その合計数に一に満たない端数が生ずる場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じてその競売により得られた代金を株主に交付しなければならない。
前条第二項から第五項までの規定は、前項の場合について準用する。
第三章 新株予約権
第一節 総則
株式会社が新株予約権を発行するときは、次に掲げる事項を当該新株予約権の内容としなければならない。
当該新株予約権の目的である株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
当該新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法
金銭以外の財産を当該新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、その旨 並びに当該財産の内容 及び価額
当該新株予約権を行使することができる期間
当該新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金 及び資本準備金に関する事項
譲渡による当該新株予約権の取得について当該株式会社の承認を要することとするときは、その旨
当該新株予約権について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができることとするときは、次に掲げる事項
一定の事由が生じた日に当該株式会社がその新株予約権を取得する旨 及び その事由
当該株式会社が別に定める日が到来することをもってイの事由とするときは、その旨
イの事由が生じた日にイの新株予約権の一部を取得することとするときは、その旨 及び取得する新株予約権の一部の決定の方法
イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の株式を交付するときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数) 又はその算定方法
イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類 及び種類ごとの各社債の金額の合計額 又はその算定方法
イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の他の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該 他の新株予約権の内容 及び数 又はその算定方法
イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのホに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのヘに規定する事項
イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の株式等以外の財産を交付するときは、当該財産の内容 及び数 若しくは額 又はこれらの算定方法
当該株式会社が次のイからホまでに掲げる行為をする場合において、当該新株予約権の新株予約権者に当該イからホまでに定める株式会社の新株予約権を交付することとするときは、その旨 及び その条件
合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
合併後存続する株式会社 又は合併により設立する株式会社
吸収分割
吸収分割をする株式会社がその事業に関して有する権利義務の全部 又は一部を承継する株式会社
新設分割
新設分割により設立する株式会社
株式交換
株式交換をする株式会社の発行済株式の全部を取得する株式会社
株式移転
株式移転により設立する株式会社
新株予約権を行使した新株予約権者に交付する株式の数に一株に満たない端数がある場合において、これを切り捨てるものとするときは、その旨
当該新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)に係る新株予約権証券を発行することとするときは、その旨
前号に規定する場合において、新株予約権者が第二百九十条の規定による請求の全部 又は一部をすることができないこととするときは、その旨
新株予約権付社債に付された新株予約権の数は、当該新株予約権付社債についての社債の金額ごとに、均等に定めなければならない。
金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社は、定款 又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第四号 又は第五号ロに掲げる事項についての定めに従い新株予約権を発行するときは、第一項第二号に掲げる事項を当該新株予約権の内容とすることを要しない。
この場合において、当該株式会社は、次に掲げる事項を当該新株予約権の内容としなければならない。
取締役の報酬等として又は取締役の報酬等をもってする払込みと引換えに当該新株予約権を発行するものであり、当該新株予約権の行使に際してする金銭の払込み又は第一項第三号の財産の給付を要しない旨
定款又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第四号又は第五号ロに掲げる事項についての定めに係る取締役(取締役であった者を含む。)以外の者は、当該新株予約権を行使することができない旨
指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、
同項中
「定款 又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第四号 又は第五号ロに掲げる事項についての定め」とあるのは
「報酬委員会による第四百九条第三項第四号 又は第五号ロに定める事項についての決定」と、
同項第一号中
「取締役」とあるのは
「執行役 若しくは取締役」と、
同項第二号中
「取締役」とあるのは
「執行役 又は取締役」と
する。
新株予約権が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該新株予約権についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名 又は名称を通知しなければ、当該新株予約権についての権利を行使することができない。
ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
第二節 新株予約権の発行
⤏ 第一款 募集事項の決定等
株式会社は、その発行する新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集新株予約権(当該募集に応じて当該新株予約権の引受けの申込みをした者に対して割り当てる新株予約権をいう。以下 この章において同じ。)について次に掲げる事項(以下 この節において「募集事項」という。)を定めなければならない。
募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨
前号に規定する場合以外の場合には、募集新株予約権の払込金額(募集新株予約権一個と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下 この章において同じ。) 又はその算定方法
募集新株予約権を割り当てる日(以下 この節において「割当日」という。)
募集新株予約権と引換えにする金銭の払込みの期日を定めるときは、その期日
募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、第六百七十六条各号に掲げる事項
前号に規定する場合において、同号の新株予約権付社債に付された募集新株予約権についての第百十八条第一項、第百七十九条第二項、第七百七十七条第一項、第七百八十七条第一項 又は第八百八条第一項の規定による請求の方法につき別段の定めをするときは、その定め
募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
次に掲げる場合には、取締役は、前項の株主総会において、第一号の条件 又は第二号の金額で募集新株予約権を引き受ける者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
第一項第二号に規定する場合において、金銭の払込みを要しないこととすることが当該者に特に有利な条件であるとき。
第一項第三号に規定する場合において、同号の払込金額が当該者に特に有利な金額であるとき。
種類株式発行会社において、募集新株予約権の目的である株式の種類の全部 又は一部が譲渡制限株式であるときは、当該募集新株予約権に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を目的とする募集新株予約権を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。
ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。
前条第二項 及び第四項の規定にかかわらず、株主総会においては、その決議によって、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することができる。
この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
その委任に基づいて募集事項の決定をすることができる募集新株予約権の内容 及び数の上限
前号の募集新株予約権につき金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨
前号に規定する場合以外の場合には、募集新株予約権の払込金額の下限
次に掲げる場合には、取締役は、前項の株主総会において、第一号の条件 又は第二号の金額で募集新株予約権を引き受ける者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
前項第二号に規定する場合において、金銭の払込みを要しないこととすることが当該者に特に有利な条件であるとき。
前項第三号に規定する場合において、同号の払込金額の下限が当該者に特に有利な金額であるとき。
第一項の決議は、割当日が当該決議の日から一年以内の日である前条第一項の募集についてのみ その効力を有する。
種類株式発行会社において、募集新株予約権の目的である株式の種類の全部 又は一部が譲渡制限株式であるときは、当該募集新株予約権に関する募集事項の決定の委任は、前条第四項の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。
ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
第二百三十八条第三項各号に掲げる場合を除き、公開会社における同条第二項の規定の適用については、
同項中
「株主総会」とあるのは、
「取締役会」と
する。
この場合においては、前条の規定は、適用しない。
公開会社は、前項の規定により読み替えて適用する第二百三十八条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定めた場合には、割当日の二週間前までに、株主に対し、当該募集事項を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
第二項の規定は、株式会社が募集事項について割当日の二週間前までに金融商品取引法第四条第一項から第三項までの届出をしている場合 その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。
株式会社は、第二百三十八条第一項の募集において、株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えることができる。
この場合においては、募集事項のほか、次に掲げる事項を定めなければならない。
株主に対し、次条第二項の申込みをすることにより当該株式会社の募集新株予約権(種類株式発行会社にあっては、その目的である株式の種類が当該株主の有する種類の株式と同一の種類のもの)の割当てを受ける権利を与える旨
前号の募集新株予約権の引受けの申込みの期日
前項の場合には、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)は、その有する株式の数に応じて募集新株予約権の割当てを受ける権利を有する。
ただし、当該株主が割当てを受ける募集新株予約権の数に一に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。
第一項各号に掲げる事項を定める場合には、募集事項 及び同項各号に掲げる事項は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法によって定めなければならない。
当該募集事項 及び第一項各号に掲げる事項を取締役の決定によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(株式会社が取締役会設置会社である場合を除く。)
取締役の決定
当該募集事項 及び第一項各号に掲げる事項を取締役会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(次号に掲げる場合を除く。)
取締役会の決議
株式会社が公開会社である場合
取締役会の決議
前三号に掲げる場合以外の場合
株主総会の決議
株式会社は、第一項各号に掲げる事項を定めた場合には、同項第二号の期日の二週間前までに、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
当該株主が割当てを受ける募集新株予約権の内容 及び数
第一項第二号の期日
第二百三十八条第二項から第四項まで 及び前二条の規定は、第一項から第三項までの規定により株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与える場合には、適用しない。
⤏ 第二款 募集新株予約権の割当て
株式会社は、第二百三十八条第一項の募集に応じて募集新株予約権の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
新株予約権の行使に際して金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所
前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
第二百三十八条第一項の募集に応じて募集新株予約権の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を株式会社に交付しなければならない。
申込みをする者の氏名 又は名称 及び住所
前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
第一項の規定は、株式会社が同項各号に掲げる事項を記載した金融商品取引法第二条第十項に規定する目論見書を第一項の申込みをしようとする者に対して交付している場合 その他募集新株予約権の引受けの申込みをしようとする者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。
株式会社は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨 及び当該変更があった事項を第二項の申込みをした者(以下 この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。
募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、申込者(募集新株予約権のみの申込みをした者に限る。)は、その申込みに係る募集新株予約権を付した新株予約権付社債の引受けの申込みをしたものとみなす。
株式会社が申込者に対してする通知 又は催告は、第二項第一号の住所(当該申込者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
株式会社は、申込者の中から募集新株予約権の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集新株予約権の数を定めなければならない。
この場合において、株式会社は、当該申込者に割り当てる募集新株予約権の数を、前条第二項第二号の数よりも減少することができる。
次に掲げる場合には、前項の規定による決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
募集新株予約権の目的である株式の全部 又は一部が譲渡制限株式である場合
募集新株予約権が譲渡制限新株予約権(新株予約権であって、譲渡による当該新株予約権の取得について株式会社の承認を要する旨の定めがあるものをいう。以下 この章において同じ。)である場合
株式会社は、割当日の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集新株予約権の数(当該募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債についての社債の種類 及び各社債の金額の合計額を含む。)を通知しなければならない。
第二百四十一条の規定により株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えた場合において、株主が同条第一項第二号の期日までに前条第二項の申込みをしないときは、当該株主は、募集新株予約権の割当てを受ける権利を失う。
前二条の規定は、募集新株予約権を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。
募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合における前項の規定の適用については、
同項中
「の引受け」とあるのは、
「及び当該募集新株予約権を付した社債の総額の引受け」と
する。
第一項に規定する場合において、次に掲げるときは、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、同項の契約の承認を受けなければならない。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
募集新株予約権の目的である株式の全部 又は一部が譲渡制限株式であるとき。
募集新株予約権が譲渡制限新株予約権であるとき。
公開会社は、募集新株予約権の割当てを受けた申込者 又は前条第一項の契約により募集新株予約権の総数を引き受けた者(以下 この項において「引受人」と総称する。)について、第一号に掲げる数の第二号に掲げる数に対する割合が二分の一を超える場合には、割当日の二週間前までに、株主に対し、当該引受人(以下 この項 及び第五項において「特定引受人」という。)の氏名 又は名称 及び住所、当該特定引受人についての第一号に掲げる数 その他の法務省令で定める事項を通知しなければならない。
ただし、当該特定引受人が当該公開会社の親会社等である場合 又は第二百四十一条の規定により株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えた場合は、この限りでない。
当該引受人(その子会社等を含む。)がその引き受けた募集新株予約権に係る交付株式の株主となった場合に有することとなる最も多い議決権の数
前号に規定する場合における最も多い総株主の議決権の数
前項第一号に規定する「交付株式」とは、募集新株予約権の目的である株式、募集新株予約権の内容として第二百三十六条第一項第七号ニに掲げる事項についての定めがある場合における同号ニの株式 その他募集新株予約権の新株予約権者が交付を受ける株式として法務省令で定める株式をいう。
第一項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
第一項の規定にかかわらず、株式会社が同項の事項について割当日の二週間前までに金融商品取引法 第四条第一項から第三項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、第一項の規定による通知は、することを要しない。
総株主(この項の株主総会において議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主が第一項の規定による通知 又は第三項の公告の日(前項の場合にあっては、法務省令で定める日)から二週間以内に特定引受人(その子会社等を含む。以下 この項において同じ。)による募集新株予約権の引受けに反対する旨を公開会社に対し通知したときは、当該公開会社は、割当日の前日までに、株主総会の決議によって、当該特定引受人に対する募集新株予約権の割当て又は当該特定引受人との間の前条第一項の契約の承認を受けなければならない。
ただし、当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときは、この限りでない。
第三百九条第一項の規定にかかわらず、前項の株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。
次の各号に掲げる者は、割当日に、当該各号に定める募集新株予約権の新株予約権者となる。
申込者
株式会社の割り当てた募集新株予約権
第二百四十四条第一項の契約により募集新株予約権の総数を引き受けた者
その者が引き受けた募集新株予約権
募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、前項の規定により募集新株予約権の新株予約権者となる者は、当該募集新株予約権を付した新株予約権付社債についての社債の社債権者となる。
⤏ 第三款 募集新株予約権に係る払込み
第二百三十八条第一項第三号に規定する場合には、新株予約権者は、募集新株予約権についての第二百三十六条第一項第四号の期間の初日の前日(第二百三十八条第一項第五号に規定する場合にあっては、同号の期日。第三項において「払込期日」という。)までに、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの募集新株予約権の払込金額の全額を払い込まなければならない。
前項の規定にかかわらず、新株予約権者は、株式会社の承諾を得て、同項の規定による払込みに代えて、払込金額に相当する金銭以外の財産を給付し、又は当該株式会社に対する債権をもって相殺することができる。
第二百三十八条第一項第三号に規定する場合には、新株予約権者は、募集新株予約権についての払込期日までに、それぞれの募集新株予約権の払込金額の全額の払込み(当該払込みに代えてする金銭以外の財産の給付 又は当該株式会社に対する債権をもってする相殺を含む。)をしないときは、当該募集新株予約権を行使することができない。
⤏ 第四款 募集新株予約権の発行をやめることの請求
次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第二百三十八条第一項の募集に係る新株予約権の発行をやめることを請求することができる。
当該新株予約権の発行が法令 又は定款に違反する場合
当該新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合
⤏ 第五款 雑則
第六百七十六条から第六百八十条までの規定は、新株予約権付社債についての社債を引き受ける者の募集については、適用しない。
第三節 新株予約権原簿
株式会社は、新株予約権を発行した日以後 遅滞なく、新株予約権原簿を作成し、次の各号に掲げる新株予約権の区分に応じ、当該各号に定める事項(以下「新株予約権原簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
無記名式の新株予約権証券が発行されている新株予約権(以下 この章において「無記名新株予約権」という。)
当該新株予約権証券の番号 並びに当該無記名新株予約権の内容 及び数
無記名式の新株予約権付社債券(証券発行新株予約権付社債(新株予約権付社債であって、当該新株予約権付社債についての社債につき社債券を発行する旨の定めがあるものをいう。以下 この章において同じ。)に係る社債券をいう。以下同じ。)が発行されている新株予約権付社債(以下 この章において「無記名新株予約権付社債」という。)に付された新株予約権
当該新株予約権付社債券の番号 並びに当該新株予約権の内容 及び数
前二号に掲げる新株予約権以外の新株予約権
次に掲げる事項
新株予約権者の氏名 又は名称 及び住所
イの新株予約権者の有する新株予約権の内容 及び数
イの新株予約権者が新株予約権を取得した日
ロの新株予約権が証券発行新株予約権(新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であって、当該新株予約権に係る新株予約権証券を発行する旨の定めがあるものをいう。以下 この章において同じ。)であるときは、当該新株予約権(新株予約権証券が発行されているものに限る。)に係る新株予約権証券の番号
ロの新株予約権が証券発行新株予約権付社債に付されたものであるときは、当該新株予約権を付した新株予約権付社債(新株予約権付社債券が発行されているものに限る。)に係る新株予約権付社債券の番号
前条第三号イの新株予約権者は、株式会社に対し、当該新株予約権者についての新株予約権原簿に記載され、若しくは記録された新株予約権原簿記載事項を記載した書面の交付又は当該新株予約権原簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
前項の書面には、株式会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
前三項の規定は、証券発行新株予約権 及び証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。
株式会社が新株予約権を発行している場合における第百二十三条の規定の適用については、
同条中
「株主名簿の」とあるのは
「株主名簿 及び新株予約権原簿の」と、
「株主名簿に」とあるのは
「株主名簿 及び新株予約権原簿に」と
する。
株式会社は、新株予約権原簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
株主 及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
新株予約権原簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧 又は謄写の請求
新株予約権原簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
当該請求を行う株主 又は債権者(以下 この項において「請求者」という。)がその権利の確保 又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
請求者が新株予約権原簿の閲覧 又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
請求者が、過去二年以内において、新株予約権原簿の閲覧 又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の新株予約権原簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
前項の親会社社員について第三項各号のいずれかに 規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。
株式会社が新株予約権者に対してする通知 又は催告は、新株予約権原簿に記載し、又は記録した当該新株予約権者の住所(当該新株予約権者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
新株予約権が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、株式会社が新株予約権者に対してする通知 又は催告を受領する者一人を定め、当該株式会社に対し、その者の氏名 又は名称を通知しなければならない。
この場合においては、その者を新株予約権者とみなして、前二項の規定を適用する。
前項の規定による共有者の通知がない場合には、株式会社が新株予約権の共有者に対してする通知 又は催告は、そのうちの一人に対してすれば足りる。
第四節 新株予約権の譲渡等
⤏ 第一款 新株予約権の譲渡
新株予約権者は、その有する新株予約権を譲渡することができる。
前項の規定にかかわらず、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできない。
ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、この限りでない。
新株予約権付社債についての社債のみを譲渡することはできない。
ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅したときは、この限りでない。
証券発行新株予約権の譲渡は、当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を交付しなければ、その効力を生じない。
ただし、自己新株予約権(株式会社が有する自己の新株予約権をいう。以下この章において同じ。)の処分による証券発行新株予約権の譲渡については、この限りでない。
証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権の譲渡は、当該証券発行新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を交付しなければ、その効力を生じない。
ただし、自己新株予約権付社債(株式会社が有する自己の新株予約権付社債をいう。以下 この条 及び次条において同じ。)の処分による当該自己新株予約権付社債に付された新株予約権の譲渡については、この限りでない。
株式会社は、自己新株予約権(証券発行新株予約権に限る。)を処分した日以後遅滞なく、当該自己新株予約権を取得した者に対し、新株予約権証券を交付しなければならない。
前項の規定にかかわらず、株式会社は、同項の者から請求がある時までは、同項の新株予約権証券を交付しないことができる。
株式会社は、自己新株予約権付社債(証券発行新株予約権付社債に限る。)を処分した日以後遅滞なく、当該自己新株予約権付社債を取得した者に対し、新株予約権付社債券を交付しなければならない。
第六百八十七条の規定は、自己新株予約権付社債の処分による当該自己新株予約権付社債についての社債の譲渡については、適用しない。
新株予約権の譲渡は、その新株予約権を取得した者の氏名 又は名称 及び住所を新株予約権原簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社 その他の第三者に対抗することができない。
記名式の新株予約権証券が発行されている証券発行新株予約権 及び記名式の新株予約権付社債券が発行されている証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権についての前項の規定の適用については、
同項中
「株式会社 その他の第三者」とあるのは、
「株式会社」と
する。
第一項の規定は、無記名新株予約権及び無記名新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。
新株予約権証券の占有者は、当該新株予約権証券に係る証券発行新株予約権についての権利を適法に有するものと推定する。
新株予約権証券の交付を受けた者は、当該新株予約権証券に係る証券発行新株予約権についての権利を取得する。
ただし、その者に悪意 又は重大な過失があるときは、この限りでない。
新株予約権付社債券の占有者は、当該新株予約権付社債券に係る証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権についての権利を適法に有するものと推定する。
新株予約権付社債券の交付を受けた者は、当該新株予約権付社債券に係る証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権についての権利を取得する。
ただし、その者に悪意 又は重大な過失があるときは、この限りでない。
株式会社は、次の各号に掲げる場合には、当該各号の新株予約権の新株予約権者に係る新株予約権原簿記載事項を新株予約権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
当該株式会社の新株予約権を取得した場合
前項の規定は、無記名新株予約権 及び無記名新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。
新株予約権を当該新株予約権を発行した株式会社以外の者から取得した者(当該株式会社を除く。以下 この節において「新株予約権取得者」という。)は、当該株式会社に対し、当該新株予約権に係る新株予約権原簿記載事項を新株予約権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した新株予約権の新株予約権者として新株予約権原簿に記載され、若しくは記録された者 又はその相続人 その他の一般承継人と共同してしなければならない。
前二項の規定は、無記名新株予約権 及び無記名新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。
前条の規定は、新株予約権取得者が取得した新株予約権が譲渡制限新株予約権である場合には、適用しない。
ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
当該新株予約権取得者が当該譲渡制限新株予約権を取得することについて次条の承認を受けていること。
当該新株予約権取得者が当該譲渡制限新株予約権を取得したことについて第二百六十三条第一項の承認を受けていること。
当該新株予約権取得者が相続 その他の一般承継により譲渡制限新株予約権を取得した者であること。
⤏ 第二款 新株予約権の譲渡の制限
譲渡制限新株予約権の新株予約権者は、その有する譲渡制限新株予約権を他人(当該譲渡制限新株予約権を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限新株予約権を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
譲渡制限新株予約権を取得した新株予約権取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限新株予約権を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した新株予約権の新株予約権者として新株予約権原簿に記載され、若しくは記録された者 又はその相続人 その他の一般承継人と共同してしなければならない。
次の各号に掲げる請求(以下 この款において「譲渡等承認請求」という。)は、当該各号に定める事項を明らかにしてしなければならない。
第二百六十二条の規定による請求
次に掲げる事項
当該請求をする新株予約権者が譲り渡そうとする譲渡制限新株予約権の内容 及び数
イの譲渡制限新株予約権を譲り受ける者の氏名 又は名称
前条第一項の規定による請求
次に掲げる事項
当該請求をする新株予約権取得者の取得した譲渡制限新株予約権の内容 及び数
イの新株予約権取得者の氏名 又は名称
株式会社が第二百六十二条 又は第二百六十三条第一項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
ただし、新株予約権の内容として別段の定めがある場合は、この限りでない。
株式会社は、前項の決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。
株式会社が譲渡等承認請求の日から二週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に前条第二項の規定による通知をしなかった場合には、第二百六十二条 又は第二百六十三条第一項の承認をしたものとみなす。
ただし、当該株式会社と 当該譲渡等承認請求をした者との合意により別段の定めをしたときは、この限りでない。
⤏ 第三款 新株予約権の質入れ
新株予約権者は、その有する新株予約権に質権を設定することができる。
前項の規定にかかわらず、新株予約権付社債に付された新株予約権のみに質権を設定することはできない。
ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、この限りでない。
新株予約権付社債についての社債のみに質権を設定することはできない。
ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅したときは、この限りでない。
証券発行新株予約権の質入れは、当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を交付しなければ、その効力を生じない。
証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権の質入れは、当該証券発行新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を交付しなければ、その効力を生じない。
新株予約権の質入れは、その質権者の氏名 又は名称 及び住所を新株予約権原簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社 その他の第三者に対抗することができない。
前項の規定にかかわらず、証券発行新株予約権の質権者は、継続して当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を占有しなければ、その質権をもって株式会社 その他の第三者に対抗することができない。
第一項の規定にかかわらず、証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権の質権者は、継続して当該証券発行新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を占有しなければ、その質権をもって株式会社 その他の第三者に対抗することができない。
新株予約権に質権を設定した者は、株式会社に対し、次に掲げる事項を新株予約権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
前項の規定は、無記名新株予約権 及び無記名新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。
前条第一項各号に掲げる事項が新株予約権原簿に記載され、又は記録された質権者(以下「登録新株予約権質権者」という。)は、株式会社に対し、当該登録新株予約権質権者についての新株予約権原簿に記載され、若しくは記録された同項各号に掲げる事項を記載した書面の交付 又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
前項の書面には、株式会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
前三項の規定は、証券発行新株予約権及び証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。
株式会社が登録新株予約権質権者に対してする通知 又は催告は、新株予約権原簿に記載し、又は記録した当該登録新株予約権質権者の住所(当該登録新株予約権質権者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
株式会社が次に掲げる行為をした場合には、新株予約権を目的とする質権は、当該行為によって当該新株予約権の新株予約権者が受けることのできる金銭等について存在する。
合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
登録新株予約権質権者は、前項の金銭等(金銭に限る。)を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる。
株式会社が次の各号に掲げる行為をした場合において、前項の債権の弁済期が到来していないときは、登録新株予約権質権者は、当該各号に定める者に同項に規定する金銭等に相当する金額を供託させることができる。
この場合において、質権は、その供託金について存在する。
新株予約権の取得
当該株式会社
組織変更
第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社
合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社 又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社
前三項の規定は、特別支配株主が新株予約権売渡請求により売渡新株予約権の取得をした場合について準用する。
この場合において、
前項中
「当該各号に定める者」とあるのは、
「当該特別支配株主」と
読み替えるものとする。
新株予約権付社債に付された新株予約権(第二百三十六条第一項第三号の財産が当該新株予約権付社債についての社債であるものであって、当該社債の償還額が当該新株予約権についての同項第二号の価額以上であるものに限る。)を目的とする質権は、当該新株予約権の行使をすることにより当該新株予約権の新株予約権者が交付を受ける株式について存在する。
⤏ 第四款 信託財産に属する新株予約権についての対抗要件等
新株予約権については、当該新株予約権が信託財産に属する旨を新株予約権原簿に記載し、又は記録しなければ、当該新株予約権が信託財産に属することを株式会社 その他の第三者に対抗することができない。
第二百四十九条第三号イの新株予約権者は、その有する新株予約権が信託財産に属するときは、株式会社に対し、その旨を新株予約権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
新株予約権原簿に前項の規定による記載 又は記録がされた場合における第二百五十条第一項 及び第二百五十九条第一項の規定の適用については、
第二百五十条第一項中
「記録された新株予約権原簿記載事項」とあるのは
「記録された新株予約権原簿記載事項(当該新株予約権者の有する新株予約権が信託財産に属する旨を含む。)」と、
第二百五十九条第一項中
「新株予約権原簿記載事項」とあるのは
「新株予約権原簿記載事項(当該新株予約権者の有する新株予約権が信託財産に属する旨を含む。)」と
する。
前三項の規定は、証券発行新株予約権及び証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。
第五節 株式会社による自己の新株予約権の取得
⤏ 第一款 募集事項の定めに基づく新株予約権の取得
取得条項付新株予約権(第二百三十六条第一項第七号イに掲げる事項についての定めがある新株予約権をいう。以下 この章において同じ。)の内容として同号ロに掲げる事項についての定めがある場合には、株式会社は、同号ロの日を株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって定めなければならない。
ただし、当該取得条項付新株予約権の内容として別段の定めがある場合は、この限りでない。
第二百三十六条第一項第七号ロの日を定めたときは、株式会社は、取得条項付新株予約権の新株予約権者(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、次条第一項の規定により決定した取得条項付新株予約権の新株予約権者) 及び その登録新株予約権質権者に対し、当該日の二週間前までに、当該日を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
株式会社は、新株予約権の内容として第二百三十六条第一項第七号ハに掲げる事項についての定めがある場合において、取得条項付新株予約権を取得しようとするときは、その取得する取得条項付新株予約権を決定しなければならない。
前項の取得条項付新株予約権は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって定めなければならない。ただし、当該取得条項付新株予約権の内容として別段の定めがある場合は、この限りでない。
第一項の規定による決定をしたときは、株式会社は、同項の規定により決定した取得条項付新株予約権の新株予約権者 及び その登録新株予約権質権者に対し、直ちに、当該取得条項付新株予約権を取得する旨を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
株式会社は、第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた日(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、第一号に掲げる日 又は第二号に掲げる日のいずれか遅い日。次項 及び第三項において同じ。)に、取得条項付新株予約権(同条第一項第七号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、前条第一項の規定により決定したもの。次項 及び第三項において同じ。)を取 得する。
第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた日
前条第三項の規定による通知の日又は同条第四項の公告の日から二週間を経過した日
前項の規定により株式会社が取得する取得条項付新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、株式会社は、第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた日に、当該新株予約権付社債についての社債を取得する。
次の各号に掲げる場合には、取得条項付新株予約権の新株予約権者(当該株式会社を除く。)は、第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた日に、同号に定める事項についての定めに従い、当該各号に定める者となる。
第二百三十六条第一項第七号ニに掲げる事項についての定めがある場合
同号ニの株式の株主
第二百三十六条第一項第七号ホに掲げる事項についての定めがある場合
同号ホの社債の社債権者
第二百三十六条第一項第七号ヘに掲げる事項についての定めがある場合
同号ヘの他の新株予約権の新株予約権者
第二百三十六条第一項第七号トに掲げる事項についての定めがある場合
同号トの新株予約権付社債についての社債の社債権者 及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
株式会社は、第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた後、遅滞なく、取得条項付新株予約権の新株予約権者 及び その登録新株予約権質権者(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、前条第一項の規定により決定した取得条項付新株予約権の新株予約権者 及び その登録新株予約権質権者)に対し、当該事由が生じた旨を通知しなければならない。
ただし、第二百七十三条第二項の規定による通知 又は同条第三項の公告をしたときは、この限りでない。
前項本文の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
⤏ 第二款 新株予約権の消却
株式会社は、自己新株予約権を消却することができる。
この場合においては、消却する自己新株予約権の内容 及び数を定めなければならない。
取締役会設置会社においては、前項後段の規定による決定は、取締役会の決議によらなければならない。
第六節 新株予約権無償割当て
株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、ある種類の種類株主)に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の新株予約権の割当て(以下 この節において「新株予約権無償割当て」という。)をすることができる。
株式会社は、新株予約権無償割当てをしようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。
株主に割り当てる新株予約権の内容 及び数又はその算定方法
前号の新株予約権が新株予約権付社債に付されたものであるときは、当該新株予約権付社債についての社債の種類及び各社債の金額の合計額 又はその算定方法
当該新株予約権無償割当てがその効力を生ずる日
株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該新株予約権無償割当てを受ける株主の有する株式の種類
前項第一号 及び第二号に掲げる事項についての定めは、当該株式会社以外の株主(種類株式発行会社にあっては、同項第四号の種類の種類株主)の有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第四号の種類の株式)の数に応じて同項第一号の新株予約権 及び同項第二号の社債を割り当てることを内容とするものでなければならない。
第一項各号に掲げる事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
前条第一項第一号の新株予約権の割当てを受けた株主は、同項第三号の日に、同項第一号の新株予約権の新株予約権者(同項第二号に規定する場合にあっては、同項第一号の新株予約権の新株予約権者 及び同項第二号の社債の社債権者)となる。
株式会社は、前条第一項第三号の日後遅滞なく、株主(種類株式発行会社にあっては、同項第四号の種類の種類株主) 及び その登録株式質権者に対し、当該株主が割当てを受けた新株予約権の内容 及び数(同項第二号に規定する場合にあっては、当該株主が割当てを受けた社債の種類 及び各社債の金額の合計額を含む。)を通知しなければならない。
前項の規定による通知がされた場合において、前条第一項第一号の新株予約権についての第二百三十六条第一項第四号の期間の末日が当該通知の日から二週間を経過する日前に到来するときは、同号の期間は、当該通知の日から二週間を経過する日まで延長されたものとみなす。
第七節 新株予約権の行使
⤏ 第一款 総則
新株予約権の行使は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
証券発行新株予約権を行使しようとするときは、当該証券発行新株予約権の新株予約権者は、当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を株式会社に提出しなければならない。
ただし、当該新株予約権証券が発行されていないときは、この限りでない。
証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合には、当該新株予約権の新株予約権者は、当該新株予約権を付した新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を株式会社に提示しなければならない。
この場合において、当該株式会社は、当該新株予約権付社債券に当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅した旨を記載しなければならない。
前項の規定にかかわらず、証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合において、当該新株予約権の行使により当該証券発行新株予約権付社債についての社債が消滅するときは、当該新株予約権の新株予約権者は、当該新株予約権を付した新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を株式会社に提出しなければならない。
第三項の規定にかかわらず、証券発行新株予約権付社債についての社債の償還後に当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合には、当該新株予約権の新株予約権者は、当該新株予約権を付した新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を株式会社に提出しなければならない。
株式会社は、自己新株予約権を行使することができない。
金銭を新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、新株予約権者は、前条第一項第二号の日に、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、その行使に係る新株予約権についての第二百三十六条第一項第二号の価額の全額を払い込まなければならない。
金銭以外の財産を新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、新株予約権者は、前条第一項第二号の日に、その行使に係る新株予約権についての第二百三十六条第一項第三号の財産を給付しなければならない。
この場合において、当該財産の価額が同項第二号の価額に足りないときは、前項の払込みの取扱いの場所においてその差額に相当する金銭を払い込まなければならない。
新株予約権者は、第一項の規定による払込み又は前項の規定による給付をする債務と 株式会社に対する債権とを相殺することができない。
新株予約権を行使した新株予約権者は、当該新株予約権を行使した日に、当該新株予約権の目的である株式の株主となる。
新株予約権を行使した新株予約権者であって第二百八十六条の二第一項各号に掲げる者に該当するものは、当該各号に定める支払 若しくは給付 又は第二百八十六条の三第一項の規定による支払がされた後でなければ、第二百八十六条の二第一項各号の払込み 又は給付が仮装された新株予約権の目的である株式について、株主の権利を行使することができない。
前項の株式を譲り受けた者は、当該株式についての株主の権利を行使することができる。
ただし、その者に悪意 又は重大な過失があるときは、この限りでない。
新株予約権を行使した場合において、当該新株予約権の新株予約権者に交付する株式の数に一株に満たない端数があるときは、株式会社は、当該新株予約権者に対し、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額にその端数を乗じて得た額に相当する金銭を交付しなければならない。
ただし、第二百三十六条第一項第九号に掲げる事項についての定めがある場合は、この限りでない。
当該株式が市場価格のある株式である場合
当該株式一株の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額
前号に掲げる場合以外の場合
一株当たり純資産額
⤏ 第二款 金銭以外の財産の出資
株式会社は、第二百三十六条第一項第三号に掲げる事項についての定めがある新株予約権が行使された場合には、第二百八十一条第二項の規定による給付があった後、遅滞なく、同号の財産(以下 この節において「現物出資財産」という。)の価額を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
第二項の検査役は、第四項の報告をしたときは、株式会社に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、現物出資財産について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。
第一項の新株予約権の新株予約権者は、前項の決定により現物出資財産の価額の全部 又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その新株予約権の行使に係る意思表示を取り消すことができる。
前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。
行使された新株予約権の新株予約権者が交付を受ける株式の総数が発行済株式の総数の十分の一を超えない場合
当該新株予約権者が給付する現物出資財産の価額
現物出資財産について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額の総額が五百万円を超えない場合
当該現物出資財産の価額
現物出資財産のうち、市場価格のある有価証券について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合
当該有価証券についての現物出資財産の価額
現物出資財産について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士、監査法人、税理士 又は税理士法人の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明 及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下 この号において同じ。)を受けた場合
当該証明を受けた現物出資財産の価額
現物出資財産が株式会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限る。)であって、当該金銭債権について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額が当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合
当該金銭債権についての現物出資財産の価額
次に掲げる者は、前項第四号に規定する証明をすることができない。
取締役、会計参与、監査役 若しくは執行役 又は支配人 その他の使用人
業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、監査法人 又は税理士法人であって、その社員の半数以上が第一号 又は第二号に掲げる者のいずれかに該当するもの
⤏ 第三款 責任
新株予約権を行使した新株予約権者は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める額を支払う義務を負う。
第二百三十八条第一項第二号に規定する場合において、募集新株予約権につき金銭の払込みを要しないこととすることが著しく不公正な条件であるとき(取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役 又は執行役。次号において同じ。)と通じて新株予約権を引き受けた場合に限る。)
当該新株予約権の公正な価額
第二百三十八条第一項第三号に規定する場合において、取締役と通じて著しく不公正な払込金額で新株予約権を引き受けたとき
当該払込金額と当該新株予約権の公正な価額との差額に相当する金額
第二百八十二条第一項の規定により株主となった時におけるその給付した現物出資財産の価額がこれについて定められた第二百三十六条第一項第三号の価額に著しく不足する場合
当該不足額
前項第三号に掲げる場合において、現物出資財産を給付した新株予約権者が当該現物出資財産の価額がこれについて定められた第二百三十六条第一項第三号の価額に著しく不足することにつき善意でかつ重大な過失がないときは、新株予約権の行使に係る意思表示を取り消すことができる。
前条第一項第三号に掲げる場合には、次に掲げる者(以下 この条において「取締役等」という。)は、株式会社に対し、同号に定める額を支払う義務を負う。
当該新株予約権者の募集に関する職務を行った業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役。以下 この号において同じ。)その他当該業務執行取締役の行う業務の執行に職務上関与した者として法務省令で定めるもの
現物出資財産の価額の決定に関する株主総会の決議があったときは、当該株主総会に議案を提案した取締役として法務省令で定めるもの
現物出資財産の価額の決定に関する取締役会の決議があったときは、当該取締役会に議案を提案した取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役 又は執行役)として法務省令で定めるもの
前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、取締役等は、現物出資財産について同項の義務を負わない。
現物出資財産の価額について第二百八十四条第二項の検査役の調査を経た場合
当該取締役等がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合
第一項に規定する場合には、第二百八十四条第九項第四号に規定する証明をした者(以下 この条において「証明者」という。)は、株式会社に対し前条第一項第三号に定める額を支払う義務を負う。
ただし、当該証明者が当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
新株予約権者がその給付した現物出資財産についての前条第一項第三号に定める額を支払う義務を負う場合において、次に掲げる者が当該現物出資財産について当該各号に定める義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
取締役等
第一項の義務
証明者
前項本文の義務
新株予約権を行使した新株予約権者であって次の各号に掲げる者に該当するものは、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。
第二百四十六条第一項の規定による払込み(同条第二項の規定により当該払込みに代えてする金銭以外の財産の給付を含む。)を仮装した者又は当該払込みが仮装されたことを知って、若しくは重大な過失により知らないで募集新株予約権を譲り受けた者
払込みが仮装された払込金額の全額の支払(当該払込みに代えてする金銭以外の財産の給付が仮装された場合にあっては、当該財産の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払))
第二百八十一条第一項 又は第二項後段の規定による払込みを仮装した者
払込みを仮装した金銭の全額の支払
第二百八十一条第二項前段の規定による給付を仮装した者
給付を仮装した金銭以外の財産の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)
前項の規定により同項に規定する新株予約権者の負う義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
新株予約権を行使した新株予約権者であって前条第一項各号に掲げる者に該当するものが当該各号に定める行為をする義務を負う場合には、当該各号の払込み 又は給付を仮装することに関与した取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役を含む。)として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。
ただし、その者(当該払込み 又は当該給付を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
新株予約権を行使した新株予約権者であって前条第一項各号に掲げる者に該当するものが当該各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
⤏ 第四款 雑則
第二百七十六条第一項の場合のほか、新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は、消滅する。
第八節 新株予約権に係る証券
⤏ 第一款 新株予約権証券
株式会社は、証券発行新株予約権 を発行した日以後 遅滞なく、当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を発行しなければならない。
前項の規定にかかわらず、株式会社は、新株予約権者から請求がある時までは、同項の新株予約権証券を発行しないことができる。
新株予約権証券には、次に掲げる事項 及び その番号を記載し、株式会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役)がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
当該新株予約権証券に係る証券発行新株予約権の内容 及び数
証券発行新株予約権の新株予約権者は、第二百三十六条第一項第十一号に掲げる事項についての定めによりすることができないこととされている場合を除き、いつでも、その記名式の新株予約権証券を無記名式とし、又はその無記名式の新株予約権証券を記名式とすることを請求することができる。
新株予約権証券は、非訟事件手続法第百条に規定する公示催告手続によって無効とすることができる。
新株予約権証券を喪失した者は、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定を得た後でなければ、その再発行を請求することができない。
⤏ 第二款 新株予約権付社債券
証券発行新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券には、第六百九十七条第一項の規定により記載すべき事項のほか、当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権の内容 及び数を記載しなければならない。
証券発行新株予約権付社債についての社債の償還をする場合において、当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅していないときは、株式会社は、当該証券発行新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券と引換えに社債の償還をすることを請求することができない。
この場合においては、株式会社は、社債の償還をするのと引換えに、当該新株予約権付社債券の提示を求め、当該新株予約権付社債券に社債の償還をした旨を記載することができる。
⤏ 第三款 新株予約権証券等の提出
株式会社が次の各号に掲げる行為をする場合において、当該各号に定める新株予約権に係る新株予約権証券(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券。以下 この款において同じ。)を発行しているときは、当該株式会社は、当該行為の効力が生ずる日(第一号に掲げる行為をする場合にあっては、第百七十九条の二第一項第五号に規定する取得日。以下 この条において「新株予約権証券提出日」という。)までに当該株式会社に対し当該新株予約権証券を提出しなければならない旨を新株予約権証券提出日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該新株予約権の新株予約権者 及び その登録新株予約権質権者には、各別にこれを通知しなければならない。
第百七十九条の三第一項の承認
売渡新株予約権
取得条項付新株予約権の取得
当該取得条項付新株予約権
組織変更
全部の新株予約権
合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
全部の新株予約権
吸収分割
第七百五十八条第五号イに規定する吸収分割契約新株予約権
新設分割
第七百六十三条第一項第十号イに規定する新設分割計画新株予約権
株式交換
第七百六十八条第一項第四号イに規定する株式交換契約新株予約権
株式移転
第七百七十三条第一項第九号イに規定する株式移転計画新株予約権
株式会社が次の各号に掲げる行為をする場合において、新株予約権証券提出日までに当該株式会社に対して新株予約権証券を提出しない者があるときは、当該各号に定める者は、当該新株予約権証券の提出があるまでの間、当該行為(第一号に掲げる行為をする場合にあっては、新株予約権売渡請求に係る売渡新株予約権の取得)によって当該新株予約権証券に係る新株予約権の新株予約権者が交付を受けることができる金銭等の交付を拒むことができる。
第百七十九条の三第一項の承認
特別支配株主
取得条項付新株予約権の取得
当該株式会社
組織変更
第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社
合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社 又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社
吸収分割
第七百五十八条第一号に規定する吸収分割承継株式会社
新設分割
第七百六十三条第一項第一号に規定する新設分割設立株式会社
株式交換
第七百六十八条第一項第一号に規定する株式交換完全親株式会社
株式移転
第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社
第一項各号に定める新株予約権に係る新株予約権証券は、新株予約権証券提出日に無効となる。
第一項第一号の規定による公告 及び通知の費用は、特別支配株主の負担とする。
第二百二十条の規定は、第一項各号に掲げる行為をした場合において、新株予約権証券を提出することができない者があるときについて準用する。
この場合において、
同条第二項中
「前条第二項各号」とあるのは、
「第二百九十三条第二項各号」と
読み替えるものとする。
第百三十二条の規定にかかわらず、前条第一項第一号の二に掲げる行為をする場合(株式会社が新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の株式を交付する場合に限る。)において、同項の規定により新株予約権証券(無記名式のものに限る。以下 この条において同じ。)が提出されないときは、株式会社は、当該新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる株式に係る第百二十一条第一号に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを要しない。
前項に規定する場合には、株式会社は、前条第一項の規定により提出しなければならない新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる株式の株主に対する通知 又は催告をすることを要しない。
第二百四十九条 及び第二百五十九条第一項の規定にかかわらず、前条第一項第一号の二に掲げる行為をする場合(株式会社が新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の他の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付する場合に限る。)において、同項の規定により新株予約権証券が提出されないときは、株式会社は、当該新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる当該 他の新株予約権(無記名新株予約権を除く。)に係る第二百四十九条第三号イに掲げる事項を新株予約権原簿に記載し、又は記録することを要しない。
前項に規定する場合には、株式会社は、前条第一項の規定により提出しなければならない新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる新株予約権の新株予約権者に対する通知 又は催告をすることを要しない。
第二百四十九条 及び第二百五十九条第一項の規定にかかわらず、前条第一項第一号の二に掲げる行為をする場合(株式会社が新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付する場合に限る。)において、同項の規定により新株予約権証券が提出されないときは、株式会社は、当該新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる新株予約権付社債(無記名新株予約権付社債を除く。)に付された新株予約権に係る第二百四十九条第三号イに掲げる事項を新株予約権原簿に記載し、又は記録することを要しない。
前項に規定する場合には、株式会社は、前条第一項の規定により提出しなければならない新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者に対する通知 又は催告をすることを要しない。
第四章 機関
第一節 株主総会及び種類株主総会等
⤏ 第一款 株主総会
株主総会は、この法律に規定する事項 及び株式会社の組織、運営、管理 その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項 及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会 その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。
定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。
株主総会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができる。
株主総会は、次条第四項の規定により招集する場合を除き、取締役が招集する。
総株主の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。) 及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。
公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、
同項中
「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、
「有する」と
する。
第一項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。
次に掲げる場合には、第一項の規定による請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる。
第一項の規定による請求の後 遅滞なく招集の手続が行われない場合
第一項の規定による請求があった日から八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を株主総会の日とする株主総会の招集の通知が発せられない場合
取締役(前条第四項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては、当該株主。次項本文 及び次条から第三百二条までにおいて同じ。)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
取締役は、株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条から第三百二条までにおいて同じ。)の数が千人以上である場合には、前項第三号に掲げる事項を定めなければならない。
ただし、当該株式会社が金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社であって法務省令で定めるものである場合は、この限りでない。
取締役会設置会社における前項の規定の適用については、
同項中
「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは、
「前項第二号に掲げる事項」と
する。
取締役会設置会社においては、前条第四項の規定により株主が株主総会を招集するときを除き、第一項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号 又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。
次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。
前条第一項第三号 又は第四号に掲げる事項を定めた場合
取締役は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。
この場合において、当該取締役は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
前条の規定にかかわらず、株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
ただし、第二百九十八条第一項第三号 又は第四号に掲げる事項を定めた場合は、この限りでない。
取締役は、第二百九十八条第一項第三号に掲げる事項を定めた場合には、第二百九十九条第一項の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(以下 この節において「株主総会参考書類」という。)及び株主が議決権を行使するための書面(以下 この節において「議決権行使書面」という。)を交付しなければならない。
取締役は、第二百九十九条第三項の承諾をした株主に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による株主総会参考書類 及び議決権行使書面の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
ただし、株主の請求があったときは、これらの書類を当該株主に交付しなければならない。
取締役は、第二百九十八条第一項第四号に掲げる事項を定めた場合には、第二百九十九条第一項の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、株主総会参考書類を交付しなければならない。
取締役は、第二百九十九条第三項の承諾をした株主に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による株主総会参考書類の交付に代えて、当該株主総会参考書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
ただし、株主の請求があったときは、株主総会参考書類を当該株主に交付しなければならない。
取締役は、第一項に規定する場合には、第二百九十九条第三項の承諾をした株主に対する同項の電磁的方法による通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、議決権行使書面に記載すべき事項を当該電磁的方法により提供しなければならない。
取締役は、第一項に規定する場合において、第二百九十九条第三項の承諾をしていない株主から株主総会の日の一週間前までに議決権行使書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の請求があったときは、法務省令で定めるところにより、直ちに、当該株主に対し、当該事項を電磁的方法により提供しなければならない。
株主は、取締役に対し、一定の事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次項において同じ。)を株主総会の目的とすることを請求することができる。
前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権 又は三百個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から 引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。
この場合において、その請求は、株主総会の日の八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までにしなければならない。
公開会社でない取締役会設置会社における前項の規定の適用については、
同項中
「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、
「有する」と
する。
第二項の一定の事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。
株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。
ただし、当該議案が法令 若しくは定款に違反する場合 又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合は、この限りでない。
株主は、取締役に対し、株主総会の日の八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、株主総会の目的である事項につき当該株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知すること(第二百九十九条第二項 又は第三項の通知をする場合にあっては、その通知に記載し、又は記録すること)を請求することができる。
ただし、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権 又は三百個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、当該請求をすることができる。
公開会社でない取締役会設置会社における前項ただし書の規定の適用については、
同項ただし書中
「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、
「有する」と
する。
第一項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項ただし書の総株主の議決権の数に算入しない。
取締役会設置会社の株主が第一項の規定による請求をする場合において、当該株主が提出しようとする議案の数が十を超えるときは、前三項の規定は、十を超える数に相当することとなる数の議案については、適用しない。
この場合において、当該株主が提出しようとする次の各号に掲げる議案の数については、当該各号に定めるところによる。
取締役、会計参与、監査役 又は会計監査人(次号において「役員等」という。)の選任に関する議案当該議案の数にかかわらず、これを一の議案とみなす。
役員等の解任に関する議案当該議案の数にかかわらず、これを一の議案とみなす。
会計監査人を再任しないことに関する議案当該議案の数にかかわらず、これを一の議案とみなす。
定款の変更に関する二以上の議案当該二以上の議案について異なる議決がされたとすれば当該議決の内容が相互に矛盾する可能性がある場合には、これらを一の議案とみなす。
前項前段の十を超える数に相当することとなる数の議案は、取締役がこれを定める。
ただし、第一項の規定による請求をした株主が当該請求と併せて当該株主が提出しようとする二以上の議案の全部 又は一部につき議案相互間の優先順位を定めている場合には、取締役は、当該優先順位に従い、これを定めるものとする。
第一項から第三項までの規定は、第一項の議案が法令 若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合には、適用しない。
株式会社 又は総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続 及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
公開会社である取締役会設置会社における前項の規定の適用については、
同項中
「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは
「第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項」と、
「有する」とあるのは
「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とし、
公開会社でない取締役会設置会社における同項の規定の適用については、
同項中
「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは、
「第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項」と
する。
前二項の規定による検査役の選任の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
第三項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第三項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
第三項の検査役は、第五項の報告をしたときは、株式会社(検査役の選任の申立てをした者が当該株式会社でない場合にあっては、当該株式会社 及び その者)に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
裁判所は、前条第五項の報告があった場合において、必要があると認めるときは、取締役に対し、次に掲げる措置の全部 又は一部を命じなければならない。
一定の期間内に株主総会を招集すること。
前条第五項の調査の結果を株主に通知すること。
裁判所が前項第一号に掲げる措置を命じた場合には、取締役は、前条第五項の報告の内容を同号の株主総会において開示しなければならない。
前項に規定する場合には、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役 及び監査役)は、前条第五項の報告の内容を調査し、その結果を第一項第一号の株主総会に報告しなければならない。
株主(株式会社がその総株主の議決権の四分の一以上を有すること その他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く。)は、株主総会において、その有する株式一株につき一個の議決権を有する。
ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の株式につき一個の議決権を有する。
前項の規定にかかわらず、株式会社は、自己株式については、議決権を有しない。
株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨 その他の要件を定款で定めることを妨げない。
第百四十条第二項 及び第五項の株主総会
第百五十六条第一項の株主総会(第百六十条第一項の特定の株主を定める場合に限る。)
第百七十一条第一項 及び第百七十五条第一項の株主総会
第百八十条第二項の株主総会
第百九十九条第二項、第二百条第一項、第二百二条第三項第四号、第二百四条第二項 及び第二百五条第二項の株主総会
第二百三十八条第二項、第二百三十九条第一項、第二百四十一条第三項第四号、第二百四十三条第二項 及び第二百四十四条第三項の株主総会
第三百三十九条第一項の株主総会(第三百四十二条第三項から第五項までの規定により選任された取締役(監査等委員である取締役を除く。)を解任する場合 又は監査等委員である取締役 若しくは監査役を解任する場合に限る。)
第四百二十五条第一項の株主総会
第四百四十七条第一項の株主総会(次のいずれにも該当する場合を除く。)
定時株主総会において第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めること。
第四百四十七条第一項第一号の額がイの定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。
第四百五十四条第四項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項第一号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。)
第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
第五編の規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
前二項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会(種類株式発行会社の株主総会を除く。)の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う株主総会
第七百八十三条第一項の株主総会(合併により消滅する株式会社 又は株式交換をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部 又は一部が譲渡制限株式等(同条第三項に規定する譲渡制限株式等をいう。次号において同じ。 )である場合における当該株主総会に限る。)
第八百四条第一項の株主総会(合併 又は株式移転をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部 又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該株主総会に限る。)
前三項の規定にかかわらず、第百九条第二項の規定による定款の定めについての定款の変更(当該定款の定めを廃止するものを除く。)を行う株主総会の決議は、総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、総株主の議決権の四分の三(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
取締役会設置会社においては、株主総会は、第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。
ただし、第三百十六条第一項 若しくは第二項に規定する者の選任 又は第三百九十八条第二項の会計監査人の出席を求めることについては、この限りでない。
株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。
この場合においては、当該株主 又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。
前項の代理権の授与は、株主総会ごとにしなければならない。
第一項の株主 又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
この場合において、当該株主 又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。
株主が第二百九十九条第三項の承諾をした者である場合には、株式会社は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
株式会社は、株主総会に出席することができる代理人の数を制限することができる。
株式会社は、株主総会の日から三箇月間、代理権を証明する書面 及び第三項の電磁的方法により提供された事項が記録された電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
株主(前項の株主総会において決議をした事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条第四項 及び第三百十二条第五項において同じ。)は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
代理権を証明する書面の閲覧 又は謄写の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
当該請求を行う株主(以下 この項において「請求者」という。)がその権利の確保 又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
請求者が代理権を証明する書面の閲覧 若しくは謄写 又は前項第二号の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 若しくは謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
請求者が、過去二年以内において、代理権を証明する書面の閲覧 若しくは謄写 又は前項第二号の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を株式会社に提出して行う。
前項の規定により書面によって行使した議決権の数は、出席した株主の議決権の数に算入する。
株式会社は、株主総会の日から三箇月間、第一項の規定により提出された議決権行使書面をその本店に備え置かなければならない。
株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、第一項の規定により提出された議決権行使書面の閲覧 又は謄写の請求をすることができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
当該請求を行う株主(以下 この項において「請求者」という。)がその権利の確保 又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
請求者が第一項の規定により提出された議決権行使書面の閲覧 又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
請求者が、過去二年以内において、第一項の規定により提出された議決権行使書面の閲覧 又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該株式会社に提供して行う。
株主が第二百九十九条第三項の承諾をした者である場合には、株式会社は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
第一項の規定により電磁的方法によって行使した議決権の数は、出席した株主の議決権の数に算入する。
株式会社は、株主総会の日から三箇月間、第一項の規定により提供された事項を記録した電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求をすることができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
当該請求を行う株主(以下 この項において「請求者」という。)がその権利の確保 又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
請求者が前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
請求者が、過去二年以内において、前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
株主は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。
取締役会設置会社においては、前項の株主は、株主総会の日の三日前までに、取締役会設置会社に対してその有する議決権を統一しないで行使する旨 及び その理由を通知しなければならない。
株式会社は、第一項の株主が他人のために株式を有する者でないときは、当該株主が同項の規定によりその有する議決権を統一しないで行使することを拒むことができる。
取締役、会計参与、監査役 及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。
ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合 その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでない。
株主総会の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する。
株主総会の議長は、その命令に従わない者 その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。
株主総会においては、その決議によって、取締役、会計参与、監査役、監査役会 及び会計監査人が当該株主総会に提出し、又は提供した資料を調査する者を選任することができる。
第二百九十七条の規定により招集された株主総会においては、その決議によって、株式会社の業務 及び財産の状況を調査する者を選任することができる。
株主総会においてその延期 又は続行について決議があった場合には、第二百九十八条 及び第二百九十九条の規定は、適用しない。
株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
株式会社は、株主総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその支店に備え置かなければならない。
ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
株主 及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面 又は当該書面の写しの閲覧 又は謄写の請求
第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
取締役 又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面 又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
株式会社は、前項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面 又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
株主 及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
前項の書面の閲覧 又は謄写の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第二項の書面 又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
第一項の規定により定時株主総会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該定時株主総会が終結したものとみなす。
取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面 又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなす。
⤏ 第二款 種類株主総会
種類株主総会は、この法律に規定する事項 及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
種類株式発行会社が次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該行為は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下 この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。
ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
次に掲げる事項についての定款の変更(第百十一条第一項 又は第二項に規定するものを除く。)
発行可能株式総数 又は発行可能種類株式総数の増加
第百七十九条の三第一項の承認
第百八十五条に規定する株式無償割当て
当該株式会社の株式を引き受ける者の募集(第二百二条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
当該株式会社の新株予約権を引き受ける者の募集(第二百四十一条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て
吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部 又は一部の承継
株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得
種類株式発行会社は、ある種類の株式の内容として、前項の規定による種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。
第一項の規定は、前項の規定による定款の定めがある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会については、適用しない。
ただし、第一項第一号に規定する定款の変更(単元株式数についてのものを除く。)を行う場合は、この限りでない。
ある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式について第二項の規定による定款の定めを設けようとするときは、当該種類の種類株主全員の同意を得なければならない。
種類株式発行会社において、ある種類の株式の内容として、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会 又は取締役会、第四百七十八条第八項に規定する清算人会設置会社にあっては株主総会 又は清算人会)において決議すべき事項について、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とする旨の定めがあるときは、当該事項は、その定款の定めに従い、株主総会、取締役会 又は清算人会の決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。
ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
種類株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、その種類の株式の総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
前項の規定にかかわらず、次に掲げる種類株主総会の決議は、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨 その他の要件を定款で定めることを妨げない。
第百十一条第二項の種類株主総会(ある種類の株式の内容として第百八条第一項第七号に掲げる事項についての定款の定めを設ける場合に限る。)
第百九十九条第四項 及び第二百条第四項の種類株主総会
第二百三十八条第四項 及び第二百三十九条第四項の種類株主総会
第三百二十二条第一項の種類株主総会
第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百三十九条第一項の種類株主総会
第七百九十五条第四項の種類株主総会
第八百十六条の三第三項の種類株主総会
前二項の規定にかかわらず、次に掲げる種類株主総会の決議は、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
第百十一条第二項の種類株主総会(ある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号に掲げる事項についての定款の定めを設ける場合に限る。)
第七百八十三条第三項 及び第八百四条第三項の種類株主総会
前款(第二百九十五条第一項 及び第二項、第二百九十六条第一項 及び第二項 並びに第三百九条を除く。)の規定は、種類株主総会について準用する。
この場合において、
第二百九十七条第一項中
「総株主」とあるのは
「総株主(ある種類の株式の株主に限る。以下 この款(第三百八条第一項を除く。)において同じ。)」と、
「株主は」とあるのは
「株主(ある種類の株式の株主に限る。以下 この款(第三百十八条第四項 及び第三百十九条第三項を除く。)において同じ。)は」と
読み替えるものとする。
⤏ 第三款 電子提供措置
株式会社は、取締役が株主総会(種類株主総会を含む。)の招集の手続を行うときは、次に掲げる資料(以下 この款において「株主総会参考書類等」という。)の内容である情報について、電子提供措置(電磁的方法により株主(種類株主総会を招集する場合にあっては、ある種類の株主に限る。)が情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって、法務省令で定めるものをいう。以下 この款、第九百十一条第三項第十二号の二 及び第九百七十六条第十九号において同じ。)をとる旨を定款で定めることができる。
この場合において、その定款には、電子提供措置をとる旨を定めれば足りる。
第四百三十七条の計算書類 及び事業報告
第四百四十四条第六項の連結計算書類
電子提供措置をとる旨の定款の定めがある株式会社の取締役は、第二百九十九条第二項各号に掲げる場合には、株主総会の日の三週間前の日 又は同条第一項の通知を発した日のいずれか早い日(以下 この款において「電子提供措置開始日」という。)から株主総会の日後三箇月を経過する日までの間(以下 この款において「電子提供措置期間」という。)、次に掲げる事項に係る情報について継続して電子提供措置をとらなければならない。
第二百九十八条第一項各号に掲げる事項
第三百一条第一項に規定する場合には、株主総会参考書類 及び議決権行使書面に記載すべき事項
第三百二条第一項に規定する場合には、株主総会参考書類に記載すべき事項
第三百五条第一項の規定による請求があった場合には、同項の議案の要領
株式会社が取締役会設置会社である場合において、取締役が定時株主総会を招集するときは、第四百三十七条の計算書類 及び事業報告に記載され、又は記録された事項
株式会社が会計監査人設置会社(取締役会設置会社に限る。)である場合において、取締役が定時株主総会を招集するときは、第四百四十四条第六項の連結計算書類に記載され、又は記録された事項
前各号に掲げる事項を修正したときは、その旨 及び修正前の事項
前項の規定にかかわらず、取締役が第二百九十九条第一項の通知に際して株主に対し議決権行使書面を交付するときは、議決権行使書面に記載すべき事項に係る情報については、前項の規定により電子提供措置をとることを要しない。
第一項の規定にかかわらず、金融商品取引法第二十四条第一項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社が、電子提供措置開始日までに第一項各号に掲げる事項(定時株主総会に係るものに限り、議決権行使書面に記載すべき事項を除く。)を記載した有価証券報告書(添付書類 及び これらの訂正報告書を含む。)の提出の手続を同法第二十七条の三十の二に規定する開示用電子情報処理組織(以下 この款において単に「開示用電子情報処理組織」という。)を使用して行う場合には、当該事項に係る情報については、同項の規定により電子提供措置をとることを要しない。
前条第一項の規定により電子提供措置をとる場合における第二百九十九条第一項の規定の適用については、
同項中
「二週間(前条第一項第三号 又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))」とあるのは、
「二週間」と
する。
第二百九十九条第四項の規定にかかわらず、前条第一項の規定により電子提供措置をとる場合には、第二百九十九条第二項 又は第三項の通知には、第二百九十八条第一項第五号に掲げる事項を記載し、又は記録することを要しない。
この場合において、当該通知には、同項第一号から第四号までに掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
前条第三項の手続を開示用電子情報処理組織を使用して行ったときは、その旨
前二号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
第三百一条第一項、第三百二条第一項、第四百三十七条 及び第四百四十四条第六項の規定にかかわらず、電子提供措置をとる旨の定款の定めがある株式会社においては、取締役は、第二百九十九条第一項の通知に際して、株主に対し、株主総会参考書類等を交付し、又は提供することを要しない。
電子提供措置をとる旨の定款の定めがある株式会社における第三百五条第一項の規定の適用については、
同項中
「その通知に記載し、又は記録する」とあるのは、
「当該議案の要領について第三百二十五条の二に規定する電子提供措置をとる」と
する。
電子提供措置をとる旨の定款の定めがある株式会社の株主(第二百九十九条第三項(第三百二十五条において準用する場合を含む。)の承諾をした株主を除く。)は、株式会社に対し、第三百二十五条の三第一項各号(第三百二十五条の七において準用する場合を含む。)に掲げる事項(以下この条において「電子提供措置事項」という。)を記載した書面の交付を請求することができる。
取締役は、第三百二十五条の三第一項の規定により電子提供措置をとる場合には、第二百九十九条第一項の通知に際して、前項の規定による請求(以下この条において「書面交付請求」という。)をした株主(当該株主総会において議決権を行使することができる者を定めるための基準日(第百二十四条第一項に規定する基準日をいう。)を定めた場合にあっては、当該基準日までに書面交付請求をした者に限る。)に対し、当該株主総会に係る電子提供措置事項を記載した書面を交付しなければならない。
株式会社は、電子提供措置事項のうち法務省令で定めるものの全部 又は一部については、前項の規定により交付する書面に記載することを要しない旨を定款で定めることができる。
書面交付請求をした株主がある場合において、その書面交付請求の日(当該株主が次項ただし書の規定により異議を述べた場合にあっては、当該異議を述べた日)から一年を経過したときは、株式会社は、当該株主に対し、第二項の規定による書面の交付を終了する旨を通知し、かつ、これに異議のある場合には一定の期間(以下この条において「催告期間」という。)内に異議を述べるべき旨を催告することができる。
ただし、催告期間は、一箇月を下ることができない。
前項の規定による通知 及び催告を受けた株主がした書面交付請求は、催告期間を経過した時にその効力を失う。
ただし、当該株主が催告期間内に異議を述べたときは、この限りでない。
第三百二十五条の三第一項の規定にかかわらず、電子提供措置期間中に電子提供措置の中断(株主が提供を受けることができる状態に置かれた情報がその状態に置かれないこととなったこと 又は当該情報がその状態に置かれた後改変されたこと(同項第七号の規定により修正されたことを除く。)をいう。以下この条において同じ。)が生じた場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、その電子提供措置の中断は、当該電子提供措置の効力に影響を及ぼさない。
電子提供措置の中断が生じた時間の合計が電子提供措置期間の十分の一を超えないこと。
電子提供措置開始日から株主総会の日までの期間中に電子提供措置の中断が生じたときは、当該期間中に電子提供措置の中断が生じた時間の合計が当該期間の十分の一を超えないこと。
第三百二十五条の三から前条まで(第三百二十五条の三第一項(第五号 及び第六号に係る部分に限る。)及び第三項 並びに第三百二十五条の五第一項 及び第三項から第五項までを除く。)の規定は、種類株主総会について準用する。
この場合において、
第三百二十五条の三第一項中
「第二百九十九条第二項各号」とあるのは
「第三百二十五条において準用する第二百九十九条第二項各号」と、
「同条第一項」とあるのは
「同条第一項(第三百二十五条において準用する場合に限る。次項、次条 及び第三百二十五条の五において同じ。)」と、
「第二百九十八条第一項各号」とあるのは
「第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合に限る。)」と、
「第三百一条第一項」とあるのは
「第三百二十五条において準用する第三百一条第一項」と、
「第三百二条第一項」とあるのは
「第三百二十五条において準用する第三百二条第一項」と、
「第三百五条第一項」とあるのは
「第三百五条第一項(第三百二十五条において準用する場合に限る。次条第四項において同じ。)」と、
同条第二項中
「株主」とあるのは
「株主(ある種類の株式の株主に限る。次条から第三百二十五条の六までにおいて同じ。)」と、
第三百二十五条の四第二項中
「第二百九十九条第四項」とあるのは
「第三百二十五条において準用する第二百九十九条第四項」と、
「第二百九十九条第二項」とあるのは
「第三百二十五条において準用する第二百九十九条第二項」と、
「第二百九十八条第一項第五号」とあるのは
「第三百二十五条において準用する第二百九十八条第一項第五号」と、
「同項第一号から第四号まで」とあるのは
「第三百二十五条において準用する同項第一号から第四号まで」と、
同条第三項中
「第三百一条第一項、第三百二条第一項、第四百三十七条 及び第四百四十四条第六項」とあるのは
「第三百二十五条において準用する第三百一条第一項 及び第三百二条第一項」と
読み替えるものとする。
第二節 株主総会以外の機関の設置
株式会社には、一人 又は二人以上の取締役を置かなければならない。
株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会 又は指名委員会等を置くことができる。
次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。
取締役会設置会社(監査等委員会設置会社 及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。
ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。
会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社 及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。
監査等委員会設置会社 及び指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならない。
監査等委員会設置会社 及び指名委員会等設置会社は、会計監査人を置かなければならない。
指名委員会等設置会社は、監査等委員会を置いてはならない。
監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第二十四条第一項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならない。
大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社 及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役会 及び会計監査人を置かなければならない。
公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。
第三節 役員及び会計監査人の選任及び解任
⤏ 第一款 選任
役員(取締役、会計参与 及び監査役をいう。以下 この節、第三百七十一条第四項 及び第三百九十四条第三項において同じ。) 及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
監査等委員会設置会社においては、前項の規定による取締役の選任は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別してしなければならない。
第一項の決議をする場合には、法務省令で定めるところにより、役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役 若しくはそれ以外の取締役 又は会計参与。以下 この項において同じ。)が欠けた場合 又はこの法律 若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができる。
株式会社と役員 及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。
次に掲げる者は、取締役となることができない。
この法律 若しくは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)の規定に違反し、又は金融商品取引法第百九十七条、第百九十七条の二第一号から第十号の三まで若しくは第十三号から第十五号まで、第百九十八条第八号、第百九十九条、第二百条第一号から第十二号の二まで、第二十号 若しくは第二十一号、第二百三条第三項 若しくは第二百五条第一号から第六号まで、第十九号 若しくは第二十号の罪、民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百五十五条、第二百五十六条、第二百五十八条から第二百六十条まで若しくは第二百六十二条の罪、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律(平成十二年法律第百二十九号)第六十五条、第六十六条、第六十八条 若しくは第六十九条の罪、会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第二百六十六条、第二百六十七条、第二百六十九条から第二百七十一条まで若しくは第二百七十三条の罪 若しくは破産法(平成十六年法律第七十五号)第二百六十五条、第二百六十六条、第二百六十八条から第二百七十二条まで 若しくは第二百七十四条の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
前号に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
株式会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。
ただし、公開会社でない株式会社においては、この限りでない。
監査等委員である取締役は、監査等委員会設置会社 若しくはその子会社の業務執行取締役 若しくは支配人 その他の使用人 又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。
指名委員会等設置会社の取締役は、当該指名委員会等設置会社の支配人 その他の使用人を兼ねることができない。
取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない。
監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役は、三人以上で、その過半数は、社外取締役でなければならない。
成年被後見人が取締役に就任するには、その成年後見人が、成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人 及び後見監督人の同意)を得た上で、成年被後見人に代わって就任の承諾をしなければならない。
被保佐人が取締役に就任するには、その保佐人の同意を得なければならない。
第一項の規定は、保佐人が民法第八百七十六条の四第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人に代わって就任の承諾をする場合について準用する。
この場合において、
第一項中
「成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人 及び後見監督人の同意)」とあるのは、
「被保佐人の同意」と
読み替えるものとする。
成年被後見人 又は被保佐人がした取締役の資格に基づく行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。
取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
ただし、定款 又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
前項の規定は、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社 及び指名委員会等設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
監査等委員会設置会社の取締役(監査等委員であるものを除く。)についての第一項の規定の適用については、
同項中
「二年」とあるのは、
「一年」と
する。
監査等委員である取締役の任期については、第一項ただし書の規定は、適用しない。
第一項本文の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査等委員である取締役の補欠として選任された監査等委員である取締役の任期を退任した監査等委員である取締役の任期の満了する時までとすることを妨げない。
指名委員会等設置会社の取締役についての第一項の規定の適用については、
同項中
「二年」とあるのは、
「一年」と
する。
前各項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
監査等委員会 又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
監査等委員会 又は指名委員会等を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
その発行する株式の全部の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更(監査等委員会設置会社 及び指名委員会等設置会社がするものを除く。)
会計参与は、公認会計士 若しくは監査法人 又は税理士 若しくは税理士法人でなければならない。
会計参与に選任された監査法人 又は税理士法人は、その社員の中から会計参与の職務を行うべき者を選定し、これを株式会社に通知しなければならない。
この場合においては、次項各号に掲げる者を選定することはできない。
次に掲げる者は、会計参与となることができない。
株式会社 又はその子会社の取締役、監査役 若しくは執行役 又は支配人 その他の使用人
業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第四十三条の規定により同法第二条第二項に規定する税理士業務を行うことができない者
第三百三十二条(第四項 及び第五項を除く。次項において同じ。)の規定は、会計参与の任期について準用する。
前項において準用する第三百三十二条の規定にかかわらず、会計参与設置会社が会計参与を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、会計参与の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
第三百三十一条第一項 及び第二項並びに第三百三十一条の二の規定は、監査役について準用する。
監査役は、株式会社 若しくはその子会社の取締役 若しくは支配人 その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員) 若しくは執行役を兼ねることができない。
監査役会設置会社においては、監査役は、三人以上で、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない。
監査役の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
前項の規定は、公開会社でない株式会社において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
第一項の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時までとすることを妨げない。
前三項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
監査等委員会 又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
会計監査人は、公認会計士 又は監査法人でなければならない。
会計監査人に選任された監査法人は、その社員の中から会計監査人の職務を行うべき者を選定し、これを株式会社に通知しなければならない。
この場合においては、次項第二号に掲げる者を選定することはできない。
次に掲げる者は、会計監査人となることができない。
公認会計士法の規定により、第四百三十五条第二項に規定する計算書類について監査をすることができない者
株式会社の子会社 若しくはその取締役、会計参与、監査役 若しくは執行役から公認会計士 若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者 又はその配偶者
監査法人でその社員の半数以上が前号に掲げる者であるもの
会計監査人の任期は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなす。
前二項の規定にかかわらず、会計監査人設置会社が会計監査人を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、会計監査人の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
⤏ 第二款 解任
役員 及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
監査役は、会計監査人が次のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。
職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。
会計監査人としてふさわしくない非行があったとき。
心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき。
前項の規定による解任は、監査役が二人以上ある場合には、監査役の全員の同意によって行わなければならない。
第一項の規定により会計監査人を解任したときは、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)は、その旨 及び解任の理由を解任後最初に招集される株主総会に報告しなければならない。
監査役会設置会社における前三項の規定の適用については、
第一項中
「監査役」とあるのは
「監査役会」と、
第二項中
「監査役が二人以上ある場合には、監査役」とあるのは
「監査役」と、
前項中
「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)」とあるのは
「監査役会が選定した監査役」と
する。
監査等委員会設置会社における第一項から第三項までの規定の適用については、
第一項中
「監査役」とあるのは
「監査等委員会」と、
第二項中
「監査役が二人以上ある場合には、監査役」とあるのは
「監査等委員」と、
第三項中
「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)」とあるのは
「監査等委員会が選定した監査等委員」と
する。
指名委員会等設置会社における第一項から第三項までの規定の適用については、
第一項中
「監査役」とあるのは
「監査委員会」と、
第二項中
「監査役が二人以上ある場合には、監査役」とあるのは
「監査委員会の委員」と、
第三項中
「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)」とあるのは
「監査委員会が選定した監査委員会の委員」と
する。
⤏ 第三款 選任及び解任の手続に関する特則
第三百九条第一項の規定にかかわらず、役員を選任し、又は解任する株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。
株主総会の目的である事項が二人以上の取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役 又はそれ以外の取締役。以下 この条において同じ。)の選任である場合には、株主(取締役の選任について議決権を行使することができる株主に限る。以下 この条において同じ。)は、定款に別段の定めがあるときを除き、株式会社に対し、第三項から第五項までに規定するところにより取締役を選任すべきことを請求することができる。
前項の規定による請求は、同項の株主総会の日の五日前までにしなければならない。
第三百八条第一項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求があった場合には、取締役の選任の決議については、株主は、その有する株式一株(単元株式数を定款で定めている場合にあっては、一単元の株式)につき、当該株主総会において選任する取締役の数と同数の議決権を有する。
この場合においては、株主は、一人のみに投票し、又は二人以上に投票して、その議決権を行使することができる。
前項の場合には、投票の最多数を得た者から順次取締役に選任されたものとする。
前二項に定めるもののほか、第一項の規定による請求があった場合における取締役の選任に関し必要な事項は、法務省令で定める。
前条の規定は、前三項に規定するところにより選任された取締役の解任の決議については、適用しない。
監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の選任 若しくは解任 又は辞任について意見を述べることができる。
監査等委員である取締役を辞任した者は、辞任後最初に招集される株主総会に出席して、辞任した旨 及び その理由を述べることができる。
取締役は、前項の者に対し、同項の株主総会を招集する旨 及び第二百九十八条第一項第一号に掲げる事項を通知しなければならない。
監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の選任 若しくは解任 又は辞任について監査等委員会の意見を述べることができる。
取締役は、監査役がある場合において、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければならない。
監査役は、取締役に対し、監査役の選任を株主総会の目的とすること 又は監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができる。
監査役会設置会社における前二項の規定の適用については、
第一項中
「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)」とあるのは
「監査役会」と、
前項中
「監査役は」とあるのは
「監査役会は」と
する。
第三百四十一条の規定は、監査役の解任の決議については、適用しない。
監査役設置会社においては、株主総会に提出する会計監査人の選任 及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容は、監査役が決定する。
監査役が二人以上ある場合における前項の規定の適用については、
同項中
「監査役が」とあるのは、
「監査役の過半数をもって」と
する。
監査役会設置会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「監査役」とあるのは、
「監査役会」と
する。
取締役は、監査等委員会がある場合において、監査等委員である取締役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査等委員会の同意を得なければならない。
監査等委員会は、取締役に対し、監査等委員である取締役の選任を株主総会の目的とすること又は監査等委員である取締役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができる。
第三百四十一条の規定は、監査等委員である取締役の解任の決議については、適用しない。
会計参与は、株主総会において、会計参与の選任 若しくは解任 又は辞任について意見を述べることができる。
会計参与を辞任した者は、辞任後最初に招集される株主総会に出席して、辞任した旨 及び その理由を述べることができる。
取締役は、前項の者に対し、同項の株主総会を招集する旨及び第二百九十八条第一項第一号に掲げる事項を通知しなければならない。
第一項の規定は監査役について、前二項の規定は監査役を辞任した者について、それぞれ準用する。
この場合において、
第一項中
「会計参与の」とあるのは、
「監査役の」と
読み替えるものとする。
第一項の規定は会計監査人について、第二項 及び第三項の規定は会計監査人を辞任した者 及び第三百四十条第一項の規定により会計監査人を解任された者について、それぞれ準用する。
この場合において、
第一項中
「株主総会において、会計参与の選任 若しくは解任 又は辞任について」とあるのは
「会計監査人の選任、解任 若しくは不再任 又は辞任について、株主総会に出席して」と、
第二項中
「辞任後」とあるのは
「解任後 又は辞任後」と、
「辞任した旨 及び その理由」とあるのは
「辞任した旨 及び その理由 又は解任についての意見」と
読み替えるものとする。
役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役 若しくはそれ以外の取締役 又は会計参与。以下 この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律 若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了 又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。
裁判所は、前項の一時役員の職務を行うべき者を選任した場合には、株式会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。
第三百三十七条 及び第三百四十条の規定は、前項の一時会計監査人の職務を行うべき者について準用する。
監査役会設置会社における第四項の規定の適用については、
同項中
「監査役」とあるのは、
「監査役会」と
する。
監査等委員会設置会社における第四項の規定の適用については、
同項中
「監査役」とあるのは、
「監査等委員会」と
する。
指名委員会等設置会社における第四項の規定の適用については、
同項中
「監査役」とあるのは、
「監査委員会」と
する。
第百八条第一項第九号に掲げる事項(取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役 又はそれ以外の取締役)に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第三百二十九条第一項、第三百三十二条第一項、第三百三十九条第一項、第三百四十一条 並びに第三百四十四条の二第一項 及び第二項の規定の適用については、
第三百二十九条第一項中
「株主総会」とあるのは
「株主総会(取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役 又はそれ以外の取締役)については、第百八条第二項第九号に定める事項についての定款の定めに従い、各種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会)」と、
第三百三十二条第一項 及び第三百三十九条第一項中
「株主総会の決議」とあるのは
「株主総会(第四十一条第一項の規定により又は第九十条第一項の種類創立総会 若しくは第三百四十七条第一項の規定により読み替えて適用する第三百二十九条第一項の種類株主総会において選任された取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役 又はそれ以外の取締役。以下 この項において同じ。)については、当該取締役の選任に係る種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(定款に別段の定めがある場合 又は当該取締役の任期満了前に当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存在しなくなった場合にあっては、株主総会))の決議」と、
第三百四十一条中
「第三百九条第一項」とあるのは
「第三百九条第一項 及び第三百二十四条」と、
「株主総会」とあるのは
「株主総会(第三百四十七条第一項の規定により読み替えて適用する第三百二十九条第一項 及び第三百三十九条第一項の種類株主総会を含む。)」と、
第三百四十四条の二第一項 及び第二項中
「株主総会」とあるのは
「第三百四十七条第一項の規定により読み替えて適用する第三百二十九条第一項の種類株主総会」と
する。
第百八条第一項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第三百二十九条第一項、第三百三十九条第一項、第三百四十一条 並びに第三百四十三条第一項 及び第二項の規定の適用については、
第三百二十九条第一項中
「株主総会」とあるのは
「株主総会(監査役については、第百八条第二項第九号に定める事項についての定款の定めに従い、各種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会)」と、
第三百三十九条第一項中
「株主総会」とあるのは
「株主総会(第四十一条第三項において準用する同条第一項の規定により又は第九十条第二項において準用する同条第一項の種類創立総会 若しくは第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百二十九条第一項の種類株主総会において選任された監査役については、当該監査役の選任に係る種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(定款に別段の定めがある場合 又は当該監査役の任期満了前に当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存在しなくなった場合にあっては、株主総会))」と、
第三百四十一条中
「第三百九条第一項」とあるのは
「第三百九条第一項 及び第三百二十四条」と、
「株主総会」とあるのは
「株主総会(第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百二十九条第一項の種類株主総会を含む。)」と、
第三百四十三条第一項 及び第二項中
「株主総会」とあるのは
「第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百二十九条第一項の種類株主総会」と
する。
第四節 取締役
取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下 この条において同じ。)の業務を執行する。
取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
取締役の職務の執行が法令 及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務 並びに当該株式会社 及び その子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
大会社においては、取締役は、前項第四号に掲げる事項を決定しなければならない。
株式会社(指名委員会等設置会社を除く。)が社外取締役を置いている場合において、当該株式会社と取締役との利益が相反する状況にあるとき、その他取締役が当該株式会社の業務を執行することにより株主の利益を損なうおそれがあるときは、当該株式会社は、その都度、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、当該株式会社の業務を執行することを社外取締役に委託することができる。
指名委員会等設置会社と執行役との利益が相反する状況にあるとき、その他執行役が指名委員会等設置会社の業務を執行することにより株主の利益を損なうおそれがあるときは、当該指名委員会等設置会社は、その都度、取締役会の決議によって、当該指名委員会等設置会社の業務を執行することを社外取締役に委託することができる。
前二項の規定により委託された業務の執行は、第二条第十五号イに規定する株式会社の業務の執行に該当しないものとする。
ただし、社外取締役が業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)の指揮命令により当該委託された業務を執行したときは、この限りでない。
取締役は、株式会社を代表する。
ただし、他に代表取締役 その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選 又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上 又は裁判外の行為をする権限を有する。
前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
株式会社は、代表取締役 その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
代表取締役が欠けた場合 又は定款で定めた代表取締役の員数が欠けた場合には、任期の満了 又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役(次項の一時代表取締役の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有する。
前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時代表取締役の職務を行うべき者を選任することができる。
裁判所は、前項の一時代表取締役の職務を行うべき者を選任した場合には、株式会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役 又は代表取締役の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
前項の規定に違反して行った取締役 又は代表取締役の職務を代行する者の行為は、無効とする。
ただし、株式会社は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
第三百四十九条第四項の規定にかかわらず、株式会社が取締役(取締役であった者を含む。以下 この条において同じ。)に対し、又は取締役が株式会社に対して訴えを提起する場合には、株主総会は、当該訴えについて株式会社を代表する者を定めることができる。
株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長 その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。
取締役は、法令 及び定款 並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
取締役が自己 又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
取締役が自己 又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
株式会社が取締役の債務を保証すること その他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第二号 又は第三号の取引については、適用しない。
取締役は、株式会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を株主(監査役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければならない。
監査役会設置会社における前項の規定の適用については、
同項中
「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、
「監査役会」と
する。
監査等委員会設置会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、
「監査等委員会」と
する。
株式会社の業務の執行に関し、不正の行為 又は法令 若しくは定款に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、次に掲げる株主は、当該株式会社の業務 及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主
発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主
前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う 報酬の額を定めることができる。
第二項の検査役は、その職務を行うため必要があるときは、株式会社の子会社の業務 及び財産の状況を調査することができる。
第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
第二項の検査役は、第五項の報告をしたときは、株式会社 及び検査役の選任の申立てをした株主に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
裁判所は、前条第五項の報告があった場合において、必要があると認めるときは、取締役に対し、次に掲げる措置の全部 又は一部を命じなければならない。
前条第五項の調査の結果を株主に通知すること。
裁判所が前項第一号に掲げる措置を命じた場合には、取締役は、前条第五項の報告の内容を同号の株主総会において開示しなければならない。
前項に規定する場合には、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役 及び監査役)は、前条第五項の報告の内容を調査し、その結果を第一項第一号の株主総会に報告しなければならない。
六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主は、取締役が株式会社の目的の範囲外の行為 その他法令 若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、
同項中
「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、
「株主」と
する。
監査役設置会社、監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「著しい損害」とあるのは、
「回復することができない損害」と
する。
取締役の報酬、賞与 その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下 この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
酬等のうち当該株式会社の募集株式(第百九十九条第一項に規定する募集株式をいう。以下 この項 及び第四百九条第三項において同じ。)については、当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類 及び種類ごとの数)の上限 その他法務省令で定める事項
報酬等のうち当該株式会社の募集新株予約権(第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権をいう。以下 この項 及び第四百九条第三項において同じ。)については、当該募集新株予約権の数の上限 その他法務省令で定める事項
報酬等のうち次のイ 又はロに掲げるものと引換えにする払込みに充てるための金銭については、当該イ 又はロに定める事項
当該株式会社の募集株式
取締役が引き受ける当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)の上限 その他法務省令で定める事項
当該株式会社の募集新株予約権
取締役が引き受ける当該募集新株予約権の数の上限 その他法務省令で定める事項
報酬等のうち金銭でないもの(当該株式会社の募集株式 及び募集新株予約権を除く。)については、その具体的な内容
監査等委員会設置会社においては、前項各号に掲げる事項は、監査等委員である取締役と それ以外の取締役とを区別して定めなければならない。
監査等委員である各取締役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、第一項の報酬等の範囲内において、監査等委員である取締役の協議によって定める。
第一項各号に掲げる事項を定め、又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該事項を相当とする理由を説明しなければならない。
監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができる。
監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる。
次に掲げる株式会社の取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く。以下 この項において同じ。)の報酬等の内容として定款 又は株主総会の決議による第一項各号に掲げる事項についての定めがある場合には、当該定めに基づく取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針として法務省令で定める事項を決定しなければならない。
ただし、取締役の個人別の報酬等の内容が定款 又は株主総会の決議により定められているときは、この限りでない。
監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって、金融商品取引法 第二十四条第一項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないもの
第五節 取締役会
⤏ 第一款 権限等
取締役会は、すべての取締役で組織する。
取締役会は、次に掲げる職務を行う。
取締役会設置会社の業務執行の決定
取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
取締役会は、次に掲げる事項 その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
支配人 その他の重要な使用人の選任 及び解任
支店 その他の重要な組織の設置、変更 及び廃止
第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
取締役の職務の執行が法令 及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務 並びに当該株式会社及び その子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。
次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。
第三百五十三条に規定する場合には、取締役会は、同条の規定による株主総会の定めがある場合を除き、同条の訴えについて取締役会設置会社を代表する者を定めることができる。
取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、
同条第一項中
「株主総会」とあるのは、
「取締役会」と
する。
取締役会設置会社においては、第三百五十六条第一項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。
⤏ 第二款 運営
取締役会は、各取締役が招集する。
ただし、取締役会を招集する取締役を定款 又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する。
前項ただし書に規定する場合には、同項ただし書の規定により定められた取締役(以下 この章において「招集権者」という。)以外の取締役は、招集権者に対し、取締役会の目的である事項を示して、取締役会の招集を請求することができる。
前項の規定による請求があった日から五日以内に、その請求があった日から二週間以内の日を取締役会の日とする取締役会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした取締役は、取締役会を招集することができる。
取締役会設置会社(監査役設置会社、監査等委員会設置会社 及び指名委員会等設置会社を除く。)の株主は、取締役が取締役会設置会社の目的の範囲外の行為 その他法令 若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあると認めるときは、取締役会の招集を請求することができる。
前項の規定による請求は、取締役(前条第一項ただし書に規定する場合にあっては、招集権者)に対し、取締役会の目的である事項を示して行わなければならない。
前条第三項の規定は、第一項の規定による請求があった場合について準用する。
第一項の規定による請求を行った株主は、当該請求に基づき招集され、又は前項において準用する前条第三項の規定により招集した取締役会に出席し、意見を述べることができる。
取締役会を招集する者は、取締役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役 及び各監査役)に対してその通知を発しなければならない。
前項の規定にかかわらず、取締役会は、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役 及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役 及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。
取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面 又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。
取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第三百六十九条第三項の議事録 又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面 若しくは電磁的記録(以下 この条において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない。
株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧 又は謄写の請求
前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
監査役設置会社、監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、
同項中
「株式会社の営業時間内は、いつでも」とあるのは、
「裁判所の許可を得て」と
する。
取締役会設置会社の債権者は、役員 又は執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該取締役会設置会社の議事録等について第二項各号に掲げる請求をすることができる。
前項の規定は、取締役会設置会社の親会社社員がその権利を行使するため必要があるときについて準用する。
裁判所は、第三項において読み替えて適用する第二項各号に掲げる請求 又は第四項(前項において準用する場合を含む。以下 この項において同じ。)の請求に係る閲覧 又は謄写をすることにより、当該取締役会設置会社 又はその親会社 若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、第三項において読み替えて適用する第二項の許可 又は第四項の許可をすることができない。
取締役、会計参与、監査役 又は会計監査人が取締役(監査役設置会社にあっては、取締役 及び監査役)の全員に対して取締役会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を取締役会へ報告することを要しない。
前項の規定は、第三百六十三条第二項の規定による報告については、適用しない。
指名委員会等設置会社についての前二項の規定の適用については、
第一項中
「監査役 又は会計監査人」とあるのは
「会計監査人 又は執行役」と、
「取締役(監査役設置会社にあっては、取締役 及び監査役)」とあるのは
「取締役」と、
前項中
「第三百六十三条第二項」とあるのは
「第四百十七条第四項」と
する。
第三百六十九条第一項の規定にかかわらず、取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)が次に掲げる要件のいずれにも該当する場合(監査等委員会設置会社にあっては、第三百九十九条の十三第五項に規定する場合 又は同条第六項の規定による定款の定めがある場合を除く。)には、取締役会は、第三百六十二条第四項第一号 及び第二号 又は第三百九十九条の十三第四項第一号 及び第二号に掲げる事項についての取締役会の決議については、あらかじめ選定した三人以上の取締役(以下 この章において「特別取締役」という。)のうち、議決に加わることができるものの過半数(これを上回る割合を取締役会で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を取締役会で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行うことができる旨を定めることができる。
取締役の数が六人以上であること。
取締役のうち一人以上が社外取締役であること。
前項の規定による特別取締役による議決の定めがある場合には、特別取締役以外の取締役は、第三百六十二条第四項第一号 及び第二号 又は第三百九十九条の十三第四項第一号 及び第二号に掲げる事項の決定をする取締役会に出席することを要しない。
この場合における第三百六十六条第一項本文 及び第三百六十八条の規定の適用については、
第三百六十六条第一項本文中
「各取締役」とあるのは
「各特別取締役(第三百七十三条第一項に規定する特別取締役をいう。第三百六十八条において同じ。)」と、
第三百六十八条第一項中
「定款」とあるのは
「取締役会」と、
「各取締役」とあるのは
「各特別取締役」と、
同条第二項中
「取締役(」とあるのは
「特別取締役(」と、
「取締役 及び」とあるのは
「特別取締役 及び」と
する。
特別取締役の互選によって定められた者は、前項の取締役会の決議後、遅滞なく、当該決議の内容を特別取締役以外の取締役に報告しなければならない。
第三百六十六条(第一項本文を除く。)、第三百六十七条、第三百六十九条第一項、第三百七十条 及び第三百九十九条の十四の規定は、第二項の取締役会については、適用しない。
第六節 会計参与
会計参与は、取締役と共同して、計算書類(第四百三十五条第二項に規定する計算書類をいう。以下 この章において同じ。)及びその附属明細書、臨時計算書類(第四百四十一条第一項に規定する臨時計算書類をいう。以下 この章において同じ。)並びに連結計算書類(第四百四十四条第一項に規定する連結計算書類をいう。第三百九十六条第一項において同じ。)を作成する。
この場合において、会計参与は、法務省令で定めるところにより、会計参与報告を作成しなければならない。
会計参与は、いつでも、次に掲げるものの閲覧 及び謄写をし、又は取締役 及び支配人 その他の使用人に対して会計に関する報告を求めることができる。
会計帳簿 又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面
会計帳簿 又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したもの
会計参与は、その職務を行うため必要があるときは、会計参与設置会社の子会社に対して会計に関する報告を求め、又は会計参与設置会社 若しくはその子会社の業務 及び財産の状況の調査をすることができる。
前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告 又は調査を拒むことができる。
会計参与は、その職務を行うに当たっては、第三百三十三条第三項第二号 又は第三号に掲げる者を使用してはならない。
指名委員会等設置会社における第一項 及び第二項の規定の適用については、
第一項中
「取締役」とあるのは
「執行役」と、
第二項中
「取締役 及び」とあるのは
「執行役 及び取締役 並びに」と
する。
会計参与は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令 若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを株主(監査役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければならない。
監査役会設置会社における前項の規定の適用については、
同項中
「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、
「監査役会」と
する。
監査等委員会設置会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、
「監査等委員会」と
する。
指名委員会等設置会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「取締役」とあるのは
「執行役 又は取締役」と、
「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは
「監査委員会」と
する。
取締役会設置会社の会計参与(会計参与が監査法人 又は税理士法人である場合にあっては、その職務を行うべき社員。以下 この条において同じ。)は、第四百三十六条第三項、第四百四十一条第三項 又は第四百四十四条第五項の承認をする取締役会に出席しなければならない。
この場合において、会計参与は、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
会計参与設置会社において、前項の取締役会を招集する者は、当該取締役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各会計参与に対してその通知を発しなければならない。
会計参与設置会社において、第三百六十八条第二項の規定により第一項の取締役会を招集の手続を経ることなく開催するときは、会計参与の全員の同意を得なければならない。
第三百七十四条第一項に規定する書類の作成に関する事項について会計参与が取締役と意見を異にするときは、会計参与(会計参与が監査法人 又は税理士法人である場合にあっては、その職務を行うべき社員)は、株主総会において意見を述べることができる。
指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、
同項中
「取締役」とあるのは、
「執行役」と
する。
会計参与は、次の各号に掲げるものを、当該各号に定める期間、法務省令で定めるところにより、当該会計参与が定めた場所に備え置かなければならない。
各事業年度に係る計算書類 及び その附属明細書 並びに会計参与報告 > 定時株主総会の日の一週間(取締役会設置会社にあっては、二週間)前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)から五年間
臨時計算書類 及び会計参与報告
臨時計算書類を作成した日から五年間
会計参与設置会社の株主 及び債権者は、会計参与設置会社の営業時間内(会計参与が請求に応ずることが困難な場合として法務省令で定める場合を除く。)は、いつでも、会計参与に対し、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該会計参与の定めた費用を支払わなければならない。
前項各号に掲げるものが書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
前号の書面の謄本 又は抄本の交付の請求
前項各号に掲げるものが電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって会計参与の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
会計参与設置会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該会計参与設置会社の第一項各号に掲げるものについて前項各号に掲げる請求をすることができる。
ただし、同項第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該会計参与の定めた費用を支払わなければならない。
会計参与の報酬等は、定款にその額を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
会計参与が二人以上ある場合において、各会計参与の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、前項の報酬等の範囲内において、会計参与の協議によって定める。
会計参与(会計参与が監査法人 又は税理士法人である場合にあっては、その職務を行うべき社員)は、株主総会において、会計参与の報酬等について意見を述べることができる。
会計参与がその職務の執行について会計参与設置会社に対して次に掲げる請求をしたときは、当該会計参与設置会社は、当該請求に係る費用 又は債務が当該会計参与の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。
支出した費用 及び支出の日以後におけるその利息の償還の請求
負担した債務の債権者に対する弁済(当該債務が弁済期にない場合にあっては、相当の担保の提供)の請求
第七節 監査役
監査役は、取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役 及び会計参与)の職務の執行を監査する。
この場合において、監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
監査役は、いつでも、取締役 及び会計参与 並びに支配人 その他の使用人に対して事業の報告を求め、又は監査役設置会社の業務 及び財産の状況の調査をすることができる。
監査役は、その職務を行うため必要があるときは、監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め、又はその子会社の業務 及び財産の状況の調査をすることができる。
前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告 又は調査を拒むことができる。
監査役は、取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令 若しくは定款に違反する事実 若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に報告しなければならない。
監査役は、取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
ただし、監査役が二人以上ある場合において、第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがあるときは、監査役の互選によって、監査役の中から特に同条第二項の取締役会に出席する監査役を定めることができる。
監査役は、前条に規定する場合において、必要があると認めるときは、取締役(第三百六十六条第一項ただし書に規定する場合にあっては、招集権者)に対し、取締役会の招集を請求することができる。
前項の規定による請求があった日から五日以内に、その請求があった日から二週間以内の日を取締役会の日とする取締役会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監査役は、取締役会を招集することができる。
前二項の規定は、第三百七十三条第二項の取締役会については、適用しない。
監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類 その他法務省令で定めるものを調査しなければならない。
この場合において、法令 若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を株主総会に報告しなければならない。
監査役は、取締役が監査役設置会社の目的の範囲外の行為 その他法令 若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該監査役設置会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
前項の場合において、裁判所が仮処分をもって同項の取締役に対し、その行為をやめることを命ずるときは、担保を立てさせないものとする。
第三百四十九条第四項、第三百五十三条 及び第三百六十四条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合には、当該各号の訴えについては、監査役が監査役設置会社を代表する。
監査役設置会社が取締役(取締役であった者を含む。以下 この条において同じ。)に対し、又は取締役が監査役設置会社に対して訴えを提起する場合
株式交換等完全親会社(第八百四十九条第二項第一号に規定する株式交換等完全親会社をいう。次項第三号において同じ。)である監査役設置会社がその株式交換等完全子会社(第八百四十七条の二第一項に規定する株式交換等完全子会社をいう。次項第三号において同じ。)の取締役、執行役(執行役であった者を含む。以下 この条において同じ。)又は清算人(清算人であった者を含む。以下 この条において同じ。)の責任(第八百四十七条の二第一項各号に掲げる行為の効力が生じた時までにその原因となった事実が生じたものに限る。)を追及する訴えを提起する場合
最終完全親会社等(第八百四十七条の三第一項に規定する最終完全親会社等をいう。次項第四号において同じ。)である監査役設置会社がその完全子会社等(同条第二項第二号に規定する完全子会社等をいい、同条第三項の規定により当該完全子会社等とみなされるものを含む。次項第四号において同じ。)である株式会社の取締役、執行役 又は清算人に対して特定責任追及の訴え(同条第一項に規定する特定責任追及の訴えをいう。)を提起する場合
第三百四十九条第四項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、監査役が監査役設置会社を代表する。
監査役設置会社が第八百四十七条第一項、第八百四十七条の二第一項 若しくは第三項(同条第四項 及び第五項において準用する場合を含む。)又は第八百四十七条の三第一項の規定による請求(取締役の責任を追及する訴えの提起の請求に限る。)を受ける場合
監査役設置会社が第八百四十九条第四項の訴訟告知(取締役の責任を追及する訴えに係るものに限る。)並びに第八百五十条第二項の規定による通知 及び催告(取締役の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解に関するものに限る。)を受ける場合
株式交換等完全親会社である監査役設置会社が第八百四十七条第一項の規定による請求(前項第二号に規定する訴えの提起の請求に限る。)をする場合又は第八百四十九条第六項の規定による通知(その株式交換等完全子会社の取締役、執行役 又は清算人の責任を追及する訴えに係るものに限る。)を受ける場合
最終完全親会社等である監査役設置会社が第八百四十七条第一項の規定による請求(前項第三号に規定する特定責任追及の訴えの提起の請求に限る。)をする場合又は第八百四十九条第七項の規定による通知(その完全子会社等である株式会社の取締役、執行役 又は清算人の責任を追及する訴えに係るものに限る。)を受ける場合
監査役の報酬等は、定款にその額を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
監査役が二人以上ある場合において、各監査役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、前項の報酬等の範囲内において、監査役の協議によって定める。
監査役は、株主総会において、監査役の報酬等について意見を述べることができる。
監査役がその職務の執行について監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)に対して次に掲げる請求をしたときは、当該監査役設置会社は、当該請求に係る費用 又は債務が当該監査役の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。
支出した費用 及び支出の日以後におけるその利息の償還の請求
負担した債務の債権者に対する弁済(当該債務が弁済期にない場合にあっては、相当の担保の提供)の請求
公開会社でない株式会社(監査役会設置会社 及び会計監査人設置会社を除く。)は、第三百八十一条第一項の規定にかかわらず、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。
前項の規定による定款の定めがある株式会社の監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
前項の監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする会計に関する議案、書類 その他の法務省令で定めるものを調査し、その調査の結果を株主総会に報告しなければならない。
第二項の監査役は、いつでも、次に掲げるものの閲覧 及び謄写をし、又は取締役 及び会計参与 並びに支配人 その他の使用人に対して会計に関する報告を求めることができる。
会計帳簿 又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面
会計帳簿 又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したもの
第二項の監査役は、その職務を行うため必要があるときは、株式会社の子会社に対して会計に関する報告を求め、又は株式会社 若しくはその子会社の業務 及び財産の状況の調査をすることができる。
前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の規定による報告 又は調査を拒むことができる。
第三百八十一条から第三百八十六条までの規定は、第一項の規定による定款の定めがある株式会社については、適用しない。
第八節 監査役会
⤏ 第一款 権限等
監査役会は、すべての監査役で組織する。
監査役会は、次に掲げる職務を行う。
ただし、第三号の決定は、監査役の権限の行使を妨げることはできない。
監査の方針、監査役会設置会社の業務 及び財産の状況の調査の方法 その他の監査役の職務の執行に関する事項の決定
監査役会は、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならない。
監査役は、監査役会の求めがあるときは、いつでも その職務の執行の状況を監査役会に報告しなければならない。
⤏ 第二款 運営
監査役会は、各監査役が招集する。
監査役会を招集するには、監査役は、監査役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各監査役に対してその通知を発しなければならない。
前項の規定にかかわらず、監査役会は、監査役の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
監査役会の決議は、監査役の過半数をもって行う。
監査役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
監査役会の決議に参加した監査役であって第二項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。
監査役会設置会社は、監査役会の日から十年間、前条第二項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
監査役会設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。
前項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧 又は謄写の請求
前項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
前項の規定は、監査役会設置会社の債権者が役員の責任を追及するため必要があるとき及び親会社社員がその権利を行使するため必要があるときについて準用する。
裁判所は、第二項(前項において準用する場合を含む。以下 この項において同じ。)の請求に係る閲覧 又は謄写をすることにより、当該監査役会設置会社 又はその親会社 若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、第二項の許可をすることができない。
取締役、会計参与、監査役 又は会計監査人が監査役の全員に対して監査役会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を監査役会へ報告することを要しない。
第九節 会計監査人
会計監査人は、次章の定めるところにより、株式会社の計算書類 及び その附属明細書、臨時計算書類 並びに連結計算書類を監査する。
この場合において、会計監査人は、法務省令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならない。
会計監査人は、いつでも、次に掲げるものの閲覧 及び謄写をし、又は取締役 及び会計参与 並びに支配人 その他の使用人に対し、会計に関する報告を求めることができる。
会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面
会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したもの
会計監査人は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人設置会社の子会社に対して会計に関する報告を求め、又は会計監査人設置会社 若しくはその子会社の業務 及び財産の状況の調査をすることができる。
前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告 又は調査を拒むことができる。
会計監査人は、その職務を行うに当たっては、次のいずれかに該当する者を使用してはならない。
第三百三十七条第三項第一号 又は第二号に掲げる者
会計監査人設置会社 又はその子会社の取締役、会計参与、監査役 若しくは執行役 又は支配人 その他の使用人である者
会計監査人設置会社 又はその子会社から公認会計士 又は監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者
指名委員会等設置会社における第二項の規定の適用については、
同項中
「取締役」とあるのは、
「執行役、取締役」と
する。
会計監査人は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為 又は法令 若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを監査役に報告しなければならない。
監査役は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人に対し、その監査に関する報告を求めることができる。
監査役会設置会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「監査役」とあるのは、
「監査役会」と
する。
監査等委員会設置会社における第一項 及び第二項の規定の適用については、
第一項中
「監査役」とあるのは
「監査等委員会」と、
第二項中
「監査役」とあるのは
「監査等委員会が選定した監査等委員」と
する。
指名委員会等設置会社における第一項 及び第二項の規定の適用については、
第一項中
「取締役」とあるのは
「執行役 又は取締役」と、
「監査役」とあるのは
「監査委員会」と、
第二項中
「監査役」とあるのは
「監査委員会が選定した監査委員会の委員」と
する。
第三百九十六条第一項に規定する書類が法令 又は定款に適 合するかどうかについて会計監査人が監査役と意見を異にするときは、会計監査人(会計監査人が監査法人である場合にあっては、その職務を行うべき社員。次項において同じ。)は、定時株主総会に出席して意見を述べることができる。
定時株主総会において会計監査人の出席を求める決議があったときは、会計監査人は、定時株主総会に出席して意見を述べなければならない。
監査役会設置会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「監査役」とあるのは、
「監査役会 又は監査役」と
する。
監査等委員会設置会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「監査役」とあるのは、
「監査等委員会 又は監査等委員」と
する。
指名委員会等設置会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「監査役」とあるのは、
「監査委員会 又はその委員」と
する。
取締役は、会計監査人 又は一時会計監査人の職務を行うべき者の報酬等を定める場合には、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければならない。
監査役会設置会社における前項の規定の適用については、
同項中
「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)」とあるのは、
「監査役会」と
する。
監査等委員会設置会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)」とあるのは、
「監査等委員会」と
する。
指名委員会等設置会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)」とあるのは、
「監査委員会」と
する。
第九節の二 監査等委員会
⤏ 第一款 権限等
監査等委員会は、全ての監査等委員で組織する。
監査等委員は、取締役でなければならない。
監査等委員会は、次に掲げる職務を行う。
取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役 及び会計参与)の職務の執行の監査 及び監査報告の作成
株主総会に提出する会計監査人の選任 及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定
第三百四十二条の二第四項 及び第三百六十一条第六項に規定する監査等委員会の意見の決定
監査等委員がその職務の執行(監査等委員会の職務の執行に関するものに限る。以下 この項において同じ。)について監査等委員会設置会社に対して次に掲げる請求をしたときは、当該監査等委員会設置会社は、当該請求に係る費用 又は債務が当該監査等委員の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。
支出をした費用 及び支出の日以後におけるその利息の償還の請求
負担した債務の債権者に対する弁済(当該債務が弁済期にない場合にあっては、相当の担保の提供)の請求
監査等委員会が選定する監査等委員は、いつでも、取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役 及び会計参与) 及び支配人 その他の使用人に対し、その職務の執行に関する事項の報告を求め、又は監査等委員会設置会社の業務 及び財産の状況の調査をすることができる。
監査等委員会が選定する監査等委員は、監査等委員会の職務を執行するため必要があるときは、監査等委員会設置会社の子会社に対して事業の報告を求め、又はその子会社の業務 及び財産の状況の調査をすることができる。
前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告 又は調査を拒むことができる。
第一項 及び第二項の監査等委員は、当該各項の報告の徴収 又は調査に関する事項についての監査等委員会の決議があるときは、これに従わなければならない。
監査等委員は、取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令 若しくは定款に違反する事実 若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を取締役会に報告しなければならない。
監査等委員は、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類 その他法務省令で定めるものについて法令 若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、その旨を株主総会に報告しなければならない。
監査等委員は、取締役が監査等委員会設置会社の目的の範囲外の行為その他法令 若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該監査等委員会設置会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
前項の場合において、裁判所が仮処分をもって同項の取締役に対し、その行為をやめることを命ずるときは、担保を立てさせないものとする。
第三百四十九条第四項、第三百五十三条 及び第三百六十四条の規定にかかわらず、監査等委員会設置会社が取締役(取締役であった者を含む。以下 この条において同じ。)に対し、又は取締役が監査等委員会設置会社に対して訴えを提起する場合には、当該訴えについては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者が監査等委員会設置会社を代表する。
監査等委員が当該訴えに係る訴訟の当事者である場合
取締役会が定める者(株主総会が当該訴えについて監査等委員会設置会社を代表する者を定めた場合にあっては、その者)
前号に掲げる場合以外の場合
監査等委員会が選定する監査等委員
前項の規定にかかわらず、取締役が監査等委員会設置会社に対して訴えを提起する場合には、監査等委員(当該訴えを提起する者であるものを除く。)に対してされた訴状の送達は、当該監査等委員会設置会社に対して効力を有する。
第三百四十九条第四項、第三百五十三条 及び第三百六十四条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる株式会社が監査等委員会設置会社である場合において、当該各号に定める訴えを提起するときは、当該訴えについては、監査等委員会が選定する監査等委員が当該監査等委員会設置会社を代表する。
株式交換等完全親会社(第八百四十九条第二項第一号に規定する株式交換等完全親会社をいう。次項第一号 及び第五項第三号において同じ。) その株式交換等完全子会社(第八百四十七条の二第一項に規定する株式交換等完全子会社をいう。第五項第三号において同じ。)の取締役、執行役(執行役であった者を含む。以下 この条において同じ。)又は清算人(清算人であった者を含む。以下 この条において同じ。)の責任(第八百四十七条の二第一項各号に掲げる行為の効力が生じた時までにその原因となった事実が生じたものに限る。)を追及する訴え
最終完全親会社等(第八百四十七条の三第一項に規定する最終完全親会社等をいう。次項第二号 及び第五項第四号において同じ。) その完全子会社等(同条第二項第二号に規定する完全子会社等をいい、同条第三項の規定により当該完全子会社等とみなされるものを含む。第五項第四号において同じ。)である株式会社の取締役、執行役 又は清算人に対する特定責任追及の訴え(同条第一項に規定する特定責任追及の訴えをいう。)
第三百四十九条第四項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる株式会社が監査等委員会設置会社である場合において、当該各号に定める請求をするときは、監査等委員会が選定する監査等委員が当該監査等委員会設置会社を代表する。
株式交換等完全親会社
第八百四十七条第一項の規定による請求(前項第一号に規定する訴えの提起の請求に限る。)
最終完全親会社等
第八百四十七条第一項の規定による請求(前項第二号に規定する特定責任追及の訴えの提起の請求に限る。)
第三百四十九条第四項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、監査等委員が監査等委員会設置会社を代表する。
監査等委員会設置会社が第八百四十七条第一項、第八百四十七条の二第一項 若しくは第三項(同条第四項 及び第五項において準用する場合を含む。)又は第八百四十七条の三第一項の規定による請求(取締役の責任を追及する訴えの提起の請求に限る。)を受ける場合(当該監査等委員が当該訴えに係る訴訟の相手方となる場合を除く。)
監査等委員会設置会社が第八百四十九条第四項の訴訟告知(取締役の責任を追及する訴えに係るものに限る。)並びに第八百五十条第二項の規定による通知 及び催告(取締役の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解に関するものに限る。)を受ける場合(当該監査等委員がこれらの訴えに係る訴訟の当事者である場合を除く。)
株式交換等完全親会社である監査等委員会設置会社が第八百四十九条第六項の規定による通知(その株式交換等完全子会社の取締役、執行役 又は清算人の責任を追及する訴えに係るものに限る。)を受ける場合
最終完全親会社等である監査等委員会設置会社が第八百四十九条第七項の規定による通知(その完全子会社等である株式会社の取締役、執行役 又は清算人の責任を追及する訴えに係るものに限る。)を受ける場合
⤏ 第二款 運営
監査等委員会は、各監査等委員が招集する。
監査等委員会を招集するには、監査等委員は、監査等委員会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各監査等委員に対してその通知を発しなければならない。
前項の規定にかかわらず、監査等委員会は、監査等委員の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役 及び会計参与)は、監査等委員会の要求があったときは、監査等委員会に出席し、監査等委員会が求めた事項について説明をしなければならない。
監査等委員会の決議は、議決に加わることができる監査等委員の過半数が出席し、その過半数をもって行う。
前項の決議について特別の利害関係を有する監査等委員は、議決に加わることができない。
監査等委員会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した監査等委員は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
監査等委員会の決議に参加した監査等委員であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。
監査等委員会設置会社は、監査等委員会の日から十年間、前条第三項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
監査等委員会設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。
前項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧 又は謄写の請求
前項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
前項の規定は、監査等委員会設置会社の債権者が取締役 又は会計参与の責任を追及するため必要があるとき及び親会社社員がその権利を行使するため必要があるときについて準用する。
裁判所は、第二項(前項において準用する場合を含む。以下 この項において同じ。)の請求に係る閲覧 又は謄写をすることにより、当該監査等委員会設置会社 又はその親会社 若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、第二項の許可をすることができない。
取締役、会計参与 又は会計監査人が監査等委員の全員に対して監査等委員会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を監査等委員会へ報告することを要しない。
⤏ 第三款 監査等委員会設置会社の取締役会の権限等
監査等委員会設置会社の取締役会は、第三百六十二条の規定にかかわらず、次に掲げる職務を行う。
次に掲げる事項 その他監査等委員会設置会社の業務執行の決定
監査等委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令で定める事項
取締役の職務の執行が法令 及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務 並びに当該株式会社 及び その子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
監査等委員会設置会社の取締役会は、前項第一号イからハまでに掲げる事項を決定しなければならない。
監査等委員会設置会社の取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の中から代表取締役を選定しなければならない。
監査等委員会設置会社の取締役会は、次に掲げる事項 その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
支配人 その他の重要な使用人の選任 及び解任
支店 その他の重要な組織の設置、変更 及び廃止
第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
前項の規定にかかわらず、監査等委員会設置会社の取締役の過半数が社外取締役である場合には、当該監査等委員会設置会社の取締役会は、その決議によって、重要な業務執行の決定を取締役に委任することができる。
ただし、次に掲げる事項については、この限りでない。
第百三十六条 又は第百三十七条第一項の決定及び第百四十条第四項の規定による指定
第百六十五条第三項において読み替えて適用する第百五十六条第一項各号に掲げる事項の決定
第二百六十二条 又は第二百六十三条第一項の決定
第二百九十八条第一項各号に掲げる事項の決定
株主総会に提出する議案(会計監査人の選任 及び解任 並びに会計監査人を再任しないことに関するものを除く。)の内容の決定
第三百四十八条の二第一項の規定による委託
第三百六十一条第七項の規定による同項の事項の決定
第三百六十五条第一項において読み替えて適用する第三百五十六条第一項の承認
第三百六十六条第一項ただし書の規定による取締役会を招集する取締役の決定
第三百九十九条の七第一項第一号の規定による監査等委員会設置会社を代表する者の決定
前項第六号に掲げる事項
補償契約(第四百三十条の二第一項に規定する補償契約をいう。第四百十六条第四項第十四号において同じ。)の内容の決定
役員等賠償責任保険契約(第四百三十条の三第一項に規定する役員等賠償責任保険契約をいう。第四百十六条第四項第十五号において同じ。)の内容の決定
第四百三十六条第三項、第四百四十一条第三項 及び第四百四十四条第五項の承認
第四百五十四条第五項において読み替えて適用する同条第一項の規定により定めなければならないとされる事項の決定
第四百六十七条第一項各号に掲げる行為に係る契約(当該監査等委員会設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
合併契約(当該監査等委員会設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
吸収分割契約(当該監査等委員会設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
新設分割計画(当該監査等委員会設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
株式交換契約(当該監査等委員会設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
株式交付計画(当該監査等委員会設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
前二項の規定にかかわらず、監査等委員会設置会社は、取締役会の決議によって重要な業務執行(前項各号に掲げる事項を除く。)の決定の全部 又は一部を取締役に委任することができる旨を定款で定めることができる。
監査等委員会設置会社においては、招集権者の定めがある場合であっても、監査等委員会が選定する監査等委員は、取締役会を招集することができる。
第十節 指名委員会等及び執行役
⤏ 第一款 委員の選定、執行役の選任等
指名委員会、監査委員会 又は報酬委員会の各委員会(以下 この条、次条 及び第九百十一条第三項第二十三号ロにおいて単に「各委員会」という。)は、委員三人以上で組織する。
各委員会の委員は、取締役の中から、取締役会の決議によって選定する。
各委員会の委員の過半数は、社外取締役でなければならない。
監査委員会の委員(以下「監査委員」という。)は、指名委員会等設置会社 若しくはその子会社の執行役 若しくは業務執行取締役 又は指名委員会等設置会社の子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは支配人 その他の使用人を兼ねることができない。
各委員会の委員は、いつでも、取締役会の決議によって解職することができる。
前条第一項に規定する各委員会の委員の員数(定款で四人以上の員数を定めたときは、その員数)が欠けた場合には、任期の満了 又は辞任により退任した委員は、新たに選定された委員(次項の一時委員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお委員としての権利義務を有する。
前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時委員の職務を行うべき者を選任することができる。
裁判所は、前項の一時委員の職務を行うべき者を選任した場合には、指名委員会等設置会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
指名委員会等設置会社には、一人 又は二人以上の執行役を置かなければならない。
執行役は、取締役会の決議によって選任する。
指名委員会等設置会社と 執行役との関係は、委任に関する規定に従う。
第三百三十一条第一項 及び第三百三十一条の二の規定は、執行役について準用する。
株式会社は、執行役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。
ただし、公開会社でない指名委員会等設置会社については、この限りでない。
執行役は、取締役を兼ねることができる。
執行役の任期は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結後最初に招集される取締役会の終結の時までとする。ただし、定款によって、その任期を短縮することを妨げない。
前項の規定にかかわらず、指名委員会等設置会社が指名委員会等を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、執行役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
執行役は、いつでも、取締役会の決議によって解任することができる。
前項の規定により解任された執行役は、その解任について正当な理由がある場合を除き、指名委員会等設置会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
第四百一条第二項から第四項までの規定は、執行役が欠けた場合又は定款で定めた執行役の員数が欠けた場合について準用する。
⤏ 第二款 指名委員会等の権限等
指名委員会は、株主総会に提出する取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役 及び会計参与)の選任 及び解任に関する議案の内容を決定する。
監査委員会は、次に掲げる職務を行う。
執行役等(執行役 及び取締役をいい、会計参与設置会社にあっては、執行役、取締役 及び会計参与をいう。以下 この節において同じ。)の職務の執行の監査 及び監査報告の作成
株主総会に提出する会計監査人の選任 及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定
報酬委員会は、第三百六十一条第一項 並びに第三百七十九条第一項 及び第二項の規定にかかわらず、執行役等の個人別の報酬等の内容を決定する。
執行役が指名委員会等設置会社の支配人 その他の使用人を兼ねているときは、当該支配人 その他の使用人の報酬等の内容についても、同様とする。
委員がその職務の執行(当該委員が所属する指名委員会等の職務の執行に関するものに限る。以下 この項において同じ。)について指名委員会等設置会社に対して次に掲げる請求をしたときは、当該指名委員会等設置会社は、当該請求に係る費用又は債務が当該委員の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。
支出をした費用 及び支出の日以後におけるその利息の償還の請求
負担した債務の債権者に対する弁済(当該債務が弁済期にない場合にあっては、相当の担保の提供)の請求
監査委員会が選定する監査委員は、いつでも、執行役等 及び支配人 その他の使用人に対し、その職務の執行に関する事項の報告を求め、又は指名委員会等設置会社の業務 及び財産の状況の調査をすることができる。
監査委員会が選定する監査委員は、監査委員会の職務を執行するため必要があるときは、指名委員会等設置会社の子会社に対して事業の報告を求め、又はその子会社の業務 及び財産の状況の調査をすることができる。
前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告 又は調査を拒むことができる。
第一項 及び第二項の監査委員は、当該各項の報告の徴収又は調査に関する事項についての監査委員会の決議があるときは、これに従わなければならない。
監査委員は、執行役 又は取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令 若しくは定款に違反する事実 若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を取締役会に報告しなければならない。
監査委員は、執行役 又は取締役が指名委員会等設置会社の目的の範囲外の行為 その他法令 若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該指名委員会等設置会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該執行役 又は取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
前項の場合において、裁判所が仮処分をもって同項の執行役 又は取締役に対し、その行為をやめることを命ずるときは、担保を立てさせないものとする。
第四百二十条第三項において準用する第三百四十九条第四項の規定 並びに第三百五十三条 及び第三百六十四条の規定にかかわらず、指名委員会等設置会社が執行役(執行役であった者を含む。以下 この条において同じ。) 若しくは取締役(取締役であった者を含む。以下 この条において同じ。)に対し、又は執行役 若しくは取締役が指名委員会等設置会社に対して訴えを提起する場合には、当該訴えについては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者が指名委員会等設置会社を代表する。
監査委員が当該訴えに係る訴訟の当事者である場合
取締役会が定める者(株主総会が当該訴えについて指名委員会等設置会社を代表する者を定めた場合にあっては、その者)
前号に掲げる場合以外の場合
監査委員会が選定する監査委員
前項の規定にかかわらず、執行役 又は取締役が指名委員会等設置会社に対して訴えを提起する場合には、監査委員(当該訴えを提起する者であるものを除く。)に対してされた訴状の送達は、当該指名委員会等設置会社に対して効力を有する。
第四百二十条第三項において準用する第三百四十九条第四項の規定 並びに第三百五十三条 及び第三百六十四条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる株式会社が指名委員会等設置会社である場合において、当該各号に定める訴えを提起するときは、当該訴えについては、監査委員会が選定する監査委員が当該指名委員会等設置会社を代表する。
株式交換等完全親会社(第八百四十九条第二項第一号に規定する株式交換等完全親会社をいう。次項第一号 及び第五項第三号において同じ。)その株式交換等完全子会社(第八百四十七条の二第一項に規定する株式交換等完全子会社をいう。第五項第三号において同じ。)の取締役、執行役 又は清算人(清算人であった者を含む。以下 この条において同じ。)の責任(第八百四十七条の二第一項各号に掲げる行為の効力が生じた時までにその原因となった事実が生じたものに限る。)を追及する訴え
最終完全親会社等(第八百四十七条の三第一項に規定する最終完全親会社等をいう。次項第二号 及び第五項第四号において同じ。)その完全子会社等(同条第二項第二号に規定する完全子会社等をいい、同条第三項の規定により当該完全子会社等とみなされるものを含む。第五項第四号において同じ。)である株式会社の取締役、執行役 又は清算人に対する特定責任追及の訴え(同条第一項に規定する特定責任追及の訴えをいう。)
第四百二十条第三項において準用する第三百四十九条第四項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる株式会社が指名委員会等設置会社である場合において、当該各号に定める請求をするときは、監査委員会が選定する監査委員が当該指名委員会等設置会社を代表する。
株式交換等完全親会社
第八百四十七条第一項の規定による請求(前項第一号に規定する訴えの提起の請求に限る。)
最終完全親会社等
第八百四十七条第一項の規定による請求(前項第二号に規定する特定責任追及の訴えの提起の請求に限る。)
第四百二十条第三項において準用する第三百四十九条第四項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、監査委員が指名委員会等設置会社を代表する。
指名委員会等設置会社が第八百四十七条第一項、第八百四十七条の二第一項 若しくは第三項(同条第四項 及び第五項において準用する場合を含む。)又は第八百四十七条の三第一項の規定による請求(執行役 又は取締役の責任を追及する訴えの提起の請求に限る。)を受ける場合(当該監査委員が当該訴えに係る訴訟の相手方となる場合を除く。)
指名委員会等設置会社が第八百四十九条第四項の訴訟告知(執行役 又は取締役の責任を追及する訴えに係るものに限る。) 並びに第八百五十条第二項の規定による通知及び催告(執行役 又は取締役の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解に関するものに限る。)を受ける場合(当該監査委員がこれらの訴えに係る訴訟の当事者である場合を除く。)
株式交換等完全親会社である指名委員会等設置会社が第八百四十九条第六項の規定による通知(その株式交換等完全子会社の取締役、執行役 又は清算人の責任を追及する訴えに係るものに限る。)を受ける場合
最終完全親会社等である指名委員会等設置会社が第八百四十九条第七項の規定による通知(その完全子会社等である株式会社の取締役、執行役 又は清算人の責任を追及する訴えに係るものに限る。)を受ける場合
報酬委員会は、執行役等の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針を定めなければならない。
報酬委員会は、第四百四条第三項の規定による決定をするには、前項の方針に従わなければならない。
報酬委員会は、次の各号に掲げるものを執行役等の個人別の報酬等とする場合には、その内容として、当該各号に定める事項について決定しなければならない。
ただし、会計参与の個人別の報酬等は、第一号に掲げるものでなければならない。
額が確定しているもの
個人別の額
額が確定していないもの
個人別の具体的な算定方法
当該株式会社の募集株式当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類 及び種類ごとの数)
その他法務省令で定める事項
当該株式会社の募集新株予約権当該募集新株予約権の数
その他法務省令で定める事項
次のイ 又はロに掲げるものと引換えにする払込みに充てるための金銭
当該イ 又はロに定める事項
当該株式会社の募集株式
執行役等が引き受ける当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)その他法務省令で定める事項
当該株式会社の募集新株予約権
執行役等が引き受ける当該募集新株予約権の数 その他法務省令で定める事項
金銭でないもの(当該株式会社の募集株式 及び募集新株予約権を除く。)
個人別の具体的な内容
⤏ 第三款 指名委員会等の運営
指名委員会等は、当該指名委員会等の各委員が招集する。
指名委員会等を招集するには、その委員は、指名委員会等の日の一週間(これを下回る期間を取締役会で定めた場合にあっては、その期間)前までに、当該指名委員会等の各委員に対してその通知を発しなければならない。
前項の規定にかかわらず、指名委員会等は、当該指名委員会等の委員の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
執行役等は、指名委員会等の要求があったときは、当該指名委員会等に出席し、当該指名委員会等が求めた事項について説明をしなければならない。
指名委員会等の決議は、議決に加わることができるその委員の過半数(これを上回る割合を取締役会で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を取締役会で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
前項の決議について特別の利害関係を有する委員は、議決に加わることができない。
指名委員会等の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した委員は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
指名委員会等の決議に参加した委員であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。
指名委員会等設置会社は、指名委員会等の日から十年間、前条第三項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
指名委員会等設置会社の取締役は、次に掲げるものの閲覧 及び謄写をすることができる。
前項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面
前項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したもの
指名委員会等設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げるものの閲覧 又は謄写の請求をすることができる。
前項の規定は、指名委員会等設置会社の債権者が委員の責任を追及するため必要があるとき及び親会社社員がその権利を行使するため必要があるときについて準用する。
裁判所は、第三項(前項において準用する場合を含む。以下 この項において同じ。)の請求に係る閲覧 又は謄写をすることにより、当該指名委員会等設置会社 又はその親会社 若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、第三項の許可をすることができない。
執行役、取締役、会計参与 又は会計監査人が委員の全員に対して指名委員会等に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を指名委員会等へ報告することを要しない。
⤏ 第四款 指名委員会等設置会社の取締役の権限等
指名委員会等設置会社の取締役は、この法律 又はこの法律に基づく命令に別段の定めがある場合を除き、指名委員会等設置会社の業務を執行することができない。
指名委員会等設置会社の取締役会は、第三百六十二条の規定にかかわらず、次に掲げる職務を行う。
次に掲げる事項その他指名委員会等設置会社の業務執行の決定
監査委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令で定める事項
執行役が二人以上ある場合における執行役の職務の分掌 及び指揮命令の関係 その他の執行役相互の関係に関する事項
次条第二項の規定による取締役会の招集の請求を受ける取締役
執行役の職務の執行が法令 及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務 並びに当該株式会社及び その子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
株式交換契約(当該指名委員会等設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
株式交付計画(当該指名委員会等設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
指名委員会等設置会社の取締役会は、前項第一号イからホまでに掲げる事項を決定しなければならない。
指名委員会等設置会社の取締役会は、第一項各号に掲げる職務の執行を取締役に委任することができない。
指名委員会等設置会社の取締役会は、その決議によって、指名委員会等設置会社の業務執行の決定を執行役に委任することができる。
ただし、次に掲げる事項については、この限りでない。
第百三十六条 又は第百三十七条第一項の決定及び第百四十条第四項の規定による指定
第百六十五条第三項において読み替えて適用する第百五十六条第一項各号に掲げる事項の決定
第二百六十二条 又は第二百六十三条第一項の決定
第二百九十八条第一項各号に掲げる事項の決定
株主総会に提出する議案(取締役、会計参与 及び会計監査人の選任 及び解任 並びに会計監査人を再任しないことに関するものを除く。)の内容の決定
第三百四十八条の二第二項の規定による委託
第三百六十五条第一項において読み替えて適用する第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の承認
第三百六十六条第一項ただし書の規定による取締役会を招集する取締役の決定
第四百条第二項の規定による委員の選定及び第四百一条第一項の規定による委員の解職
第四百二条第二項の規定による執行役の選任及び第四百三条第一項の規定による執行役の解任
第四百八条第一項第一号の規定による指名委員会等設置会社を代表する者の決定
第四百二十条第一項前段の規定による代表執行役の選定及び同条第二項の規定による代表執行役の解職
第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
役員等賠償責任保険契約の内容の決定
第四百三十六条第三項、第四百四十一条第三項 及び第四百四十四条第五項の承認
第四百五十四条第五項において読み替えて適用する同条第一項の規定により定めなければならないとされる事項の決定
第四百六十七条第一項各号に掲げる行為に係る契約(当該指名委員会等設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
合併契約(当該指名委員会等設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
吸収分割契約(当該指名委員会等設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
新設分割計画(当該指名委員会等設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
指名委員会等設置会社においては、招集権者の定めがある場合であっても、指名委員会等がその委員の中から選定する者は、取締役会を招集することができる。
執行役は、前条第一項第一号ニの取締役に対し、取締役会の目的である事項を示して、取締役会の招集を請求することができる。
この場合において、当該請求があった日から五日以内に、当該請求があった日から二週間以内の日を取締役会の日とする取締役会の招集の通知が発せられないときは、当該執行役は、取締役会を招集することができる。
指名委員会等がその委員の中から選定する者は、遅滞なく、当該指名委員会等の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。
執行役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。
この場合において、執行役は、代理人(他の執行役に限る。)により当該報告をすることができる。
執行役は、取締役会の要求があったときは、取締役会に出席し、取締役会が求めた事項について説明をしなければならない。
⤏ 第五款 執行役の権限等
第四百十六条第四項の規定による取締役会の決議によって委任を受けた指名委員会等設置会社の業務の執行の決定
執行役は、指名委員会等設置会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したときは、直ちに、当該事実を監査委員に報告しなければならない。
第三百五十五条、第三百五十六条 及び第三百六十五条第二項の規定は、執行役について準用する。
この場合において、
第三百五十六条第一項中
「株主総会」とあるのは
「取締役会」と、
第三百六十五条第二項中
「取締役会設置会社においては、第三百五十六条第一項各号」とあるのは
「第三百五十六条第一項各号」と
読み替えるものとする。
第三百五十七条の規定は、指名委員会等設置会社については、適用しない。
取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならない。
この場合において、執行役が一人のときは、その者が代表執行役に選定されたものとする。
代表執行役は、いつでも、取締役会の決議によって解職することができる。
第三百四十九条第四項 及び第五項の規定は代表執行役について、第三百五十二条の規定は民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された執行役 又は代表執行役の職務を代行する者について、
第四百一条第二項から第四項までの規定は代表執行役が欠けた場合 又は定款で定めた代表執行役の員数が欠けた場合について、それぞれ準用する。
指名委員会等設置会社は、代表執行役以外の執行役に社長、副社長 その他指名委員会等設置会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該執行役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。
六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主は、執行役が指名委員会等設置会社の目的の範囲外の行為 その他法令 若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該指名委員会等設置会社に回復することができない損害が生ずるおそれがあるときは、当該執行役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
公開会社でない指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、
同項中
「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、
「株主」と
する。
第十一節 役員等の損害賠償責任
取締役、会計参与、監査役、執行役 又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
取締役 又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下 この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役 又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
第三百五十六条第一項第二号 又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役 又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。
第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役 又は執行役
株式会社が当該取引をすることを決定した取締役 又は執行役
当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(指名委員会等設置会社においては、当該取引が指名委員会等設置会社と取締役との間の取引 又は指名委員会等設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)
前項の規定は、第三百五十六条第一項第二号 又は第三号に掲げる場合において、同項の取締役(監査等委員であるものを除く。)が当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、適用しない。
前条第一項の責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
前条の規定にかかわらず、第四百二十三条第一項の責任は、当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、賠償の責任を負う額から次に掲げる額の合計額(第四百二十七条第一項において「最低責任限度額」という。)を控除して得た額を限度として、株主総会(株式会社に最終完全親会社等(第八百四十七条の三第一項に規定する最終完全親会社等をいう。以下 この節において同じ。 )がある場合において、当該責任が特定責任(第八百四十七条の三第四項に規定する特定責任をいう。以下 この節において同じ。 )であるときにあっては、当該株式会社 及び当該最終完全親会社等の株主総会。以下 この条において同じ。)の決議によって免除することができる。
当該役員等がその在職中に株式会社から職務執行の対価として受け、又は受けるべき財産上の利益の一年間当たりの額に相当する額として法務省令で定める方法により算定される額に、次のイからハまでに掲げる役員等の区分に応じ、当該イからハまでに定める数を乗じて得た額
代表取締役 又は代表執行役
六
代表取締役以外の取締役(業務執行取締役等であるものに限る。) 又は代表執行役以外の執行役
四
取締役(イ 及びロに掲げるものを除く。)、会計参与、監査役 又は会計監査人
二
当該役員等が当該株式会社の新株予約権を引き受けた場合(第二百三十八条第三項各号に掲げる場合に限る。)における当該新株予約権に関する財産上の利益に相当する額として法務省令で定める方法により算定される額
前項の場合には、取締役(株式会社に最終完全親会社等がある場合において、同項の規定により免除しようとする責任が特定責任であるときにあっては、当該株式会社 及び当該最終完全親会社等の取締役)は、同項の株主総会において次に掲げる事項を開示しなければならない。
責任の原因となった事実 及び賠償の責任を負う額
前項の規定により免除することができる額の限度及び その算定の根拠
責任を免除すべき理由 及び免除額
監査役設置会社、監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社においては、取締役(これらの会社に最終完全親会社等がある場合において、第一項の規定により免除しようとする責任が特定責任であるときにあっては、当該会社 及び当該最終完全親会社等の取締役)は、第四百二十三条第一項の責任の免除(取締役(監査等委員 又は監査委員であるものを除く。)及び執行役の責任の免除に限る。)に関する議案を株主総会に提出するには、次の各号に掲げる株式会社の区分に応じ、当該各号に定める者の同意を得なければならない。
監査役設置会社
監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、各監査役)
監査等委員会設置会社
各監査等委員
指名委員会等設置会社
各監査委員
第一項の決議があった場合において、株式会社が当該決議後に同項の役員等に対し退職慰労金 その他の法務省令で定める財産上の利益を与えるときは、株主総会の承認を受けなければならない。
当該役員等が同項第二号の新株予約権を当該決議後に行使し、又は譲渡するときも同様とする。
第一項の決議があった場合において、当該役員等が前項の新株予約権を表示する新株予約権証券を所持するときは、当該役員等は、遅滞なく、当該新株予約権証券を株式会社に対し預託しなければならない。
この場合において、当該役員等は、同項の譲渡について同項の承認を受けた後でなければ、当該新株予約権証券の返還を求めることができない。
第四百二十四条の規定にかかわらず、監査役設置会社(取締役が二人以上ある場合に限る。)、監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社は、第四百二十三条第一項の責任について、当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、責任の原因となった事実の内容、当該役員等の職務の執行の状況 その他の事情を勘案して特に必要と認めるときは、前条第一項の規定により免除することができる額を限度として取締役(当該責任を負う取締役を除く。)の過半数の同意(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって免除することができる旨を定款で定めることができる。
前条第三項の規定は、定款を変更して前項の規定による定款の定め(取締役(監査等委員 又は監査委員であるものを除く。)及び執行役の責任を免除することができる旨の定めに限る。)を設ける議案を株主総会に提出する場合、同項の規定による定款の定めに基づく責任の免除(取締役(監査等委員 又は監査委員であるものを除く。)及び執行役の責任の免除に限る。)についての取締役の同意を得る場合 及び当該責任の免除に関する議案を取締役会に提出する場合について準用する。
この場合において、
同条第三項中
「取締役(これらの会社に最終完全親会社等がある場合において、第一項の規定により免除しようとする責任が特定責任であるときにあっては、当該会社 及び当該最終完全親会社等の取締役)」とあるのは、
「取締役」と
読み替えるものとする。
第一項の規定による定款の定めに基づいて役員等の責任を免除する旨の同意(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)を行ったときは、取締役は、遅滞なく、前条第二項各号に掲げる事項 及び責任を免除することに異議がある場合には一定の期間内に当該異議を述べるべき旨を公告し、又は株主に通知しなければならない。
ただし、当該期間は、一箇月を下ることができない。
公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、
同項中
「公告し、又は株主に通知し」とあるのは、
「株主に通知し」と
する。
株式会社に最終完全親会社等がある場合において、第三項の規定による公告 又は通知(特定責任の免除に係るものに限る。)がされたときは、当該最終完全親会社等の取締役は、遅滞なく、前条第二項各号に掲げる事項 及び責任を免除することに異議がある場合には一定の期間内に当該異議を述べるべき旨を公告し、又は株主に通知しなければならない。
ただし、当該期間は、一箇月を下ることができない。
公開会社でない最終完全親会社等における前項の規定の適用については、
同項中
「公告し、又は株主に通知し」とあるのは、
「株主に通知し」と
する。
総株主(第三項の責任を負う役員等であるものを除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主が同項の期間内に同項の異議を述べたとき(株式会社に最終完全親会社等がある場合において、第一項の規定による定款の定めに基づき免除しようとする責任が特定責任であるときにあっては、当該株式会社の総株主(第三項の責任を負う役員等であるものを除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主 又は当該最終完全親会社等の総株主(第三項の責任を負う役員等であるものを除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主が第三項 又は第五項の期間内に当該各項の異議を述べたとき)は、株式会社は、第一項の規定による定款の定めに基づく免除をしてはならない。
前条第四項 及び第五項の規定は、第一項の規定による定款の定めに基づき責任を免除した場合について準用する。
第四百二十四条の規定にかかわらず、株式会社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)、会計参与、監査役 又は会計監査人(以下 この条 及び第九百十一条第三項第二十五号において「非業務執行取締役等」という。)の第四百二十三条第一項の責任について、当該非業務執行取締役等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を非業務執行取締役等と締結することができる旨を定款で定めることができる。
前項の契約を締結した非業務執行取締役等が当該株式会社の業務執行取締役等に就任したときは、当該契約は、将来に向かってその効力を失う。
第四百二十五条第三項の規定は、定款を変更して第一項の規定による
定款の定め(同項に規定する取締役(監査等委員 又は監査委員であるものを除く。)と契約を締結することができる旨の定めに限る。)を
設ける議案を株主総会に提出する場合について準用する。
この場合において、
同条第三項中
「取締役(これらの会社に最終完全親会社等がある場合において、
第一項の規定により免除しようとする責任が特定責任であるときにあっては、当該会社 及び当該最終完全親会社等の取締役)」とあるのは、
「取締役」と
読み替えるものとする。
第一項の契約を締結した株式会社が、当該契約の相手方である非業務執行取締役等が任務を怠ったことにより損害を受けたことを知ったときは、その後 最初に招集される株主総会(当該株式会社に最終完全親会社等がある場合において、当該損害が特定責任に係るものであるときにあっては、当該株式会社 及び当該最終完全親会社等の株主総会)において次に掲げる事項を開示しなければならない。
第四百二十五条第二項第一号 及び第二号に掲げる事項
当該契約の内容 及び当該契約を締結した理由
第四百二十三条第一項の損害のうち、当該非業務執行取締役等が賠償する責任を負わないとされた額
第四百二十五条第四項 及び第五項の規定は、非業務執行取締役等が第一項の契約によって同項に規定する限度を超える部分について損害を賠償する責任を負わないとされた場合について準用する。
第三百五十六条第一項第二号(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引(自己のためにした取引に限る。)をした取締役又は執行役の第四百二十三条第一項の責任は、任務を怠ったことが当該取締役 又は執行役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができない。
前三条の規定は、前項の責任については、適用しない。
役員等がその職務を行うについて悪意 又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。
ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
株式、新株予約権、社債 若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知 又は当該募集のための当該株式会社の事業 その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載 若しくは記録
計算書類 及び事業報告 並びにこれらの附属明細書 並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載 又は記録
虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。)
会計参与 計算書類 及び その附属明細書、臨時計算書類 並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載 又は記録
監査役、監査等委員 及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載 又は記録
会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載 又は記録
役員等が株式会社 又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の役員等も 当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
第十二節 補償契約及び役員等のために締結される保険契約
株式会社が、役員等に対して次に掲げる費用等の全部 又は一部を当該株式会社が補償することを約する契約(以下この条において「補償契約」という。)の内容の決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
当該役員等が、その職務の執行に関し、法令の規定に違反したことが疑われ、又は責任の追及に係る請求を受けたことに対処するために支出する費用
当該役員等が、その職務の執行に関し、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合における次に掲げる損失
当該損害を当該役員等が賠償することにより生ずる損失
当該損害の賠償に関する紛争について当事者間に和解が成立したときは、当該役員等が当該和解に基づく 金銭を支払うことにより生ずる損失
株式会社は、補償契約を締結している場合であっても、当該補償契約に基づき、次に掲げる費用等を補償することができない。
前項第一号に掲げる費用のうち通常要する費用の額を超える部分
当該株式会社が前項第二号の損害を賠償するとすれば当該役員等が当該株式会社に対して第四百二十三条第一項の責任を負う場合には、同号に掲げる損失のうち当該責任に係る部分
役員等がその職務を行うにつき悪意 又は重大な過失があったことにより前項第二号の責任を負う場合には、同号に掲げる損失の全部
補償契約に基づき第一項第一号に掲げる費用を補償した株式会社が、当該役員等が自己 若しくは第三者の不正な利益を図り、又は当該株式会社に損害を加える目的で同号の職務を執行したことを知ったときは、当該役員等に対し、補償した金額に相当する金銭を返還することを請求することができる。
取締役会設置会社においては、補償契約に基づく補償をした取締役 及び当該補償を受けた取締役は、遅滞なく、当該補償についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。
前項の規定は、執行役について準用する。
この場合において、
同項中
「取締役会設置会社においては、補償契約」とあるのは、
「補償契約」と
読み替えるものとする。
第三百五十六条第一項 及び第三百六十五条第二項(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四百二十三条第三項 並びに第四百二十八条第一項の規定は、株式会社と取締役 又は執行役との間の補償契約については、適用しない。
民法第百八条の規定は、第一項の決議によってその内容が定められた前項の補償契約の締結については、適用しない。
株式会社が、保険者との間で締結する保険契約のうち役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと 又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を保険者が塡補することを約するものであって、役員等を被保険者とするもの(当該保険契約を締結することにより被保険者である役員等の職務の執行の適正性が著しく損なわれるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。第三項ただし書において「役員等賠償責任保険契約」という。)の内容の決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
第三百五十六条第一項 及び第三百六十五条第二項(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。) 並びに第四百二十三条第三項の規定は、株式会社が保険者との間で締結する保険契約のうち役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を保険者が塡補することを約するものであって、取締役 又は執行役を被保険者とするものの締結については、適用しない。
民法第百八条の規定は、前項の保険契約の締結については、適用しない。
ただし、当該契約が役員等賠償責任保険契約である場合には、第一項の決議によってその内容が定められたときに限る。
第五章 計算等
第一節 会計の原則
株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。
第二節 会計帳簿等
⤏ 第一款 会計帳簿
株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿 及び その事業に関する重要な資料を保存しなければならない。
総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主 又は発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
会計帳簿 又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧 又は謄写の請求
会計帳簿 又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
前項の請求があったときは、株式会社は、次のいずれかに該当すると 認められる場合を除き、これを拒むことができない。
当該請求を行う株主(以下 この項において「請求者」という。)がその権利の確保 又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
請求者が当該株式会社の業務と 実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
請求者が会計帳簿 又はこれに関する資料の閲覧 又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。
請求者が、過去二年以内において、会計帳簿 又はこれに関する資料の閲覧 又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、会計帳簿 又はこれに関する資料について第一項各号に掲げる請求をすることができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
前項の親会社社員について第二項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。
裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、会計帳簿の全部 又は一部の提出を命ずることができる。
⤏ 第二款 計算書類等
株式会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書 その他株式会社の財産 及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下 この章において同じ。) 及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
計算書類 及び事業報告 並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもって作成することができる。
株式会社は、計算書類を作成した時から十年間、当該計算書類 及び その附属明細書を保存しなければならない。
監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含み、会計監査人設置会社を除く。)においては、前条第二項の計算書類 及び事業報告 並びにこれらの附属明細書は、法務省令で定めるところにより、監査役の監査を受けなければならない。
会計監査人設置会社においては、次の各号に掲げるものは、法務省令で定めるところにより、当該各号に定める者の監査を受けなければならない。
前条第二項の計算書類及び その附属明細書 監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)及び会計監査人
前条第二項の事業報告及び その附属明細書 監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)
取締役会設置会社においては、前条第二項の計算書類 及び事業報告 並びにこれらの附属明細書(第一項 又は前項の規定の適用がある場合にあっては、第一項 又は前項の監査を受けたもの)は、取締役会の承認を受けなければならない。
取締役会設置会社においては、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前条第三項の承認を受けた計算書類 及び事業報告(同条第一項 又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告 又は会計監査報告を含む。)を提供しなければならない。
次の各号に掲げる株式会社においては、取締役は、当該各号に定める計算書類 及び事業報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
第四百三十六条第一項に規定する監査役設置会社(取締役会設置会社を除く。)
第四百三十六条第一項の監査を受けた計算書類 及び事業報告
会計監査人設置会社(取締役会設置会社を除く。)
第四百三十六条第二項の監査を受けた計算書類 及び事業報告
取締役会設置会社
第四百三十六条第三項の承認を受けた計算書類 及び事業報告
前三号に掲げるもの以外の株式会社
第四百三十五条第二項の計算書類 及び事業報告
前項の規定により提出され、又は提供された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならない。
取締役は、第一項の規定により提出され、又は提供された事業報告の内容を定時株主総会に報告しなければならない。
会計監査人設置会社については、第四百三十六条第三項の承認を受けた計算書類が法令 及び定款に従い株式会社の財産 及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合には、前条第二項の規定は、適用しない。
この場合においては、取締役は、当該計算書類の内容を定時株主総会に報告しなければならない。
株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結 後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表 及び損益計算書)を公告しなければならない。
前項の規定にかかわらず、その公告方法が第九百三十九条第一項第一号 又は第二号に掲げる方法である株式会社は、前項に規定する貸借対照表の要旨を公告することで足りる。
前項の株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、第一項に規定する貸借対照表の内容である情報を、定時株主総会の終結の日後五年を経過する日までの間、継続して電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとることができる。この場合においては、前二項の規定は、適用しない。
金融商品取引法第二十四条第一項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社については、前三項の規定は、適用しない。
株式会社は、最終事業年度の直後の事業年度に属する一定の日(以下 この項において「臨時決算日」という。)における当該株式会社の財産の状況を把握するため、法務省令で定めるところにより、次に掲げるもの(以下「臨時計算書類」という。)を作成することができる。
臨時決算日の属する事業年度の初日から臨時決算日までの期間に係る損益計算書
第四百三十六条第一項に規定する監査役設置会社 又は会計監査人設置会社においては、臨時計算書類は、法務省令で定めるところにより、監査役 又は会計監査人(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会 及び会計監査人、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会 及び会計監査人)の監査を受けなければならない。
取締役会設置会社においては、臨時計算書類(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の監査を受けたもの)は、取締役会の承認を受けなければならない。
次の各号に掲げる株式会社においては、当該各号に定める臨時計算書類は、株主総会の承認を受けなければならない。
ただし、臨時計算書類が法令 及び定款に従い株式会社の財産 及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合は、この限りでない。
第四百三十六条第一項に規定する監査役設置会社 又は会計監査人設置会社(いずれも取締役会設置会社を除く。)
第二項の監査を受けた臨時計算書類
取締役会設置会社
前項の承認を受けた臨時計算書類
前二号に掲げるもの以外の株式会社
第一項の臨時計算書類
株式会社は、次の各号に掲げるもの(以下 この条において「計算書類等」という。)を、当該各号に定める期間、その本店に備え置かなければならない。
各事業年度に係る計算書類 及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第四百三十六条第一項 又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告 又は会計監査報告を含む。)
定時株主総会の日の一週間(取締役会設置会社にあっては、二週間)前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)から五年間
臨時計算書類(前条第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告 又は会計監査報告を含む。)
臨時計算書類を作成した日から五年間
株式会社は、次の各号に掲げる計算書類等の写しを、当該各号に定める期間、その支店に備え置かなければならない。
ただし、計算書類等が電磁的記録で作成されている場合であって、支店における次項第三号 及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
前項第一号に掲げる計算書類等
定時株主総会の日の一週間(取締役会設置会社にあっては、二週間)前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)から三年間
前項第二号に掲げる計算書類等
同号の臨時計算書類を作成した日から三年間
株主 及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
計算書類等が書面をもって作成されているときは、当該書面 又は当該書面の写しの閲覧の請求
前号の書面の謄本 又は抄本の交付の請求
計算書類等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の計算書類等について前項各号に掲げる請求をすることができる。
ただし、同項第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、計算書類 及び その附属明細書の全部 又は一部の提出を命ずることができる。
⤏ 第三款 連結計算書類
会計監査人設置会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る連結計算書類(当該会計監査人設置会社 及び その子会社から成る企業集団の財産 及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)を作成することができる。
連結計算書類は、電磁的記録をもって作成することができる。
事業年度の末日において大会社であって金融商品取引法第二十四条第一項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、当該事業年度に係る連結計算書類を作成しなければならない。
連結計算書類は、法務省令で定めるところにより、監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)及び会計監査人の監査を受けなければならない。
会計監査人設置会社が取締役会設置会社である場合には、前項の監査を受けた連結計算書類は、取締役会の承認を受けなければならない。
会計監査人設置会社が取締役会設置会社である場合には、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前項の承認を受けた連結計算書類を提供しなければならない。
次の各号に掲げる会計監査人設置会社においては、取締役は、当該各号に定める連結計算書類を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
この場合においては、当該各号に定める連結計算書類の内容 及び第四項の監査の結果を定時株主総会に報告しなければならない。
取締役会設置会社である会計監査人設置会社
第五項の承認を受けた連結計算書類
前号に掲げるもの以外の会計監査人設置会社
第四項の監査を受けた連結計算書類
第三節 資本金の額等
⤏ 第一款 総則
株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立 又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み 又は給付をした財産の額とする。
前項の払込み 又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に十分の一を乗じて得た額を資本準備金 又は利益準備金(以下「準備金」と総称する。)として計上しなければならない。
合併、吸収分割、新設分割、株式交換、株式移転 又は株式交付に際して資本金 又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。
定款 又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号、第四号 若しくは第五号ロに掲げる事項についての定め又は報酬委員会による第四百九条第三項第三号、第四号 若しくは第五号ロに定める事項についての決定に基づく株式の発行により資本金 又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。
株式会社の剰余金の額は、第一号から第四号までに掲げる額の合計額から第五号から第七号までに掲げる額の合計額を減じて得た額とする。
最終事業年度の末日におけるイ 及びロに掲げる額の合計額からハからホまでに掲げる額の合計額を減じて得た額
ハ 及びニに掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
最終事業年度の末日後に自己株式の処分をした場合における当該自己株式の対価の額から当該自己株式の帳簿価額を控除して得た額
最終事業年度の末日後に資本金の額の減少をした場合における当該減少額(次条第一項第二号の額を除く。)
最終事業年度の末日後に準備金の額の減少をした場合における当該減少額(第四百四十八条第一項第二号の額を除く。)
最終事業年度の末日後に第百七十八条第一項の規定により自己株式の消却をした場合における当該自己株式の帳簿価額
最終事業年度の末日後に剰余金の配当をした場合における次に掲げる額の合計額
第四百五十四条第一項第一号の配当財産の帳簿価額の総額(同条第四項第一号に規定する金銭分配請求権を行使した株主に割り当てた当該配当財産の帳簿価額を除く。)
第四百五十四条第四項第一号に規定する金銭分配請求権を行使した株主に交付した金銭の額の合計額
第四百五十六条に規定する基準未満株式の株主に支払った金銭の額の合計額
前二号に掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
⤏ 第二款 資本金の額の減少等
⤏ 第一目 資本金の額の減少等
株式会社は、資本金の額を減少することができる。
この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
減少する資本金の額の全部 又は一部を準備金とするときは、その旨 及び準備金とする額
前項第一号の額は、同項第三号の日における資本金の額を超えてはならない。
株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、
同項中
「株主総会の決議」とあるのは、
「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」と
する。
株式会社は、準備金の額を減少することができる。
この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
減少する準備金の額の全部 又は一部を資本金とするときは、その旨 及び資本金とする額
準備金の額の減少がその効力を生ずる日
前項第一号の額は、同項第三号の日における準備金の額を超えてはならない。
株式会社が株式の発行と同時に準備金の額を減少する場合において、当該準備金の額の減少の効力が生ずる日後の準備金の額が当該日前の準備金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、
同項中
「株主総会の決議」とあるのは、
「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」と
する。
株式会社が資本金 又は準備金(以下 この条において「資本金等」という。)の額を減少する場合(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)には、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、資本金等の額の減少について異議を述べることができる。
ただし、準備金の額のみを減少する場合であって、次のいずれにも該当するときは、この限りでない。
定時株主総会において前条第一項各号に掲げる事項を定めること。
前条第一項第一号の額が前号の定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。
前項の規定により株式会社の債権者が異議を述べることができる場合には、当該株式会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
ただし、第三号の期間は、一箇月を下ることができない。
当該株式会社の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
前項の規定にかかわらず、株式会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号 又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該資本金等の額の減少について承認をしたものとみなす。
債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べたときは、株式会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社 及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。以下同じ。)に相当の財産を信託しなければならない。
ただし、当該資本金等の額の減少をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
次の各号に掲げるものは、当該各号に定める日にその効力を生ずる。
ただし、第二項から前項までの規定による手続が終了していないときは、この限りでない。
資本金の額の減少
第四百四十七条第一項第三号の日
準備金の額の減少
前条第一項第三号の日
株式会社は、前項各号に定める日前は、いつでも当該日を変更することができる。
⤏ 第二目 資本金の額の増加等
株式会社は、剰余金の額を減少して、資本金の額を増加することができる。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
前項各号に掲げる事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
第一項第一号の額は、同項第二号の日における剰余金の額を超えてはならない。
株式会社は、剰余金の額を減少して、準備金の額を増加することができる。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
前項各号に掲げる事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
第一項第一号の額は、同項第二号の日における剰余金の額を超えてはならない。
⤏ 第三目 剰余金についてのその他の処分
株式会社は、株主総会の決議によって、損失の処理、任意積立金の積立てその他の剰余金の処分(前目に定めるもの及び剰余金の配当 その他株式会社の財産を処分するものを除く。)をすることができる。
この場合においては、当該剰余金の処分の額 その他の法務省令で定める事項を定めなければならない。
第四節 剰余金の配当
株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる。
株式会社は、前条の規定による剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。) 及び帳簿価額の総額
前項に規定する場合において、剰余金の配当について内容の異なる二以上の種類の株式を発行しているときは、株式会社は、当該種類の株式の内容に応じ、同項第二号に掲げる事項として、次に掲げる事項を定めることができる。
ある種類の株式の株主に対して配当財産の割当てをしないこととするときは、その旨 及び当該株式の種類
前号に掲げる事項のほか、配当財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨 及び当該異なる取扱いの内容
第一項第二号に掲げる事項についての定めは、株主(当該株式会社 及び前項第一号の種類の株式の株主を除く。)の有する株式の数(前項第二号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて配当財産を割り当てることを内容とするものでなければならない。
配当財産が金銭以外の財産であるときは、株式会社は、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めることができる。ただし、第一号の期間の末日は、第一項第三号の日以前の日でなければならない。
株主に対して金銭分配請求権(当該配当財産に代えて金銭を交付することを株式会社に対して請求する権利をいう。以下この章において同じ。)を与えるときは、その旨 及び金銭分配請求権を行使することができる期間
一定の数未満の数の株式を有する株主に対して配当財産の割当てをしないこととするときは、その旨 及び その数
取締役会設置会社は、一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当(配当財産が金銭であるものに限る。以下 この項において「中間配当」という。)をすることができる旨を定款で定めることができる。
この場合における中間配当についての第一項の規定の適用については、
同項中
「株主総会」とあるのは、
「取締役会」と
する。
前条第四項第一号に規定する場合には、株式会社は、同号の期間の末日の二十日前までに、株主に対し、同号に掲げる事項を通知しなければならない。
株式会社は、金銭分配請求権を行使した株主に対し、当該株主が割当てを受けた配当財産に代えて、当該配当財産の価額に相当する金銭を支払わなければならない。この場合においては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額をもって当該配当財産の価額とする。
当該配当財産が市場価格のある財産である場合
当該配当財産の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額
前号に掲げる場合以外の場合
株式会社の申立てにより裁判所が定める額
第四百五十四条第四項第二号の数(以下 この条において「基準株式数」という。)を定めた場合には、株式会社は、基準株式数に満たない数の株式(以下 この条において「基準未満株式」という。)を有する株主に対し、前条第二項後段の規定の例により基準株式数の株式を有する株主が割当てを受けた配当財産の価額として定めた額に当該基準未満株式の数の基準株式数に対する割合を乗じて得た額に相当する金銭を支払わなければならない。
配当財産(第四百五十五条第二項の規定により支払う金銭 及び前条の規定により支払う金銭を含む。以下 この条において同じ。)は、株主名簿に記載し、又は記録した株主(登録株式質権者を含む。以下 この条において同じ。)の住所 又は株主が株式会社に通知した場所(第三項において「住所等」という。)において、これを交付しなければならない。
前項の規定による配当財産の交付に要する費用は、株式会社の負担とする。ただし、株主の責めに帰すべき事由によってその費用が増加したときは、その増加額は、株主の負担とする。
前二項の規定は、日本に住所等を有しない株主に対する配当財産の交付については、適用しない。
第四百五十三条から前条までの規定は、株式会社の純資産額が三百万円を下回る場合には、適用しない。
第五節 剰余金の配当等を決定する機関の特則
会計監査人設置会社(取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役以外の取締役)の任期の末日が選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の日後の日であるもの及び監査役設置会社であって監査役会設置会社でないものを除く。)は、次に掲げる事項を取締役会(第二号に掲げる事項については第四百三十六条第三項の取締役会に限る。)が定めることができる旨を定款で定めることができる。
第百六十条第一項の規定による決定をする場合以外の場合における第百五十六条第一項各号に掲げる事項
第四百四十九条第一項第二号に該当する場合における第四百四十八条第一項第一号 及び第三号に掲げる事項
第四百五十二条後段の事項
第四百五十四条第一項各号 及び同条第四項各号に掲げる事項。ただし、配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して金銭分配請求権を与えないこととする場合を除く。
前項の規定による定款の定めは、最終事業年度に係る計算書類が法令 及び定款に従い株式会社の財産 及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合に限り、その効力を有する。
第一項の規定による定款の定めがある場合における第四百四十九条第一項第一号の規定の適用については、
同号中
「定時株主総会」とあるのは、
「定時株主総会 又は第四百三十六条第三項の取締役会」と
する。
前条第一項の規定による定款の定めがある場合には、株式会社は、同項各号に掲げる事項を株主総会の決議によっては定めない旨を定款で定めることができる。
前項の規定による定款の定めは、最終事業年度に係る計算書類が法令 及び定款に従い株式会社の財産 及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合に限り、その効力を有する。
第六節 剰余金の配当等に関する責任
次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く。以下 この節において同じ。)の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
第百三十八条第一号ハ 又は第二号ハの請求に応じて行う当該株式会社の株式の買取り
第百五十六条第一項の規定による決定に基づく当該株式会社の株式の取得(第百六十三条に規定する場合 又は第百六十五条第一項に規定する場合における当該株式会社による株式の取得に限る。)
第百五十七条第一項の規定による決定に基づく当該株式会社の株式の取得
第百七十三条第一項の規定による当該株式会社の株式の取得
第百七十六条第一項の規定による請求に基づく当該株式会社の株式の買取り
第百九十七条第三項の規定による当該株式会社の株式の買取り
第二百三十四条第四項(第二百三十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による当該株式会社の株式の買取り
前項に規定する「分配可能額」とは、第一号 及び第二号に掲げる額の合計額から第三号から第六号までに掲げる額の合計額を減じて得た額をいう(以下 この節において同じ。)。
臨時計算書類につき第四百四十一条第四項の承認(同項ただし書に規定する場合にあっては、同条第三項の承認)を受けた場合における次に掲げる額
第四百四十一条第一項第二号の期間の利益の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
第四百四十一条第一項第二号の期間内に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額
最終事業年度の末日後に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額
第二号に規定する場合における第四百四十一条第一項第二号の期間の損失の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
前条第一項の規定に違反して株式会社が同項各号に掲げる行為をした場合には、当該行為により金銭等の交付を受けた者 並びに当該行為に関する職務を行った業務執行者(業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役。以下 この項において同じ。)その他当該業務執行取締役の行う業務の執行に職務上関与した者として法務省令で定めるものをいう。以下 この節において同じ。) 及び当該行為が次の各号に掲げるものである場合における当該各号に定める者は、当該株式会社に対し、連帯して、当該金銭等の交付を受けた者が交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負う。
前条第一項第二号に掲げる行為
次に掲げる者
第百五十六条第一項の規定による決定に係る株主総会の決議があった場合(当該決議によって定められた同項第二号の金銭等の総額が当該決議の日における分配可能額を超える場合に限る。)における当該株主総会に係る総会議案提案取締役(当該株主総会に議案を提案した取締役として法務省令で定めるものをいう。以下 この項において同じ。)
第百五十六条第一項の規定による決定に係る取締役会の決議があった場合(当該決議によって定められた同項第二号の金銭等の総額が当該決議の日における分配可能額を超える場合に限る。)における当該取締役会に係る取締役会議案提案取締役(当該取締役会に議案を提案した取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役 又は執行役)として法務省令で定めるものをいう。以下 この項において同じ。)
前条第一項第三号に掲げる行為
次に掲げる者
第百五十七条第一項の規定による決定に係る株主総会の決議があった場合(当該決議によって定められた同項第三号の総額が当該決議の日における分配可能額を超える場合に限る。)における当該株主総会に係る総会議案提案取締役
第百五十七条第一項の規定による決定に係る取締役会の決議があった場合(当該決議によって定められた同項第三号の総額が当該決議の日における分配可能額を超える場合に限る。)における当該取締役会に係る取締役会議案提案取締役
前条第一項第四号に掲げる行為
第百七十一条第一項の株主総会(当該株主総会の決議によって定められた同項第一号に規定する取得対価の総額が当該決議の日における分配可能額を超える場合における当該株主総会に限る。)に係る総会議案提案取締役
前条第一項第六号に掲げる行為
次に掲げる者
第百九十七条第三項後段の規定による決定に係る株主総会の決議があった場合(当該決議によって定められた同項第二号の総額が当該決議の日における分配可能額を超える場合に限る。)における当該株主総会に係る総会議案提案取締役
第百九十七条第三項後段の規定による決定に係る取締役会の決議があった場合(当該決議によって定められた同項第二号の総額が当該決議の日における分配可能額を超える場合に限る。)における当該取締役会に係る取締役会議案提案取締役
前条第一項第七号に掲げる行為
次に掲げる者
第二百三十四条第四項後段(第二百三十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による決定に係る株主総会の決議があった場合(当該決議によって定められた第二百三十四条第四項第二号(第二百三十五条第二項において準用する場合を含む。 )の総額が当該決議の日における分配可能額を超える場合に限る。)における当該株主総会に係る総会議案提案取締役
第二百三十四条第四項後段(第二百三十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による決定に係る取締役会の決議があった場合(当該決議によって定められた第二百三十四条第四項第二号(第二百三十五条第二項において準用する場合を含む。 )の総額が当該決議の日における分配可能額を超える場合に限る。)における当該取締役会に係る取締役会議案提案取締役
前条第一項第八号に掲げる行為
次に掲げる者
第四百五十四条第一項の規定による決定に係る株主総会の決議があった場合(当該決議によって定められた配当財産の帳簿価額が当該決議の日における分配可能額を超える場合に限る。)における当該株主総会に係る総会議案提案取締役
第四百五十四条第一項の規定による決定に係る取締役会の決議があった場合(当該決議によって定められた配当財産の帳簿価額が当該決議の日における分配可能額を超える場合に限る。)における当該取締役会に係る取締役会議案提案取締役
前項の規定にかかわらず、業務執行者 及び同項各号に定める者は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、同項の義務を負わない。
第一項の規定により業務執行者 及び同項各号に定める者の負う義務は、免除することができない。ただし、前条第一項各号に掲げる行為の時における分配可能額を限度として当該義務を免除することについて総株主の同意がある場合は、この限りでない。
前条第一項に規定する場合において、株式会社が第四百六十一条第一項各号に掲げる行為により株主に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額が当該行為がその効力を生じた日における分配可能額を超えることにつき善意の株主は、当該株主が交付を受けた金銭等について、前条第一項の金銭を支払った業務執行者及び同項各号に定める者からの求償の請求に応ずる義務を負わない。
前条第一項に規定する場合には、株式会社の債権者は、同項の規定により義務を負う株主に対し、その交付を受けた金銭等の帳簿価額(当該額が当該債権者の株式会社に対して有する債権額を超える場合にあっては、当該債権額)に相当する金銭を支払わせることができる。
株式会社が第百十六条第一項 又は第百八十二条の四第一項の規定による請求に応じて株式を取得する場合において、当該請求をした株主に対して支払った金銭の額が当該支払の日における分配可能額を超えるときは、当該株式の取得に関する職務を行った業務執行者は、株式会社に対し、連帯して、その超過額を支払う義務を負う。ただし、その者がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
前項の義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
株式会社が次の各号に掲げる行為をした場合において、当該行為をした日の属する事業年度(その事業年度の直前の事業年度が最終事業年度でないときは、その事業年度の直前の事業年度)に係る計算書類につき第四百三十八条第二項の承認(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認)を受けた時における第四百六十一条第二項第三号、第四号 及び第六号に掲げる額の合計額が同項第一号に掲げる額を超えるときは、当該各号に掲げる行為に関する職務を行った業務執行者は、当該株式会社に対し、連帯して、その超過額(当該超過額が当該各号に定める額を超える場合にあっては、当該各号に定める額)を支払う義務を負う。ただし、当該業務執行者がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
第百三十八条第一号ハ 又は第二号ハの請求に応じて行う当該株式会社の株式の買取り
当該株式の買取りにより株主に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額
第百五十六条第一項の規定による決定に基づく当該株式会社の株式の取得(第百六十三条に規定する場合 又は第百六十五条第一項に規定する場合における当該株式会社による株式の取得に限る。)
当該株式の取得により株主に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額
第百五十七条第一項の規定による決定に基づく当該株式会社の株式の取得
当該株式の取得により株主に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額
第百六十七条第一項の規定による当該株式会社の株式の取得
当該株式の取得により株主に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額
第百七十条第一項の規定による当該株式会社の株式の取得
当該株式の取得により株主に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額
第百七十三条第一項の規定による当該株式会社の株式の取得
当該株式の取得により株主に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額
第百七十六条第一項の規定による請求に基づく当該株式会社の株式の買取り
当該株式の買取りにより株主に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額
第百九十七条第三項の規定による当該株式会社の株式の買取り
当該株式の買取りにより株主に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額
次のイ 又はロに掲げる規定による当該株式会社の株式の買取り
当該株式の買取りにより当該イ 又はロに定める者に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額
第二百三十四条第四項
同条第一項各号に定める者
第二百三十五条第二項において準用する第二百三十四条第四項
株主
剰余金の配当(次のイからハまでに掲げるものを除く。)
当該剰余金の配当についての第四百四十六条第六号イからハまでに掲げる額の合計額
定時株主総会(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、定時株主総会 又は第四百三十六条第三項の取締役会)において第四百五十四条第一項各号に掲げる事項を定める場合における剰余金の配当
第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めるための株主総会において第四百五十四条第一項各号に掲げる事項を定める場合(同項第一号の額(第四百五十六条の規定により基準未満株式の株主に支払う金銭があるときは、その額を合算した額 )が第四百四十七条第一項第一号の額を超えない場合であって、同項第二号に掲げる事項についての定めがない場合に限る。)における剰余金の配当
第四百四十八条第一項各号に掲げる事項を定めるための株主総会において第四百五十四条第一項各号に掲げる事項を定める場合(同項第一号の額(第四百五十六条の規定により基準未満株式の株主に支払う金銭があるときは、その額を合算した額 )が第四百四十八条第一項第一号の額を超えない場合であって、同項第二号に掲げる事項についての定めがない場合に限る。)における剰余金の配当
前項の義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
第六章 定款の変更
株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更することができる。
第七章 事業の譲渡等
株式会社は、次に掲げる行為をする場合には、当該行為がその効力を生ずる日(以下 この章において「効力発生日」という。)の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。
事業の重要な一部の譲渡(当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えないものを除く。)
その子会社の株式 又は持分の全部 又は一部の譲渡(次のいずれにも該当する場合における譲渡に限る。)
当該譲渡により譲り渡す株式 又は持分の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えるとき。
当該株式会社が、効力発生日において当該子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき。
他の会社(外国会社 その他の法人を含む。次条において同じ。)の事業の全部の譲受け
事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任、他人と事業上の損益の全部を共通にする契約 その他これらに準ずる契約の締結、変更 又は解約
当該株式会社(第二十五条第一項各号に掲げる方法により設立したものに限る。以下この号において同じ。)の成立後二年以内におけるその成立前から存在する財産であってその事業のために継続して使用するものの取得。
ただし、イに掲げる額のロに掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合を除く。
当該財産の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額
当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額
前項第三号に掲げる行為をする場合において、当該行為をする株式会社が譲り受ける資産に当該株式会社の株式が含まれるときは、取締役は、同項の株主総会において、当該株式に関する事項を説明しなければならない。
前条の規定は、同条第一項第一号から第四号までに掲げる行為(以下 この章において「事業譲渡等」という。)に係る契約の相手方が当該事業譲渡等をする株式会社の特別支配会社(ある株式会社の総株主の議決権の十分の九(これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)以上を他の会社 及び当該 他の会社が発行済株式の全部を有する株式会社 その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人が有している場合における当該 他の会社をいう。以下同じ。)である場合には、適用しない。
前条の規定は、同条第一項第三号に掲げる行為をする場合において、第一号に掲げる額の第二号に掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えないときは、適用しない。
当該 他の会社の事業の全部の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額
当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額
前項に規定する場合において、法務省令で定める数の株式(前条第一項の株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)を有する株主が次条第三項の規定による通知 又は同条第四項の公告の日から二週間以内に前条第一項第三号に掲げる行為に反対する旨を当該行為をする株式会社に対し通知したときは、当該株式会社は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。
事業譲渡等をする場合(次に掲げる場合を除く。)には、反対株主は、事業譲渡等をする株式会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
第四百六十七条第一項第一号に掲げる行為をする場合において、同項の株主総会の決議と同時に第四百七十一条第三号の株主総会の決議がされたとき。
前条第二項に規定する場合(同条第三項に規定する場合を除く。)
前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主をいう。
事業譲渡等をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合
次に掲げる株主
当該株主総会に先立って当該事業譲渡等に反対する旨を当該株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該事業譲渡等に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
前号に規定する場合以外の場合
全ての株主(前条第一項に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)
事業譲渡等をしようとする株式会社は、効力発生日の二十日前までに、その株主(前条第一項に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)に対し、事業譲渡等をする旨(第四百六十七条第二項に規定する場合にあっては、同条第一項第三号に掲げる行為をする旨 及び同条第二項の株式に関する事項)を通知しなければならない。
次に掲げる場合には、前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
事業譲渡等をする株式会社が第四百六十七条第一項の株主総会の決議によって事業譲渡等に係る契約の承認を受けた場合
第一項の規定による請求(以下 この章において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の二十日前の日から 効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類 及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、事業譲渡等をする株式会社に対し、当該株式に係る株券を提出しなければならない。ただし、当該株券について第二百二十三条の規定による請求をした者については、この限りでない。
株式買取請求をした株主は、事業譲渡等をする株式会社の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。
事業譲渡等を中止したときは、株式買取請求は、その効力を失う。
第百三十三条の規定は、株式買取請求に係る株式については、適用しない。
株式買取請求があった場合において、株式の価格の決定について、株主と事業譲渡等をする株式会社との間に協議が調ったときは、当該株式会社は、効力発生日から六十日以内にその支払をしなければならない。
株式の価格の決定について、効力発生日から三十日以内に 協議が調わないときは、株主 又は前項の株式会社は、その期間の満了の日後三十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
前条第七項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、効力発生日から六十日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、株主は、いつでも、株式買取請求を撤回することができる。
第一項の株式会社は、裁判所の決定した価格に対する同項の期間の満了の日後の法定利率による利息をも 支払わなければならない。
第一項の株式会社は、株式の価格の決定があるまでは、株主に対し、当該株式会社が公正な価格と認める額を支払うことができる。
株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。
株券発行会社は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに、その株式買取請求に係る株式の代金を支払わなければならない。
第八章 解散
株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。
合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
第八百二十四条第一項 又は第八百三十三条第一項の規定による解散を命ずる裁判
休眠会社(株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から十二年を経過したものをいう。以下 この条において同じ。)は、法務大臣が休眠会社に対し二箇月以内に法務省令で定めるところによりその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その二箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす。ただし、当該期間内に当該休眠会社に関する登記がされたときは、この限りでない。
登記所は、前項の規定による公告があったときは、休眠会社に対し、その旨の通知を発しなければならない。
株式会社は、第四百七十一条第一号から第三号までに掲げる事由によって解散した場合(前条第一項の規定により解散したものとみなされた場合を含む。)には、次章の規定による清算が結了するまで(同項の規定により解散したものとみなされた場合にあっては、解散したものとみなされた後三年以内に限る。)、株主総会の決議によって、株式会社を継続することができる。
株式会社が解散した場合には、当該株式会社は、次に掲げる行為をすることができない。
合併(合併により当該株式会社が存続する場合に限る。)
吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部 又は一部の承継
第九章 清算
第一節 総則
⤏ 第一款 清算の開始
株式会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない。
解散した場合(第四百七十一条第四号に掲げる事由によって解散した場合 及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)
設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
株式移転の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。
⤏ 第二款 清算株式会社の機関
⤏ 第一目 株主総会以外の機関の設置
清算株式会社には、一人 又は二人以上の清算人を置かなければならない。
清算株式会社は、定款の定めによって、清算人会、監査役 又は監査役会を置くことができる。
監査役会を置く旨の定款の定めがある清算株式会社は、清算人会を置かなければならない。
第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において公開会社 又は大会社であった清算株式会社は、監査役を置かなければならない。
第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において監査等委員会設置会社であった清算株式会社であって、前項の規定の適用があるものにおいては、監査等委員である取締役が監査役となる。
第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において指名委員会等設置会社であった清算株式会社であって、第四項の規定の適用があるものにおいては、監査委員が監査役となる。
第四章第二節の規定は、清算株式会社については、適用しない。
⤏ 第二目 清算人の就任及び解任並びに監査役の退任
次に掲げる者は、清算株式会社の清算人となる。
取締役(次号 又は第三号に掲げる者がある場合を除く。)
株主総会の決議によって選任された者
前項の規定により清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
前二項の規定にかかわらず、第四百七十一条第六号に掲げる事由によって解散した清算株式会社については、裁判所は、利害関係人 若しくは法務大臣の申立てにより 又は職権で、清算人を選任する。
第一項 及び第二項の規定にかかわらず、第四百七十五条第二号 又は第三号に掲げる場合に該当することとなった清算株式会社については、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において監査等委員会設置会社であった清算株式会社における第一項第一号の規定の適用については、
同号中
「取締役」とあるのは、
「監査等委員である取締役以外の取締役」と
する。
第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において指名委員会等設置会社であった清算株式会社における第一項第一号の規定の適用については、
同号中
「取締役」とあるのは、
「監査委員以外の取締役」と
する。
第三百三十五条第三項の規定にかかわらず、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社であった清算株式会社である監査役会設置会社においては、監査役は、三人以上で、そのうち半数以上は、次に掲げる要件のいずれにも該当するものでなければならない。
その就任の前十年間当該監査等委員会設置会社 若しくは指名委員会等設置会社 又はその子会社の取締役(社外取締役を除く。)、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。次号において同じ。) 若しくは執行役 又は支配人 その他の使用人であったことがないこと。
その就任の前十年内のいずれかの時において当該監査等委員会設置会社 若しくは指名委員会等設置会社 又はその子会社の社外取締役 又は監査役であったことがある者にあっては、当該社外取締役 又は監査役への就任の前十年間当該監査等委員会設置会社 若しくは指名委員会等設置会社 又はその子会社の取締役(社外取締役を除く。)、会計参与 若しくは執行役 又は支配人 その他の使用人であったことがないこと。
第二条第十六号ハからホまでに掲げる要件
第三百三十条、第三百三十一条第一項 及び第三百三十一条の二の規定は清算人について、第三百三十一条第五項の規定は清算人会設置会社(清算人会を置く清算株式会社 又はこの法律の規定により清算人会を置かなければならない清算株式会社をいう。以下同じ。)について、それぞれ準用する。
この場合において、
同項中
「取締役は」とあるのは、
「清算人は」と
読み替えるものとする。
清算人(前条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。)は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
重要な事由があるときは、裁判所は、次に掲げる株主の申立てにより、清算人を解任することができる。
総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から 引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
清算人を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主
発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から 引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
当該申立てに係る清算人である株主
公開会社でない清算株式会社における前項各号の規定の適用については、
これらの規定中
「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、
「有する」と
する。
第三百四十六条第一項から第三項までの規定は、清算人について準用する。
清算株式会社の監査役は、当該清算株式会社が次に掲げる定款の変更をした場合には、当該定款の変更の効力が生じた時に退任する。
監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
第三百三十六条の規定は、清算株式会社の監査役については、適用しない。
⤏ 第三目 清算人の職務等
清算人は、次に掲げる職務を行う。
清算人は、清算株式会社(清算人会設置会社を除く。以下 この条において同じ。)の業務を執行する。
清算人が二人以上ある場合には、清算株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、清算人の過半数をもって決定する。
前項の場合には、清算人は、次に掲げる事項についての決定を各清算人に委任することができない。
第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
清算人の職務の執行が法令 及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
第三百五十三条から第三百五十七条(第三項を除く。)まで、第三百六十条 並びに第三百六十一条第一項 及び第四項の規定は、清算人(同条の規定については、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。)について準用する。
この場合において、
第三百五十三条中
「第三百四十九条第四項」とあるのは
「第四百八十三条第六項において準用する第三百四十九条第四項」と、
第三百五十四条中
「代表取締役」とあるのは
「代表清算人(第四百八十三条第一項に規定する代表清算人をいう。)」と、
第三百六十条第三項中
「監査役設置会社、監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社」とあるのは
「監査役設置会社」と
読み替えるものとする。
清算人は、清算株式会社を代表する。
ただし、他に代表清算人(清算株式会社を代表する清算人をいう。以下同じ。)その他清算株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
前項本文の清算人が二人以上ある場合には、清算人は、各自、清算株式会社を代表する。
清算株式会社(清算人会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく清算人(第四百七十八条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。以下 この項において同じ。)の互選 又は株主総会の決議によって、清算人の中から代表清算人を定めることができる。
第四百七十八条第一項第一号の規定により取締役が清算人となる場合において、代表取締役を定めていたときは、当該代表取締役が代表清算人となる。
裁判所は、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により清算人を選任する場合には、その清算人の中から代表清算人を定めることができる。
第三百四十九条第四項 及び第五項 並びに第三百五十一条の規定は代表清算人について、第三百五十二条の規定は民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算人 又は代表清算人の職務を代行する者について、それぞれ準用する。
清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。
清算人は、清算株式会社が破産手続開始の決定を受けた場合において破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
前項に規定する場合において、清算株式会社が既に債権者に支払い、又は株主に分配したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
裁判所は、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により清算人を選任した場合には、清算株式会社が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。
清算人は、その任務を怠ったときは、清算株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
清算人が第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項の規定に違反して同項第一号の取引をしたときは、当該取引により清算人 又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項第二号 又は第三号の取引によって清算株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる清算人は、その任務を怠ったものと推定する。
第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項の清算人
清算株式会社が当該取引をすることを決定した清算人
当該取引に関する清算人会の承認の決議に賛成した清算人
第四百二十四条 及び第四百二十八条第一項の規定は、清算人の第一項の責任について準用する。
この場合において、
同条第一項中
「第三百五十六条第一項第二号(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)」とあるのは、
「第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項第二号」と
読み替えるものとする。
清算人がその職務を行うについて悪意 又は重大な過失があったときは、当該清算人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
清算人が、次に掲げる行為をしたときも、前項と同様とする。
ただし、当該清算人が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときはこの限りでない。
株式、新株予約権、社債 若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知 又は当該募集のための当該清算株式会社の事業 その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載 若しくは記録
第四百九十二条第一項に規定する財産目録等並びに第四百九十四条第一項の貸借対照表 及び事務報告並びにこれらの附属明細書に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載 又は記録
清算人 又は監査役が清算株式会社 又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の清算人 又は監査役も 当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
前項の場合には、第四百三十条の規定は、適用しない。
⤏ 第四目 清算人会
清算人会は、すべての清算人で組織する。
清算人会は、次に掲げる職務を行う。
清算人会設置会社の業務執行の決定
清算人会は、清算人の中から代表清算人を選定しなければならない。
ただし、他に代表清算人があるときは、この限りでない。
清算人会は、その選定した代表清算人 及び第四百八十三条第四項の規定により代表清算人となった者を解職することができる。
第四百八十三条第五項の規定により裁判所が代表清算人を定めたときは、清算人会は、代表清算人を選定し、又は解職することができない。
清算人会は、次に掲げる事項 その他の重要な業務執行の決定を清算人に委任することができない。
支配人 その他の重要な使用人の選任 及び解任
支店 その他の重要な組織の設置、変更 及び廃止
第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
清算人の職務の執行が法令 及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
次に掲げる清算人は、清算人会設置会社の業務を執行する。
代表清算人以外の清算人であって、清算人会の決議によって清算人会設置会社の業務を執行する清算人として選定されたもの
第三百六十三条第二項、第三百六十四条 及び第三百六十五条の規定は、清算人会設置会社について準用する。
この場合において、
第三百六十三条第二項中
「前項各号」とあるのは
「第四百八十九条第七項各号」と、
「取締役は」とあるのは
「清算人は」と、
「取締役会」とあるのは
「清算人会」と、
第三百六十四条中
「第三百五十三条」とあるのは
「第四百八十二条第四項において準用する第三百五十三条」と、
「取締役会は」とあるのは
「清算人会は」と、
第三百六十五条第一項中
「第三百五十六条」とあるのは
「第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条」と、
「「取締役会」とあるのは
「「清算人会」と、
同条第二項中
「第三百五十六条第一項各号」とあるのは
「第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項各号」と、
「取締役は」とあるのは
「清算人は」と、
「取締役会に」とあるのは
「清算人会に」と
読み替えるものとする。
清算人会は、各清算人が招集する。
ただし、清算人会を招集する清算人を定款 又は清算人会で定めたときは、その清算人が招集する。
前項ただし書に規定する場合には、同項ただし書の規定により定められた清算人(以下 この項において「招集権者」という。)以外の清算人は、招集権者に対し、清算人会の目的である事項を示して、清算人会の招集を請求することができる。
前項の規定による請求があった日から五日以内に、その請求があった日から二週間以内の日を清算人会の日とする清算人会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした清算人は、清算人会を招集することができる。
第三百六十七条 及び第三百六十八条の規定は、清算人会設置会社における清算人会の招集について準用する。
この場合において、
第三百六十七条第一項中
「監査役設置会社、監査等委員会設置会社 及び指名委員会等設置会社」とあるのは
「監査役設置会社」と、
「取締役が」とあるのは
「清算人が」と、
同条第二項中
「取締役(前条第一項ただし書に規定する場合にあっては、招集権者)」とあるのは
「清算人(第四百九十条第一項ただし書に規定する場合にあっては、同条第二項に規定する招集権者)」と、
同条第三項 及び第四項中「前条第三項」とあるのは
「第四百九十条第三項」と、
第三百六十八条第一項中
「各取締役」とあるのは
「各清算人」と、
同条第二項中
「取締役(」とあるのは
「清算人(」と、
「取締役 及び」とあるのは
「清算人 及び」と
読み替えるものとする。
第三百六十九条から第三百七十一条までの規定は、清算人会設置会社における清算人会の決議について準用する。
この場合において、
第三百六十九条第一項中
「取締役の」とあるのは
「清算人の」と、
同条第二項中
「取締役」とあるのは
「清算人」と、
同条第三項中
「取締役 及び」とあるのは
「清算人 及び」と、
同条第五項中
「取締役であって」とあるのは
「清算人であって」と、
第三百七十条中
「取締役が」とあるのは
「清算人が」と、
「取締役(」とあるのは
「清算人(」と、
第三百七十一条第三項中
「監査役設置会社、監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社」とあるのは
「監査役設置会社」と、
同条第四項中
「役員 又は執行役」とあるのは
「清算人 又は監査役」と
読み替えるものとする。
第三百七十二条第一項 及び第二項の規定は、清算人会設置会社における清算人会への報告について準用する。
この場合において、
同条第一項中
「取締役、会計参与、監査役 又は会計監査人」とあるのは
「清算人 又は監査役」と、
「取締役(」とあるのは
「清算人(」と、
「取締役 及び」とあるのは
「清算人 及び」と、
同条第二項中
「第三百六十三条第二項」とあるのは
「第四百八十九条第八項において準用する第三百六十三条第二項」と
読み替えるものとする。
⤏ 第五目 取締役等に関する規定の適用
清算株式会社については、第二章(第百五十五条を除く。)、第三章、第四章第一節、第三百三十五条第二項、第三百四十三条第一項 及び第二項、第三百四十五条第四項において準用する同条第三項、第三百五十九条、同章第七節 及び第八節 並びに第七章の規定中取締役、代表取締役、取締役会 又は取締役会設置会社に関する規定は、それぞれ清算人、代表清算人、清算人会 又は清算人会設置会社に関する規定として清算人、代表清算人、清算人会 又は清算人会設置会社に適用があるものとする。
⤏ 第三款 財産目録等
清算人(清算人会設置会社にあっては、第四百八十九条第七項各号に掲げる清算人)は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、法務省令で定めるところにより、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった日における財産目録 及び貸借対照表(以下 この条 及び次条において「財産目録等」という。)を作成しなければならない。
清算人会設置会社においては、財産目録等は、清算人会の承認を受けなければならない。
清算人は、財産目録等(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の承認を受けたもの)を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければならない。
清算株式会社は、財産目録等を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該財産目録等を保存しなければならない。
裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、財産目録等の全部 又は一部の提出を命ずることができる。
清算株式会社は、法務省令で定めるところにより、各清算事務年度(第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった日の翌日 又はその後 毎年 その日に応当する日(応当する日がない場合にあっては、その前日)から始まる各一年の期間をいう。)に係る貸借対照表 及び事務報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
前項の貸借対照表 及び事務報告 並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもって作成することができる。
清算株式会社は、第一項の貸借対照表を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該貸借対照表 及び その附属明細書を保存しなければならない。
監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)においては、前条第一項の貸借対照表 及び事務報告 並びにこれらの附属明細書は、法務省令で定めるところにより、監査役の監査を受けなければならない。
清算人会設置会社においては、前条第一項の貸借対照表 及び事務報告 並びにこれらの附属明細書(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の監査を受けたもの)は、清算人会の承認を受けなければならない。
清算株式会社は、第四百九十四条第一項に規定する各清算事務年度に係る貸借対照表 及び事務報告 並びにこれらの附属明細書(前条第一項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告を含む。以下 この条において「貸借対照表等」という。)を、定時株主総会の日の一週間前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、その本店に備え置かなければならない。
株主 及び債権者は、清算株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該清算株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
貸借対照表等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
前号の書面の謄本 又は抄本の交付の請求
貸借対照表等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって清算株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
清算株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該清算株式会社の貸借対照表等について前項各号に掲げる請求をすることができる。
ただし、同項第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該清算株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
次の各号に掲げる清算株式会社においては、清算人は、当該各号に定める貸借対照表 及び事務報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
第四百九十五条第一項に規定する監査役設置会社(清算人会設置会社を除く。)
同項の監査を受けた貸借対照表 及び事務報告
清算人会設置会社
第四百九十五条第二項の承認を受けた貸借対照表 及び事務報告
前二号に掲げるもの以外の清算株式会社
第四百九十四条第一項の貸借対照表 及び事務報告
前項の規定により提出され、又は提供された貸借対照表は、定時株主総会の承認を受けなければならない。
清算人は、第一項の規定により提出され、又は提供された事務報告の内容を定時株主総会に報告しなければならない。
裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、第四百九十四条第一項の貸借対照表 及び その附属明細書の全部 又は一部の提出を命ずることができる。
⤏ 第四款 債務の弁済等
清算株式会社は、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった後、遅滞なく、当該清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
ただし、当該期間は、二箇月を下ることができない。
前項の規定による公告には、当該債権者が当該期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を付記しなければならない。
清算株式会社は、前条第一項の期間内は、債務の弁済をすることができない。
この場合において、清算株式会社は、その債務の不履行によって生じた責任を免れることができない。
前項の規定にかかわらず、清算株式会社は、前条第一項の期間内であっても、裁判所の許可を得て、少額の債権、清算株式会社の財産につき存する担保権によって担保される債権 その他これを弁済しても 他の債権者を害するおそれがない債権に係る債務について、その弁済をすることができる。
この場合において、当該許可の申立ては、清算人が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。
清算株式会社は、条件付債権、存続期間が不確定な債権 その他その額が不確定な債権に係る債務を弁済することができる。
この場合においては、これらの債権を評価させるため、裁判所に対し、鑑定人の選任の申立てをしなければならない。
前項の場合には、清算株式会社は、同項の鑑定人の評価に従い同項の債権に係る債務を弁済しなければならない。
第一項の鑑定人の選任の手続に関する費用は、清算株式会社の負担とする。
当該鑑定人による鑑定のための呼出し及び質問に関する費用についても、同様とする。
清算株式会社は、当該清算株式会社の債務を弁済した後でなければ、その財産を株主に分配することができない。
ただし、その存否 又は額について争いのある債権に係る債務についてその弁済をするために必要と認められる財産を留保した場合は、この限りでない。
清算株式会社の債権者(知れている債権者を除く。)であって第四百九十九条第一項の期間内にその債権の申出をしなかったものは、清算から除斥される。
前項の規定により清算から除斥された債権者は、分配がされていない残余財産に対してのみ、弁済を請求することができる。
清算株式会社の残余財産を株主の一部に分配した場合には、当該株主の受けた分配と同一の割合の分配を当該株主以外の 株主に対してするために必要な財産は、前項の残余財産から控除する。
⤏ 第五款 残余財産の分配
清算株式会社は、残余財産の分配をしようとするときは、清算人の決定(清算人会設置会社にあっては、清算人会の決議)によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
前項に規定する場合において、残余財産の分配について内容の異なる二以上の種類の株式を発行しているときは、清算株式会社は、当該種類の株式の内容に応じ、同項第二号に掲げる事項として、次に掲げる事項を定めることができる。
ある種類の株式の株主に対して残余財産の割当てをしないこととするときは、その旨 及び当該株式の種類
前号に掲げる事項のほか、残余財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨 及び当該異なる取扱いの内容
第一項第二号に掲げる事項についての定めは、株主(当該清算株式会社 及び前項第一号の種類の株式の株主を除く。)の有する株式の数(前項第二号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて残余財産を割り当てることを内容とするものでなければならない。
株主は、残余財産が金銭以外の財産であるときは、金銭分配請求権(当該残余財産に代えて金銭を交付することを清算株式会社に対して請求する権利をいう。以下 この条において同じ。)を有する。
この場合において、清算株式会社は、清算人の決定(清算人会設置会社にあっては、清算人会の決議)によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一定の数未満の数の株式を有する株主に対して残余財産の割当てをしないこととするときは、その旨 及び その数
前項に規定する場合には、清算株式会社は、同項第一号の期間の末日の二十日前までに、株主に対し、同号に掲げる事項を通知しなければならない。
清算株式会社は、金銭分配請求権を行使した株主に対し、当該株主が割当てを受けた残余財産に代えて、当該残余財産の価額に相当する金銭を支払わなければならない。
この場合においては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額をもって当該残余財産の価額とする。
当該残余財産が市場価格のある財産である場合
当該残余財産の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額
前号に掲げる場合以外の場合
清算株式会社の申立てにより裁判所が定める額
前条第一項第二号の数(以下 この条において「基準株式数」という。)を定めた場合には、清算株式会社は、基準株式数に満たない数の株式(以下 この条において「基準未満株式」という。)を有する株主に対し、前条第三項後段の規定の例により基準株式数の株式を有する株主が割当てを受けた残余財産の価額として定めた額に当該基準未満株式の数の基準株式数に対する割合を乗じて得た額に相当する金銭を支払わなければならない。
⤏ 第六款 清算事務の終了等
清算株式会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、決算報告を作成しなければならない。
清算人会設置会社においては、決算報告は、清算人会の承認を受けなければならない。
清算人は、決算報告(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の承認を受けたもの)を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければならない。
前項の承認があったときは、任務を怠ったことによる清算人の損害賠償の責任は、免除されたものとみなす。
ただし、清算人の職務の執行に関し不正の行為があったときは、この限りでない。
⤏ 第七款 帳簿資料の保存
清算人(清算人会設置会社にあっては、第四百八十九条第七項各号に掲げる清算人)は、清算株式会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から十年間、清算株式会社の帳簿 並びにその事業 及び清算に関する重要な資料(以下 この条において「帳簿資料」という。)を保存しなければならない。
裁判所は、利害関係人の申立てにより、前項の清算人に代わって帳簿資料を保存する者を選任することができる。この場合においては、同項の規定は、適用しない。
前項の規定により選任された者は、清算株式会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から十年間、帳簿資料を保存しなければならない。
第二項の規定による選任の手続に関する費用は、清算株式会社の負担とする。
⤏ 第八款 適用除外等
次に掲げる規定は、清算株式会社については、適用しない。
第百五十五条
第五章第二節第二款(第四百三十五条第四項、第四百四十条第三項、第四百四十二条 及び第四百四十三条を除く。) 及び第三款並びに第三節から第五節まで
第五編第四章 及び第四章の二 並びに同編第五章中株式交換、株式移転 及び株式交付の手続に係る部分
第二章第四節の二の規定は、対象会社が清算株式会社である場合には、適用しない。
清算株式会社は、無償で取得する場合 その他法務省令で定める場合に限り、当該清算株式会社の株式を取得することができる。
第二節 特別清算
⤏ 第一款 特別清算の開始
裁判所は、清算株式会社に次に掲げる事由があると認めるときは、第五百十四条の規定に基づき、申立てにより、当該清算株式会社に対し特別清算の開始を命ずる。
清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること。
債務超過(清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りない状態をいう。次条第二項において同じ。)の疑いがあること。
債権者、清算人、監査役 又は株主は、特別清算開始の申立てをすることができる。
清算株式会社に債務超過の疑いがあるときは、清算人は、特別清算開始の申立てをしなければならない。
裁判所は、特別清算開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役 若しくは株主の申立てにより又は職権で、特別清算開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続 又は処分の中止を命ずることができる。
ただし、第一号に掲げる破産手続については破産手続開始の決定がされていない場合に限り、第二号に掲げる手続 又は第三号に掲げる処分についてはその手続の申立人である債権者 又はその処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限る。
清算株式会社についての破産手続
清算株式会社の財産に対して既にされている強制執行、仮差押え 又は仮処分の手続(一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権に基づくものを除く。)
清算株式会社の財産に対して既にされている共助対象外国租税(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法 及び地方税法の特例等に関する法律(昭和四十四年法律第四十六号。第五百十八条の二 及び第五百七十一条第四項において「租税条約等実施特例法」という。)第十一条第一項に規定する共助対象外国租税をいう。以下同じ。)の請求権に基づき国税滞納処分の例によってする処分(第五百十五条第一項において「外国租税滞納処分」という。)
特別清算開始の申立てを却下する決定に対して第八百九十条第五項の即時抗告がされたときも、前項と同様とする。
特別清算開始の申立てをした者は、特別清算開始の命令前に限り、当該申立てを取り下げることができる。
この場合において、前条の規定による中止の命令、第五百四十条第二項の規定による保全処分 又は第五百四十一条第二項の規定による処分がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。
裁判所は、特別清算開始の申立てがあった場合において、特別清算開始の原因となる事由があると認めるときは、次のいずれかに該当する場合を除き、特別清算開始の命令をする。
特別清算の手続の費用の予納がないとき。
特別清算によっても 清算を結了する見込みがないことが明らかであるとき。
特別清算によることが債権者の一般の利益に反することが明らかであるとき。
不当な目的で特別清算開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
特別清算開始の命令があったときは、破産手続開始の申立て、清算株式会社の財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分 若しくは外国租税滞納処分 又は財産開示手続(民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百九十七条第一項の申立てによるものに限る。以下 この項において同じ。)若しくは第三者からの情報取得手続(同法第二百五条第一項第一号、第二百六条第一項 又は第二百七条第一項の申立てによるものに限る。以下 この項において同じ。)の申立てはすることができず、破産手続(破産手続開始の決定がされていないものに限る。)、清算株式会社の財産に対して既にされている強制執行、仮差押え 及び仮処分の手続 並びに外国租税滞納処分 並びに財産開示手続 及び第三者からの情報取得手続は中止する。
ただし、一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分 又は財産開示手続 若しくは第三者からの情報取得手続については、この限りでない。
特別清算開始の命令が確定したときは、前項の規定により中止した手続 又は処分は、特別清算の手続の関係においては、その効力を失う。
特別清算開始の命令があったときは、清算株式会社の債権者の債権(一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権 及び特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権を除く。以下 この節において「協定債権」という。)については、第九百三十八条第一項第二号 又は第三号に規定する特別清算開始の取消しの登記 又は特別清算終結の登記の日から二箇月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、債権者の一般の利益に適合し、かつ、担保権の実行の手続等(清算株式会社の財産につき存する担保権の実行の手続、企業担保権の実行の手続 又は清算株式会社の財産に対して既にされている一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権に基づく強制執行の手続をいう。以下 この条において同じ。)の申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないものと認めるときは、清算人、監査役、債権者 若しくは株主の申立てにより又は職権で、相当の期間を定めて、担保権の実行の手続等の中止を命ずることができる。
協定債権を有する債権者(以下 この節において「協定債権者」という。)は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
特別清算開始後に清算株式会社に対して債務を負担したとき。
支払不能(清算株式会社が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。以下 この款において同じ。)になった後に契約によって負担する債務を専ら協定債権をもってする相殺に供する目的で清算株式会社の財産の処分を内容とする契約を清算株式会社との間で締結し、又は清算株式会社に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより清算株式会社に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
支払の停止があった後に清算株式会社に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。
ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
特別清算開始の申立てがあった後に清算株式会社に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、特別清算開始の申立てがあったことを知っていたとき。
前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
支払不能であったこと 又は支払の停止若しくは特別清算開始の申立てがあったことを協定債権者が知った時より前に生じた原因
特別清算開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
清算株式会社に対して債務を負担する者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
特別清算開始後に他人の協定債権を取得したとき。
支払不能になった後に協定債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
支払の停止があった後に協定債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。
ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
特別清算開始の申立てがあった後に協定債権を取得した場合であって、その取得の当時、特別清算開始の申立てがあったことを知っていたとき。
前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する協定債権の取得が次に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
支払不能であったこと又は支払の停止 若しくは特別清算開始の申立てがあったことを清算株式会社に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因
特別清算開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
清算株式会社に対して債務を負担する者と清算株式会社との間の契約
協定債権者は、共助対象外国租税の請求権をもって特別清算の手続に参加するには、租税条約等実施特例法 第十一条第一項に規定する共助実施決定を得なければならない。
⤏ 第二款 裁判所による監督及び調査
特別清算開始の命令があったときは、清算株式会社の清算は、裁判所の監督に属する。
裁判所は、必要があると認めるときは、清算株式会社の業務を監督する官庁に対し、当該清算株式会社の特別清算の手続について意見の陳述を求め、又は調査を嘱託することができる。
前項の官庁は、裁判所に対し、当該清算株式会社の特別清算の手続について意見を述べることができる。
裁判所は、いつでも、清算株式会社に対し、清算事務 及び財産の状況の報告を命じ、その他清算の監督上必要な調査をすることができる。
特別清算開始の命令があった場合には、清算株式会社は、第四百九十二条第三項の承認があった後遅滞なく、財産目録等(同項に規定する財産目録等をいう。以下 この条において同じ。)を裁判所に提出しなければならない。
ただし、財産目録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。
裁判所は、特別清算開始後において、清算株式会社の財産の状況を考慮して必要があると認めるときは、清算人、監査役、債権の申出をした債権者 その他清算株式会社に知れている債権者の債権の総額の十分の一以上に当たる債権を有する債権者 若しくは総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から 引き続き有する株主 若しくは発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から 引き続き有する株主の申立てにより又は職権で、次に掲げる事項について、調査委員による調査を命ずる処分(第五百三十三条において「調査命令」という。)をすることができる。
清算株式会社の業務 及び財産の状況
第五百四十条第一項の規定による保全処分をする必要があるかどうか。
第五百四十二条第一項の規定による保全処分をする必要があるかどうか。
第五百四十五条第一項に規定する役員等責任査定決定をする必要があるかどうか。
その他特別清算に必要な事項で裁判所の指定するもの
清算株式会社の財産につき担保権(特別の先取特権、質権、抵当権 又はこの法律 若しくは商法の規定による留置権に限る。)を有する債権者がその担保権の行使によって弁済を受けることができる債権の額は、前項の債権の額に算入しない。
公開会社でない清算株式会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、
「有する」と
する。
⤏ 第三款 清算人
特別清算が開始された場合には、清算人は、債権者、清算株式会社 及び株主に対し、公平かつ誠実に清算事務を行う義務を負う。
裁判所は、清算人が清算事務を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、債権者 若しくは株主の申立てにより又は職権で、清算人を解任することができる。
清算人が欠けたときは、裁判所は、清算人を選任する。
清算人がある場合においても、裁判所は、必要があると認めるときは、更に清算人を選任することができる。
清算人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人 又は二人以上の清算人代理を選任することができる。
前項の清算人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。
清算人は、費用の前払 及び裁判所が定める報酬を受けることができる。
前項の規定は、清算人代理について準用する。
⤏ 第四款 監督委員
裁判所は、一人 又は二人以上の監督委員を選任し、当該監督委員に対し、第五百三十五条第一項の許可に代わる同意をする権限を付与することができる。
裁判所は、監督委員が清算株式会社の業務 及び財産の管理の監督を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、監督委員を解任することができる。
監督委員が二人以上あるときは、共同してその職務を行う。
ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
監督委員は、いつでも、清算株式会社の清算人 及び監査役 並びに支配人 その他の使用人に対し、事業の報告を求め、又は清算株式会社の業務 及び財産の状況を調査することができる。
監督委員は、その職務を行うため必要があるときは、清算株式会社の子会社に対し、事業の報告を求め、又はその子会社の業務 及び財産の状況を調査することができる。
監督委員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならない。
監督委員が前項の注意を怠ったときは、その監督委員は、利害関係人に対し、連帯して損害を賠償する責任を負う。
監督委員は、費用の前払 及び裁判所が定める報酬を受けることができる。
監督委員は、その選任後、清算株式会社に対する債権 又は清算株式会社の株式を譲り受け、又は譲り渡すには、裁判所の許可を得なければならない。
監督委員は、前項の許可を得ないで同項に規定する行為をしたときは、費用 及び報酬の支払を受けることができない。
⤏ 第五款 調査委員
裁判所は、調査命令をする場合には、当該調査命令において、一人 又は二人以上の調査委員を選任し、調査委員が調査すべき事項 及び裁判所に対して調査の結果の報告をすべき期間を定めなければならない。
前款(第五百二十七条第一項 及び第五百二十九条ただし書を除く。)の規定は、調査委員について準用する。
⤏ 第六款 清算株式会社の行為の制限等
特別清算開始の命令があった場合には、清算株式会社が次に掲げる行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
ただし、第五百二十七条第一項の規定により監督委員が選任されているときは、これに代わる監督委員の同意を得なければならない。
財産の処分(次条第一項各号に掲げる行為を除く。)
和解 又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)
前項の規定にかかわらず、同項第一号から第五号までに掲げる行為については、次に掲げる場合には、同項の許可を要しない。
最高裁判所規則で定める額以下の価額を有するものに関するとき。
前号に掲げるもののほか、裁判所が前項の許可を要しないものとしたものに関するとき。
第一項の許可 又はこれに代わる監督委員の同意を得ないでした行為は、無効とする。
ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
特別清算開始の命令があった場合には、清算株式会社が次に掲げる行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
事業の重要な一部の譲渡(当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が当該清算株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えないものを除く。)
その子会社の株式 又は持分の全部 又は一部の譲渡(次のいずれにも該当する場合における譲渡に限る。)
当該譲渡により譲り渡す株式 又は持分の帳簿価額が当該清算株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えるとき。
当該清算株式会社が、当該譲渡がその効力を生ずる日において当該子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき。
前条第三項の規定は、前項の許可を得ないでした行為について準用する。
第七章(第四百六十七条第一項第五号を除く。)の規定は、特別清算の場合には、適用しない。
特別清算開始の命令があった場合には、清算株式会社は、協定債権者に対して、その債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。
前項の規定にかかわらず、清算株式会社は、裁判所の許可を得て、少額の協定債権、清算株式会社の財産につき存する担保権によって担保される協定債権その他これを弁済しても 他の債権者を害するおそれがない協定債権に係る債務について、債権額の割合を超えて弁済をすることができる。
清算株式会社は、民事執行法 その他強制執行の手続に関する法令の規定により、その財産の換価をすることができる。
この場合においては、第五百三十五条第一項第一号の規定は、適用しない。
清算株式会社は、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定により、第五百二十二条第二項に規定する担保権(以下 この条 及び 次条において単に「担保権」という。)の目的である財産の換価をすることができる。
この場合においては、当該担保権を有する者(以下 この条 及び 次条において「担保権者」という。)は、その換価を拒むことができない。
前二項の場合には、民事執行法第六十三条及び第百二十九条(これらの規定を同法 その他強制執行の手続に関する法令において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
第二項の場合において、担保権者が受けるべき金額がまだ確定していないときは、清算株式会社は、代金を別に寄託しなければならない。
この場合においては、担保権は、寄託された代金につき存する。
担保権者が法律に定められた方法によらないで担保権の目的である財産の処分をする権利を有するときは、裁判所は、清算株式会社の申立てにより、担保権者がその処分をすべき期間を定めることができる。
担保権者は、前項の期間内に処分をしないときは、同項の権利を失う。
⤏ 第七款 清算の監督上必要な処分等
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、清算の監督上必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役 若しくは株主の申立てにより又は職権で、清算株式会社の財産に関し、その財産の処分禁止の仮処分 その他の必要な保全処分を命ずることができる。
裁判所は、特別清算開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役 若しくは株主の申立てにより又は職権で、前項の規定による保全処分をすることができる。特別清算開始の申立てを却下する決定に対して第八百九十条第五項の即時抗告がされたときも、同様とする。
裁判所が前二項の規定により清算株式会社が債権者に対して弁済 その他の債務を消滅させる行為をすることを禁止する旨の保全処分を命じた場合には、債権者は、特別清算の関係においては、当該保全処分に反してされた弁済 その他の債務を消滅させる行為の効力を主張することができない。
ただし、債権者が、その行為の当時、当該保全処分がされたことを知っていたときに限る。
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、清算の監督上必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役 若しくは株主の申立てにより又は職権で、清算株式会社が株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを禁止することができる。
裁判所は、特別清算開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役 若しくは株主の申立てにより又は職権で、前項の規定による処分をすることができる。
特別清算開始の申立てを却下する決定に対して第八百九十条第五項の即時抗告がされたときも、同様とする。
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、清算の監督上必要があると認めるときは、清算株式会社の申立てにより又は職権で、発起人、設立時取締役、設立時監査役、第四百二十三条第一項に規定する役員等 又は清算人(以下 この款において「対象役員等」という。)の責任に基づく損害賠償請求権につき、当該対象役員等の財産に対する保全処分をすることができる。
裁判所は、特別清算開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、緊急の必要があると認めるときは、清算株式会社の申立てにより又は職権で、前項の規定による保全処分をすることができる。
特別清算開始の申立てを却下する決定に対して第八百九十条第五項の即時抗告がされたときも、同様とする。
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、清算の監督上必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役 若しくは株主の申立てにより又は職権で、対象役員等の責任の免除の禁止の処分をすることができる。
特別清算開始の命令があったときは、清算株式会社は、特別清算開始の申立てがあった後 又はその前一年以内にした対象役員等の責任の免除を取り消すことができる。
不正の目的によってした対象役員等の責任の免除についても、同様とする。
前項の規定による取消権は、訴え 又は抗弁によって、行使する。
第一項の規定による取消権は、特別清算開始の命令があった日から二年を経過したときは、行使することができない。
当該対象役員等の責任の免除の日から二十年を経過したときも、同様とする。
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、必要があると認めるときは、清算株式会社の申立てにより又は職権で、対象役員等の責任に基づく損害賠償請求権の査定の裁判(以下 この条において「役員等責任査定決定」という。)をすることができる。
裁判所は、職権で役員等責任査定決定の手続を開始する場合には、その旨の決定をしなければならない。
第一項の申立て又は前項の決定があったときは、時効の完成猶予 及び更新に関しては、裁判上の請求があったものとみなす。
役員等責任査定決定の手続(役員等責任査定決定があった後のものを除く。)は、特別清算が終了したときは、終了する。
⤏ 第八款 債権者集会
債権者集会は、特別清算の実行上必要がある場合には、いつでも、招集することができる。
債権者集会は、次条第三項の規定により招集する場合を除き、清算株式会社が招集する。
債権の申出をした協定債権者その他清算株式会社に知れている協定債権者の協定債権の総額の十分の一以上に当たる協定債権を有する協定債権者は、清算株式会社に対し、債権者集会の目的である事項 及び招集の理由を示して、債権者集会の招集を請求することができる。
清算株式会社の財産につき第五百二十二条第二項に規定する担保権を有する協定債権者がその担保権の行使によって弁済を受けることができる協定債権の額は、前項の協定債権の額に算入しない。
次に掲げる場合には、第一項の規定による請求をした協定債権者は、裁判所の許可を得て、債権者集会を招集することができる。
第一項の規定による請求の後 遅滞なく招集の手続が行われない場合
第一項の規定による請求があった日から六週間以内の日を債権者集会の日とする債権者集会の招集の通知が発せられない場合
債権者集会を招集する者(以下 この款において「招集者」という。)は、債権者集会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
債権者集会に出席しない協定債権者が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
清算株式会社が債権者集会を招集する場合には、当該清算株式会社は、各協定債権について債権者集会における議決権の行使の許否 及び その額を定めなければならない。
清算株式会社以外の者が債権者集会を招集する場合には、その招集者は、清算株式会社に対し、前項に規定する事項を定めることを請求しなければならない。
この場合において、その請求があったときは、清算株式会社は、同項に規定する事項を定めなければならない。
清算株式会社の財産につき第五百二十二条第二項に規定する担保権を有する協定債権者は、その担保権の行使によって弁済を受けることができる協定債権の額については、議決権を有しない。
協定債権者は、共助対象外国租税の請求権については、議決権を有しない。
債権者集会を招集するには、招集者は、債権者集会の日の二週間前までに、債権の申出をした協定債権者 その他清算株式会社に知れている協定債権者 及び清算株式会社に対して、書面をもってその通知を発しなければならない。
招集者は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、同項の通知を受けるべき者の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。
この場合において、当該招集者は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
前三項の規定は、債権の申出をした債権者 その他清算株式会社に知れている債権者であって一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権又は特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権を有するものについて準用する。
招集者は、前条第一項の通知に際しては、法務省令で定めるところにより、債権の申出をした協定債権者 その他清算株式会社に知れている協定債権者に対し、当該協定債権者が有する協定債権について第五百四十八条第二項 又は第三項の規定により定められた事項 及び議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(次項において「債権者集会参考書類」という。)並びに協定債権者が議決権を行使するための書面(以下 この款において「議決権行使書面」という。)を交付しなければならない。
招集者は、前条第二項の承諾をした協定債権者に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による債権者集会参考書類 及び議決権行使書面の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
ただし、協定債権者の請求があったときは、これらの書類を当該協定債権者に交付しなければならない。
招集者は、第五百四十八条第一項第三号に掲げる事項を定めた場合には、第五百四十九条第二項の承諾をした協定債権者に対する電磁的方法による通知に際して、法務省令で定めるところにより、協定債権者に対し、議決権行使書面に記載すべき事項を当該電磁的方法により提供しなければならない。
招集者は、第五百四十八条第一項第三号に掲げる事項を定めた場合において、第五百四十九条第二項の承諾をしていない協定債権者から債権者集会の日の一週間前までに議決権行使書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の請求があったときは、法務省令で定めるところにより、直ちに、当該協定債権者に対し、当該事項を電磁的方法により提供しなければならない。
債権者集会を招集しようとするときは、招集者は、あらかじめ、第五百四十八条第一項各号に掲げる事項 及び同条第二項 又は第三項の規定により定められた事項を裁判所に届け出なければならない。
債権者集会において、第五百四十八条第二項 又は第三項の規定により各協定債権について定められた事項について、当該協定債権を有する者 又は他の協定債権者が異議を述べたときは、裁判所がこれを定める。
債権者集会において決議をする事項を可決するには、次に掲げる同意のいずれもがなければならない。
出席した議決権者(議決権を行使することができる協定債権者をいう。以下 この款 及び次款において同じ。)の過半数の同意
出席した議決権者の議決権の総額の二分の一を超える議決権を有する者の同意
第五百五十八条第一項の規定によりその有する議決権の一部のみを前項の事項に同意するものとして行使した議決権者(その余の議決権を行使しなかったものを除く。)があるときの同項第一号の規定の適用については、当該議決権者一人につき、出席した議決権者の数に一を、同意をした議決権者の数に二分の一を、それぞれ加算するものとする。
債権者集会は、第五百四十八条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。
協定債権者は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該協定債権者 又は代理人は、代理権を証明する書面を招集者に提出しなければならない。
前項の代理権の授与は、債権者集会ごとにしなければならない。
第一項の協定債権者 又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、招集者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
この場合において、当該協定債権者 又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。
協定債権者が第五百四十九条第二項の承諾をした者である場合には、招集者は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
債権者集会に出席しない協定債権者は、書面によって議決権を行使することができる。
書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を招集者に提出して行う。
前項の規定により書面によって議決権を行使した議決権者は、第五百五十四条第一項 及び第五百六十七条第一項の規定の適用については、債権者集会に出席したものとみなす。
電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、招集者の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該招集者に提供して行う。
協定債権者が第五百四十九条第二項の承諾をした者である場合には、招集者は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
第一項の規定により電磁的方法によって議決権を行使した議決権者は、第五百五十四条第一項 及び第五百六十七条第一項の規定の適用については、債権者集会に出席したものとみなす。
協定債権者は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。この場合においては、債権者集会の日の三日前までに、招集者に対してその旨 及び その理由を通知しなければならない。
招集者は、前項の協定債権者が他人のために協定債権を有する者でないときは、当該協定債権者が同項の規定によりその有する議決権を統一しないで行使することを拒むことができる。
債権者集会 又は招集者は、次に掲げる債権者の出席を求め、その意見を聴くことができる。
この場合において、債権者集会にあっては、これをする旨の決議を経なければならない。
第五百二十二条第二項に規定する担保権を有する債権者
一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権又は特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権を有する債権者
債権者集会においてその延期 又は続行について決議があった場合には、第五百四十八条(第四項を除く。) 及び第五百四十九条の規定は、適用しない。
債権者集会の議事については、招集者は、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
特別清算開始の命令があった場合において、第四百九十二条第一項に規定する清算人が清算株式会社の財産の現況についての調査を終了して財産目録等(同項に規定する財産目録等をいう。以下 この条において同じ。)を作成したときは、清算株式会社は、遅滞なく、債権者集会を招集し、当該債権者集会に対して、清算株式会社の業務 及び財産の状況の調査の結果 並びに財産目録等の要旨を報告するとともに、清算の実行の方針 及び見込みに関して意見を述べなければならない。ただし、債権者集会に対する報告 及び意見の陳述以外の方法によりその報告すべき事項及び当該意見の内容を債権者に周知させることが適当であると認めるときは、この限りでない。
⤏ 第九款 協定
清算株式会社は、債権者集会に対し、協定の申出をすることができる。
協定においては、協定債権者の権利(第五百二十二条第二項に規定する担保権を除く。)の全部又は一部の変更に関する条項を定めなければならない。
協定債権者の権利の全部 又は一部を変更する条項においては、債務の減免、期限の猶予その他の権利の変更の一般的基準を定めなければならない。
協定による権利の変更の内容は、協定債権者の間では平等でなければならない。ただし、不利益を受ける協定債権者の同意がある場合又は少額の協定債権について別段の定めをしても衡平を害しない場合その他協定債権者の間に差を設けても衡平を害しない場合は、この限りでない。
清算株式会社は、協定案の作成に当たり必要があると認めるときは、次に掲げる債権者の参加を求めることができる。
第五百二十二条第二項に規定する担保権を有する債権者
一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権を有する債権者
第五百五十四条第一項の規定にかかわらず、債権者集会において協定を可決するには、次に掲げる同意のいずれもがなければならない。
議決権者の議決権の総額の三分の二以上の議決権を有する者の同意
第五百五十四条第二項の規定は、前項第一号の規定の適用について準用する。
協定が可決されたときは、清算株式会社は、遅滞なく、裁判所に対し、協定の認可の申立てをしなければならない。
前条の申立てがあった場合には、裁判所は、次項の場合を除き、協定の認可の決定をする。
裁判所は、次のいずれかに該当する場合には、協定の不認可の決定をする。
特別清算の手続 又は協定が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき。
ただし、特別清算の手続が法律の規定に違反する場合において、当該違反の程度が軽微であるときは、この限りでない。
協定は、認可の決定の確定により、その効力を生ずる。
協定は、清算株式会社 及びすべての協定債権者のために、かつ、それらの者に対して効力を有する。
協定は、第五百二十二条第二項に規定する債権者が有する同項に規定する担保権、協定債権者が清算株式会社の保証人その他清算株式会社と共に債務を負担する者に対して有する権利及び清算株式会社以外の者が協定債権者のために提供した担保に影響を及ぼさない。
協定の認可の決定が確定したときは、協定債権者の権利は、協定の定めに従い、変更される。
前項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての協定による権利の変更の効力は、租税条約等実施特例法第十一条第一項の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。
協定の実行上必要があるときは、協定の内容を変更することができる。この場合においては、第五百六十三条から前条までの規定を準用する。
⤏ 第十款 特別清算の終了
裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合には、清算人、監査役、債権者、株主 又は調査委員の申立てにより、特別清算終結の決定をする。
裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合において、清算株式会社に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をしなければならない。
特別清算によることが債権者の一般の利益に反するとき。
裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合において、清算株式会社に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をすることができる。
前二項の規定により破産手続開始の決定があった場合における破産法第七十一条第一項第四号 並びに第二項第二号 及び第三号、第七十二条第一項第四号 並びに第二項第二号 及び第三号、第百六十条(第一項第一号を除く。)、第百六十二条(第一項第二号を除く。)、第百六十三条第二項、第百六十四条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第百六十六条 並びに第百六十七条第二項(同法第百七十条第二項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める申立てがあった時に破産手続開始の申立てがあったものとみなす。
特別清算開始の申立ての前に特別清算開始の命令の確定によって効力を失った破産手続における破産手続開始の申立てがある場合
当該破産手続開始の申立て
前号に掲げる場合以外の場合
特別清算開始の申立て
第一項 又は第二項の規定により破産手続開始の決定があったときは、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権及び特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権は、財団債権とする。